塚山つかやま出土しゅつどの剣けん

塚山つかやま出土しゅつどの剣けん（つかやましゅつどのけん、Barrow-blade）はJ・R・R・トールキンの小説しょうせつ『指輪ゆびわ物語ものがたり』に登場とうじょうする塚山つかやまで発見はっけんされた複数ふくすうの短剣たんけん。各々おのおのの正式せいしきな銘めいは不明ふめい。第だい三紀みきにヌーメノール人ひとの末裔まつえいによってアルノールで作つくられたと考かんがえられる。

概要がいよう

『指輪ゆびわ物語ものがたり』の『旅たびの仲間なかま』において、この剣けんは塚づか人じんを退しりぞけたトム・ボンバディルにより塚山つかやま丘陵きゅうりょうにて発見はっけんされ、その後ごホビット達いたるが帯おびることとなった。ホビット達たちには丁度ちょうどいいサイズであるため、つらぬき丸まる同様どうように人間にんげんやエルフにとってはダガー（短刀たんとう）程度ていどの物ものと思おもわれる。軽かるく丈夫じょうぶな不思議ふしぎな金属きんぞくでできており、宝石ほうせきで飾かざられている。

何なんらかの魔力まりょくが備そなわっていると考かんがえられ、発見はっけん時じ少すくなくとも二に千せん年ねん以上いじょう前まえのものであるにもかかわらずその刃はには一いち点てんの錆さびも曇くもりもなかった。実際じっさい、この剣けんはモルドールの僕ぼくに対たいして致命ちめい的てきな傷きずを負おわせるよう念入ねんいりな呪のろいが成なされていたため、後のちに作中さくちゅうで大おおきな勲くんを立たてた。

『王おうの帰還きかん』においては、ミナス・ティリスのデネソール侯ほうはピピンの持もっていたこの剣けんを認みとめ、拵こしらえがゴンドールのそれに似にていると述のべた。同様どうようの剣けんを帯おびていたメリーはペレンノール野のの合戦かっせんにおいてこの剣けんでモルドール軍ぐんの総そう大将たいしょうにしてナズグールの首領しゅりょうたるアングマールの魔王まおうの足あしを刺さした。剣けんに秘ひめられた魔力まりょくが実体じったいのないはずのナズグールの体からだを覆おおっていた呪力じゅりょくを切きり裂さいて確たしかな深手ふかでを負おわせるとともに妖力を奪うばい、結果けっかエオウィンが魔王まおうにとどめを刺さすに至いたったのである。

モルドールの呪のろいを切きり裂さく魔力まりょくは別べつにすると、剣けんとしての切きれ味あじはそれなりであるがつらぬき丸まるには及およばないらしく、サムの携たずさえた剣けんはシェロブの糸いとを何なん度ども打うちかかった結果けっか辛かろうじて1本ほん切ぎり裂さけた程度ていどである。

映画えいが『ロード・オブ・ザ・リング』においては、塚山つかやまのくだりがまるごと省略しょうりゃくされているためにこの剣けんも登場とうじょうせず、ロスローリエンでガラドリエルからメリー・ピピンともノルドールの短剣たんけんを与あたえられていたにもかかわらず、メリーが魔王まおうの足あしを刺さすのは何なんの変哲へんてつも無ない普通ふつうの「なまくらな」剣けんである。