(Translated by https://www.hiragana.jp/)
共形場理論 - Wikipedia コンテンツにスキップ

きょうかたちじょう理論りろん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

きょうかたちじょう理論りろん(きょうけいばりろん、Conformal Field Theory, CFT)とは、きょうかたち変換へんかんたいして作用さよう不変ふへん理論りろんである。とくに、1+1次元じげんけいでは複素ふくそ平面へいめんをはじめとするリーマンめんうえでの理論りろんとして記述きじゅつされる。

きょうかたち変換へんかんたいする不変ふへんせいウォード=高橋たかはしひさし等式とうしき要請ようせいし、これをもとにエネルギー-運動うんどうりょうテンソル(あるいはストレステンソル)にかんする保存ほぞんりょう導出みちびきだされる。また1+1次元じげんけいにおいては、エネルギー-運動うんどうりょうテンソルを展開てんかいしたものは、Virasoro代数だいすうばれる無限むげん次元じげんリー代数だいすうをなし、理論りろん中心ちゅうしんてき役割やくわりたす。

きょうかたち変換へんかんぐんは、時空じくうあいだ対称たいしょうせいであるポアンカレぐん自然しぜん拡張かくちょうになっており、空間くうかんd-1次元じげん時間じかん1次元じげんのd次元じげん時空じくうあいだではリーぐんSO(d,2)で記述きじゅつされる。この変換へんかんぐん生成せいせいは(d+2)(d+1)/2あり、その内訳うちわけ以下いかのとおり。

  • d(d-1)/2: 空間くうかん d-1 + 時間じかん 1次元じげん空間くうかんのローレンツ変換へんかん
  • d: d次元じげん空間くうかん並進へいしん+時間じかん推進すいしん

以上いじょうが、部分ぶぶんぐんとしてのポアンカレぐん生成せいせいをなす。 スケール普遍ふへんせい定義ていぎより以下いか変換へんかん(ディラテーション)を示唆しさする。

  • 1: スケール変換へんかん計量けいりょう目盛めもりの変更へんこう

さらにつよく、きょうかたち不変ふへんせい要求ようきゅうすると

  • d: d次元じげん時空じくう特殊とくしゅどもがた変換へんかん反転はんてん×平行へいこう移動いどう×反転はんてん

くわわる。この代数だいすうSO(d,2)をきょう形代かたしろすう(conformal algebra)とぶ。

理論りろん基本きほんてき観測かんそくりょうである相関そうかん関数かんすう(演算えんざんせき真空しんくう期待きたい)はきょう形代かたしろすうによってつよ制限せいげんける。とくにユニタリなきょうかたちじょう理論りろんにおいては、たとえばスカラー演算えんざんてん関数かんすうさだまってしまう。ここで、演算えんざん のスケーリング次元じげんばれる(理論りろん依存いぞんの)パラメータである。

2次元じげんどもかたちじょう理論りろん[編集へんしゅう]

2次元じげんどもかたちじょう理論りろん歴史れきしてきには1984ねんにBelavin、ポリャコフ、Zamolodchikov(BPZ)によってはじめて定式ていしきされた[1]。2次元じげんどもかたちじょう理論りろん言及げんきゅうするのはつぎのような場合ばあいである。

一般いっぱんに(2+1次元じげん以上いじょう時空じくうでは)きょうかたち変換へんかんぐん有限ゆうげん生成せいせいからなる有限ゆうげん次元じげんリーぐんである。しかし、空間くうかん1次元じげん時間じかん1次元じげん(d=2)の2次元じげんどもかたちじょう理論りろん場合ばあいかぎり、きょうかたち変換へんかんぐんSO(2,2)は正則せいそく関数かんすう等角とうかく写像しゃぞう変換へんかんぐん無限むげん次元じげんリーぐん)に拡張かくちょうされる。この場合ばあいともがた変換へんかんぐんSO(2,2)は無限むげん生成せいせいからなる代数だいすう(ヴィラソロ代数だいすう)の部分ぶぶん代数だいすうとなる。ヴィラソロ代数だいすうからられるヒルベルト空間くうかんたいする制限せいげん強力きょうりょくであり、ミニマル模型もけいばれる模型もけいぐんたいしては、(これには臨界りんかいてんじょうの2次元じげんイジング模型もけいふくまれる)すべての相関そうかん関数かんすういをヴィラソロ代数だいすうとウォード=高橋たかはし恒等こうとうしきから厳密げんみつもとめることができる(かいである)。かいである2次元じげんどもかたちじょう理論りろんは、2次元じげん統計とうけいけいあるいは1+1次元じげん量子りょうしけい理解りかいするじょう強力きょうりょく武器ぶきとなっている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Belavin, A. A.; Polyakov, A. M.; Zamolodchikov, A. B. (1984). “Infinite conformal symmetry in two-dimensional quantum field theory”. Nuclear Physics B 241 (2): 333-380. doi:10.1016/0550-3213(84)90052-X. 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Di Francesco; Mathieu, Sénéchal (1997). Conformal field theory. Graduate texts in contemporary physics. Springer. ISBN 9780387947853 
  • Paul Ginsparg, Applied Conformal Field Theory. arXiv:hep-th/9108028.
  • 川上かわかみ則雄のりおりょう成吉せいきち:「きょうかたちじょう理論りろんと1次元じげん量子りょうしけい」、岩波書店いわなみしょてんISBN 4-00-007411-3(1997ねん11月25にち)。
  • 山田やまだ 泰彦やすひこ:「きょうかたちじょう理論りろん入門にゅうもん」、培風館ばいふうかんISBN 978-4563006617(2006/01)。
  • 伊藤いとう克司かつし: 臨時りんじ別冊べっさつ数理すうり科学かがくSGC-83「きょうかたちじょう理論りろん」、サイエンスしゃ(2011/06/25)。
  • 江口えぐち とおる, 菅原すがわら 祐二ゆうじ:「きょうかたちじょう理論りろん」、岩波書店いわなみしょてんISBN 978-4000052498(2015/9/18)。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]