太陽系たいようけい家族かぞく写真しゃしん

太陽系たいようけい家族かぞく写真しゃしん（たいようけいかぞくしゃしん）とは、太陽系たいようけい全体ぜんたい（太陽たいようおよびその惑星わくせい）の姿すがたを一いち枚まいの写真しゃしん（図像ずぞう）に収おさめたもののことである。

これまでに数すう回かい撮影さつえいが試こころみられている。ただし1枚まいの写真しゃしんに太陽系たいようけいを全すべて収おさめることはできないため、複ふく数すう枚まいの写真しゃしんをモザイク状じょうにつなぎあわせることによって太陽系たいようけい全体ぜんたいの姿すがたを再さい構成こうせいする方法ほうほうがとられている。

この図像ずぞうが制作せいさくされた米国べいこくでは（単たんに）「Family Portrait」あるいは「Portrait of the Planets」と呼よんでおり、太陽系たいようけいをひとつの家族かぞくに喩たとえ、その全体ぜんたい写真しゃしんを、家族かぞくのメンバー全員ぜんいんが一緒いっしょにいる姿すがたを一いち枚まいの写真しゃしんにおさめるFamily Portrait（家族かぞく写真しゃしん）に喩たとえた呼称こしょうである。

ボイジャーによる撮影さつえい

1990年ねん2月がつ14日にち、ボイジャー1号ごうが太陽たいようからおよそ60億おくキロ離はなれた地点ちてんから家族かぞく写真しゃしん（ポートレート）を撮影さつえいした。これが史上しじょう初はつの試こころみである。

39枚まいの写真しゃしんからなり、これはボイジャー両機りょうきによって撮影さつえいされた最後さいごの写真しゃしんとなった。地球ちきゅうを指さす「ペイル・ブルー・ドット（薄うすい青あおい点てん）」という言葉ことばは、この時ときに撮影さつえいされた地球ちきゅうの姿すがたが基もととなっている。ボイジャー計画けいかくの画像がぞうチームの一員いちいんで天文学てんもんがく者しゃのカール・セーガンは、この撮影さつえい計画けいかくを実現じつげんするために何なん年ねんも活動かつどうを行おこなった。

ボイジャー1号ごうによって撮影さつえいされた、太陽系たいようけいの「家族かぞく写真しゃしん」（ポートレート）。

太陽系たいようけい家族かぞく写真しゃしんの詳細しょうさい。

この写真しゃしんには6つの惑星わくせいが写うつっている。左ひだりより木星もくせい、地球ちきゅう、金星かなぼし、土星どせい、天王星てんのうせい、そして海王星かいおうせいである。水星すいせいはあまりに太陽たいように近ちかく見みえないため、この距離きょりからはもはや小ちいさな光ひかりの点てんでしかない太陽たいようが写真しゃしんの中心ちゅうしんに置おかれた。火星かせいは太陽たいようの散乱さんらん光こうに邪魔じゃまされボイジャーのカメラでは検出けんしゅつできず、また準じゅん惑星わくせいで撮影さつえい時点じてんでは惑星わくせいに分類ぶんるいされていた冥王星めいおうせいはその小ちいささと、太陽たいようからの距離きょりを考かんがえ撮影さつえいされていない。なお地球ちきゅうが写うつっているフレームには、月つきも写うつっていたことが明あきらかとなっている。

この画像がぞうにおける惑星わくせいは「自然しぜんな外見がいけん」ではない。なぜなら、細部さいぶを可能かのうな限かぎり撮影さつえいするために、個々ここの惑星わくせいの画像がぞうをそれぞれ異ことなったフィルターを使つかいながら、露出ろしゅつを変かえて撮影さつえいしたからである。太陽たいようは科学かがく画像がぞうシステムの撮像さつぞう管かんに与あたえるダメージを防ふせぐために最もっとも暗くらいフィルターを使つかって、可能かのうな限かぎり露出ろしゅつ時間じかんを短みじかくして撮影さつえいされた（ただし、この撮影さつえいによりシャッター機構きこうが歪いがんだ）。各かく惑星わくせいの近接きんせつ写真しゃしんは狭せま角かくのカメラを使つかって撮影さつえいされたが、今回こんかいの画像がぞうの大だい部分ぶぶんは広角こうかくレンズカメラを使つかって撮影さつえいされた。また天王星てんのうせい、海王星かいおうせいは距離きょりが比較的ひかくてき近ちかかったため、露出ろしゅつ時間じかんを長ながくしたことにより撮影さつえい中ちゅうに位置いちが動うごいてしまい、形かたちが崩くずれてしまっている。

この画像がぞうは地球ちきゅうからおよそ40.11天文てんもん単位たんい、黄道こうどうより天頂てんちょう方向ほうこうに傾斜けいしゃ角かく32°の地点ちてんから撮影さつえいされた。2機きあるボイジャーのうち、1号機ごうきが撮影さつえいに選えらばれたのは、太陽系たいようけいの面めんから1号機ごうきが遠とおく離はなれていたのに対たいし、2号機ごうきは太陽系たいようけいの面めんの近ちかくに位置いちしていたこと、また太陽たいようによるまぶしい散乱さんらん光こうに邪魔じゃまされることなく木星もくせいを撮影さつえいできる位置いちにいた事ことなどが理由りゆうである。

メッセンジャーによる撮影さつえい

2010年ねん11月に水星すいせい探査たんさ機きメッセンジャーによって再ふたたび太陽系たいようけいの全体ぜんたい写真しゃしんが撮影さつえいされている。これは34枚まいの写真しゃしんから構成こうせいされており、ボイジャーの時ときとは違ちがい、太陽系たいようけいの内側うちがわから撮影さつえいされた。

メッセンジャーによって撮影さつえいされた太陽系たいようけい家族かぞく写真しゃしん。

今回こんかいは水星すいせいも撮影さつえいされているが、天王星てんのうせいと海王星かいおうせいに関かんしては、あまりに遠とおすぎるため、最長さいちょう10秒間びょうかんの露出ろしゅつを行おこなっても検出けんしゅつできなかった。また準じゅん惑星わくせいの冥王星めいおうせいに関かんしても、あまりに遠とおく、また非常ひじょうに小ちいさいため、撮影さつえいしても検出けんしゅつはできなかっただろうと推測すいそくされている。

関連かんれん資料しりょう

• 英国えいこく放送ほうそう協会きょうかい：The Planets, episode eight: Destiny

参考さんこう文献ぶんけん

『太陽系たいようけいグランドツアー』ニュートンプレス、1991年ねん6月がつ

外部がいぶリンク

• NASA: Visible Earth
• Planetary Society: Voyager's Last View
• NSSDC Photo Gallery: Solar System Family Portrait
• "Voyager Family Portrait" Planets and description