ウミウ

ウミウ
	ウミウ Phalacrocorax capillatus
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	LEAST CONCERN; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001));
分類ぶんるい
学名がくめい
	Phalacrocorax capillatus; (Temminck & Schlegel, 1850)
和名わみょう
	ウミウ
英名えいめい
	Japanese Cormorant; Temminck's Cormorant
	ウミウの分布ぶんぷ図ず（青あお：現生げんなま（非ひ繁殖はんしょく）、黄色おうしょく：現生げんなま（繁殖はんしょく））

ウミウ（海うみ鵜う、Phalacrocorax capillatus）は、カツオドリ目めウ科かウ属ぞくに分類ぶんるいされる鳥類ちょうるい。

分布ぶんぷ

ロシア南東なんとう部ぶ、大韓民国だいかんみんこく、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく東部とうぶ、日本にっぽん。

日本にっぽんでは、九州きゅうしゅう以北いほくの海岸かいがんで局地きょくち的てきに繁殖はんしょくし、繁殖はんしょく地ち付近ふきんでは留鳥りゅうちょうとして周しゅう年ねん生息せいそくする。それ以外いがいの海岸かいがんには越冬えっとうのため冬ふゆ鳥とりとして飛来ひらいし、南西諸島なんせいしょとうまで記録きろくがある。

形態けいたい

全長ぜんちょう84-92cm。翼つばさ開ひらき長ちょう133-152cm。体重たいじゅう2-3kg。全身ぜんしんは緑色みどりいろの光沢こうたくがある黒くろい羽毛うもうに覆おおわれる。

嘴くちばし基部きぶ周辺しゅうへんは羽毛うもうがなく、白しろと黄色おうしょくの皮膚ひふが露出ろしゅつする。黄色おうしょく部ぶは三角形さんかっけい状じょうに尖とがる。嘴くちばしの色彩しきさいは黒くろみを帯おびた黄色おうしょく。

夏なつ羽わは頭部とうぶと大腿だいたい部ぶに白しろい羽毛うもうが生はえ、腰こしに白しろい斑紋はんもんが入はいる。幼鳥ようちょうは全身ぜんしんが黒褐色こっかっしょくの羽毛うもうで覆おおわれ、下面かめんが白しろい羽毛うもうで被おおわれる個体こたいもいる。

生態せいたい

岩礁がんしょう海岸かいがんに生息せいそくする。

食しょく性せいは動物どうぶつ食しょくで、主おもに魚類ぎょるいを食たべる。

繁殖はんしょく形態けいたいは卵生らんせい。小規模しょうきぼな集団しゅうだん繁殖はんしょく地ち（コロニー）を形成けいせいする。海岸かいがんにある断崖だんがいの隙間すきまに枯草かれくさや海藻かいそうを組くみ合あわせた皿さら状じょうの巣すを作つくり、5-7月がつに1回かいに4-5個この卵たまごを産うむ。雌雄しゆう交代こうたいで抱だき卵らんし、抱だき卵たまご期間きかんは約やく4週間しゅうかん。雛ひなは孵化ふかしてから47-60日にちで巣立すだつ。

人間にんげんとの関係かんけい

日本にっぽんでの鵜飼うかいには本ほん種しゅが用もちいられるが、中国ちゅうごくではカワウが用もちいられる。これは本ほん種しゅがカワウより大おおきいこと、中国ちゅうごくでは本ほん種しゅよりカワウが多おおいことによる。

日本にっぽんでは1934年ねんに壁島かべしま（山口やまぐち県けん）が「壁島かべしまウ渡来とらい地ち」、1945年ねんに照島てるしま（福島ふくしま県けん）が「照島てるしまウ生息せいそく地ち」として越冬えっとう地ちが、1972年ねんに粟島あわしま（新潟にいがた県けん）が「粟島あわしまのオオミズナギドリおよびウミウ繁殖はんしょく地ち」として繁殖はんしょく地ちが国くにの天然記念物てんねんきねんぶつに指定していされている。

全国ぜんこくで唯一ゆいいつのウミウの捕獲ほかく・供給きょうきゅう地ちが伊師いし浜はま海岸かいがん（茨城いばらき県けん）にあり、全国ぜんこく12箇所かしょの鵜飼うかい地ちのうち、長良川ながらがわをはじめとする11箇所かしょへ供給きょうきゅうしている^[1]。

参考さんこう文献ぶんけん

安部あべ直哉なおや『山やま渓けい名前なまえ図鑑ずかん野鳥やちょうの名前なまえ』、山やまと渓谷社けいこくしゃ、2008年ねん、60-61頁ぺーじ。
環境庁かんきょうちょう『日本にっぽん産さん鳥類ちょうるいの繁殖はんしょく分布ぶんぷ』、大蔵省おおくらしょう印刷いんさつ局きょく、1981年ねん。
桐原きりはら政志まさし『日本にっぽんの鳥とり550 水辺みずべの鳥とり増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』、文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん、2009年ねん、65頁ぺーじ。
黒田くろだ長久ちょうきゅう監修かんしゅう C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編へん『動物どうぶつ大だい百科ひゃっか7 鳥ちょうI』、平凡社へいぼんしゃ、1986年ねん、178頁ぺーじ。
高野たかの伸二しんじ『フィールドガイド日本にっぽんの野鳥やちょう増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』、日本にっぽん野鳥やちょうの会かい、2007年ねん、28-29頁ぺーじ。
中村なかむら登のぼる流りゅう監修かんしゅう『原色げんしょくワイド図鑑ずかん4 鳥ちょう』、学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1984年ねん、127、134、137、175頁ぺーじ。
真木まき広造ひろぞう、大西おおにし敏一としいち『日本にっぽんの野鳥やちょう590』、平凡社へいぼんしゃ、2000年ねん、50頁ぺーじ。
『小学館しょうがくかんの図鑑ずかんNEO 鳥とり』、小学館しょうがくかん、2002年ねん、21頁ぺーじ。