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咬合力ごうりょく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

咬合力ごうりょく（こうごうりょく）は、物体ぶったいを噛かみ締しめる顎あごの力ちから。被験者ひけんしゃが測定そくてい器きを可能かのうな限かぎり強つよく噛かむ静的せいてき咬合力ごうりょくと、実際じっさいに食物しょくもつを摂食せっしょくして咀嚼そしゃくする際さいの動的どうてき咬合力ごうりょくがある。ヒトを対象たいしょうにした調査ちょうさでは、一般いっぱんに動的どうてき咬合力ごうりょくよりも静的せいてき咬合力りょくの方ほうが大おおきく、また口くちの奥おく側がわの歯はほど強つよくなることが分わかっている[1]。一方いっぽう、顎あごの左右さゆうそれぞれの同名どうめいの歯はではほぼ等ひとしい力ちからがかかる。さらに個人こじん差さはあれど、中ちゅう程度ていど以上いじょうの総そう咬合力りょくであれば前後ぜんごの歯はの咬合力ごうりょく比ひは総そう咬合力りょくの大おおきさに寄よらず一定いっていである。また総そう咬合力りょくと活動かつどう筋すじ量りょうには一定いっていした関係かんけいがなく、活動かつどうする筋肉きんにくの部位ぶいや強つよさ（咬合力ごうりょく分布ぶんぷ）は個人こじん差さが大おおきい[2]。

動物どうぶつの咬合力ごうりょくをグラム体重たいじゅうで除じょして単位たんいをニュートンにしたBFQ（Bite force quotient）という指標しひょうもあり、以下いかの方程式ほうていしきで表あらわされる[3]。

動物どうぶつにおける例れい

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研究けんきゅう手法しゅほうが同一どういつでない限かぎり単純たんじゅん比較ひかくは不可能ふかのうな点てんに注意ちゅうい[4]。

種たね名めいまたは属ぞく名めい 咬合力ごうりょく (kg) 圧力あつりょく (kg/cm^2) 備考びこう
ハイタカ属ぞく 0.7[5] -
ニクトサウルス属ぞく 0.8[6] -
タペヤラ属ぞく 1.4[6] -
カエルクイコウモリ 1.9[7] -
ハヤブサ属ぞく 2.5[5] -
ウオクイコウモリ 3.1[7] -
プテラノドン属ぞく 3.6[6] -
アンハングエラ属ぞく 3.8[6] -
トゥプクスアラ属ぞく 4.7[6] -
トロペオグナトゥス属ぞく 9.3[6] -
チスイコウモリモドキ 10[7] -
ズンガリプテルス属ぞく 21[6] -
タラソドロメウス属ぞく 25[6] -
ディプロドクス属ぞく 33[8] -
ハシボソガラス 43.2[9] - 雄お個体こたい。雌めすは30.3kg。
ハシブトガラス 57.6[9] - 雄お個体こたい。雌めすは40.6kg。
ホモ・エレクトス 78.6[10] -
ホモ・ハビリス 80.6[10] -
ホモ・サピエンス 84.2[10] - 男女だんじょ平均へいきん。
カニクイザル 91.6[10] - 雄お個体こたい。雌めすは73kg。
アウストラロピテクス・アフリカヌス 171.5[10] -
カマラサウルス属ぞく 189.6[8] -
チンパンジー属ぞく 196.7[10] - 雄お個体こたい。雌めすは166.5kg。
ワニガメ 293[11] - TBS『飛とび出だせ!科学かがくくん』での実測じっそく値ち
オランウータン属ぞく 304[10] - 雄お個体こたい。雌めすは197kg。
アウストラロピテクス・アファレンシス 305[10] -
カルノタウルス属ぞく 340[12] -
アロサウルス属ぞく 364[12] -
パラントロプス・ボイセイ（英語えいご版ばん） 379.2[10] -
ゴリラ属ぞく 415[10] - 雄お個体こたい。雌めすは283kg。
ハイエナ
ライオン
トラ		 - 約やく70[13]
メガピラニア・パラネンシス 484[14] -
ダンクルオステウス・テレリ 754[15] -
デイノニクス・アンティルロプス 836[16] -
ティロサウルス属ぞく 1,119[17] -
マチカネワニ 1,200[18] -
イリエワニ - 260[13] 実測じっそく値ち
ホホジロザメ - 280[13] 推定すいてい値ち
テムノドントサウルス属ぞく 3,059[19] -
ティラノサウルス・レックス 6,000[20] - 2019年ねんの推定すいてい値ち。2012年ねんには同おなじく6,000kg[21]、2017年ねんには3630kg[22]と、推定すいてい値ちには幅はばがある。
プルスサウルス・ブラジリエンシス 7,036[4] -
デイノスクス・リオグランデンシス 10,400[22] 約やく1,600[13] 推定すいてい値ち

