信頼しんらい関係かんけい破壊はかいの法理ほうり

信頼しんらい関係かんけい破壊はかいの法理ほうり（しんらいかんけいはかいのほうり）とは、「高度こうどな信頼しんらい関係かんけいを基礎きそとする継続けいぞく的てき契約けいやくにおいて、一方いっぽうの当事とうじ者しゃの投下とうか資本しほんの回収かいしゅうの利益りえきを保護ほごするため、他方たほうの当事とうじ者しゃからの一方いっぽう的てきな契約けいやくの解約かいやくを『当事とうじ者しゃ間あいだの信頼しんらい関係かんけいが破壊はかいされた』場合ばあいにのみ認みとめる」、という判例はんれいの考かんがえ方かたである。

概説がいせつ

本来ほんらい、一方いっぽうの当事とうじ者しゃが法律ほうりつで規定きていされた契約けいやく解除かいじょ権けん（法定ほうてい解除かいじょ権けん：民法みんぽう第だい541条じょう、第だい542条じょう、第だい543条じょう、第だい617条じょう、第だい626条じょう、第だい627条じょう、第だい628条じょうなど他た多数たすう）を持もっていれば、その当事とうじ者しゃは相手方あいてがたの意いに関係かんけいなく契約けいやくを解除かいじょ(解約かいやく)できるはずである。しかし、大家たいかの一方いっぽう的てきな都合つごうや意地悪いじわるなどで契約けいやくの解約かいやくを告知こくちされれば、賃借ちんしゃく人じんは引ひっ越こさなければならない。引越ひっこしの費用ひようがかかり、生活せいかつに大おおきな支障ししょうをきたす可能かのう性せいがある。このような不ふ合理ごうりをなくすために、判例はんれいは「両りょう当事とうじ者しゃ間あいだの信頼しんらい関係かんけいが破壊はかいされたと認みとめられない特段とくだんの事情じじょうがある場合ばあい」には解除かいじょを認みとめない、とされている。

この法理ほうりは、主おもに賃貸借ちんたいしゃく契約けいやくの解約かいやく、使用しよう貸借たいしゃく契約けいやくの解約かいやくに関かんする裁判さいばんで適用てきようされる。同様どうようの理論りろんに、雇用こよう契約けいやくの解約かいやくの裁判さいばんで適用てきようされる「解雇かいこ権けん濫用らんようの法理ほうり」がある。

外部がいぶリンク

• 最高さいこう裁判所さいばんしょ判例はんれい集しゅう
  • 昭和しょうわ57(オ)1011（最さい判はん昭あきら59．12．13）
  • 昭和しょうわ43(オ)410（最さい判はん昭あきら43．11．7）