多摩川たまがわ園えん

多摩川たまがわ園えん遊ゆう園地えんちの空そら撮つまみ（1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん））

多摩川たまがわ園えん遊ゆう園地えんち入いり口くち（1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん））

多摩川たまがわ園えん（たまがわえん）は、東京とうきょう都と大田おおた区く田園調布でんえんちょうふにかつて存在そんざいした遊ゆう園地えんちである。現在げんざいの東急とうきゅう電鉄でんてつ多摩川たまがわ駅えきの駅前えきまえに正面しょうめん入口いりくちがあり、面積めんせきは約やく5ヘクタールであった。

概要がいよう

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）12月23日にちに「多摩川たまがわ園えん」としてオープン。同年どうねんには丸子まるこ多摩川たまがわ花火はなび大会たいかいも開始かいしされている。園内えんないには、飛行ひこう塔とう、お化ばけ屋敷やしき、メリーゴーランドの遊戯ゆうぎ施設しせつがあり、菊きく人形にんぎょう展てんでも多おおくの客きゃくで賑にぎわった。また多摩川たまがわ駅えきの反対はんたい側がわの台地だいちにも、付属ふぞく施設しせつとして展望てんぼう塔とうや「松まつの茶屋ちゃや」が設もうけられた。入場にゅうじょう者しゃ数すうの減少げんしょう等とうにより、1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）6月3日にちに閉園へいえん。

歴史れきし

田園でんえん都市とし株式会社かぶしきがいしゃが買収ばいしゅうした土地とちの中なかに住宅じゅうたく地ちとして不向ふむきと言いわれる地帯ちたいを埋うめ立たてて田園でんえん都市とし居住きょじゅう者しゃの娯楽ごらく施設しせつとして活用かつようしようと考かんがえたのが渋沢しぶさわ秀雄ひでおである。

1924年ねん(大正たいしょう13年ねん)5月がつ1日にち、「株式会社かぶしきがいしゃ多摩川たまがわ園えん」を資本しほん15万まん円えんで設立せつりつ。田園でんえん都市とし株式会社かぶしきがいしゃの付属ふぞく別館べっかんに本社ほんしゃを設置せっちした。社長しゃちょうは五島ごしま慶太けいた、取締役とりしまりやくは渋沢しぶさわ秀雄ひでおが就任しゅうにん。

1925年ねん(大正たいしょう14年ねん)12月23日にち、多摩川たまがわ園えんの開園かいえんした。当時とうじの入園にゅうえん料りょうはおとな・こども共どもに30銭ぜに。

開業かいぎょう当初とうしょは敷地しきちは広ひろく、田園でんえんテニス倶楽部くらぶや田園でんえんコロシアムにまで広ひろがっていたが、次第しだいに宅地たくち開発かいはつされ縮小しゅくしょうした。園内えんないのデザインは、矢部やべ金太郎きんたろうによるものといわれている。

1930年代ねんだい中頃なかごろには「どりこの坂さか」上じょうの南側みなみがわの園内えんないに多摩川たまがわ能楽堂のうがくどうが建設けんせつされ、戦災せんさいで都内とないの能のう舞台ぶたいが灰燼かいじんに帰かえした中なかでの能楽のうがく復興ふっこうの拠点きょてんとなったが、1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）頃ごろに青山あおやまの銕仙会かい能楽のうがく研修けんしゅう所しょに移築いちくされている。

1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）、東洋とうよう娯楽ごらく機き製作所せいさくしょ（後ごのトーゴ）に運営うんえいを委託いたく。「子こども向むけで乗のり物もの中心ちゅうしん」のコンセプトとなる。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの影響えいきょうにより1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）3月がついっぱいで一旦いったん休園きゅうえん、戦後せんご1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）4月がつに、敷地しきちの半分はんぶんのみ再開さいかいした。

戦前せんぜんの一時期いちじきは東横映画とうよこえいが（東映とうえいの前身ぜんしん企業きぎょうの一ひとつ）に経営けいえいが移管いかんされ、ヘルスセンター然しかとした内容ないようとなり、どちらかと言いえば子供こども向むけよりは大人おとなの遊ゆう園地えんちの趣おもむきがあったという。戦後せんごは東急不動産とうきゅうふどうさんが経営けいえいを手掛てがけた時期じきもあったが、程ほどなく電鉄でんてつ本社ほんしゃの手てに帰かえしている。

娯楽ごらくが少すくなかった戦後せんごには、多おおくの行楽こうらく客きゃくを集あつめた1950年ねんの秋あきの日曜日にちようびには、約やく2万まん人にんが来場らいじょうしている。

1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）2月がつ14日にち、多摩川たまがわ園えんからヒグマが脱走だっそう。市街地しがいちへ出没しゅつぼつしたところを警官けいかん隊たいによる銃撃じゅうげきにより射殺しゃさつ。