出典しゅってん

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  1. ^ 佐藤さとう友彦ともひこ「健常けんじょう永久えいきゅう臼歯きゅうしの瞬間しゅんかん的てき咬合力ごうりょくに関かんする研究けんきゅう」『日本にっぽん補綴ほてつ歯科しか学会がっかい雑誌ざっし』第だい2号ごう、日本にっぽん補綴ほてつ歯科しか学会がっかい、1971年ねん、301頁ぺーじ、doi:10.2186/jjps.15.291、ISSN 1883-177X。 閲覧は自由
  2. ^ 佐藤さとう智昭ともあき、服部はっとり佳けい功こう、渡辺わたなべ誠まこと「咬かみしめ強つよさと歯は列れつにおける咬合力ごうりょく分布ぶんぷ」第だい2巻かん第だい2号ごう、1996年ねん、doi:10.7144/sgf.2.101、ISSN 1883-986X。 閲覧は自由
  3. ^ Hite, Natalee J.; Germain, Cody; Cain, Blake W.; Sheldon, Mason; Perala, Sai Saketh Nandan; Sarko, Diana K. (2019). “The Better to Eat You With: Bite Force in the Naked Mole-Rat (Heterocephalus glaber) Is Stronger Than Predicted Based on Body Size” (English). Frontiers in Integrative Neuroscience 13: 70. doi:10.3389/fnint.2019.00070. ISSN 1662-5145. PMC 6904307. PMID 31866840. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6904307/. 
  4. ^ a b 土屋つちや健けん『地球ちきゅう生命せいめい 水際みずぎわの興亡こうぼう史し』技術評論社ぎじゅつひょうろんしゃ、2021年ねん7月がつ28日にち、158-159頁ぺーじ。ISBN 978-4-297-12232-4。 
  5. ^ a b Diego Sustaita; Fritz Hertel (2006). “Bite & Grip Performance In Relation to Killing Behavior of North American Accipiters and Falcons”. Raptor Watch (HawkWATCH INTERNATIONAL) XX (3): 7. 
  6. ^ a b c d e f g h Rodrigo V. Pêgas; Fabiana R Costa; Alexander Wilhelm Armin Kellner (2021). “Reconstruction of the adductor chamber and predicted bite force in pterodactyloids (Pterosauria)”. Zoological Journal of the Linnean Society: 22. doi:10.1093/zoolinnean/zlaa163. 
  7. ^ a b c Patricia W. Freeman; Cliff A. Lemen. “Puncture-Resistance of Gloves for Handling Bats”. The Journal of Wildlife Management 73 (7): 1253. doi:10.2193/2008-295. 
  8. ^ a b David J. Button; Emily J. Rayfield; Paul M. Barrett (2014). “Cranial biomechanics underpins high sauropod diversity in resource-poor environments”. Proceedings of the Royal Society B 281 (1795). doi:10.1098/rspb.2014.2114. https://doi.org/10.1098/rspb.2014.2114. 
  9. ^ a b 鎌田かまた直樹なおき、遠藤えんどう沙すな綾香あやか、杉田すぎた昭栄しょうえい「ハシブトガラスとハシボソガラスにおける顎あご筋すじ質量しつりょうと最大さいだい咬合力ごうりょく」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい誌し』第だい61巻かん第だい1号ごう、日本にっぽん鳥とり学会がっかい、2012年ねん、87頁ぺーじ、doi:10.3838/jjo.61.84、ISSN 1881-9710。 
  10. ^ a b c d e f g h i j Carolyn M. Eng; Daniel E. Lieberman; Katherine D. Zink; Michael A. Peters (2013). “Bite Force and Occlusal Stress Production in Hominin Evolution”. AMERICAN JOURNAL OF PHYSICAL ANTHROPOLOGY 151: 550. doi:10.1002/ajpa.22296. 
