太子たいし少しょう傅でん

太子たいし少しょう傅でん（たいししょうふ）は、中国ちゅうごくの前漢ぜんかん以降いこうの王朝おうちょうにあった官職かんしょくである。太子たいし太ふとし傅でんとともに皇太子こうたいしの養育よういくにあたった。

伝説でんせつ上じょうの教育きょういく係がかり

『漢書かんしょ』百官ひゃっかん公卿くぎょう表ひょうは、太子たいし太ふとし傅でんとともに「古いにしえ官かん」、すなわちいにしえの官かんを引ひき継ついだものとする。諸しょ書しょに「太子たいし太ふとし傅でん」・「太子たいし少しょう傅でん」は見みえず、太ふとし傅でん・少しょう傅でんが王おうを補佐ほさしたとするものが多おおいが、太ふとし傅でん・少しょう傅でんが太子たいしの養育よういくにあたったと記しるすものもいくらかある。

『礼れい記き』の一いち篇へんである「文ぶん王おう世子せいし」が、太ふとし傅でん・少しょう傅でんを世子せいし（世子せいしは跡継あとつぎの子こ。この場合ばあい王おうの跡継あとつぎ）の養育よういく係がかりと記しるす。音楽おんがくや読書どくしょなどの学習がくしゅうはそれぞれ専門せんもん家かが行おこない、太ふとし傅でん・少しょう傅でんは父子ふし君臣くんしんの道みちを示しめしたという。「傅でん伝つたえ」は、周しゅうの成なり王おうが幼おさない頃ころに太ふとし保ほ・太ふとし傅でん・太ふとし師しを置おいたのにならって、太子たいしの養育よういくのために少しょう保ほ、少しょう傅でん、少しょう師しをおいたという。

前漢ぜんかん・後こう漢かん

太子たいし太ふとし傅でん、太子たいし少しょう傅でんは前漢ぜんかん以降いこうに多数たすうの例れいが見みえる。太子たいし少しょう傅でんのほうが地位ちいは下したである。前漢ぜんかんでは属官ぞっかんに太子たいし門もん大夫たいふ、太子たいし中ちゅう庶子しょし、太子たいし庶子しょし、太子たいし先さき馬ば、太子たいし舎人とねりがあった。

後こう漢かんも前漢ぜんかんを踏襲とうしゅうした。『続ぞく漢書かんしょ』百官ひゃっかん志こころざしによると太子たいし率りつ更さら令れい、太子たいし門もん大夫たいふ、太子たいし庶子しょし、太子たいし舎人とねり等とうの皇太子こうたいしの属官ぞっかんは太子たいし少しょう傅でんに属ぞくした。

秩禄は前漢ぜんかん・後こう漢かんとも二に千せん石せき。

参考さんこう文献ぶんけん

• 中央ちゅうおう研究けんきゅう院いん・歴史れきし語ご言げん研究所けんきゅうじょ「漢籍かんせき電子でんし文献ぶんけん資料しりょう庫こ」。
• 『礼れい記き』
  • 加藤かとう常つね賢けん『書しょ経けい』上じょう・下した、新釈しんしゃく漢文かんぶん大系たいけい25・26、明治めいじ書院しょいん、1983年ねん・1985年ねん。
• 班はん固かた著しる、『漢書かんしょ』
  • 小竹こだけ武夫たけお訳わけ『漢書かんしょ』1から8、筑摩書房ちくましょぼう、ちくま学芸がくげい文庫ぶんこ、1998年ねん。
  • 大庭おおば脩おさむ監修かんしゅう、漢書かんしょ百官ひゃっかん公卿くぎょう表ひょう研究けんきゅう会かい『『漢書かんしょ』百官ひゃっかん公卿くぎょう表ひょう訳注やくちゅう』、朋友ほうゆう書店しょてん、2014年ねん。
  • ウィキソース版ばん『漢書かんしょ』巻まき019
• 司馬しば彪ぴょう著ちょ『続ぞく漢書かんしょ』（『後こう漢書かんしょ』合ごう刻こく）百官ひゃっかん志こころざし四よん