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分離ぶんりちょう平面へいめん定理ていり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
分離ぶんりちょう平面へいめん定理ていり概略がいりゃく

分離ぶんりちょう平面へいめん定理ていり(ぶんりちょうへいめんていり、えい: separating hyperplane theorem, hyperplane separation theorem)は n 次元じげんユークリッド空間くうかんうえたがいにもととつ集合しゅうごうかんする幾何きかがくにおける 2 つの定理ていりす。

ひと定理ていりは、たがいにとつ集合しゅうごう両方りょうほう集合しゅうごうであってかつすくなくともいずれか 1 つのとつ集合しゅうごうコンパクト集合しゅうごうである場合ばあい、2 つの閉凸集合しゅうごうあいだに 1 つのちょう平面へいめん存在そんざいでき、また閉凸集合しゅうごうあいだに 2 つの平行へいこうちょう平面へいめん隙間すきまつくってくことができることをしめす。

ふた定理ていりは、たがいにとつ集合しゅうごうがあり両者りょうしゃひらけ集合しゅうごうである場合ばあい、2 つのひらきとつ集合しゅうごうあいだに 1 つのちょう平面へいめんをはさむことができるが、2 つのひらきとつ集合しゅうごうあいだにはかならずしも隙間すきま存在そんざいするわけではないことをしめす(したがってだいいち定理ていりことなり、複数ふくすうちょう平面へいめんかさねずにはさむことができない状況じょうきょう存在そんざいする)。

分離ぶんりちょう平面へいめんたいして直交ちょっこうするじく分離ぶんりじく (separating axis)ぶ。これは、2 つのとつたい英語えいごばん分離ぶんりじくへの直交ちょっこう写像しゃぞうたがいにであることによる。

分離ぶんりちょう平面へいめん定理ていりヘルマン・ミンコフスキー寄与きよによって発見はっけんされた。ハーン=バナッハの分離ぶんり定理ていりはミンコフスキーの結果けっか線型せんけい位相いそう空間くうかん一般いっぱんしたものである。

関連かんれんする結果けっかとして支持しじちょう平面へいめん定理ていり英語えいごばんがある。マージン最大さいだいちょう平面へいめん (maximum-margin hyperplane)空間くうかんじょうにあるてんあつまりを 2 つのクラスタに分離ぶんりするちょう平面へいめんなかで、両者りょうしゃのクラスタからの距離きょりひとしいようなものである。このとき、それぞれのクラスタと分離ぶんりちょう平面へいめんあいだマージン最大さいだいされる。この事実じじつサポートベクターマシンなどに応用おうようされる。

ステートメントと証明しょうめい

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分離ぶんりちょう平面へいめん定理ていり[1] ― AB をそれぞれ Rnたがいにもとそらでないとつ部分ぶぶん集合しゅうごうであるとする。そのような集合しゅうごうについて、すべての Aもと xABもと yBくみたいして

たすれいでないベクトル v実数じっすう c存在そんざいする。つまり、v法線ほうせんベクトルとするちょう平面へいめん 〈·, v〉 = c によって AB分離ぶんりできる。

証明しょうめい以下いか補題ほだいもとづく:

補題ほだい ― KRnそらでない閉凸部分ぶぶん集合しゅうごうとする。集合しゅうごう K について、K うえ最小さいしょうノルムつベクトルが一意いちい存在そんざいする。

補題ほだい証明しょうめい

K うえのベクトル x のノルムの下限かげんδでるた = inf{|x| | xK} とする。|xj| → δでるた となるような K うえ数列すうれつ xj について、Kとつせいより |xi + xj|/2 ∈ Kつ。また、

であることから

られる。上記じょうき関係かんけいについて極限きょくげんれば右辺うへんは 0 となり、したがって

たす。すなわち xiコーシーれつであり、Kは完備かんびであるからその極限きょくげんKふくまれるので、δでるた はベクトル xK最小さいしょうノルムとなる。最小さいしょうノルムをつベクトルの一意いちいせいについて、ベクトル yK最小さいしょうノルム δでるたつならば、