  11. ^ “［2010.06.19］「動物どうぶつ噛かむ力ちからランキングを作つくろう！」＆「飛とび出だせ！工場こうじょう探偵たんてい」”. TBSテレビ. 2021年ねん3月がつ3日にち閲覧えつらん。
  12. ^ a b Rafael Delcourt (2018). “Ceratosaur palaeobiology: new insights on evolution and ecology of the southern rulers”. Scientific Reports: 9. doi:10.1038/s41598-018-28154-x. https://www.nature.com/articles/s41598-018-28154-x.pdf. 
  13. ^ a b c d Brian Handwerk (2012年ねん3月がつ15日にち). “ワニの噛かむ力ちからは地球ちきゅうで最強さいきょう、実測じっそくで証明しょうめい”. ナショナルジオグラフィック協会きょうかい. 2021年ねん3月がつ3日にち閲覧えつらん。
  14. ^ Justin R. Grubich, Steve Huskey, Stephanie Crofts, Guillermo Orti, Jorge Porto (2012). “Mega-Bites: Extreme jaw forces of living and extinct piranhas (Serrasalmidae)”. Scientific Reports 2: 1009. doi:10.1038/srep01009. 
  15. ^ Philip S. L. Anderson; Mark W. Westneat (2009). “A biomechanical model of feeding kinematics for Dunkleosteus terrelli (Arthrodira, Placodermi)”. Paleobiology 35 (2). doi:10.1666/08011.1. https://doi.org/10.1666/08011.1. 
  16. ^ Gignac, P.M; Makovicky, P.J; Erickson, G.M; Walsh, R.P (2010). “A description of Deinonychus antirrhopus bite marks and estimates of bite force using tooth indentation simulations”. Journal of Vertebrate Paleontology 30 (4). 
  17. ^ Tomoki Kase; Paul A Johnston; Adolf Seilacher; Japeth B. Boyce. “Alleged mosasaur bite marks on Late Cretaceous ammonites are limpet (patellogastropod) home scars”. Geology 26 (10): 949. doi:10.1130/0091-7613(1998)026<0947:AMBMOL>2.3.CO;2. https://www.researchgate.net/publication/253230485_Alleged_mosasaur_bite_marks_on_Late_Cretaceous_ammonites_are_limpet_patellogastropod_home_scars. 
  18. ^ 小林こばやし快かい次つぎ『ワニと恐竜きょうりゅうの共存きょうぞん 巨大きょだいワニと恐竜きょうりゅうの世界せかい』北海道大学ほっかいどうだいがく出版しゅっぱん会かい、2013年ねん7月がつ25日にち、53頁ぺーじ。ISBN 978-4-8329-1398-1。 
  19. ^ “Big jaws, big bite?”. BBC. 2021年ねん3月がつ3日にち閲覧えつらん。
  20. ^ “Tレックスの噛かむ力ちから、車くるまも粉砕ふんさいするパワーの仕組しくみ”. ナショナルジオグラフィック協会きょうかい (2019年ねん9月がつ27日にち). 2021年ねん3月がつ3日にち閲覧えつらん。
  21. ^ 「T・レックスの「噛かむ力ちから」は地上ちじょう最強さいきょう、英えい研究けんきゅう」『AFP BB News』（フランス通信つうしん）2012年ねん3月がつ1日にち。2021年ねん3月がつ3日にち閲覧えつらん。
  22. ^ a b 「ティラノサウルスの「噛かむ力ちから」は小型車こがたしゃ3台だい分ぶん、米べいチームが解析かいせき」『REUTERS』（ロイター）2017年ねん5月がつ18日にち。2021年ねん3月がつ3日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく

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