山本やまもと裕之ひろゆき

山本やまもと 裕之ひろゆき（やまもと ひろゆき、Hiroyuki Yamamoto、1967年ねん3月7日にち - ）は、日本にっぽんの現代げんだい音楽おんがくの作曲さっきょく家か。山形やまがた県けん生うまれ。

略歴りゃくれき

東京芸術大学とうきょうげいじゅつだいがく作曲さっきょく科か卒業そつぎょう、同どう大学院だいがくいん修了しゅうりょう。作曲さっきょくを近藤こんどう譲ゆずると松下まつした功いさおに師事しじ。岩手大学いわてだいがく教育きょういく学部がくぶ准じゅん教授きょうじゅをつとめ、現在げんざい愛知県立芸術大学あいちけんりつげいじゅつだいがく音楽学部おんがくがくぶ作曲さっきょくコース教授きょうじゅ。第だい58回かい日本にっぽん音楽おんがくコンクール第だい三さん位い(1989)、フォーラム'91(カナダ/1991)入選にゅうせん、ガウデアムス国際こくさい音楽おんがく週間しゅうかん'94(オランダ/1994)入選にゅうせん、現げん音おと作曲さっきょく新人しんじん賞しょう(1996)、BMW musica viva作曲さっきょく賞しょう(ドイツ/1998)第だい三さん位い、ISCM世界せかい音楽おんがくの日々ひび(ルクセンブルク/2000、横浜よこはま/2001)入選にゅうせん、武満たけみつ徹とおる作曲さっきょく賞しょう第だい一いち位い(2002)、第だい13回かい芥川あくたがわ作曲さっきょく賞しょう(2003)ほか、様々さまざまなコンクールや音楽おんがく祭さいに入賞にゅうしょう、入選にゅうせん。2002年ねん第だい51回かい神奈川かながわ文化ぶんか未来みらい賞しょう受賞じゅしょう。

作風さくふう

音楽おんがくにおける「あいまいさ」を曲きょく中ちゅうで明解めいかいに定義ていぎする独自どくじのスタンスを誇ほこっている。活動かつどう初期しょきは認知にんち心理しんり学がく的てきなアプローチが1990年代ねんだい初頭しょとうの「東京とうきょうコンチェルト」から非常ひじょうに強つよく作用さようしていたが、「私わたしは傾斜けいしゃする」を書かき始はじめた辺あたりから「個人こじん的てきな音色ねいろ」への探求たんきゅうへ積極せっきょく的てきに乗のり出だして行いった。「彼方かなたと此方こちら」、「テレプシコーレ舞踏ぶとう者しゃ」では近藤こんどう譲ゆずるの「高こう窓まど」やルチアーノ・ベリオの「静物せいぶつ」で聞きかれる構成こうせい音おんを巧たくみにずらしながら留とまり続つづける和声わせいを使つかうが、「彼方かなたと此方こちら」では弦楽器げんがっきのハーモニクスは冒頭ぼうとうに弦つる指定していが存在そんざいせず、「テレプシコーレ舞踏ぶとう者しゃ」ではハーフペダルの多用たようで共鳴きょうめいが混濁こんだくする。

曲きょくがあいまいになってゆくのを楽たのしむ趣向しゅこうがうかがえるが、終止しゅうしに至いたるプロセスは比較的ひかくてき穏健おんけんで大おおげさなクライマックスはあまり見みられない。比較的ひかくてき稠密ちゅうみつな音おと価かを用もちいる1990年代ねんだいのイメージから離はなれ、2000年代ねんだい以降いこうは「水みずの音おと」や「運命うんめいのひととき」のように従来じゅうらいの彼かれからは考かんがえられなかった平易へいいさや単純たんじゅんさも織おり込こみ、作風さくふうの幅はばが拡大かくだいした。近年きんねんはユーフォニアムの奏法そうほう拡張かくちょうによっても知しられている。作品さくひんはBabelscoresから販売はんばいされている。

インターネットを用もちいた情報じょうほう発信はっしんを1990年代ねんだいから始はじめ、現在げんざいも継続けいぞくしている。作品さくひんはLe Nouvel Ensemble Moderne、Ensemble contemporain de Montréal、Trio Fibonacci(以上いじょうモントリオール)、Nieuw Ensemble(アムステルダム)、バイエルン放送ほうそう交響こうきょう楽団がくだん(ミュンヘン)、ルクセンブルク管弦楽かんげんがく団だん、東京とうきょうフィルハーモニー交響こうきょう楽団がくだんなど国内外こくないがいの演奏えんそう団体だんたいにより演奏えんそう、放送ほうそうされるほか、作品さくひん委嘱いしょくも多数たすう。1990年ねんより作曲さっきょく家集かしゅう団だん《TEMPUS NOVUM》を鈴木すずき治おさむ行ぎょう、田中たなか吉よし史ふみ、田村たむら文生ふみおらと結成けっせいし、独自どくじの活動かつどうを展開てんかいしている。

主要しゅよう作品さくひん

オペラ

• Imaginative Landscape (無む伴奏ばんそうモノ・オペラ《想像そうぞう風景ふうけい》), Unaccompanied Mono-Opera for female voice with mobile-phone and flexatone (2000)

