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はんとべばくだん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
実際じっさい作戦さくせん使つかわれたはんとべばくだんダックスフォード王立おうりつ戦争せんそう博物館はくぶつかんにて。

はんとべばくだん(はんちょうばくだん)は、航空機こうくうきから投下とうかされ水面すいめんねるようにすすばくだんこと

概要がいよう

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はんとべばくだん(Bouncing bomb)は、爆雷ばくらい(Depth charge)の一種いっしゅで、だい世界せかい大戦たいせんなかヴィッカース・アームストロング(英国えいこくサリー、ブルックランド)のバーンズ・ウォリス博士はかせ考案こうあんしたばくだんである。水切みずきのように、ばくだん水面すいめんねることで、たか命中めいちゅうりつ維持いじしながら射程しゃてい延伸えんしんし、魚雷ぎょらい防御ぼうぎょもうえて水中すいちゅう爆発ばくはつする。はんとべばくだん使つかわずに、遅延ちえん信管しんかん使用しようして通常つうじょうばくだん水切みずきのようにばくだん投下とうかするばくげき方法ほうほうはんとべ爆撃ばくげきあるいはとべ爆撃ばくげき(Skip bombing)とび、太平洋たいへいようにおいて連合れんごうぐん日本にっぽんぐんによってもちいられた。 ランカスター搭載とうさいされ、ダムを破壊はかいするアップキープ(Upkeep)ばくだんモスキート搭載とうさいされてたいかん攻撃こうげきよう設計せっけいされたハイボール(Highball)ばくだんがある。アップキープばくだんは、だい大戦たいせんちゅうに、イギリス空軍くうぐんだい617中隊ちゅうたいによってルール工業こうぎょう地帯ちたいダム攻撃こうげき使用しようされた。

開発かいはつ経緯けいい

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19世紀せいき英国えいこく海軍かいぐんは、砲弾ほうだん水面すいめん跳躍ちょうやくすることで射程しゃていびることを港湾こうわん防御ぼうぎょようほうなどに利用りようしていた。また、フランスの要塞ようさいおさむじょう名手めいしゅヴォーバンとべ射撃しゃげき活用かつようしていた。1941ねんバーンズ・ウォリスは、これらにヒントをはんとべばくだんおもいつき、1942ねん4がつ、「球体きゅうたいばくだん水面すいめん魚雷ぎょらい(Spherical Bomb-Surface Torpedo)」という論文ろんぶん発表はっぴょうした。

たいかんばくだん(ハイボールばくだん)

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最初さいしょ考案こうあんされたはんとべばくだんは、戦艦せんかん攻撃こうげきようのコードネーム・ハイボール(Highball)であった。ばくだんをよりとおくで投下とうかすることを可能かのうとし、魚雷ぎょらい防御ぼうぎょもうえて、脆弱ぜいじゃく喫水線きっすいせん爆発ばくはつさせることができた。また、通常つうじょう魚雷ぎょらいよりもおおくの炸薬さくやく装填そうてん可能かのうなことも長所ちょうしょであった。ハイボールばくだんは、球形きゅうけいで、ゴルフボールのようなくぼみがあった。ハイボールばくだんは、モスキートに2はつ搭載とうさい可能かのうであった。

たいダム攻撃こうげきようばくだん(アップキープばくだん)

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イギリス空軍くうぐんは、だい大戦たいせんまえから、ドイツの水力すいりょく発電はつでんダムの重要じゅうようせい認識にんしきしていたが、これを破壊はかいするためには大量たいりょう爆薬ばくやくたか命中めいちゅう精度せいど必要ひつようになると見積みつもっていた。魚雷ぎょらい攻撃こうげきについては、ドイツがダム上流じょうりゅう魚雷ぎょらい防御ぼうぎょもう設置せっちしていたため、効果こうかがないと判断はんだんされていた。バーンズ・ウォリスは、はんとべばくだん使用しようすることで、このようなダムを破壊はかいできるのではないかとかんがえた。