となるから x = y である。□

定理ていり証明しょうめい

たがいにそらでないとつ集合しゅうごう A, Bあたえられるとして、つぎのようなミンコフスキー英語えいごばんかんがえる。

Bとつなので B もまたとつである。ABの(したがって B の)とつせいから上記じょうきのミンコフスキー Kとつである。

K閉包へいほう Kとつなので、さきしめした補題ほだいより K について最小さいしょうノルムをつベクトル v一意いちいさだまる。Kとつせいから、任意にんいのベクトル uK について、線分せんぶん

うえてんはすべて Kふくまれるため、閉包へいほう K のベクトルのノルムについて以下いか関係かんけいつ。

この関係かんけいよりただちにつぎ結果けっかられる:

さらに、t について t → 0極限きょくげんれば上記じょうき関係かんけい

えられる。したがって、任意にんいxA および yB について、

つ。

ベクトル vれいベクトルでないならば、この関係かんけいより

証明しょうめいわる。

反例はんれい一意いちいせい

定理ていり適用てきようできないケース一方いっぽう(または両方りょうほう)の集合しゅうごうとつでない

A または B一方いっぽうとつ集合しゅうごうでない場合ばあい、「分離ぶんり定理ていり」にたいしては様々さまざま反例はんれいげられる。たとえば AB同心円どうしんえんじょうにとることができる。

より微妙びみょう反例はんれいとして、AB両方りょうほうが閉凸集合しゅうごうだがいずれもコンパクトでない場合ばあいげられる。れいとして、A が閉半平面へいめんB双曲線そうきょくせんぶんえだ一方いっぽうであるとすれば、この場合ばあいには分離ぶんりちょう平面へいめん厳密げんみつには存在そんざいしない(しかしながら、ひらきとつ集合しゅうごうかんする分離ぶんり定理ていりがあるために A および B内部ないぶ分離ぶんりするちょう平面へいめんが 1 つ存在そんざいする):

のタイプの反例はんれいとして A がコンパクトな閉凸集合しゅうごうであり Bひらけとつ集合しゅうごうである場合ばあいがある。たとえば、A正方形せいほうけいの閉集合しゅうごうB正方形せいほうけいひらき集合しゅうごうとして ABせっしている状況じょうきょうがこれにてはまる。

閉凸集合しゅうごうかんする分離ぶんり定理ていりでは分離ぶんりちょう平面へいめん一意いちいめることができないことはあきらかである。ひらき集合しゅうごうバージョンの分離ぶんり定理ていりでは、ちょう平面へいめん一意いちいさだまる場合ばあいもあるしそうでない場合ばあいもありる。技術ぎじゅつてきなことだがこれらのことは分離ぶんりじくについていいかえられる。閉凸集合しゅうごう分離ぶんり定理ていりでは分離ぶんりじく一意いちいめられないが、ひらきとつ集合しゅうごう分離ぶんり定理ていりでは分離ぶんりじく一意いちい決定けっていできる。

衝突しょうとつ判定はんていへの応用おうよう

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Boyd & Vandenberghe 2004, Exercise 2.22..

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Boyd, Stephen P.; Vandenberghe, Lieven (2004) (pdf). Convex Optimization. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-83378-3. http://www.stanford.edu/~boyd/cvxbook/bv_cvxbook.pdf 
  • Golshtein, E. G.; Tretyakov, N.V. (1996). Modified Lagrangians and monotone maps in optimization. New York: Wiley. p. 6. ISBN 0-471-54821-9 
  • Shimizu, Kiyotaka; Ishizuka, Yo; Bard, Jonathan F. (1997). Nondifferentiable and two-level mathematical programming. Boston: Kluwer Academic Publishers. p. 19. ISBN 0-7923-9821-1 

外部がいぶリンク

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