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しゅうがわ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
1. ニワトコぞくガマズミ)のくきしゅうがわ: 下部かぶ緑色みどりいろ染色せんしょくされた部分ぶぶんはコルクかわそうとコルク形成けいせいそう、その外側そとがわうえ)はコルク細胞さいぼうからなるコルク組織そしきであり、さい外層がいそうのコルク細胞さいぼう崩壊ほうかいしている。コルク細胞さいぼうない黒色こくしょくタンニン

しゅうがわ(しゅうひ、えい: periderm[1][2][3]とは、樹木じゅもくみきえだ表面ひょうめんおお組織そしきであり、分裂ぶんれつ組織そしきであるコルク形成けいせいそう(コルクけいせいそう; phellogen, cork cambium[ちゅう 1][1][4][5]と、そこから内側うちがわ形成けいせいされたコルクかわそう(コルクひそう; phelloderm, cork cortex[ちゅう 2][1][4]、および外側そとがわ形成けいせいされたコルク組織そしき(コルクそしき; phellem, cork, cork tissue)[1][4]からなる(1)。コルク組織そしき細胞さいぼうかべスベリンろう蓄積ちくせきした細胞さいぼうみつまっており、表皮ひょうひわって植物しょくぶつたい表面ひょうめん保護ほごする役割やくわりになっている。維管たば形成けいせいそうはたらきによってくき直径ちょっけいしていき、コルク組織そしき外側そとがわからけてがれていく。コルク形成けいせいそう次第しだい外側そとがわされて機能きのううしない、あらたなコルク形成けいせいそうがより内側うちがわ形成けいせいされることをかえしていく。

コルク組織そしきかる柔軟じゅうなんせいがあるがみず空気くうきとおしにくいため、ワインのコルクせんなどに利用りようされている[6][7]。1665ねんロバート・フックはじめて"細胞さいぼう"を報告ほうこくしたさい材料ざいりょうが、コルクであったことはよくられている[5][6](→樹皮じゅひ#人間にんげんとのかかわり参照さんしょう)。

構造こうぞう

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2a. マツマツ)の横断おうだんめん: 中央ちゅうおう放射状ほうしゃじょう配列はいれつしたおおきな細胞さいぼうからなる部分ぶぶん木部きべざい)、その外周がいしゅう維管たば形成けいせいそうがあり、その外側そとがわ緑色みどりいろ染色せんしょくされたちいさな細胞さいぼう整列せいれつしたそううつぼがわ)、さい外層がいそうしゅうがわ
2b. シナノキぞくアオイ)のくき横断おうだんめん: 内側うちがわ右上みぎうえ)は木部きべざい)、その外周がいしゅうに維管たば形成けいせいそうがあり、その外側そとがわしたがわ)は放射ほうしゃ組織そしき発達はったつしている)、さい外層がいそうしゅうがわ
3. シナノキぞくアオイ)のくき横断おうだんめんみぎ同一どういつぞう拡大かくだい): コルク形成けいせいそう(とコルクかわそう)がしめされており、その内側うちがわ上部じょうぶ)が外側そとがわ下部かぶ)がコルク組織そしきである。

しゅうがわは、肥大ひだい成長せいちょうする植物しょくぶつ木本きもと植物しょくぶつ)において、コルク形成けいせいそうとそこからつくられたコルクかわそうおよびコルク組織そしきからなる組織そしきであり、くきみきえだ)やおおっている[1][3][5][8][6]うえ2)。これらの器官きかんでは、維管たば木部きべあいだにできた維管たば形成けいせいそう活動かつどうによって直径ちょっけい肥大ひだい成長せいちょうおこなう。これにより、維管たばより外側そとがわにあったかわそう表皮ひょうひ細胞さいぼう外側そとがわされていき、ふつう分裂ぶんれつのうをもたないためばされて崩壊ほうかいしていく。このさい、このような細胞さいぼう一部いちぶ分裂ぶんれつのう回復かいふくし、コルク形成けいせいそうとよばれる分裂ぶんれつ組織そしきとなる[1][8][6]うえ1, 3)。

