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はん重力じゅうりょく

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架空かくうはん重力じゅうりょく装置そうちのイメージ

はん重力じゅうりょく(はんじゅうりょく、えい: Anti-Gravity)は、物質ぶっしつ物体ぶったいくわわる重力じゅうりょく無効むこうにしたり、調節ちょうせつしたりする、とされる架空かくう技術ぎじゅつである。現実げんじつ物理ぶつりがくでは一般いっぱん不可能ふかのうかんがえられてきたもので、おおくはSF作品さくひん宇宙うちゅう航行こうこう基礎きそ技術ぎじゅつとして登場とうじょうする。

概説がいせつ

アインシュタイン一般いっぱん相対性理論そうたいせいりろんでは重力じゅうりょく時空じくう幾何きかがくてきゆがみとして解釈かいしゃくされる。ゆがみのない平坦へいたん時空じくう重力じゅうりょく存在そんざいしない時空じくうであり、そこを基準きじゅんとすると重力じゅうりょく時空じくう収縮しゅうしゅくしめす。しかし、数学すうがくまとには時空じくう膨張ぼうちょうするようなかい想定そうていすることも可能かのうであり、物理ぶつりがくまとにはそれをはん重力じゅうりょくまけ圧力あつりょく)とみなすことが出来できる。十分じゅうぶん遠方えんぽうからはん重力じゅうりょくじょう観測かんそくすると重力じゅうりょくじょうときとはぎゃくに、平坦へいたん宇宙うちゅうよりも空間くうかん膨張ぼうちょう時間じかん加速かそくしているようにえる。

このような作用さようすエネルギーはまけのエネルギー(直感ちょっかんてきにはまけ質量しつりょうおもってよい)であり、有名ゆうめいなものとしてはワームホール話題わだいにおいて登場とうじょうするエキゾチック物質ぶっしつがある。そのようなSFにちかいものではなく多少たしょう現実味げんじつみのあるれいとしては、宇宙うちゅう膨張ぼうちょうかかわる宇宙うちゅう定数ていすう真空しんくうのエネルギー(ダークエネルギー)げられる。

いずれにせよこれらが示唆しさする「斥力せきりょくとして作用さようする重力じゅうりょくじょう」は上手じょうずにとれば通常つうじょう重力じゅうりょくじょうつく時空じくうゆがみをキャンセルすることが可能かのうであり、事実じじつじょうはん重力じゅうりょく厳密げんみつには「万有ばんゆう斥力せきりょく」)として作用さようする。これが現代げんだい物理ぶつりがくがおぼろげにえがく「はん重力じゅうりょく」である。

また、現在げんざい証拠しょうこ真贋しんがんふくめて議論ぎろんつづいている現象げんしょうとして、ハチソン効果こうかがある。

一方いっぽう、SF作品さくひん登場とうじょうするはん重力じゅうりょく設定せってい上記じょうきのみならず非常ひじょうおおくの形態けいたいがある。もっと有名ゆうめいなタイプは磁力じりょく反発はんぱつからイメージされたもので、「はん重力じゅうりょくじょう」は単純たんじゅん重力じゅうりょくじょう反発はんぱつするとして設定せっていされる。

はん物質ぶっしつとの関連かんれんはん重力じゅうりょくというものが存在そんざいしないことの証明しょうめい

通常つうじょう物質ぶっしつ電気でんきてき性質せいしつぎゃくになるはん物質ぶっしつについて、以前いぜんはん重力じゅうりょくはたらくのではないかとの推論すいろん一部いちぶにあった。しかし、2023ねん9月、通常つうじょう物質ぶっしつ同様どうように、はん物質ぶっしつ重力じゅうりょくによって落下らっかすることが国際こくさい研究けんきゅうグループによって確認かくにんされ、この研究けんきゅうによりはん重力じゅうりょくというものは物理ぶつりてき存在そんざいしないことが証明しょうめいされたとしている[1]

SF作品さくひんちゅうのアイデア

はん重力じゅうりょくやそれにるいする技術ぎじゅつ理論りろんはSFにおいては物語ものがたり世界せかい成立せいりつさせる基礎きそ技術ぎじゅつであるが、それそのものがかならずしも主題しゅだいになるわけではない。

力学りきがくめんからかんがえると、重力じゅうりょくとは天体てんたいうえ物体ぶったいはたら様々さまざまちから合力ごうりょくである。これを要素ようそけると、物体ぶったい天体てんたいあいだはたら万有引力ばんゆういんりょくもっとおおきいことがおおく、結果けっかとしてその合力ごうりょく物体ぶったい天体てんたいきつけられるちからなされる。

