使用しよう貸借たいしゃく

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使用しよう貸借たいしゃく（しようたいしゃく）は、当事とうじ者しゃの一方いっぽう（借主かりぬし）が無償むしょうである物ものを引ひき渡わたすことを約やくし、相手方あいてがたがその受うけ取とった物ものについて無償むしょうで使用しよう及および収益しゅうえきをして契約けいやくが終了しゅうりょうしたときに返還へんかんをすることを約やくすることを内容ないようとする契約けいやく。日本にっぽんの民法みんぽうでは典型てんけい契約けいやくの一種いっしゅとされる（民法みんぽう第だい593条じょう）。

  • 日本にっぽんの民法みんぽうは、以下いかで条じょう数すうのみ記載きさいする。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

使用しよう貸借たいしゃくの意義いぎ[編集へんしゅう]

民法みんぽうに規定きていされる使用しよう貸借たいしゃくは当事とうじ者しゃの一方いっぽうが無償むしょうである物ものを引ひき渡わたすことを約やくし、相手方あいてがたがその受うけ取とった物ものについて無償むしょうで使用しよう及および収益しゅうえきをして契約けいやくが終了しゅうりょうしたときに返還へんかんをすることを約やくすることを内容ないようとする諾だく成なり・無償むしょう・片務契約へんむけいやくである（第だい593条じょう）。2017年ねん改正かいせい前まえの民法みんぽうでは相手方あいてがたから目的もくてき物ぶつを受うけ取とることを要ようする要よう物もの契約けいやくとされていたが、2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で諾だく成なり契約けいやくに変更へんこうされた[1]。

使用しよう貸借たいしゃくは消費しょうひ貸借たいしゃくや賃貸借ちんたいしゃくと同おなじく貸借たいしゃく型がた契約けいやく（使用しよう許もと与あずか契約けいやく）に分類ぶんるいされる[2][3]。借主かりぬしと貸主かしぬしに親族しんぞく関係かんけいなど、個人こじん的てきな信頼しんらい関係かんけいが存在そんざいすることが想定そうていされた類型るいけいである。ただ、親族しんぞく間あいだの土地とち貸借たいしゃくなどの場合ばあい、使用しよう貸借たいしゃくなのか賃貸借ちんたいしゃくなのか無償むしょうの地上ちじょう権けんなのかをめぐって問題もんだいとなる場合ばあいがあるとされる[4][5]。

使用しよう貸借たいしゃくの性質せいしつ[編集へんしゅう]

  • 諾だく成なり契約けいやく
    使用しよう貸借たいしゃくは2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で諾だく成なり契約けいやくとなった[1]。
    2017年ねん改正かいせい前まえの民法みんぽうでは使用しよう貸借たいしゃくは要よう物もの契約けいやくとされていた（旧きゅう593条じょうの「物ものを受うけ取とることによって」の文言もんごん）。沿革えんかく的てきな理由りゆうによるといわれ、目的もくてき物ぶつの交付こうふは現実げんじつの引渡ひきわたしのほか簡易かんいの引渡ひきわたしや占有せんゆう改定かいていでもよいとされていた[6]。また、現代げんだい的てきな意義いぎとしては単たんなる合意ごういの段階だんかいで裁判さいばんによってまで目的もくてき物ぶつを貸かすことを要求ようきゅうする権利けんりを認みとめる必要ひつようはない点てんが理由りゆうとされていた[4]。
    旧法きゅうほうでも要よう物性ぶっせいを緩和かんわし、使用しよう貸借たいしゃくの予約よやくや諾だく成なり的てき使用しよう貸借たいしゃくも有効ゆうこうに成立せいりつするとされていた（通説つうせつ）[7]。現代げんだい社会しゃかいでは使用しよう貸借たいしゃくも単たんなる恩恵おんけいではなく、経済けいざい的てき取引とりひきの一環いっかんで利用りようされ借主かりぬしの期待きたいを保護ほごすべき場面ばめんがあることから、2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で諾だく成なり契約けいやくに変更へんこうされた[8]。
  • 無償むしょう契約けいやく
    使用しよう貸借たいしゃくは無償むしょう契約けいやくである。多少たしょうの金銭きんせん等ひとしの交付こうふがあっても対価たいか性せいが認みとめられない限かぎり無償むしょう契約けいやくである[9]。貸主かしぬしの担保たんぽ責任せきにんについては同おなじ無償むしょう契約けいやくである贈与ぞうよ者しゃの担保たんぽ責任せきにんの規定きてい（第だい551条じょう）が準用じゅんようされる（第だい596条じょう）。なお、負担ふたん付づけ贈与ぞうよが認みとめられるのと同様どうように負担ふたん付づけ使用しよう貸借たいしゃくも認みとめられる[6]。
  • 片務契約へんむけいやく