くきでは、最初さいしょのコルク形成けいせいそう表皮ひょうひのすぐ内側うちがわにあるかわそうさい外層がいそう細胞さいぼう由来ゆらいすることがおおいが、表皮ひょうひ由来ゆらいするもの、すうそう内側うちがわかわそう細胞さいぼう由来ゆらいするもの、より内側うちがわ維管たばちかかわそう細胞さいぼう由来ゆらいするものもある[8][6]。いずれにしても、維管たば形成けいせいそうはたらきによって、このコルク形成けいせいそう次第しだい外側そとがわされ、あらたなコルク形成けいせいそうがより内側うちがわ形成けいせいされる。これをかえし、やがてコルク形成けいせいそううつぼがわ)から形成けいせいされるようになる[1][5][8][6]最初さいしょ形成けいせいされたコルク形成けいせいそういちコルク形成けいせいそう(primary cork cambium)、それ以降いこう形成けいせいされたものはコルク形成けいせいそう(secondary cork cambium)ともよばれる[5][9]では、コルク形成けいせいそううちさや(維管たばかこやわら細胞さいぼうそう)に形成けいせいされることがおお[5][8][6]。コルク形成けいせいそう細胞さいぼう接線せっせん方向ほうこう縦断じゅうだんめんではとうみち多角たかくがたであり、おおくが紡錘形ぼうすいけいである維管たば形成けいせいそう細胞さいぼうとはことなるかたちをもつ[5]

コルク形成けいせいそうは、くき外周がいしゅう全体ぜんたい沿ってリングじょう形成けいせいされることもあるが、部分ぶぶんてき形成けいせいされてこれがのちにつながってリングじょうになる場合ばあいや、不連続ふれんぞくいている場合ばあいもある[8]。このようなコルク形成けいせいそうのできかたは、樹皮じゅひ特徴とくちょうにも影響えいきょうする[8]

コルク形成けいせいそう側部そくぶ分裂ぶんれつ組織そしきであり、内側うちがわ外側そとがわあらたな細胞さいぼう形成けいせいする。内側うちがわへは、少量しょうりょうコルクかわそう形成けいせいされる[1][5][8][6]。コルクかわそうは、かわそう細胞さいぼううす細胞さいぼうかべをもつやわら細胞さいぼうから構成こうせいされている[5]。コルク形成けいせいそうから外側そとがわへは、コルク組織そしき(コルクそう cork layer、コルク cork)が形成けいせいされる[1][5][8][6][10]うえ1)。コルク組織そしきでは、スベリンろう蓄積ちくせきされた細胞さいぼうかべをもつコルク細胞さいぼう(cork cell)が緻密ちみつにふつう2–20そう配列はいれつされており(下図したず4a)、コルク細胞さいぼう成熟せいじゅくすると細胞さいぼうとなって空気くうきたされるが、タンニン結晶けっしょうたいふくむこともある[1][5][8][6]細胞さいぼうかべにスベリンが沈着ちんちゃくすることは、コルク(suberization)とよばれる[5]広義こうぎ樹皮じゅひ維管たば形成けいせいそうより外側そとがわにある組織そしきうつぼがわ)としゅうがわ)を意味いみするが、狭義きょうぎ樹皮じゅひはこのようなんだコルク組織そしきのことを意味いみする[11][12][8][6]。コルク組織そしき植物しょくぶつたいおおうことになるが、維管たば形成けいせいそうはたらきによってくき肥大ひだいしていくと、コルク組織そしき外側そとがわされ、表面ひょうめんから剥離はくりしていく。セコイアヒノキ)やコルクガシブナ)ではコルク組織そしきがれにくいため、あついコルク組織そしきをもつ[11]下図したず4b)。また、ニシキギニシキギ)のえだでは、コルク組織そしきいたじょう翼状よくじょう)にしている[13]下図したず4c)。コルク組織そしきかたがれかたは、樹皮じゅひ特徴とくちょうとなる[8]

4b. コルクガシブナ)のみき横断おうだんめん: コルク組織そしき黄色おうしょく)が分厚ぶあつい。
4c. ニシキギニシキギ)のえだ: コルク組織そしきいたじょうしている。