1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）の東京とうきょうオリンピックの年としには、年間ねんかん入場にゅうじょう者しゃ数すう約やく100万まん人にんを記録きろくした。そのころには観覧かんらん車しゃ、丘陵きゅうりょう地ちに登のぼるリフトと滑すべり台だい（大山おおやま滑すべり）、野球やきゅう用よう軟球なんきゅうを玉たまに使つかったバズばずーカ砲かほう、ウヰスキーの樽たるを模もした車体しゃたいのジェットコースターなどの遊戯ゆうぎ施設しせつがあった。南東なんとう側がわには大おおきな池いけがありボートも漕こげたが、後のちに駐車ちゅうしゃ場じょうにするため埋うめ立たてられた。また大だい規模きぼな室内しつない催事さいじ場じょう「読売よみうり館かん」も設置せっちされ、夏季かきの納涼のうりょうスリラーショー（お化ばけ屋敷やしき）、秋季しゅうきの菊きく人形にんぎょう展てんが人気にんきを集あつめていた。

しかし1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）には道路どうろ交通こうつうへの影響えいきょうを理由りゆうに、京浜けいひん地域ちいきの大だいイベントであった丸子まるこ多摩川たまがわ花火はなび大会たいかいが中止ちゅうしされ、観光かんこう地ちとしての多摩川たまがわ園えん周辺しゅうへんには痛手いたでとなる。1970年ねん代だいには、遊ゆう園地えんちに面めんする集合しゅうごう住宅じゅうたくの増加ぞうかによる近隣きんりん紛争ふんそうや景観けいかんの悪化あっか、世相せそうの変化へんかによるレジャーの多様たよう化かなどから入場にゅうじょう者しゃも減少げんしょうに転てんじ、周辺しゅうへん道路どうろの渋滞じゅうたいに対たいする苦情くじょうもあって、1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）6月がつ3日にちに閉園へいえんした。閉園へいえん前日ぜんじつの2日にちと閉園へいえん当日とうじつの3日にちには、お別わかれイベントとして「さよなら多摩川たまがわ園えん」が行おこなわれ、多おおくの客きゃくが訪おとずれた。

現在げんざい

閉園へいえん後ごは、多摩川たまがわ園えんラケットクラブとしてテニスコートを運営うんえいしていたが、2002年ねん（平成へいせい14年ねん）に閉鎖へいさされた。閉鎖へいさ直後ちょくご敷地しきちは山梨やまなし県けんの不動産ふどうさん業者ぎょうしゃに売却ばいきゃくされたが、屋内おくないテニスコートとして使つかわれていた建物たてものがある多摩川たまがわ駅えきからの南側みなみがわ3分ふん1の土地とちを宗教しゅうきょう法人ほうじんの誠まこと成なり公こう倫りんが取得しゅとくした。残のこりの土地とちは2003年ねん（平成へいせい15年ねん）11月に大田おおた区くが公園こうえん予定よてい地ちとして取得しゅとくした。このうち、誠まこと成なり公こう倫りん取得しゅとく地ちと東急とうきゅう多摩川線たまがわせん沿ぞいの帯状おびじょうの土地とちは駐輪場ちゅうりんじょうとして整備せいびし、残のこりの土地とちは2004年ねん（平成へいせい16年ねん）8月がつから公園こうえんとして一部いちぶ開放かいほうした。2006年ねん（平成へいせい18年ねん）7月がつに公募こうぼにより公園こうえん名称めいしょうを「田園調布でんえんちょうふせせらぎ公園こうえん」とすることに決定けっていし、本格ほんかく的てきに開放かいほうされた。

付属ふぞくする休憩きゅうけい施設しせつ「松まつの茶屋ちゃや」は、その後ご改築かいちくされて旅館りょかんとなり、隣接りんせつ地ちにはレストラン「松籟荘しょうらいそう」も建設けんせつされたが、現在げんざいは取とり壊こわされ、多摩川たまがわ台だい公園こうえんの一部いちぶとなっている。

かつて多摩川たまがわ園えんから丸子まるこ橋きょうに抜ぬける道みちの両側りょうがわは「多摩川たまがわ園えん前ぜん商栄しょうえい会かい」商店しょうてん街がいとして土産物みやげもの屋やや飲食いんしょく店てんが立たち並ならび、観光かんこう客きゃくでにぎわっていたが、多摩川たまがわ園えんの閉園へいえんにより活気かっきを失うしない、その後ごの駅舎えきしゃと東急とうきゅう多摩川線たまがわせんの改築かいちくによって片側かたがわの店舗てんぽは撤去てっきょされてしまった。しかし今いまでも菓子かし屋や、居酒屋いざかや等とうが軒のきを連つらね、往時おうじの面影おもかげを忍しのばせている。

関連かんれん項目こうもく

• 二子ふたご玉川たまがわ園えん（二子ふたご玉川たまがわ駅えき）
• こどもの国くに (横浜よこはま市し)（こどもの国くに駅えき）