簡易かんいの引渡ひきわたし

簡易かんいの引渡ひきわたし（かんいのひきわたし）は、民法みんぽう上うえの概念がいねん、用語ようごであり、動産どうさんに関かんする物権ぶっけんの譲渡じょうとの対抗たいこう要件ようけんである引渡ひきわたし（引渡）（第だい178条じょう）の一ひとつで、占有せんゆう権けんの譲渡じょうと方法ほうほうである。民法みんぽう第だい182条じょう2項こうに規定きていされている。

概要がいよう

占有せんゆうの移転いてんは、原則げんそくとして現実げんじつの引渡ひきわたし（民法みんぽう第だい182条じょう1項こう）による。しかし、譲受人ゆずりうけにん（直接ちょくせつ占有せんゆう者もの）が現げんにその目的もくてき物ぶつを占有せんゆうしている場合ばあいに、その原則げんそく通どおりに、いったん譲渡じょうと人じん（間接かんせつ占有せんゆう者もの）へ目的もくてき物ぶつを返却へんきゃくし、それから、あらためて譲渡じょうと人じんから譲受人ゆずりうけにんに現実げんじつの引渡ひきわたしをしなければならない、とすると煩雑はんざつである。そこで、こうした場合ばあいには、当事とうじ者しゃの意思いし表示ひょうじのみによって占有せんゆうを移転いてんさせることが認みとめられている（民法みんぽう182条じょう2項こう）。

たとえば、賃借ちんしゃく人じんが、賃借ちんしゃく物ぶつの所有しょゆう権けんを、賃貸ちんたい人じんから譲渡じょうとされるような場合ばあいに、いったん賃貸ちんたい人じんに返還へんかんしてから、あらためて現実げんじつの引渡ひきわたしを受うける必要ひつようはなく、賃貸ちんたい人じんと賃借ちんしゃく人じんの間あいだの合意ごういで足たりることになる。

条文じょうぶん

第だい182条じょう（現実げんじつの引渡ひきわたし及および簡易かんいの引渡ひきわたし）

1. 占有せんゆう権けんの譲渡じょうとは、占有せんゆう物ぶつの引渡ひきわたしによってする。
2. 譲受人ゆずりうけにん又またはその代理人だいりにんが現げんに占有せんゆう物ぶつを所持しょじする場合ばあいには、占有せんゆう権けんの譲渡じょうとは、当事とうじ者しゃの意思いし表示ひょうじのみによってすることができる。

関連かんれん項目こうもく

• 占有せんゆう権けん
• 占有せんゆう改定かいてい（第だい183条じょう）
• 指図さしずによる占有せんゆう移転いてん（第だい184条じょう）