小豆しょうず雑煮ぞうに

小豆しょうず雑煮ぞうに（あずきぞうに）は、鳥取とっとり県けん、島根しまね県けんなどの郷土きょうど料理りょうり。小豆あずきの煮にたものに餅もちを入いれた雑煮ぞうにである。

概要がいよう

見みた目めはぜんざい、汁粉しるこに似にるが、比較ひかくすると小豆あずき雑煮ぞうにの甘あまさはあっさりとしている。島根しまねと鳥取とっとりを比較ひかくした場合ばあい、鳥取とっとりの小豆あずき雑煮ぞうにのほうがよりぜんざいや汁粉しるこに近ちかい。

今日きょうでは小豆あずき雑煮ぞうにの甘あまさも強つよめになり、ぜんざいとの差異さいはほとんどなくなっている。また、材料ざいりょうと作つくり方かたは同おなじである。

小豆あずきが使用しようされるようになった経緯けいいは定さだかではないが、古来こらいより小豆あずきの赤色あかいろに邪気じゃきを払はらう力ちからがあるとされていたため、ハレの日ひの食材しょくざいとして用もちいられてきたことと関係かんけいがあるのではないかと考かんがえられている。

出雲いずも地方ちほうの旧暦きゅうれき10月がつは、全国ぜんこくから神かみ々が集あつまる神在かみあり月がつと呼よばれるが、この時期じきに催もよおされる神事しんじ「神在かみあり祭さい」では、「神在かみあり（じんざい）餅もち」として、小豆しょうず雑煮ぞうにが振ふる舞まわれた。この神在かみあり餅もちが「ぜんざい」の語源ごげんになったとする説せつがある。

京都きょうと府ふ北部ほくぶの丹後たんご地方ちほうや岡山おかやま県けんの一部いちぶでも小豆あずき雑煮ぞうには食しょくされている。

臼杵きゅうしょ藩はん（現げん・大分おおいた県けん臼杵きゅうしょ市し）藩士はんし國枝くにえだ外がい右みぎ馬ばが書かき残のこした『国枝くにえだ外がい右みぎ馬ば江戸詰えどづめ中日ちゅうにち記き』には正月しょうがつ7日にちの昼ひるは小豆あずき雑煮ぞうにとするよう言いわれた旨むねの記述きじゅつがある。今日きょうの臼杵きゅうしょでは小豆あずき入いりの雑煮ぞうには食しょくされておらず、ここで記述きじゅつされた「小豆あずき雑煮ぞうに」がいかなるものだったかは不明ふめいである。

鳥取とっとり県けん

鳥取とっとり県けんでは、小豆しょうず雑煮ぞうにには丸まる餅もちを使用しようすることが主流しゅりゅうである。三朝みささ町まちでは栃とち餅もちを入いれる。

小豆あずきの煮汁にじるが多おおいもの、煮汁にじるは少すくなく小豆あずきが多おおいものと様々さまざまであり、少数しょうすうではあるが砂糖さとうで甘あまくするのではなく塩味しおあじにすることもある。

大山おおやま山麓さんろく地域ちいきでは正月しょうがつ三さんが日にちで小豆あずき雑煮ぞうにを食しょくするが、小豆しょうず雑煮ぞうには元旦がんたんのみで2日にちめ以降いこうは別べつの雑煮ぞうににする地域ちいきもある。

鳥取とっとり県けんでも山間さんかん部ぶでは小豆あずき雑煮ぞうにではなく、醤油じょうゆ仕立したてや味噌みそ仕立したての雑煮ぞうにを食しょくするところも多おおい。

江戸えど時代じだい後期こうきの鳥取とっとり地域ちいきを統括とうかつしていた大だい庄屋しょうやが残のこした記録きろくに、正月しょうがつに食たべたものとして「元旦がんたん朝あさ、小豆しょうず雑煮ぞうに」と記しるされていたため、遅おそくともこの頃ころには小豆あずき雑煮ぞうにが食たべられていたことが分わかるが、いつ頃ごろに始はじまったのかは定さだかではない。

島根しまね県けん

島根しまね県けんでは、小豆しょうず雑煮ぞうにには丸まる餅もちを使用しようする。主おもに松江まつえ市し、平田ひらた市し（現げん・出雲いずも市し）で食しょくされている雑煮ぞうにである。

元旦がんたんには、岩いわ海苔のりが入はいったすまし汁じるの雑煮ぞうにを食たべ、2日にちめから小豆あずき雑煮ぞうにを食たべる地域ちいきもある。

上述じょうじゅつのように出雲いずも地方ちほうでは旧暦きゅうれき10月がつにも神在かみあり餅もちとして食しょくされる。

島根しまね県けん東部とうぶと隠岐諸島おきしょとうではすまし汁じるの雑煮ぞうにに花はなかつおと雑煮ぞうに用ようの海苔のり（岩いわ海苔のりを餅もち用ように加工かこうした海苔のり）を乗のせる。県けん西部せいぶではすまし汁じるの雑煮ぞうにに黒豆くろまめを乗のせ、山間さんかん部ぶではすまし汁じるの雑煮ぞうにに豆腐とうふ、コンニャク、蕪かぶらなどを入いれていた。餅もちはいずれも丸まる餅もちを焼やかずに使用しようする。

石川いしかわ県けん

石川いしかわ県けん能登のと地方ちほうで小豆あずき雑煮ぞうにが食しょくされている。

関連かんれん項目こうもく

• 汁粉しるこ
• ぜんざい