太守たいしゅ

太守たいしゅ（たいしゅ）は、中国ちゅうごくにおいては郡ぐんの長官ちょうかんのことで、単たんに守もりとも呼よばれた。尊称そんしょうとして「明あきら府ふ」または「府ふ君くん」と呼よばれる。秦はた代だいに置おかれた郡こおり守まもるを改称かいしょうしたもので、前漢ぜんかん中期ちゅうきから南北なんぼく朝あさ時代じだいの隋ずいに置おかれた。唐とう代だいの後期こうきから五ご代だいになると太守たいしゅの称号しょうごうは使つかわれなくなり、のち宋朝そうちょうの知ち府ふ事ごと、明朝みょうちょう、清朝せいちょうの知ち府ふの別称べっしょうとして用もちいられた。

転てんじて以下いかのように用もちいられている。

日本にっぽん史し

日本にっぽんでは、時代じだいによって以下いかの者ものをさした。

• 平安へいあん時代じだい - 親王しんのう任国にんごくの常陸ひたち国こく・上総かずさ国こく・上野うえの国こくの国司こくし（守まもり）に任命にんめいされた親王しんのう
• 鎌倉かまくら時代ときよ - 北条ほうじょう氏しの得とく宗むね・奥州おうしゅう総そう奉行ぶぎょう（葛西かさい氏し）
• 室町むろまち時代ときよ - 守護しゅご大名だいみょう（特とくに複数ふくすうの守護しゅご職しょくをかねる者もの）
• 江戸えど時代じだい - 国主こくしゅ大名だいみょう

訳語やくごとしての用例ようれい

その他た、以下いかの例れいを初はじめとする、歴史れきし上じょうの諸しょ国家こっかにおける地方ちほう行政ぎょうせい長官ちょうかんの官職かんしょく名めいの訳語やくごとして用もちいられる。

• アケメネス朝あさペルシア、およびアレクサンドロス帝国ていこくやヘレニズム諸国しょこくといったその後継こうけい国家こっかにおけるサトラップ。
• アイルランド卿きょうをアイルランド太守たいしゅと訳やくすことがある。この場合ばあいは官職かんしょく名めいより君主くんしゅ号ごうに近ちかい。
• 東ひがしロろーマ帝国まていこくにおけるエグザルホスを地方ちほう太守たいしゅと訳やくすことがある。
• ロシア帝国ていこくにおける総督そうとく（管轄かんかつ地域ちいきによりゲネラール＝グベルナートルもしくはナメストニク）。
• クロアチア・スラボニアにおけるバン。
• ムガル帝国ていこくの諸しょ州しゅうにおかれたナワーブ。のち、18世紀せいきに帝国ていこくから独立どくりつしたアワド地方ちほう、ベンガル地方ちほうなどの地方ちほう政権せいけんの君主くんしゅ号ごうとしてもナワーブの称号しょうごうは用もちいられた（カルナータカ太守たいしゅ、ベンガル太守たいしゅなど）。
• オスマン帝国ていこくの北きたアフリカの地域ちいきにおかれたデイ
• イスラム国家こっかにおけるアミール
• ウィリアム・シェイクスピアの戯曲ぎきょく『ロミオとジュリエット』に登場とうじょうする Prince of Verona を「ヴェローナの太守たいしゅ」と訳やくした例れいがある。

関連かんれん項目こうもく

• 龍造寺りゅうぞうじ隆信たかのぶ - 「五ご州しゅう二に島とうの太守たいしゅ」と称しょうした。