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子宮しきゅう筋腫きんしゅ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
子宮しきゅう筋腫きんしゅ
1. 漿膜筋腫きんしゅ、2. すじそうない筋腫きんしゅ、3. 粘膜ねんまく筋腫きんしゅ
概要がいよう
診療しんりょう 腫瘍しゅようがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 D25
ICD-9-CM 218.9
OMIM 150699
DiseasesDB 4806
eMedicine radio/777
Patient UK 子宮しきゅう筋腫きんしゅ
MeSH D007889

子宮しきゅう筋腫きんしゅ(しきゅうきんしゅ、uterine fibroids)とは、子宮しきゅうすじそう存在そんざいする平滑へいかつすじ細胞さいぼう由来ゆらい良性りょうせい腫瘍しゅようである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

生殖せいしょく年齢ねんれい女性じょせいのうち20%の割合わりあい発生はっせいするが、悪性あくせいするのは0.5%以下いかである。30だい以上いじょうこうはっ[1]45さいまでに女性じょせいやく70%に発生はっせいする[2]

子宮しきゅうかべ構成こうせいする3つのそうにおける存在そんざい部位ぶいによって、粘膜ねんまく筋腫きんしゅ子宮しきゅう内側うちがわ子宮しきゅう腔)り)、すじそうない筋腫きんしゅ子宮しきゅうかべにくなか)、漿膜筋腫きんしゅ子宮しきゅう外側そとがわり)に分類ぶんるいされる。また、子宮しきゅう頸部位置いちにできるものは頸部筋腫きんしゅばれる。半数はんすう以上いじょう子宮しきゅう筋腫きんしゅ多発たはつせい複数ふくすうかたまり発生はっせいする)である。

子宮しきゅう筋腫きんしゅエストロゲン依存いぞんせい良性りょうせい疾患しっかんであるため、閉経へいけいこう縮小しゅくしょうするので、外科げかてき処置しょちをしないことがおおい。エストロゲン依存いぞんせい疾患しっかんとして、ほかに乳腺にゅうせんしょう乳癌にゅうがん子宮しきゅうないまくしょう子宮しきゅうせんすじしょう子宮しきゅうないまく増殖ぞうしょくしょう子宮しきゅうたいがんなどがられている。とく子宮しきゅうないまくしょう子宮しきゅうせんすじしょう合併がっぺいれいおおく、月経げっけい困難こんなんしょう合併がっぺいをみることがある。子宮しきゅうないまくしょう合併がっぺいやく20%である。

症状しょうじょう[編集へんしゅう]

ほんしょう半数はんすう以上いじょう症候しょうこうせいである。また悪性あくせいきわめてまれであるためとく医学いがくてき介入かいにゅう必要ひつようがないことがほとんどである。子宮しきゅう筋腫きんしゅ症状しょうじょう存在そんざい部位ぶいによって決定けっていされ、おおきさに相関そうかんしないことがおおい。子宮しきゅう筋腫きんしゅ悪性あくしょうはしないが、まれ筋腫きんしゅ腫瘍しゅよう判断はんだんつら場合ばあいがある。

粘膜ねんまく筋腫きんしゅ
不正ふせい性器せいき出血しゅっけつ月経げっけい困難こんなんしょう不妊症ふにんしょう原因げんいんとなることがある[1]性器せいき出血しゅっけつ結果けっか貧血ひんけつになったり、筋腫きんしゅ巨大きょだいになると筋腫きんしゅ分娩ぶんべん子宮しきゅうない筋腫きんしゅがって子宮しきゅう頸管からちつへと脱出だっしゅつした状態じょうたい)がこることもある。
漿膜筋腫きんしゅすじそうない筋腫きんしゅ
巨大きょだいになると周辺しゅうへん臓器ぞうき圧迫あっぱくして症状しょうじょうしょうじることがある[1]尿にょうかん膀胱ぼうこう直腸ちょくちょうこし仙骨せんこつ神経しんけいくさむら圧迫あっぱくすることで、みずじんしょう排尿はいにょう障害しょうがい便秘べんぴ腰痛ようつうこすこともある。

原因げんいん[編集へんしゅう]

筋腫きんしゅができる原因げんいんははっきりとはかっていない。しかし、卵巣らんそうから分泌ぶんぴつされる女性じょせいホルモンによって筋腫きんしゅおおきくなることはかっている[3]

診断しんだん治療ちりょう[編集へんしゅう]

ちょう音波おんぱ検査けんさMRI子宮しきゅうきょうによって観察かんさつされる。とくにMRIによる診断しんだんられる情報じょうほうおおい。子宮しきゅう筋腫きんしゅ基本きほんてきにはT1WIにてていとう信号しんごう、T2WIにててい信号しんごうていしている。子宮しきゅう筋腫きんしゅない血行けっこう障害しょうがいがあるため、筋腫きんしゅ充血じゅうけつしやすく、硝子がらす嚢胞のうほう石灰せっかい脂肪しぼう変性へんせい壊死えしといったせい変化へんかこすため、様々さまざま信号しんごうとなることがられている。しゅこぶみちが8cmをえると悪性あくせい可能かのうせいてくる。

MRIにて悪性あくせい所見しょけんがなく、しゅこぶみちが8cm以下いかであり、症状しょうじょうがなく、筋腫きんしゅ増大ぞうだい傾向けいこうみとめなければ、6カ月かげつごと定期ていき検診けんしん十分じゅうぶんなことがおおい。

