御ご典てん医い

御ご典てん医い（ごてんい）とは、典薬てんやく寮りょうに所属しょぞくする医師いしのことであり、単たんに典てん医いともいう。転てんじて、江戸えど時代じだいには将軍家しょうぐんけや大名だいみょうに仕つかえた医師いしもこの名称めいしょうで呼よぶようになった。この場合ばあい、御殿ごてん医いと表記ひょうきすることもある。

典薬てんやく寮りょう医師いしという意味いみでの御ご典てん医いは、名誉めいよ職しょくであった典薬てんやく頭あたまを除のぞき、実際じっさいに天皇てんのうの治療ちりょうに携たずさわる医師いしのことを指さした。近世きんせいでは優秀ゆうしゅうな民間みんかん医いが典てん医いに登用とうようされると同時どうじに官位かんいを与あたえられ、地下ちか人じんの身分みぶんとなるケースがほとんどを占しめた。

一方いっぽう、武家ぶけの御ご典てん医いは、将軍しょうぐんや藩主はんしゅと身近みぢかに接せっする立場たちばで、武士ぶしに準じゅんずる身分みぶんであった。なお、幕府ばくふの御ご典てん医いは奥おく医師いし、藩はんのは藩はん医いと呼よばれていた。

関連かんれん項目こうもく

• 桂川かつらがわ甫はじめ周しゅう - 桂川かつらがわ家かは将軍しょうぐんの御ご典てん医い。蘭学らんがくでも知しられる。
• 松本まつもと良りょう順じゅん（松本まつもと順じゅん） - 将軍しょうぐんの御ご典てん医い。長崎ながさきでオランダ軍医ぐんいヨハネス・ポンペ・ファン・メーデルフォールトに医学いがくを学まなぶ。のち陸軍りくぐんに入はいり、初代しょだいの軍医ぐんい総監そうかんになった。
• 森もり鷗外 - 津和野つわの藩はん内科ないか医いの御ご典てん医いであった森もり静夫しずおの嫡男ちゃくなん。鴎外おうがいは陸軍りくぐん医い。
• 西にし周あまね - 津和野つわの藩はん外科げか医いの御ご典てん医いの家いえに生うまれた。
• 栗本くりもと鋤雲じょううん
• 太ふとし医い - 中国ちゅうごくの皇帝こうていに仕つかえた医師いし
• アルキアテル（Archiater）- 主任しゅにん医師いしとも訳やくされるロろーマ帝国まていこく皇帝こうていの医師いし。長ちょうは Comes archiatrorum のタイトルを持もつ。