使用しよう貸借たいしゃくの成立せいりつ[編集へんしゅう]

先述せんじゅつのように使用しよう貸借たいしゃくは2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で諾だく成なり契約けいやくとなった[1]。

使用しよう貸借たいしゃくは無償むしょう契約けいやくであり、合意ごうい後ごはいかなる場合ばあいでも貸主かしぬしが目的もくてき物ぶつの使用しよう収益しゅうえき義務ぎむを負担ふたんするという解釈かいしゃくはバランスを欠かくため、贈与ぞうよ契約けいやくと同様どうように、貸主かしぬしは、借主かりぬしが借用しゃくよう物ぶつを受うけ取とるまでは、契約けいやくの解除かいじょをすることができる（第だい593条じょうの2）[8]。ただし、書面しょめんによる使用しよう貸借たいしゃくについては、目的もくてき物ぶつの引渡前まえであっても解除かいじょをすることはできない（第だい593条じょうの2ただし書しょ）[8]。2017年ねん改正かいせい前まえの民法みんぽうでは使用しよう貸借たいしゃくは要よう物もの契約けいやくとされていたが、使用しよう貸借たいしゃくの予約よやくや諾だく成なり的てき使用しよう貸借たいしゃくも認みとめられ、それらも同おなじ無償むしょう契約けいやくである書面しょめんによらない贈与ぞうよの撤回てっかい（現行げんこう法ほうでは解除かいじょ）について規定きていした第だい550条じょうを類推るいすい適用てきようすべきとされていた[4][10]。

目的もくてき物ぶつは不動産ふどうさんか動産どうさんかを問とわないが、契約けいやくの性質せいしつ上じょう、使用しようにより消滅しょうめつしてしまう物ものは目的もくてき物ぶつとなりえない[11][12]（非ひ消費しょうひ物ぶつを目的もくてき物ぶつとする点てんで消費しょうひ物ぶつを目的もくてき物ぶつとする消費しょうひ貸借たいしゃくと異ことなる）。物ものの分類ぶんるい（消費しょうひ物ぶつと非ひ消費しょうひ物ぶつ）については物もの (法律ほうりつ)#物ものの分類ぶんるいも参照さんしょう。

使用しよう貸借たいしゃくの効力こうりょく[編集へんしゅう]

対内たいない的てき関係かんけい[編集へんしゅう]

