大内おおうち重弘しげひろ

凡例はんれい 大内おおうち重弘しげひろ
時代じだい	鎌倉かまくら時代ときよ
生誕せいたん	不明ふめい
死没しぼつ	元もと応おう2年ねん3月6日にち（1320年ねん4月がつ15日にち）
別名べつめい	大内おおうち介かい
諡号しごう	山口やまぐち県けん山口やまぐち市し大内御堀おおうちみほり四よん丁目ちょうめ6-33　乗福寺じょうふくじ
戒名かいみょう	乗福寺じょうふくじ殿どの本州ほんしゅう大別たいべつ駕が道どう山やま浄きよし恵めぐみ大だい禅定ぜんじょう門もん
官位かんい	正せい六ろく位い上じょう、周防すおう権けん介かい
幕府ばくふ	鎌倉かまくら幕府ばくふ 六ろく波は羅ら探題たんだい評定ひょうじょう衆しゅ
氏族しぞく	多々良たたら姓せい大内おおうち氏し
父母ちちはは	父ちち：大内おおうち弘ひろし家か
兄弟きょうだい	重弘しげひろ、女子じょし、鷲わし頭あたま長ちょう弘ひろし、弘ひろ景けい、弘ひろし氏し、恵めぐみ源げん侍者じしゃ、春はる徳丸とくまる、矢田やた盛もり賢けん
子こ	弘幸ひろゆき、女子じょし（波野なみの殿どの）、弘直ひろなお、師し直じき

大内おおうち 重弘しげひろ（おおうち しげひろ）は、周防すおう国こくの武士ぶし。在庁ざいちょう官かん人じん大内おおうち氏しの第だい22代だい当主とうしゅ。

生涯しょうがい

先代せんだいの弘ひろ家いえの子こ。正安まさやす2年ねん（1300年ねん）の父ちちの死しで家督かとくを相続そうぞくした。『大内おおうち氏し系図けいず』には重弘しげひろは六ろく波は羅ら探題たんだいの評定ひょうじょう衆しゅを務つとめていたと記しるされている。

大内おおうち氏しは周防すおうの在庁ざいちょう官かん人じんから鎌倉かまくら幕府ばくふの御家人ごけにんとなっており、正せい元もと年間ねんかんには六ろく波は羅ら探題たんだい傘下さんかで京都きょうとの治安ちあん維持いじにあたる「在京ざいきょう人じん」となっていた。また、在庁ざいちょうの軍事ぐんじ・警察けいさつ権けんを独占どくせん的てきに支配しはいしていた多々良たたら氏し一門いちもんの族長ぞくちょう的てき存在そんざいとして在庁ざいちょう官かん人じんの盟主めいしゅ的てき立場たちばにあった。

重弘しげひろが家督かとくを継ついだ13世紀せいき末まつより、東大寺とうだいじ大だい勧進かんじん職しょくの利権りけん化かに伴ともなって、東大寺とうだいじ衆徒しゅとによる周防すおう国衙こくが領りょう支配しはいへの介入かいにゅうと暴力ぼうりょく化かが問題もんだい化かし、これに在庁ざいちょう官かん人じんが対抗たいこうする構図こうずが生うまれる。重弘しげひろも当然とうぜんそれに巻まき込こまれていく。

正和しょうわ元年がんねん（1312年ねん）以降いこうの大だい勧進かんじん職しょく・国司こくし上人しょうにんであった心こころ源みなもと及および目代もくだいとして派遣はけんされた承うけたまわ元もとが在庁ざいちょう官かん人じんと全面ぜんめん衝突しょうとつする。心しん源げん・承うけたまわ元もとは国衙こくが領内りょうないの在庁ざいちょう官かん人じんや他たの寺社じしゃ領りょうを全すべて収おさむ公こうして国衙こくが領りょうに加くわえる方針ほうしんであったとみられるが、在庁ざいちょう官かん人じん側がわは反対はんたいに東大寺とうだいじの末寺まつじである阿弥陀寺あみだじの所領しょりょうも含ふくまれていることに着目ちゃくもくして大だい勧進かんじん職しょくが同どう寺てらの廃絶はいぜつを企くわだてていると訴うったえたのである。重弘しげひろは六ろく波は羅ら探題たんだいでの地位ちいを利用りようして幕府ばくふや朝廷ちょうていに働はたらきかけただけでなく、実じつ玄げんを中心ちゅうしんとする衆徒しゅとに賄賂わいろに送おくって味方みかたにつけ心しん源げん排除はいじょの強訴ごうそを行おこなわせた。心しん源げん側がわの衆徒しゅとも実じつ玄げんの配流はいるを求もとめる強訴ごうそを起おこしたものの在京ざいきょうしていた重弘しげひろの働はたらきで失敗しっぱいに終おわり、代かわりに一旦いったん収おさむ公こうした阿弥陀寺あみだじの寺領じりょうを再さい寄進きしんして事態じたいの収拾しゅうしゅうを図はかった。だが、重弘しげひろ以下いか在庁ざいちょう官かん人じんの抵抗ていこうは続つづき、文ぶん保ほ2年ねん（1318年ねん）末まつまでに心しん源げんを罷免ひめんに追おい込こんだ。

元もと応おう2年ねん（1320年ねん）3月がつ6日にちに死去しきょ。跡あとを嫡男ちゃくなんの弘幸ひろゆきが継ついだ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 松岡まつおか久人ひさと 著ちょ、岸田きしだ裕之ひろゆき編へん 編へん『大内おおうち氏しの研究けんきゅう』清文せいぶん堂どう出版しゅっぱん、2011年ねん11月。ISBN 9784792409524。 NCID BB07201817。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:22084823。 
  • 初出しょしゅつ オメガ社しゃ編へん 編へん「大内おおうち氏し」『地方ちほう別べつ日本にっぽんの名な族ぞく』 9 中国ちゅうごく編へん、新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ、1989年ねん。ISBN 9784404015440。 NCID BN03065369。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:89059059。 
  • §「鎌倉かまくら末期まっき周防すおう国衙こくが領りょう支配しはいの動向どうこうと大内おおうち氏し」初出しょしゅつ 竹内たけうち理り三さん博士はかせ還暦かんれき記念きねん会かい編へん 編へん『荘園しょうえん制せいと武家ぶけ社会しゃかい』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1969年ねん。 NCID BN01873839。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:73003839。 
• 防長新聞社ぼうちょうしんぶんしゃ山口やまぐち支社ししゃ編へん 編へん『近世きんせい防ぼう長ちょう諸家しょか系図けいず綜覧そうらん』三坂みさか圭けい治ち監修かんしゅう、防長新聞社ぼうちょうしんぶんしゃ、1966年ねん3月がつ。 NCID BN07835639。OCLC 703821998。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:73004060。 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション
  • 復刻ふっこく 御薗みその生なま翁おう甫はじめ 著ちょ「付録ふろく 新撰しんせん大内おおうち氏し系図けいず」、田村たむら哲夫てつお編修へんしゅう 編へん『近世きんせい防ぼう長ちょう諸家しょか系図けいず綜覧そうらん』三坂みさか圭けい治ち監修かんしゅう（復刻ふっこく版ばん）、マツノ書店しょてん、1980年ねん11月。 NCID BN0189824X。OCLC 674504899。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:81035962。