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どう形容詞けいようし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

どう形容詞けいようし(どうけいようし、ラテン語らてんご: gerundivum ゲルンディーウム)は、じゅん動詞どうし一種いっしゅである。通常つうじょうラテン語らてんご文法ぶんぽうもちいられる。

ラテン語らてんご

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ラテン語らてんごどう形容詞けいようしは、動詞どうしから派生はせいした形容詞けいようしで、しばしば「……されるべき」という意味いみあらわす。このため未来みらい受動じゅどう分詞ぶんしともばれる。

形態けいたいじょう男性だんせい単数たんすう主格しゅかくが -ndus でわり、だいいちだい変化へんか形容詞けいようしとして変化へんかする。れい: amandus(< amo、あいされるべき)

いくつかのどう形容詞けいようしは、意味いみ変化へんかしている。たとえば、「つぎの、だいの」という意味いみの secundus や、「……に沿って」を意味いみする前置詞ぜんちし secundum は、sequor(う、したがう)のふるどう形容詞けいようし由来ゆらいする[1](ただし、古典こてんラテン語らてんごでは sequor のどう形容詞けいようしは sequendus)。

近代きんだい西洋せいようには、ラテン語らてんごどう形容詞けいようし由来ゆらいするかたりおお存在そんざいする。英語えいごについてえば、

  • addendum - addo(くわえる)のどう形容詞けいようし中性ちゅうせいくわえられるべきもの
  • agenda - ago(みちびく、おこなう)のどう形容詞けいようし中性ちゅうせい複数ふくすうおこなわれるべきものども)
  • legend - lego(む)のどう形容詞けいようし女性じょせいまれるべき)legendaがフランス語ふらんすごlegendeを経由けいゆして借用しゃくようされたもの。はじめはせい人伝ひとづて意味いみ使つかわれた(黄金おうごん伝説でんせつ参照さんしょう[2]
  • memorandum - memoro(おもさせる)のどう形容詞けいようし中性ちゅうせいおもすべきこと

などがある。

形態けいたいじょうラテン語らてんごどう名詞めいしラテン語らてんご: gerundium)はどう形容詞けいようしおながたをしているが、不定ふていおぎな目的もくてき使つかわれ、ラテン語らてんごではどう名詞めいしはあまり使つかわれず、かわりにどう形容詞けいようし使つかって表現ひょうげんすることをこのんだ。たとえば、「spatium ad cogitandum res」(物事ものごとかんがえるためのいとま)のようなどう名詞めいしのかわりに、「spatium ad res cogitandas」(かんがえられるべき物事ものごとのためのいとま)のようにどう形容詞けいようし使つかって表現ひょうげんした[3]

ロマンス

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ロマンス諸語しょごでもラテン語らてんごどう形容詞けいようし(またはどう名詞めいし)はのこっており、gerundivum に由来ゆらいするかたりばれることもおおいが、ラテン語らてんごとはちがって変化へんかになっており、その用法ようほうことなる。ロマンス諸語しょごではラテン語らてんご分詞ぶんし由来ゆらいするかたちどう形容詞けいようしってかわられる傾向けいこうにあり、たとえばフランス語ふらんすごでは現在げんざい分詞ぶんしどう形容詞けいようし同形どうけいになった。現代げんだいフランス語ふらんすご文法ぶんぽうジェロンディフgérondif)とぶのは、その特別とくべつ用法ようほう(en をともなって副詞ふくしぶしつくる)のみをす。スペインポルトガルでは本来ほんらい現在げんざい分詞ぶんし消滅しょうめつラテン語らてんご現在げんざい分詞ぶんし由来ゆらいするものは独立どくりつした形容詞けいようし名詞めいしとされる[4]イタリアには現在げんざい分詞ぶんしのこっているものの、現在げんざい分詞ぶんしてき機能きのうおおジェルンディオによってあらわされる。

ロマンス諸語しょごおおくでは、コピュラなどの補助ほじょ動詞どうしどう形容詞けいようしみあわせることで進行しんこうがたつくることができる。

サンスクリット

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サンスクリットにも、ラテン語らてんごた「……されるべき」を意味いみするかたちがあり、どう形容詞けいようしばれることがある[5]形態けいたいてきには -ya, -tavya, -anīya などの接尾せつびくわえる。

れい[6]:

  • √kr̥現在げんざいかたち karoti「する、つくる」)のどう形容詞けいようし kārya「されるべき、つくられるべき」。中性ちゅうせい名詞めいしとしては「義務ぎむ
  • √gai現在げんざいかたち gāyatiうたう」)のどう形容詞けいようし geyaうたわれるべき」。中性ちゅうせい名詞めいしとしては「うた

リトアニア

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リトアニアにはラテン語らてんごどう形容詞けいようし類似るいじした必要ひつよう分詞ぶんしリトアニア: reikiamybės dalyvis)が存在そんざいする。動詞どうし語幹ごかんに-tinas(男性だんせい場合ばあい)を接続せつぞくしてつくされ、-as語尾ごび形容詞けいようし同様どうようかく変化へんかする。

れい:

  • keistiえる〉 → keistinasえられるべき〉

なお、これとはべつ未来みらい受動じゅどう分詞ぶんし存在そんざいする。おおくの場合ばあい動詞どうし語幹ごかんに-simasを接続せつぞくして生成せいせいする。

れい:

  • darytiす〉 → darysimasされるであろう〉

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Palmer (1954) pp.260, 281
  2. ^ “legend”. The American Heritage Dictionary of the English Language (4th ed.). Houghton Mifflin Company. (2000). p. 1000. ISBN 0395825172 
  3. ^ 泉井いずみい (1952) p.224
  4. ^ 高橋たかはし (1958) では巻末かんまつ動詞どうし活用かつようひょうにおいて能動のうどう分詞ぶんしとして記載きさいしている
  5. ^ つじ (1974) では動詞どうしてき形容詞けいようし
  6. ^ つじ (1974) p.303

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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