  • 借主かりぬしの使用しよう収益しゅうえき権けんと貸主かしぬしの用益ようえき受忍じゅにん義務ぎむ
    • 借主かりぬしの使用しよう収益しゅうえき権けん
      借主かりぬしは借用しゃくよう物ぶつを無償むしょうで使用しよう収益しゅうえきできる（使用しよう収益しゅうえき権けん。第だい593条じょう）。使用しよう収益しゅうえきにあたって借主かりぬしは用法ようほう遵守じゅんしゅ義務ぎむを負おうとともに（第だい594条じょう1項こう）、目的もくてき物ぶつを第三者だいさんしゃに使用しよう・収益しゅうえきさせない義務ぎむを負おう（ただし、貸主かしぬしの承諾しょうだくを得えたときは例外れいがい的てきに許容きょようされる）（第だい594条じょう2項こう）。借主かりぬしがこれらの規定きていに違反いはんして使用しよう・収益しゅうえきをしたときは、貸主かしぬしは契約けいやくの解除かいじょをすることができる（第だい594条じょう3項こう）。
      借主かりぬしは契約けいやくの本旨ほんしに反はんする使用しよう収益しゅうえきによって生しょうじた損害そんがいを賠償ばいしょうしなければならない。ただし、損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう権けんについては貸主かしぬしが返還へんかんを受うけた時ときから1年ねん以内いないの除じょ斥期間あいだがあり（第だい600条じょう1項こう）、用法ようほう違反いはんの時ときから10年間ねんかんの消滅しょうめつ時効じこうにもかかる[1]。2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で貸主かしぬしが返還へんかんを受うけた時ときから1年ねんを経過けいかするまでの間あいだは、時効じこうは完成かんせいしないとする規定きていが新設しんせつされた（第だい600条じょう2項こう）[1]。
      • 借主かりぬしの目的もくてき物ぶつ保管ほかん義務ぎむ
      借主かりぬしは借用しゃくよう物ぶつの保管ほかんにおいて善ぜん管かん注意ちゅうい義務ぎむを負おう（第だい400条じょう）。善ぜん管かん注意ちゅうい義務ぎむ違反いはんの場合ばあいは債務さいむ不履行ふりこうとなる[10]。
      • 借主かりぬしの費用ひよう負担ふたん義務ぎむ
      借用しゃくよう物ぶつの通常つうじょうの必要ひつよう費ひの負担ふたん義務ぎむを負おう（第だい595条じょう1項こう）。その他たの費用ひようについては第だい583条じょう2項こう、第だい196条じょうの規定きていによって負担ふたんする。ただし、貸主かしぬしが負担ふたんすべき費用ひようについて借主かりぬしが支出ししゅつした場合ばあいの償還しょうかんは、貸主かしぬしが返還へんかんを受うけた時ときから1年ねんの除じょ斥期間あいだに服ふくする（第だい600条じょう1項こう）。
    • 貸主かしぬしの用益ようえき受忍じゅにん義務ぎむ
    借主かりぬしの使用しよう収益しゅうえき権けんに対応たいおうして、貸主かしぬしは用益ようえき受忍じゅにん義務ぎむ（使用しよう収益しゅうえき受忍じゅにん義務ぎむ・許容きょよう義務ぎむ）を負おうことになるが、この義務ぎむは借主かりぬしによる使用しよう収益しゅうえきを妨害ぼうがいしないという消極しょうきょく的てきな義務ぎむにとどまる[11][5][10]。
    • 貸主かしぬしの解除かいじょ権けん
    借主かりぬしが用法ようほう遵守じゅんしゅ義務ぎむに違反いはんしたり、貸主かしぬしに無断むだんで第三者だいさんしゃに使用しよう収益しゅうえきさせた場合ばあい、貸主かしぬしは契約けいやくを解除かいじょすることができる（第だい594条じょう3項こう）。借主かりぬしの帰かえり責せめ事由じゆうや催告さいこくは不要ふようである[13]。
  • 借主かりぬしの目的もくてき物ぶつ返還へんかん義務ぎむ
#使用しよう貸借たいしゃくの終了しゅうりょうを参照さんしょう
  • 貸主かしぬしの担保たんぽ責任せきにん
貸主かしぬしは用益ようえき受忍じゅにん義務ぎむのほか担保たんぽ責任せきにんを負おう（第だい596条じょう）。ただし、無償むしょう契約けいやくであるため贈与ぞうよ者しゃの担保たんぽ責任せきにんの規定きてい（第だい551条じょう）が準用じゅんようされ、その規定きていにしたがって担保たんぽ責任せきにんを負担ふたんする。

対外たいがい的てき関係かんけい[編集へんしゅう]

  • 対抗たいこう力りょく
    使用しよう貸借たいしゃくは第三者だいさんしゃに対たいして対抗たいこう力りょくを持もたない[4]。目的もくてき物ぶつにつき他者たしゃの賃借ちんしゃく権けんと競合きょうごうする場合ばあい、現げんに占有せんゆうしている者もの（占有せんゆうの早はやい方ほう）が優先ゆうせんするが、対抗たいこう要件ようけんを備そなえた賃借ちんしゃく権けんに対たいして使用しよう貸借たいしゃくは劣後れつごする[14]。
  • 妨害ぼうがい排除はいじょ請求せいきゅう
    使用しよう貸借たいしゃくに基もとづく妨害ぼうがい排除はいじょ請求せいきゅうはできないが、借主かりぬしは債権さいけん者しゃ代位だいい権けんの転用てんようにより所有しょゆう者しゃの妨害ぼうがい排除はいじょ請求せいきゅう権けんを行使こうししうる[14]。

使用しよう貸借たいしゃくの終了しゅうりょう[編集へんしゅう]

2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で期間きかん満了まんりょう等とうによる契約けいやくの終了しゅうりょうと解除かいじょに条文じょうぶんが整理せいりされた[1]。

終了しゅうりょう原因げんいん[編集へんしゅう]

