地下ちか人じん

地下ちか（ぢげ）、地下ちか人じん（ぢげにん/ぢげびと）は、日本にっぽんにおける官かん人じんの身分みぶんの一ひとつである。朝廷ちょうていに仕つかえる廷臣ていしんのうち、京都きょうと御所ごしょの清涼せいりょう殿どの殿上てんじょう間あいだに上あがれる堂上どうじょう家かに対たいし、上あがれない階かい位いの者ものを地下ちか家かと呼よんだ^[1]。また、中世ちゅうせい以降いこう、官位かんいを持もたない名主なぬし、庶民しょみんなどを地下ちか人じんとも言いった。

詳細しょうさいは「地下ちか家か」を参照さんしょう

朝廷ちょうていの身分みぶん秩序ちつじょにおける地下ちか

9世紀せいき（平安へいあん時代じだい中期ちゅうき）以降いこうの日本にっぽんの朝廷ちょうていでは、天皇てんのうの日常にちじょう生活せいかつの場ばである清涼せいりょう殿どのの殿上てんじょう間あいだに昇のぼること、すなわち昇殿しょうでんを許ゆるされるかが身分みぶん制度せいどとして重要じゅうような意味いみを持もつようになった。この時とき、昇殿しょうでんを許ゆるされた者もの、特とくに公卿くぎょう以外いがいの四よん位い以下いかの者ものを殿上人てんじょうびとと言いうのに対たいし、許ゆるされない者ものを地下ちかといった。

公卿くぎょうは原則げんそくとして昇殿しょうでんが許ゆるされたが、政治せいじ的てき・個人こじん的てき理由りゆうで勅許ちょっきょを得えられない場合ばあいもあり、これを「地下ちかの公卿くぎょう」・「地下ちかの上達部かんだちめ」と呼よんだ。四よん位い・五ご位いの地下ちか人じんは「地下ちかの諸しょ大夫たいふ」と呼よばれた。

中世ちゅうせい以後いご、次第しだいに家格かかくが定さだまると、殿上人てんじょうびとに成なり得える堂上どうじょう家かと、地下ちか人じんのままの地下ちか家かに厳格げんかくに分わけられるようになった。地下ちか家かの廷臣ていしんはたとえ三さん位いに昇のぼっても昇殿しょうでんは許ゆるされないようになった。

官職かんしょくを持もたない者もの

地下ちかは朝廷ちょうていの位階いかいや官職かんしょくを持もたない人ひとを指さす語かたりとしても使つかわれた。14世紀せいき頃ころから、庶民しょみんを指さす語かたりとして地下ちかや地下ちか人じんの語かたりが見みられる。これは凡下ぼんげや甲乙こうおつ人じんとも重複じゅうふくする呼称こしょうで、「しもびと」にも相当そうとうする。特とくに荘園しょうえんでは、支配しはい者しゃ側がわの地頭じとうに対たいする立場たちばとして、名主なぬしや百姓ひゃくしょうを地下ちか人じんと呼よんだ。