卑金属ひきんぞく

卑金属ひきんぞく（ひきんぞく、base metal）は、空気くうき中ちゅうに放置ほうちするときに酸化さんかしやすく、水分すいぶんや二酸化炭素にさんかたんそなどによって容易よういに侵食しんしょくされる金属きんぞくのこと。｢ベースメタル」｢コモンメタル」などの別名べつめいがある。また、同音どうおんの非金属ひきんぞくとは意味いみが異ことなる。一般いっぱん的てきには貴金属ききんぞくが対義語たいぎごとされている。

語源ごげん

卑金属ひきんぞくの名称めいしょうは、卑金属ひきんぞくがイオン化いおんかしやすく、イオン化いおんか傾向けいこうが高たかいという特徴とくちょうから来きている。

また、その名前なまえは大量たいりょうに産出さんしゅつする安やすい金属きんぞくということから来きているとするものもある。

定義ていぎ

卑金属ひきんぞくという言葉ことばは古来こらい、金かねと銀ぎん以外いがいの金属きんぞく全般ぜんぱんを指さしていた。しかし、現在げんざいは他たの定義ていぎも存在そんざいしている。

化学かがく

化学かがくの世界せかいでは、卑金属ひきんぞくは空気くうき中ちゅうで熱ねっしたりすると容易よういに酸化さんかされる金属きんぞくを指さす。この定義ていぎの場合ばあい、アルカリ金属きんぞく、アルカリ土ど類るい金属きんぞく、アルミニウム、亜鉛あえんなどがこれに属ぞくする。

貿易ぼうえき

貿易ぼうえき分野ぶんやにおいては、貴金属ききんぞくか卑金属ひきんぞくかの是非ぜひによって関税かんぜいにも影響えいきょうが出でるため、明確めいかくな基準きじゅんとして、鉄てつ、銅どう、ニッケル、アルミニウム、鉛なまり、亜鉛あえん、すず、タングステン、モリブデン、タンタル、マグネシウム、コバルト、ビスマス、カドミウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、マンガン、ベリリウム、クロム、ゲルマニウム、バナジウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、ニオブ、レニウム、タリウムの28の元素げんそのことだと定義ていぎされている。この際さい、銅どうは貿易ぼうえき上じょうでは卑金属ひきんぞくだが、化学かがく的てきに見みると貴金属ききんぞくに分類ぶんるいされる。

活用かつよう

• アルミニウムは卑金属ひきんぞくの中なかでも最もっとも軽かるい元素げんそで、航空機こうくうきや自動車じどうしゃの製造せいぞうに不可欠ふかけつとなっている。
• 銅どうは高たかい電気でんき伝導でんどう率りつと可か鍛きたえ性せいから配管はいかんや電気でんき配線はいせんに使つかわれる最もっとも一般いっぱん的てきな金属きんぞくとなっている。
• 亜鉛あえんは空気くうきにさらしても腐食ふしょくしないため、鋼鉄こうてつの亜鉛あえんめっきコーティングに使用しようされている。

日本にっぽんの卑金属ひきんぞく

産出さんしゅつ量りょうが少すくなかったり、環境かんきょう問題もんだいなどから生産せいさんコストが見合みあわなかったりするため、日本にっぽんは国内こくないで消費しょうひされる卑金属ひきんぞくのほぼ100%を輸入ゆにゅうに頼たよっている。