オーケストラ

• Interlude (間奏かんそう曲きょく) for string orchestra (1990)
• Canticum Tremulum I (カンティクム・トレムルム I) (1998)
• Trumpet Lilies (トランペット・リリース) for solo trumpet and band (2000)
• Canticum Tremulum II (カンティクム・トレムルム II) (2001)
• Tabulata (層そう) (2003)
• The Monody Community (モノディ協同体きょうどうたい) (2005)
• Excellent Inverted V (見事みごとな逆ぎゃくＶ字じ) for wind orchestra (2006)
• バビロンの流ながれを変かえよ for wind orchestra (2007)
• インケルタエ・セディス for string orchestra (2010)

合唱がっしょう

• Takashi for mixed chorus and piano (2004); words by Tomohisa Matsuura
• The Champa Flower (チャムパの花はな) for double mixed chorus and piano (2004); words by Rabindranath Tagore
• Rouroutei no Uta (労労ろうろう亭ていの歌うた) for vocal ensemble and piano (2004); words by Libai = Tomohisa Matsuura
• Kenji-Sai (賢治けんじ祭さい) for vocal ensemble (2004); words by Machi Tawara
• Sonor Aquae (水みずの音おと) for vocal ensemble (2006); words by Matsuo Bashō

声楽せいがく

• Sonitus Ambiguus II (ソニトゥス・アンビグースII) for female voice, saxophone and piano (1996)
• Umi-no Mieru Fukei (海うみの見みえる風景ふうけい) for mezzo-soprano and piano (2005); words by Yukari Kojima

室内楽しつないがく

• Closed Figure (閉とざされた形かたち) for viola, violoncello, flute, clarinet, harp and percussion (1988–1989)
• Klanglinie (響ひびきの輪郭りんかく) for violin, cello, flute, clarinet, piano and percussion (1989)
• Sonitus Ambiguus I (ソニトゥス・アンビグースI) for string quartet (1995)
• Continental Shelf (大陸棚たいりくだな) for solo tuba (1996)
• Integumentum (インテグメントゥム) for soprano saxophone and cowbells (1996)
• Concertino per trombe con sordini (弱音よわね器き群ぐんを伴ともなうトランペット合奏がっそうのための小しょう協奏曲きょうそうきょく) for solo trumpet, 3 trumpets, 2 cornets (1997)
• Eve I for string quartet (1997)
• Tropic of Cancer (北回帰線きたかいきせん) for violin, viola, bass, alto flute, bassoon, trumpet and percussion (1997)
• Articulation Introverted (内向ないこう的てきなアーティキュレーション) for cello, trumpet and percussion (1998)
• Introduzione, Andante, Finale e Scherzo (序奏じょそう、アンダンテ、スケルツォと終曲しゅうきょく) for cello, flute, clarinet and piano (1998)
• Relay Trio (中継ちゅうけいのトリオ) for violin, viola and flute (1999)
• Rite Praet, Praesens, Futurus (昨日きのう、今日きょう、明日あした) for flauto traverso and flute (1999)
• Noli me tangere (私わたしに触ふれてはいけません) for solo alto saxophone, violin, viola, cello, bass, flute, clarinet, trumpet, trombone and percussion (2000)
• Inclino (私わたしは傾斜けいしゃする) for alto saxophone, violin, musical saw and piano (2000)
• Relay Duo (中継ちゅうけいのデュオ) for violin and percussion (2000)
• Theme and 23 Variations (主題しゅだいと23の変奏へんそう) for violin and piano (2000)
• Ultro citroque (彼方かなたと此方こちら) for violin, cello and piano (2001)
• Boundaries on Africa (アフリカの境界きょうかい) for trumpet, guitar and piano (2001)
• Liber vermiculatus (蝕べかけの本ほん) for zephyros and piano (2001)
• Matsumorphosis (まつもるふぉしす) for solo violin (2001)
• Textile Texts (テクスタイル・テクスツ) for clarinet and viola (2001)
• Eve II for violin and cello (2001)
• Le Dieu de Samuel (サミュエルの神かみ) for flute, percussion, nohkan and Japanese drums (2002)
• Fareflat (フェアフラット) for accordion, saxophone and bass (2002–2005)
• Japan Sea Monody (日本海にほんかいモノディ) for violin and trumpet (2004)
• What Bridget Saw (ブリジットの見みたもの) for alto saxophone, oboe, clarinet, bass clarinet and bassoon (2005)
• Strait (海峡かいきょう) for violin, cello, flute and piano (2005)
• Fault Zone (断層だんそう帯たい) for violin, cello, flute, oboe, trombone, vibraphone and percussion (2005)
• Conveying Chorale (伝達でんたつコラール) for 8 trombones (2006)
• The Wedge Is Struck, the Fog Remains (楔くさびを打ぶてど、霧きりは晴はれず) for clarinet and piano (2006)

ピアノ

• Tokyo Concerto (東京とうきょうコンチェルト) (1993)
• Forma (フォールマ) (1996); won the prize at the 13th contest of the Japanese Society for Contemporary Music (ISCM Japanese section)
• Pars lunae (月つきの役割やくわり) (1999)
• Salta Trix e Terpsichore (テレプシコーレ舞踏ぶとう者しゃ) (2000)
• Origo pedum I (足あしの起源きげんI) (2002)
• Origo pedum II (足あしの起源きげんII) (2004)
• Musique pour Haus Kasuya (ハウス・カスヤのための音楽おんがく) (2005)
• Tokyo Dance (東京とうきょう舞曲ぶきょく) (2010)

外部がいぶリンク

• 公式こうしきサイト
• 音おとヲ遊ゆうブ