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マルタ (さかな)

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マルタ
マルタ
マルタ Tribolodon brandtii maruta
なかがわみず遊園ゆうえん飼育しいく展示てんじ個体こたい
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: コイ Cypriniformes
: コイ Cyprinidae
: ウグイ Leuciscinae
ぞく : ウグイぞく Pseudaspius
たね : マルタ P. brandtii
学名がくめい
Pseudaspius brandtii
(Dybowski1872)[1]
シノニム[1][2]
  • Telestes brandtii Dybowski, 1872
    • Tribolodon brandti
    • Tribolodon brandtii
  • Leuciscus taczanowskii Steindachner, 1881
  • Leuciscus ledae Warpachowski, 1892
  • Leuciscus adele Warpachowski, 1892
  • Leuciscus warpachowskii Schmidt, 1904
  • Leuciscus schisturus Oshima, 1920
  • Akahara jusanensis Jordan & Hubbs, 1925
  • Tribolodon brandtii maruta Sakai & Amano, 2014
和名わみょう
マルタ[3]
英名えいめい
Pacific redfin

マルタ丸太まるた[3]Pseudaspius brandtii)は、ウグイ分類ぶんるいされるさかなマルタウグイばれることもある[4]。コイ魚類ぎょるいなかで、くだうみせい獲得かくとくした数少かずすくない魚類ぎょるいである[5][6]形態けいたいからマルタがたとジュウサンウグイがたの2がたけられ[7]、これらを亜種あしゅとして区別くべつするせつもある[2]

分布ぶんぷ

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東京とうきょうわんから富山湾とやまわんまでの本州ほんしゅう北海道ほっかいどう、サハリンから沿海州えんかいしゅう朝鮮半島ちょうせんはんとう東岸とうがんにかけて[7]

形態けいたい

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全長ぜんちょう30-40 cm[8]最大さいだい60 cm[8]1.5 kg程度ていどになる[よう出典しゅってん]最大さいだいではきんえんしゅウグイより大型おおがたになる。ウグイの婚姻こんいんしょく赤色あかいろたてじょう)が体側たいそくに3ほんであるのにたいし、マルタははらがわに1ほんである[9]自然しぜん状態じょうたいでウグイとは容易ようい交雑こうざつするかは不明ふめいである。

分類ぶんるい

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2020ねんウグイぞく学名がくめいTribolodonからPseudaspius変更へんこうされた[10][11]

亜種あしゅ

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1960年代ねんだいよりマルタとジュウサンウグイがことなるとする報告ほうこくがいくつかされていた[12][13]が、「遺伝いでんがく」「形態けいたいがく」「生態せいたいがく」のかく観点かんてんからの研究けんきゅう不十分ふじゅうぶん指摘してきされていた[5]。2014ねん(2015ねんとする文献ぶんけんもあり)、マルタ T. b. maruta と、ジュウサンウグイ T. b. brandtiiけられた[2][14]

以下いか分類ぶんるい和名わみょうは、本村もとむら (2020) にしたが[11]英名えいめいは、藤田ふじた (2019) にしたが[15]

Pseudaspius brandtii brandtii (Dybowski1872) ジュウサンウグイ Jusan dace
富山湾とやまわん以北いほく日本海にほんかい沿岸えんがん青森あおもりけん太平洋たいへいようがわ本州ほんしゅう北海道ほっかいどう、サハリンから沿海州えんかいしゅう朝鮮半島ちょうせんはんとう東岸とうがん分布ぶんぷする[5][8]かたぎしき産地さんちハンカ[2]
マルタよりもうろこすうおおく、あたまちょうおおきいといった特徴とくちょうがある[8]
Pseudaspius brandtii maruta (Sakai & Amano, 2014) マルタ Maruta dace
東京とうきょうわんから岩手いわてけん大船渡湾おおふなとわんにかけての太平洋たいへいよう沿岸えんがん流入りゅうにゅう河川かせん分布ぶんぷする[8]かたぎしき産地さんち多摩川たまがわ[2]
ジュウサンウグイと比較ひかくして吻部がややみじか[15]

生態せいたい

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おも沿岸えんがんから河川かせん河口かこう水域すいいき生息せいそくし、はる産卵さんらんにはかわ遡上そじょうするさかのぼかわ回遊かいゆうさかなである。幼魚ようぎょは1ねんほど河口かこう付近ふきんごし、7-9 cmほどに成長せいちょうしてうみる。寿命じゅみょうは10ねんほどと比較的ひかくてき長命ちょうめいである。動物どうぶつしょくせいで、貝類かいるいゴカイるい小型こがた魚類ぎょるいやエビなどの甲殻こうかくるいといったしょう動物どうぶつ捕食ほしょくする[よう出典しゅってん]

人間にんげんとの関係かんけい

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ウグイよりもきがつよく、多摩川たまがわ宮城みやぎけん広瀬川ひろせがわなどで対象たいしょうぎょとして人気にんきがある[16]食用しょくようとしてはウグイにまさるとされ、あらたたきものなどにいている[16]

ルアーフィッシング対象たいしょうぎょであるスズキ外道げどうとしてよくれる。食用しょくようになるが、小骨こぼねおおいのでよくるか甘露煮かんろになどにするのがてきしている[よう出典しゅってん]