以下いかの場合ばあいには使用しよう貸借たいしゃくは終了しゅうりょうするので、借主かりぬしは借用しゃくよう物ぶつを貸主かしぬしに返還へんかんしなければならない。

  • 返還へんかん時期じきの定さだめがある場合ばあい（第だい597条じょう1項こう）
    契約けいやくに定さだめられた返還へんかん時期じきが到来とうらいした場合ばあいには使用しよう貸借たいしゃくは終了しゅうりょうする（第だい597条じょう1項こう）。期限きげんは不ふ確定かくてい期限きげんであってもよい[15]。
  • 返還へんかん時期じきの定さだめのない場合ばあい（第だい597条じょう2項こう）
    返還へんかん時期じきを定さだめなかった場合ばあいでも借主かりぬしが契約けいやくに定さだめた目的もくてきに従したがって借用しゃくよう物ぶつの使用しよう・収益しゅうえきが終おわった場合ばあいには使用しよう貸借たいしゃくは終了しゅうりょうする（第だい597条じょう2項こう）。目的もくてきは個別こべつ具体ぐたい的てきなものでなければならない[15]。
  • 借主かりぬしの死亡しぼう（第だい597条じょう3項こう、旧きゅう第だい599条じょう）
    賃貸借ちんたいしゃくとは異ことなり使用しよう貸借たいしゃくは相続そうぞくの対象たいしょうとはならず借主かりぬしの死亡しぼうにより終了しゅうりょうする（第だい597条じょう3項こう、旧きゅう第だい599条じょう。判例はんれいとして最さい判はん昭あきら32・8・30裁判さいばん集しゅう民みん27巻かん651頁ぺーじ）[16][17]。使用しよう貸借たいしゃくは人的じんてきな信頼しんらい関係かんけいと貸主かしぬしの好意こうい的てき動機どうきを基礎きそとするものであるためとされる（ただし、借主かりぬしが死亡しぼうしても使用しよう貸借たいしゃくを存続そんぞくさせる特約とくやくは認みとめられる）[18][17]。

解除かいじょ[編集へんしゅう]

貸主かしぬしの解除かいじょ[編集へんしゅう]

  • 返還へんかん時期じきの定さだめがなく使用しよう及および収益しゅうえきの目的もくてきの定さだめがある場合ばあい（第だい598条じょう1項こう）
    借主かりぬしが使用しよう・収益しゅうえきをするのに足たりる期間きかんを経過けいかしたとみられる場合ばあい、貸主かしぬしは使用しよう貸借たいしゃく契約けいやくを解除かいじょして返還へんかん請求せいきゅうしうる（第だい598条じょう1項こう、旧きゅう第だい597条じょう2項こう但書ただしがき）。借主かりぬしが現げんに使用しよう収益しゅうえき中ちゅうの場合ばあいが問題もんだいとなるが、諸般しょはんの事情じじょうを考量こうりょうした上うえで判断はんだんすべきとされる（通説つうせつ）[19]。なお、法ほう改正かいせい前まえの旧きゅう第だい597条じょう2項こう但書ただしがきの解釈かいしゃくでは、この条項じょうこうの類推るいすい適用てきようにより当事とうじ者しゃ間あいだの信頼しんらい関係かんけいが破綻はたんしたとみられるときは解約かいやくしうると解ほぐされている[19]（信頼しんらい関係かんけい破壊はかいの法理ほうりも参照さんしょう）。
  • 返還へんかん時期じきの定さだめも使用しよう及および収益しゅうえきの目的もくてきの定さだめもない場合ばあい（第だい598条じょう2項こう）
    当事とうじ者しゃが使用しよう貸借たいしゃくの期間きかん並ならびに使用しよう及および収益しゅうえきの目的もくてきを定さだめなかったときは、貸主かしぬしは、いつでも契約けいやくの解除かいじょをすることができる（第だい598条じょう2項こう、旧きゅう第だい597条じょう3項こう）。

借主かりぬしの解除かいじょ[編集へんしゅう]

借主かりぬしは、いつでも契約けいやくの解除かいじょをすることができる（第だい598条じょう3項こう）。

収おさむ去さ等ひとし[編集へんしゅう]

借主かりぬしは、借用しゃくよう物ぶつを受うけ取とった後のちにこれに附属ふぞくさせた物ものを収おさむ去さすることができる（第だい599条じょう2項こう、旧きゅう第だい598条じょう）。

また、借主かりぬしは、借用しゃくよう物ぶつを受うけ取とった後のちにこれに附属ふぞくさせた物ものがある場合ばあいにおいて、使用しよう貸借たいしゃくが終了しゅうりょうしたときは、その附属ふぞくさせた物ものを収おさむ去さする義務ぎむを負おう（第だい599条じょう1項こう）。2017年ねん改正かいせい前まえの民法みんぽうでは借主かりぬしの収おさむ去さ権けんの規定きていしかなく借主かりぬしの収おさむ去さ義務ぎむは解釈かいしゃくで認みとめられていたが、2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で借主かりぬしの収おさむ去さ義務ぎむが明文化めいぶんかされた[8]。ただし、従来じゅうらいの解釈かいしゃくのとおり借用しゃくよう物ぶつから分離ぶんりすることができない物もの又または分離ぶんりするのに過分かぶんの費用ひようを要ようする物ものについては収おさむ去さ義務ぎむはない（第だい599条じょう1項こうただし書しょ）[1][8]。

