内在 秩序 と外在 秩序
内包 された秩序 においては、時間 と空間 は、異 なる要素 どうしの関係 における依存 性 、独立 性 を決定 するのに主 な役割 を果 たさない。むしろ、時空 とは全 く別 のレベルで基本 関係 を結 ぶ要素 が可能 となる。内在 秩序 においては、通常 の時間 と空間 の概念 および、時空 的 に互 いに独立 して存在 する粒子 という通常 の概念 は、より深 い秩序 から抽象 される概念 として捉 えなおされる。時間 ・空間 などの通常 の概念 は内在 秩序 の全体 性 から特別 で固有 な形 として「外在 化 」もしくは「展開 された」秩序 において成立 する概念 となる[1]。
概要 [編集 ]
定式 化 のための取 り組 み[編集 ]
デヴィット・ボームとその
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド の「
一瞬 一瞬 のこの時間 は、内在 秩序 の射影 であると考 えるのである。"射影 "という言葉 は好 ましい言葉 である。というのも、一般 的 な意味 としても妥当 であるし、数学 的 な意味 としての射影 もまた、量子 論 において内在 秩序 を考 えるにあたって必要 な概念 だからである。
ボームは
私 の姿勢 として、量子 論 の数学 的 定式 化 において重点 を置 くのは、粒子 や場 などの振 る舞 いではなく、内在 された前 空間 の基本 的 構造 及 び、時空 などの基本 概念 がそこからどのように外在 化 されるかについてである(これは相対性理論 でのある意味 の延長 である。相対性理論 では、時空 の幾何 学 的 性質 の定式 化 に重点 が置 かれており、粒子 などの振 る舞 いは時空 の幾何 学 的 性質 にすべて埋 め込 まれている)。
意識 と物質 の共通 の基盤 [編集 ]
物質 についての考察 と同様 に、意識 についてもどのように外在 秩序 が現 れるかについて問 わなければならない。意識 の内容 は本質 的 に記憶 に基 いている。そしてこの記憶 が意識 の内容 をある程度 定常 な形 に保 っているのである。もちろん、定常 性 を保 つためにはそれらの内容 が、比較的 固定 された連想 によってだけでなく、論理 、時間 ・空間 ・因果律 ・普遍 性 などの範疇 によってによっても組織 されていなければならない。...再帰 的 で安定 かつ独立 性 をもった特徴 を、一時 的 で常 に変化 する経験 の流 れに対 して当 てはめる強力 な基盤 が出来上 がるのである。これによって経験 は比較的 静的 で分割 された記憶 の要素 によって再 構成 され、それが一瞬 のイメージとして見 られるようになるのである[5]。
ボームはまた
記憶 は内在 ・外在 化 の過程 の特別 なケースである。記憶 は物質 として脳 の各 細胞 に内包 されている。再帰 性 と安定 性 をもつ比較的 独立 した全体 の一部 としての記憶 は、一般 の物質 の再帰 性 と安定 性 が維持 される過程 と全 くおなじ過程 で維持 されるのである。つまり意識 において外在 化 される秩序 は物質 において外在 化 される秩序 とまったく異 なるものではないのである。
アナロジー[編集 ]
インク液 滴 によるアナロジー[編集 ]
ボームは「
ボームはまた
ホログラムと内在 秩序 [編集 ]
ボームはホログラムを
ここに
秩序 についての新 たな考 え方 の芽 を見 ることができる。この秩序 は物 の並 びによっても事象 の起 こる順番 によっても理解 することができない。むしろ全体 の秩序 は時間 と空間 の各 領域 に内在 的 な形 で含 まれているのである。ここで「内在 的 Implicit」とは「内包 する inplicate : enfold inwardly」という言葉 に基 いている。ホログラムの感光 フィルムの各 領域 には像 全体 の構造 が「内包 されている」のである[6]。
芸術 と内在 秩序 [編集 ]
『
一般 に浸透 した考 えとの対比 [編集 ]
現象 は粒子 などの静的 な要素 の振 る舞 いについての基本 法則 により説明 される。人類 の知識 は本質 的 に粒子 の振 る舞 いについての数学 的 な予測 に基 づいている。思考 と現実 の持続 的 な区別 が可能 である。また観察 者 と観察 される対象 についての持続 的 な区別 が可能 である。
ボームの
この
新 しい洞察 を名付 けるとすれば「流動 する不可分 の全体 性 」となるだろうか。この見地 では「流 れ」は流 れの中 に生滅 する「もの」よりも根源 的 なものとして捉 えられる。流 れの中 にできる渦 は比較的 安定 した構造 を持 つが、渦 が全体 の流 れとはっきりと区別 された境界 を持 つとは言 えず、全体 と不可分 なものなのである。
ボームによれば、
量子 論 と相対性理論 [編集 ]
ボームが
...