機能きのう

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しゅうがわは、表皮ひょうひわって植物しょくぶつたい表面ひょうめんおおうようになり、これを保護ほごする機能きのうにな[6]。コルク組織そしき細胞さいぼうかべスベリンろう蓄積ちくせきしているため、みず空気くうきとおしにくい[6]表皮ひょうひでは気孔きこうがガス交換こうかんになっているが、しゅうがわではあらたにかわコルク形成けいせいそうかわ形成けいせいそう)とよばれる分裂ぶんれつ組織そしき形成けいせいされ、外側そとがわやわら細胞さいぼうはまたかし細胞さいぼう)をおくし、コルク組織そしきやぶってかわとよばれる開口かいこう形成けいせいし、ガス交換こうかんおこなうとかんがえられている[6][1]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 複数ふくすうがたは cork cambia または cork cambiums[1]
  2. ^ 複数ふくすうがたは cork cortices[1]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 清水しみずけん (2001). “樹皮じゅひ”. 図説ずせつ 植物しょくぶつ用語ようご事典じてん. 八坂やさか書房しょぼう. pp. 190–193. ISBN 978-4896944792 
  2. ^ 日本にっぽん植物しょくぶつ学会がっかい (1990). 文部省もんぶしょう 学術がくじゅつ用語ようごしゅう 植物しょくぶつがくへん (ぞうていばん). 丸善まるぜん. p. 253. ISBN 978-4621035344 
  3. ^ a b いわおいさお, 倉谷くらたにしげる, 斎藤さいとうしげる也 & 塚谷つかたに裕一ひろいち (へん) (2013). “しゅうがわ”. 岩波いわなみ 生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん. 岩波書店いわなみしょてん. p. 628. ISBN 978-4000803144 
  4. ^ a b c 日本にっぽん植物しょくぶつ学会がっかい (1990). 文部省もんぶしょう 学術がくじゅつ用語ようごしゅう 植物しょくぶつがくへん (ぞうていばん). 丸善まるぜん. p. 137. ISBN 978-4621035344 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l いわおいさお, 倉谷くらたにしげる, 斎藤さいとうしげる也 & 塚谷つかたに裕一ひろいち (へん) (2013). “コルク形成けいせいそう”. 岩波いわなみ 生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん. 岩波書店いわなみしょてん. p. 493. ISBN 978-4000803144 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n はらじょう (1994). “コルク形成けいせいそうしゅうがわ”. 植物しょくぶつ形態けいたいがく. 朝倉書店あさくらしょてん. pp. 139–141. ISBN 978-4254170863 
  7. ^ "コルク". 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ). コトバンクより2023ねん6がつ23にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c d e f g h i j k l はらじょう (1972). “6.10 しゅうかわ”. 基礎きそ生物せいぶつがく選書せんしょ 3. 植物しょくぶつ形態けいたい. はなぼう. pp. 137–140. ISBN 978-4-7853-5103-8 
  9. ^ 清水しみずけん (2001). “分裂ぶんれつ組織そしき”. 図説ずせつ 植物しょくぶつ用語ようご事典じてん. 八坂やさか書房しょぼう. pp. 195–196. ISBN 978-4896944792 
  10. ^ コルクそう”. 農業のうぎょう技術ぎじゅつ事典じてん. ルーラル電子でんし図書館としょかん. 2023ねん6がつ28にち閲覧えつらん
  11. ^ a b 樹皮じゅひ. コトバンクより2023ねん6がつ23にち閲覧えつらん
  12. ^ いわおいさお, 倉谷くらたにしげる, 斎藤さいとうしげる也 & 塚谷つかたに裕一ひろいち (へん) (2013). “樹皮じゅひ”. 岩波いわなみ 生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん. 岩波書店いわなみしょてん. p. 645. ISBN 978-4000803144 
  13. ^ 塚谷つかたに裕一ひろいち (2013ねん8がつ2にち). “ニシキギのつばさについて”. みんなのひろば 植物しょくぶつQ&A. 日本にっぽん植物しょくぶつ生理せいり学会がっかい. 2023ねん6がつ28にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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