水域すいいきとく排水はいすいこう付近ふきんこのんで生息せいそくしているために生臭なまぐさ個体こたいおおい。そのため、かわ血合ちあ内臓ないぞう利用りようせずに、白身しろみ味噌みそ、だしじる鰹節かつおぶし昆布こぶ)にひたし、圧力あつりょくなべると、くさみがくなり、小骨こぼねはやわらかくなりべやすくなる[よう出典しゅってん]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b Pseudaspius brandtii (Dybowski, 1872)”. WoRMS (2023ねん1がつ10日とおか). 2023ねん7がつ17にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e Sakai, Harumi; Amano, Shota (2014). “A new subspecies of anadromous Far Eastern dace, Tribolodon brandtii maruta subsp. nov. (Teleostei, Cyprinidae) from Japan”. Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A (Zoology) 40: 219-229. CRID 1520573331262612096. https://www.kahaku.go.jp/research/publication/zoology/download/40_4/BNMNS_A40-4_219.pdf. 
  3. ^ a b 田口たぐちあきら ちょ細谷ほそやかずうみ 監修かんしゅう『フィールドガイド 淡水魚たんすいぎょ 識別しきべつ図鑑ずかんまことぶんどう新光しんこうしゃ、2014ねん、124ぺーじ
  4. ^ 木村きむらよしこころざし 監修かんしゅう増補ぞうほ改訂かいていフィールドベスト図鑑ずかん 6 日本にっぽん淡水魚たんすいぎょ学研がっけん、2009ねん、71ぺーじISBN 978-4054038431
  5. ^ a b c 酒井さかいおさむおのれ中井なかいひろし天野あまの翔太しょうた須田すだゆう輔「さかのぼかわ回遊かいゆうせいコイ魚類ぎょるいウグイぞくマルタしいたい異常いじょう個体こたい形態けいたいがくてき特徴とくちょう」『水産大学校すいさんだいがっこう研究けんきゅう報告ほうこくだい62かんだい2ごう、2014ねん、63-68ぺーじCRID 1050001338770023680 
  6. ^ 石崎いしざき大介だいすけよどみふとわがみみせき微量びりょう元素げんそ分析ぶんせきもとづいたニゴイるい塩分えんぶん環境かんきょう経験けいけん証拠しょうこ」『伊豆沼いずぬま内沼うちぬま研究けんきゅう報告ほうこくだい12かん、2018ねん、63-71ぺーじdoi:10.20745/izu.12.0_63 
  7. ^ a b 天野あまの翔太しょうた酒井さかいおさむおのれくだうみせいコイ魚類ぎょるいウグイぞくマルタ2がた形態けいたいてき分化ぶんか地理ちりてき分布ぶんぷ」『水産大学校すいさんだいがっこう研究けんきゅう報告ほうこくだい63かん 1ごう水産大学校すいさんだいがっこう、2014ねん、17-32ぺーじ
  8. ^ a b c d e 藤田ふじた朝彦あさひこ「ウグイぞく」、ちゅうぼうてっ へん監修かんしゅう小学館しょうがくかん図鑑ずかんZ 日本にっぽん魚類ぎょるいかん小学館しょうがくかん、2020ねんだい5さつ初版しょはん2018ねん)、109ぺーじISBN 9784092083110
  9. ^ 末広すえひろきょうゆうさかな博物はくぶつ事典じてん講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、1989ねん、95ぺーじISBN 4061588834
  10. ^ Harumi Sakai, Katsutoshi Watanabe & Akira Goto, “A revised generic taxonomy for Far East Asian minnow Rhynchocypris and dace Pseudaspius,” Ichthyological Research, Volume 67, No. 2, Ichthyological Society of Japan, 2020, Pages 330–334.
  11. ^ a b 本村もとむら浩之ひろゆき日本にっぽんさん魚類ぎょるいぜん種目しゅもくろく これまでに記録きろくされた日本にっぽんさん魚類ぎょるいぜんたね現在げんざい標準ひょうじゅん和名わみょう学名がくめい鹿児島大学かごしまだいがく総合そうごう研究けんきゅう博物館はくぶつかん、2020ねん、27-28ぺーじ
  12. ^ 中村なかむら守純もりずみ日本にっぽんのコイ魚類ぎょるい 日本にっぽんさんコイ魚類ぎょるい生活せいかつかんする研究けんきゅう資源しげん科学かがく研究所けんきゅうじょ資源しげん科学かがくシリーズ〉、1969ねん全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:69003577 
  13. ^ 小野寺おのでらたかし本間ほんま義治よしはる東北とうほく日本にっぽんにおけるウグイぞく魚類ぎょるい種族しゅぞく分化ぶんか」『動物どうぶつ分類ぶんるい学会がっかいだい12かん、1976ねん、65-77ぺーじdoi:10.19004/pjssz.12.0_65 
  14. ^ 長澤ながさわ和也かずや片平かたひら浩孝ひろたか日本にっぽんさんウグイぞく魚類ぎょるい寄生虫きせいちゅう目録もくろく : 補足ほそく(2016ねん) A synopsis of the parasites from cyprinid fishes of the genus Tribolodon in Japan: A 2016 update and supplement」『広島大学ひろしまだいがく大学院だいがくいん生物せいぶつけん科学かがく研究けんきゅう紀要きようだい55かん、2016ねん、57-70ぺーじdoi:10.15027/43710 
  15. ^ a b 藤田ふじた朝彦あさひこ「ウグイ」ほか、細谷ほそやかずうみ へん監修かんしゅうやまけいハンディ図鑑ずかん 15 増補ぞうほ改訂かいてい 日本にっぽん淡水魚たんすいぎょやま溪谷社けいこくしゃ、2019ねん、112-119ぺーじ
  16. ^ a b 斉藤さいとう憲治けんじ『くらべてわかる淡水魚たんすいぎょやま渓谷社けいこくしゃ、2015ねん、59ぺーじISBN 978-4-635-06346-3