相対性理論 においては、運動 は連続 的 であり、因果律 に従 い、よく定義 されている。しかしながら、量子 論 においては、不連続 で、因果律 に従 わず、またよく定義 されていない。どちらの理論 もそれ自身 の持 つ静的 で断片 的 な実在 (相対性理論 では、お互 いに信号 をやり取 りできる独立 した事象 、量子 論 では明確 に定義 された量子 状態 )によって記述 の形式 が制限 されているのである。このため、それらの基本 的 な構成 要素 を捨 て去 りながら、両者 の基本 的 特徴 を兼 ね備 え得 るものが新 しい理論 の形 として浮 かび上 がるのである。この新 しい理論 においては旧 理論 の特徴 は不可分 の全体 に内在 するより深 い秩序 から派生 するのである。
隠 れた変数 理論 [編集 ]
「
ここで
重要 なのは、この提案 の以前 までは、隠 れた変数 理論 は全 く有 り得 ないという印象 が広 まっていたことである。例 え概念 上 もしくは仮想 的 なものであれ、隠 れた変数 理論 は量子 論 と相容 れないと思 われていたのである。
Bohm 1980, p. 110 はまたこのように
隠 れた変数 理論 が可能 であることを示 したのは、ある特定 の理論 がどれだけ広範囲 において成 り立 つものであろうが、その理論 のもつ特定 の特徴 もまた一般 的 に成 り立 つと考 える理由 は無 いという、どちらかと言 えば思想 的 な意味合 いを持 つのである。
参照 [編集 ]
脚注 [編集 ]
- ^ a b Bohm 1980, p. xv
- ^ F. A. M. Frescura, B. J. Hiley: Algebras, quantum theory and pre-space, pp. 3–4 (published in Revista Brasileira de Fisica, Volume Especial, Julho 1984, Os 70 anos de Mario Schonberg, pp. 49–86)
- ^ David Bohm: Time, the implicate order, and pre-space, In: David R. Griffin: Physics and the Ultimate Significance of Time, State University of New York Press, 1986, ISBN 0-88706-113-3, pp. 177–208, p. 183
- ^ David Bohm: Time, the implicate order, and pre-space, In: David R. Griffin: Physics and the Ultimate Significance of Time, State University of New York Press, 1986, ISBN 0-88706-113-3, pp. 177–208, pp. 192–193
- ^ Bohm 1980, p. 205
- ^ Bohm 1980, p. 149
参考 文献 [編集 ]
- Bohm, David (1980), Wholeness and the Implicate Order, London: Routledge, ISBN 0-7100-0971-2
- Bohm, David; Hiley, B. J. (1993), The Undivided Universe, London: Routledge, ISBN 0-415-06588-7
- Kauffman, S. (1995). At Home in the Universe. New York: Oxford University Press. hardcover: ISBN 0-19-509599-5, paperback ISBN 0-19-511130-3
- Kauffman, S. (2000). Investigations. New York: Oxford University Press.
- Kuhn, T.S. (1961). The function of measurement in modern physical science. ISIS, 52, 161–193.
- Schopenhauer, A. (1819/1995) (1995),
意志 と表象 としての世界 , London: Everyman, ISBN 0-460-87505-1 - Michael Talbot. The Holographic Universe, Harpercollins (1991)
- Paavo Pylkkänen. Cognition, the implicate order and rainforest realism, Futura, vol. 31, no. 2/2012, pp. 74–83.
関連 項目 [編集 ]
外部 リンク[編集 ]
- The David Bohm Society
- Interview with David Bohm – An interview with Bohm concerning this particular subject matter conducted by F. David Peat.
- Excerpt from The Holographic Universe – Parallels some of the experiences of 18th century Swedish mystic, Emanuel Swedenborg, with David Bohm's ideas.
- Thought Knowledge Perception Institute Implicate Order Page