治療ちりょう[編集へんしゅう]

症状しょうじょう
症状しょうじょうがある場合ばあい治療ちりょう必要ひつようがある[1]。6カ月かげつまたは12カ月かげつごとに、悪性あくせい有無うむ判別はんべつするため経過けいか観察かんさつ必要ひつよう[2]
症状しょうじょう
治療ちりょうほうは、きょ希望きぼうがあればGnRHアナログ投与とうよ筋腫きんしゅ縮小しゅくしょうをしたあと筋腫きんしゅかくじゅつきょ希望きぼうがなかったり悪性あくせい所見しょけんられた場合ばあい単純たんじゅん子宮しきゅうぜん摘術をおこな[4]筋腫きんしゅかくじゅつはらしき開腹かいふく)、ちつしき腹腔ふくこうきょうした子宮しきゅうきょうといったやりかたがある。子宮しきゅうきょう長径ちょうけい3cm程度ていど粘膜ねんまく筋腫きんしゅてきしている。手術しゅじゅつによっては次回じかい分娩ぶんべん帝王切開ていおうせっかいになることがある。なお、手術しゅじゅつ以外いがい治療ちりょうほうとしては子宮しきゅう動脈どうみゃくふさがせんじゅつ[4]集束しゅうそくちょう音波おんぱ療法りょうほうなどがられている。

画像がぞう診断しんだんがく[編集へんしゅう]

子宮しきゅう筋腫きんしゅ子宮しきゅうせんすじしょう治療ちりょうことなるため、画像がぞうによる鑑別かんべつ重要じゅうようである。子宮しきゅう筋腫きんしゅこう頻度ひんど変性へんせいをきたすが、あくまでもT2WIでは境界きょうかい明瞭めいりょうてい信号しんごうしゅこぶである。どちらもT2WIにててい信号しんごうであるが、子宮しきゅうせんすじしょうではすじそうあつく、前後ぜんご非対称ひたいしょうとなることがおおく、T2WIで境界きょうかい不明瞭ふめいりょうてい信号しんごういきふる出血しゅっけつ)のなかこう信号しんごういきあたらしい出血しゅっけつ)がられるのにたいして、子宮しきゅう筋腫きんしゅ巨大きょだいにならないかぎ全体ぜんたいてき子宮しきゅう変形へんけいともなわず、境界きょうかい明瞭めいりょうなT2WIでのてい信号しんごういきとしてみとめられるのが典型てんけいてきである。子宮しきゅうないまくしょう(チョコレートのうほう)の合併がっぺい有無うむ参考さんこうになる。チョコレートのうほう典型てんけいはT1WIにてこう信号しんごう、T2WIにててい信号しんごうかT1WI、T2WIどちらでもこう信号しんごうとなる。T1WIにてこう信号しんごうとなるのは、メトヘモグロビンに起因きいんするとされている。T2WIでのてい信号しんごうはshadingとばれる。こう信号しんごう混在こんざいすることもあれば、全体ぜんたいてい信号しんごうとなることもある。これは壊死えし物質ぶっしつによる性状せいじょう変化へんかである。

子宮しきゅう筋腫きんしゅのよくられる変性へんせいのパターンをしめす。T2WIにててい信号しんごうしめ筋腫きんしゅとしては変性へんせいすくない状態じょうたい、ヒアリン変性へんせい石灰せっかい重要じゅうようである。

  T1強調きょうちょう画像がぞう 造影ぞうえいT1強調きょうちょう画像がぞう
変性へんせいすくない状態じょうたい とう信号しんごう けい中等ちゅうとう
ヒアリン変性へんせい とう信号しんごう 造影ぞうえいなし
石灰せっかい 信号しんごう 造影ぞうえいなし

T2WIにてこう信号しんごうていする変性へんせいとしては、浮腫ふしゅ粘液ねんえきせい変性へんせい嚢胞のうほう変性へんせい赤色あかいろ変性へんせい、cellular leinomyoma,lipoleiomyomaがられている。

  T1強調きょうちょう画像がぞう 造影ぞうえいT1強調きょうちょう画像がぞう
浮腫ふしゅ とう信号しんごう 中等ちゅうとう高度こうど
粘液ねんえき変性へんせい ていとう信号しんごう 造影ぞうえいなし~軽度けいど
嚢胞のうほう変性へんせい ていとう信号しんごう 造影ぞうえいなし
赤色あかいろ変性へんせい あたりえんだか信号しんごう 造影ぞうえいなし
cellular leinomyoma とう信号しんごう 高度こうど
lipoleiomyoma こう信号しんごう 脂肪しぼう以外いがい中等ちゅうとう

その重要じゅうよう所見しょけんとしてはsignal voidなどがげられる。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 子宮しきゅう筋腫きんしゅ 日本にっぽん産科さんか婦人ふじん学会がっかい
  2. ^ a b 子宮しきゅう筋腫きんしゅ MSDマニュアル プロフェッショナルばん
  3. ^ 子宮しきゅう筋腫きんしゅ”. Medical Note (2020ねん6がつ17にち). 2023ねん2がつ24にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 子宮しきゅう筋腫きんしゅ 日本にっぽん婦人ふじん腫瘍しゅよう学会がっかい

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]