借主かりぬしは、借用しゃくよう物ぶつを受うけ取とった後のちにこれに生しょうじた損傷そんしょうがある場合ばあいにおいて、使用しよう貸借たいしゃくが終了しゅうりょうしたときは、その損傷そんしょうを原状げんじょうに復ふくする義務ぎむを負おう。ただし、その損傷そんしょうが借主かりぬしの責ぜめに帰きすることができない事由じゆうによるものであるときは、この限かぎりでない（第だい599条じょう3項こう）。借主かりぬしの原状げんじょう回復かいふく義務ぎむも2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で従来じゅうらいの一般いっぱん的てき解釈かいしゃくが明文化めいぶんかされた[1][8]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h “民法みんぽう（債権さいけん関係かんけい）改正かいせいがリース契約けいやく等とうに及およぼす影響えいきょう” (PDF). 公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじんリース事業じぎょう協会きょうかい. 2020年ねん5月がつ30日にち閲覧えつらん。
  2. ^ 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、109頁ぺーじ
  3. ^ 柚木ゆずき馨かおる・高木たかぎ多喜男たきお編著へんちょ　『新版しんぱん 注釈ちゅうしゃく民法みんぽう〈14〉債権さいけん5』　有斐閣ゆうひかく〈有斐閣ゆうひかくコンメンタール〉、1993年ねん3月がつ、2頁ぺーじ
  4. ^ a b c d 内田うちだ貴たか著ちょ　『民法みんぽうⅡ 第だい3版はん 債権さいけん各論かくろん』　東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱん会かい、2011年ねん2月がつ、174頁ぺーじ
  5. ^ a b 近江おうみ幸治こうじ著ちょ　『民法みんぽう講義こうぎⅤ 契約けいやく法ほう 第だい3版はん』　成文せいぶん堂どう、2006年ねん10月がつ、176頁ぺーじ
  6. ^ a b 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、204頁ぺーじ
  7. ^ 近江おうみ幸治こうじ著ちょ　『民法みんぽう講義こうぎⅤ 契約けいやく法ほう 第だい3版はん』　成文せいぶん堂どう、2006年ねん10月がつ、175頁ぺーじ
  8. ^ a b c d e f “改正かいせい債権さいけん法ほうの要点ようてん解説かいせつ（11）” (PDF). LM法律ほうりつ事務所じむしょ. 2020年ねん3月がつ30日にち閲覧えつらん。
  9. ^ 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、205頁ぺーじ
  10. ^ a b c 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、207頁ぺーじ
  11. ^ a b 内田うちだ貴たか著ちょ　『民法みんぽうⅡ 第だい3版はん 債権さいけん各論かくろん』　東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱん会かい、2011年ねん2月がつ、173頁ぺーじ
  12. ^ 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、206頁ぺーじ
  13. ^ 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、208頁ぺーじ
  14. ^ a b 近江おうみ幸治こうじ著ちょ　『民法みんぽう講義こうぎⅤ 契約けいやく法ほう 第だい3版はん』　成文せいぶん堂どう、2006年ねん10月がつ、178頁ぺーじ
  15. ^ a b 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、209頁ぺーじ
  16. ^ 内田うちだ貴たか著ちょ　『民法みんぽうⅡ 第だい3版はん 債権さいけん各論かくろん』　東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱん会かい、2011年ねん2月がつ、174-175頁ぺーじ
  17. ^ a b 川井かわい健けん著ちょ　『民法みんぽう概論がいろん4 債権さいけん各論かくろん 補ほ訂てい版ばん』　有斐閣ゆうひかく、2010年ねん12月、210頁ぺーじ
  18. ^ 近江おうみ幸治こうじ著ちょ　『民法みんぽう講義こうぎⅤ 契約けいやく法ほう 第だい3版はん』　成文せいぶん堂どう、2006年ねん10月がつ、181頁ぺーじ
  19. ^ a b 近江おうみ幸治こうじ著ちょ　『民法みんぽう講義こうぎⅤ 契約けいやく法ほう 第だい3版はん』　成文せいぶん堂どう、2006年ねん10月がつ、180頁ぺーじ

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