宗そう愨

宗そう愨（そう かく、生年せいねん不ふ詳しょう - 永光ながみつ元年がんねん6月14日にち（465年ねん7月がつ22日にち））は、南朝なんちょう宋そうの軍人ぐんじん。字じは元もと幹みき。本ほん貫ぬきは南陽なんよう郡ぐん。

経歴けいれき

年少ねんしょうのとき、叔父おじの宗そう炳に志望しぼうを問とわれて、宗そう愨は「願ねがわくは長なが風ふうに乗のり万まん里さとの浪なみを破やぶらん」と答こたえた。宗そう炳は「汝なんじは富貴ふうきせず、即すなわち我わが家やを破やぶらんかな」と評ひょうした。宗そう愨は14歳さいのとき、はじめて反乱はんらん討伐とうばつに従軍じゅうぐんした。元げん嘉よしみ9年ねん（432年ねん）、江夏えなつ王おう劉りゅう義よし恭きょうが征せい北きた将軍しょうぐん・南みなみ兗州刺史ししとなると、宗そう愨はその下したで広陵こうりょうに駐屯ちゅうとんした。従兄じゅうけいの宗むね綺あやぎぬが征せい北府きたご主ぬし簿ぼとして宿直しゅくちょく勤務きんむしていたとき、給きゅう吏の牛ぎゅう泰やすしが宗そう綺あやぎぬの妾わらわと私わたし通とおしたため、宗そう愨は牛ぎゅう泰やすしを殺害さつがいした。

元げん嘉よしみ22年ねん（445年ねん）、宋そうが林はやし邑を征伐せいばつすると、宗そう愨は自みずから志願しがんして従軍じゅうぐんした。振ふ武将ぶしょう軍ぐんの号ごうを受うけ、安西あんざい参さん軍ぐん蕭しょう景憲かげのりの軍ぐん副そいをつとめ、交州刺史しし檀だん和之かずゆきの下したで区く粟あわ城じょうを包囲ほういした。林はやし邑が将軍しょうぐんの范毗沙すな達たちを派遣はけんして区く粟あわ城じょうを救すくうべく来援らいえんすると、檀だん和之かずゆきは偏へん軍ぐんを派遣はけんしてこれをはばもうとしたが敗やぶれた。このため宗むね愨が派遣はけんされると、宗そう愨は軍ぐんを数かず道どうに分わけ、旗はたを伏ふせてひそかに進軍しんぐんし、范毗沙すな達たちを撃破げきはした。宋そう軍ぐんは区く粟あわ城じょうを陥落かんらくさせ、象ぞう浦うらに入はいった。林はやし邑王范陽邁2世せいは麾下きかの全ぜん軍ぐんと象ぞう兵へいを動員どういんして宋そう軍ぐんの進撃しんげきを止とめようとした。宗そう愨は「吾われは師し子こが百獣ひゃくじゅうを威服いふくせしむと聞きく」といい、獅子ししの形かたちをかたどったものを立たてて防禦ぼうぎょさせると、象ぞうは驚おどろいて逃走とうそうし、林はやし邑の兵へいは混乱こんらんして敗走はいそうした。宋そう軍ぐんは林はやし邑国都とを陥落かんらくさせ、大量たいりょうの珍宝ちんぽう雑ざつ資しを略奪りゃくだつしたが、宗そう愨はひとつも手てをつけることなく、文ぶん帝みかどを感心かんしんさせた。

後のちに宗そう愨は隨ずい郡ぐん太守たいしゅとなった。雍州の少数しょうすう民族みんぞくたちが郡ぐん県けんを侵おかすと、沈慶之のが宗むね愨や柳やなぎ元もと景けいらの諸しょ将しょうを率ひきいて攻撃こうげきし、これを撃破げきはした。また南新みなみしん郡ぐんの少数しょうすう民族みんぞくの首長しゅちょうの田彦たびこ生せいが部ぶ衆しゅを率ひきいて反乱はんらんを起おこし、郡ぐん城じょうを焼やいて白楊はくよう山やまに拠よった。柳やなぎ元もと景けいがこれを攻せめたが下くだせず、宗そう愨が部下ぶかを率ひきいて先頭せんとうに立たって戦たたかうと、反乱はんらんを鎮圧ちんあつすることができた。元げん嘉よしみ30年ねん（453年ねん）3月がつ、劉りゅう劭を討うつべく武たけ陵りょう王おう劉りゅう駿しゅんが起おこり兵へいすると、宗そう愨は南中なんちゅう郎ろう諮はか議ぎ参さん軍ぐんとなり、中ちゅう兵へいを兼かねた。4月、劉りゅう駿しゅん（孝こう武たけ帝みかど）が即位そくいすると、宗そう愨は左ひだり衛まもる将軍しょうぐんの号ごうを受うけ、洮陽侯こうに封ふうじられた。7月、広州こうしゅう刺史ししに任にんじられた。孝こう建けん3年ねん（456年ねん）2月がつ、平ひら西にし将軍しょうぐん・監かん五ご州しゅう諸しょ軍事ぐんじ・豫よ州しゅう刺史ししとなった。

大明だいめい3年ねん（459年ねん）、竟陵王おう劉りゅう誕が広陵こうりょうに拠よって反乱はんらんを起おこすと、宗そう愨は建たて康やすしを訪おとずれて討伐とうばつを志願しがんした。孝こう武たけ帝みかどがこれを許ゆるすと、宗そう愨は沈慶之のの下したで従軍じゅうぐんした。反乱はんらんが平定へいていされると、宗そう愨は入朝にゅうちょうして左ひだり衛まもる将軍しょうぐんとなった。大明だいめい5年ねん（461年ねん）、落馬らくばして足あしを骨折こっせつし、朝あさ勤つとむに耐たえられないため、職しょく任にんを退しりぞいて光ひかり禄ろく大夫たいふとなり、さらに金きむ紫むらさき光こう禄ろく大夫たいふの位いを加くわえられた。宗そう愨は良質りょうしつの牛うしを保有ほゆうしており、官かんが買かい上あげようとしたが売うるのを認みとめなかったため、罪つみに問とわれて免官めんかんされた。大明だいめい6年ねん（462年ねん）9月がつ、中なか護まもる軍ぐんとして官かんに復帰ふっきした。大明だいめい8年ねん（464年ねん）7月がつ、寧やすし蛮校尉じょう・雍州刺史ししに任にんじられ、都みやこ督ただしの任にんを加くわえられた。

永光ながみつ元年がんねん6月がつ乙おつ亥い（465年ねん7月がつ22日にち）、死去しきょした。征せい西にし将軍しょうぐんの位いを追贈ついぞうされた。諡おくりなは粛侯といった。

子こに宗そう羅ら雲くもがあった。

伝記でんき資料しりょう

• 『宋そう書しょ』巻まき76 列伝れつでん第だい36
• 『南みなみ史し』巻まき37 列伝れつでん第だい27