1943ねんはじめ、バーンズ・ウォリスは、「ダムにたいする爆撃ばくげき(Air Attack on Dams)」とだいする報告ほうこく完成かんせいした。

はんとべばくだんによるばくげき

空軍くうぐんはこのばくだん早急そうきゅう必要ひつようとしていたため、完成かんせいしたヴィッカーズ・タイプ464、コードネーム・アップキープ(Upkeep)ばくだんはバーンズ・ウォリスが当初とうしょ考案こうあんしたものとはことなっていた。正式せいしき名称めいしょう「Upkeep store」とばれるこのばくだんは、ばくだん重量じゅうりょう4,200kg(9,250lb)(トーペックス炸薬さくやくりょう3,000kg(6,600lb))で、水面すいめんでの爆発ばくはつ効果こうかてきであった。ばくだん形状けいじょうは、ながさ152cm(60インチ)、直径ちょっけい142cm(56インチ)の円筒えんとうじょうで、投下とうかまえまいぶん500回転かいてんのバックスピンがかけられた。高速こうそく回転かいてんするばくだんを、速度そくど386〜402km/h(240-250mph)、距離きょり365〜457m(400-500ヤード)で高度こうど18m(60フィート)というちょうてい高度こうどから投下とうかすることで、ばくだん水面すいめんねながら魚雷ぎょらい防御ぼうぎょもうえてダム手前てまえ到達とうたつする。正確せいかく高度こうど維持いじするために、スポットライトを利用りようした。ダム手前てまえ水没すいぼつしたばくだんは、水圧すいあつ感応かんおうがた信管しんかんによって水深すいしん9.1m(30フィート)で爆発ばくはつするようになっていた。水圧すいあつ感応かんおうがた信管しんかん作動さどうしなかった場合ばあいそなえて、化学かがくしき時限じげん信管しんかんけられていた。

魚雷ぎょらい防御ぼうぎょもうえてのダム爆撃ばくげき

アップキープばくだんは、1943ねん5がつチャスタイズ作戦さくせんだい617飛行ひこう中隊ちゅうたいによって使用しようされ、ドイツ工業こうぎょう地帯ちたいのダムを2カ所かしょ破壊はかい、4カ所かしょ被害ひがいあたえた。指揮しきかんガイ・ギブソン中佐ちゅうさはこのこうにより、ヴィクトリアじゅうあきら授与じゅよされた。

チャスタイズ作戦さくせんのメーネ・ダム

評価ひょうか

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チャスタイズ作戦さくせん成功せいこうしたものの、19ちゅう8帰還きかんとなった。以後いごアップキープばくだん使用しようされることはなかった。一方いっぽう、ハイボールばくだんだい618飛行ひこう中隊ちゅうたいのモスキートによってドイツ戦艦せんかんティルピッツ攻撃こうげき使用しようされることになっていた(サーバント作戦さくせん)が、作戦さくせん中止ちゅうしとなった。その太平洋たいへいようにおいて日本にっぽん艦船かんせんたいして使用しようしようとしたものの、終戦しゅうせんにより使用しようされることはなかった。

アップキープばくだんとハイボールばくだん国家こっか機密きみつとなっていたが、イギリス公文書こうぶんしょの「30ねん規則きそく(thirty year rule)」によって1974ねん1がつ公開こうかいされた。

戦後せんごすべてのアップキープばくだん処分しょぶんされ、コンクリートがめられたばくだんはケントしゅうリカルバー(Reculver)で試験しけんばくげき訓練くんれんもちいられたのち復元ふくげんされ各地かくち展示てんじされている。

ドイツぐんはんとべばくだん

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ドイツぐんは、チャスタイズ作戦さくせんのち不発ふはつとなったアップキープばくだんもりなか発見はっけんした。これが兵器へいき専門せんもんなどによって分析ぶんせきされ、1943ねん6がつ17にちヘルマン・ゲーリングからアルベルト・シュペーア報告ほうこくされた。その、ドイツ空軍くうぐんによって重量じゅうりょう385kg(850ポンド)のはんとべばくだん試験しけんされた。これは、トラーフェミュンデ(Travemünde)にあったドイツ空軍くうぐん研究けんきゅうセンターにおいてたいイギリス艦艇かんてい攻撃こうげきようとして設計せっけいされたもので、コードネーム・クルト(Kurt)とばれた。しかしながら、ドイツぐんはんとべばくだんは、投下とうかまえばくだんたいするバックスピンをさせなかったため、Fw190によっておこなわれた実験じっけんでは、投下とうかした航空機こうくうきおな速度そくどばくだん跳躍ちょうやくするため、危険きけんであると判断はんだんされた。この問題もんだいをロケットブースターによって解決かいけつしようとしたものの、うまくいかずに、1944ねんにプロジェクトは中止ちゅうしされた。

ソ連それんはんとべばくだん

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ソ連それんぐんでもだい大戦たいせんちゅうはんとべばくだん使用しようした。1944ねん7がつ16にち、フィンランドのコトカ(Kotka)で、ドイツぐん防空ぼうくうかんニオベ(Niobe)にたいしてもちいられた。ソ連それんぐんA-20爆撃ばくげきから投下とうかされたばくだんのうち、2はつはんとべばくだん通常つうじょうばくだん7はつ命中めいちゅう撃沈げきちんされた。使用しようされたばくだんについては不明ふめいでありはんとべ爆撃ばくげきもちいたともかんがえられる。

文献ぶんけん

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Sweetman, John. The Dambusters Raid. London: Cassell, 1999. ISBN 0-304-35173-3

外部がいぶリンク

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