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出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

』(ふくろ)は、手塚てづか治虫おさむによる日本にっぽん短編たんぺん漫画まんが。ホラーしょく加味かみされたミステリー調ちょうはなしで、『漫画まんがサンデー』(実業之日本社じつぎょうのにほんしゃ)1968ねん5がつ10日とおか増刊ぞうかんごう掲載けいさいされた。

あらすじ

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予期よきせぬあめ見舞みまわれたある主人公しゅじんこう青年せいねんは“綾野あやのリカ”と名乗なの少女しょうじょ出会であう。雨宿あまやどりするためにはいった喫茶店きっさてんで、はなむうちに意気投合いきとうごうした2人ふたりふたた約束やくそくをする。それから2人ふたりいがはじまり次第しだい交際こうさいふかまってゆく。

とうとう結婚けっこん決意けついした主人公しゅじんこう結婚けっこん許可きょかをもらうためにリカのいえたずねるが、応対おうたいした母親ははおやは「うちには“マリ”というむすめはいるが、“リカ”などというむすめはいない」と怪訝けげんそうにこたえる。マリというあねがいることはリカ自身じしんからいていたものの、わけがわからずに主人公しゅじんこう混乱こんらんする。わせてもらったマリはどう一人物いちじんぶつとしかおもえないほどリカにそっくりだったが、性格せいかくはまるでことなっていた。マリは6がつ20日はつか病院びょういん入院にゅういんして精密せいみつ検査けんさけるという。6月20にちといえば、リカがなぜかとてもそのにしていたことを主人公しゅじんこうおもす。になった主人公しゅじんこうはマリの担当たんとう医師いしたずねる。じつ本人ほんにんには直前ちょくぜんまでらせないが、マリは嚢腫摘出てきしゅつ手術しゅじゅつける予定よていだと医師いしげる。

前日ぜんじつの19にちになって突然とつぜんリカが主人公しゅじんこうまえあらわれる。主人公しゅじんこうあねのことをめるが、リカはこたえようとしない。マリのことはなにおうとせず、「えるのはこれが最後さいご」「自分じぶんとおいところへってしまう」とだけはなし、「できれば明日あした病院びょういんしい。自分じぶんく」といいのこして姿すがたす。

6がつ20日はつか、リカにわれたとおり主人公しゅじんこう病院びょういんおもむく。マリの手術しゅじゅつ何事なにごともなく平穏へいおんわる。マリのからだはいっていたものは畸形嚢腫であると、医師いし主人公しゅじんこう説明せつめいする。畸形嚢腫は双子ふたごまれるはずだった子供こども片方かたがた成長せいちょうしそこなって、バラバラになったままもう片方かたがた子供こども体内たいないはいって一緒いっしょまれてしまい、そのまま嚢腫となるものである。普通ふつう子供こどものかけらやかみ手足てあしなどがはいっているものだが、マリの嚢腫のなかには非常ひじょうめずらしいことにのうみそが丸々まるまるいちにんぶんはいっていた。つまり双子ふたごとしてまれるはずだった片割かたわれがのうだけ成長せいちょうしてマリの体内たいないにいたのだった。長年ながねん嚢腫の標本ひょうほんてきたが、あんなものはたことがないと医師いし感慨かんがいふかげにかたる。

のうみそははらうちきていた…ってわけです。マリさんはふたつののうって…どういう生活せいかつをしていたんですかねえ…」

医師いしにせがんで摘出てきしゅつされた畸形嚢腫をせてもらった主人公しゅじんこうは、「リカ!」とうめいて大粒おおつぶなみだながすのだった。

単行本たんこうぼん

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