  • 万有引力ばんゆういんりょくはなれたふたつの物質ぶっしつあいだはたらちからであるから、物体ぶったいあいだにおいてなんらかの方法ほうほうもちいてその伝達でんたつをさえぎってやれば、その影響えいきょうだっすることができる、という方法ほうほう考案こうあんされた。いちれいとしてH・G・ウェルズ1901ねん出版しゅっぱんされたSF小説しょうせつ月世界げっせかい最初さいしょ人間にんげん』のなかでケーバライト(ケイバーリット)なる重力じゅうりょく遮断しゃだん物質ぶっしつ考案こうあんし、これを地球ちきゅうがわけば、地球ちきゅうからの引力いんりょくはたらかなくなり、そのわりに宇宙うちゅうからの引力いんりょくはたらくから、そのまま地球ちきゅうはな宇宙うちゅうつことができるとした。
  • 万有引力ばんゆういんりょく質量しつりょう存在そんざいによってしょうじるから、その物質ぶっしつ質量しつりょうなんらかのかたち介入かいにゅうすることができれば、引力いんりょく調整ちょうせいできる、という方法ほうほう考案こうあんされた。この場合ばあい質量しつりょうやすことによって重力じゅうりょくやすこともできる。質量しつりょうをゼロにすることで慣性かんせい法則ほうそくによる制約せいやくやぶるという余禄よろくもある。「レンズマンシリーズ」には慣性かんせい航法こうほう登場とうじょうするが、これもそのかんがえにちかいとおもわれる。
  • アイザック・アシモフのSF小説しょうせつネメシス』では、質量しつりょうてんあいだ引力いんりょく相対そうたい速度そくど光速こうそくちかづくにしたがちいさくなり、ちょう光速こうそく航法こうほうにおいてはぎゃく斥力せきりょくはん重力じゅうりょく)としてはたらくというアイデアがしめされている。
  • 重力じゅうりょくそのものをつくす、という方法ほうほう考案こうあんされた(デイヴィッド・ブリンの『ガイア』)。任意にんい方向ほうこう発生はっせいさせた重力じゅうりょく既存きそん重力じゅうりょく作用さようす、というものである。
  • 藤子とうこ・F・不二雄ふじお漫画まんがドラえもん』では、だい長編ちょうへんのび鉄人てつじん兵団へいだん』に登場とうじょうするザンダクロスの操縦そうじゅうしつなどがはん重力じゅうりょく利用りようしているとされ、設定せっていじょうではドラえもんのひみつ道具どうぐタケコプター」もはん重力じゅうりょく利用りようしているとされている[2]
  • アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくSFドラマスタートレック』のエピソードでははん重力じゅうりょくもちいて惑星わくせいアーダナのくもうえ都市とし建設けんせつされている[3]ほか、重量じゅうりょうおおきな物体ぶったいはこさいはん重力じゅうりょくユニットとばれる装置そうち使用しようされている。
  • レースゲームF-ZERO』シリーズでは、「G-ディフューザーシステム」とばれるはん重力じゅうりょく発生はっせい装置そうちにより地面じめんからいたマシン同士どうしでレースをおこなう。
  • PCゲームあお彼方かなたのフォーリズム』では、はん重力じゅうりょく発生はっせいさせるシューズをくことにより、ひと自由じゆうそらべる世界せかいおこなわれている(架空かくうの)新興しんこうスカイスポーツ「フライングサーカス」を題材だいざいにしている[4][5]

関連かんれん項目こうもく

出典しゅってん

  1. ^ はん物質ぶっしつ」も重力じゅうりょく落下らっか国際こくさい研究けんきゅうグループがはじめて直接ちょくせつ観測かんそく…「はん重力じゅうりょく存在そんざいしないと証明しょうめい読売新聞よみうりしんぶん 2023ねん9がつ28にち(2023ねん9がつ30にち閲覧えつらん
  2. ^ 最新さいしんドラえもんひみつ百科ひゃっか 1』小学館しょうがくかん、1998 - 「プロペラの回転かいてんによってはん重力じゅうりょくじょうからだ周囲しゅうい発生はっせいし、それによってぶ」
  3. ^ Star Trek 邦題ほうだい宇宙うちゅうだい作戦さくせんスタートレックだい76The Cloud Minders 邦題ほうだい惑星わくせいアーダナのジーナイト作戦さくせん
  4. ^ WORLD”. 公式こうしきあお彼方かなたのフォーリズム・あおかな / sprite. 2021ねん1がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ フライングサーカス”. 公式こうしきあお彼方かなたのフォーリズム・あおかな / sprite. 2021ねん1がつ4にち閲覧えつらん