恐竜きょうりゅう土偶どぐう

恐竜きょうりゅう土偶どぐう（きょうりゅうどぐう）とは一般いっぱんにメキシコのアカンバロ(en:Acámbaro)で発見はっけんされた土偶どぐうである。

かつてはオーパーツとする説せつもあった。

概要がいよう

1945年ねん7月がつ、ドイツ人ひと実業じつぎょう家かワルデマール・ユルスルート（en:Waldemar Julsrud）がアカンバロの町外まちはずれにある通称つうしょう「牡おす牛山うしやま（ブルマウンテン）」の麓ふもとで奇妙きみょうな土器どきを発見はっけんした。

考古学こうこがくマニアであったユルスルートは使用人しようにんのティナヘロとその息子むすこに発掘はっくつを命めいじたが、土偶どぐうは日々ひび大量たいりょうに出土しゅつどしその数かずは最終さいしゅう的てきには七なな年間ねんかんで32,000体たいにものぼった。

2004年ねん現在げんざい、これまでに発掘はっくつされた土偶どぐうは37,000点てん以上いじょうに及およぶ^{[注ちゅう 1]}。

ユルスルートは考古学こうこがく的てきな調査ちょうさが行おこなわれる事ことを期待きたいしていたが、考古こうこ学者がくしゃチャールズ・ディ・ペソ(en:Charles C. Di Peso)によって捏造ねつぞうとの指摘してきを受うけた事ことに落胆らくたんし、1952年ねんを境さかいに土偶どぐうの収集しゅうしゅうを中止ちゅうしした。

しかし、ユルスルートの友人ゆうじんであった地質ちしつ学者がくしゃチャールズ・ハプグット(en:Charles Hapgood)教授きょうじゅ（当時とうじ、ニューハンプシャー州しゅうキーン州立しゅうりつ大だい)は1968年ねん、土偶どぐうのサンプルを三さん種類しゅるい用意よういしてニュージャージー州しゅうの年代ねんだい測定そくてい専門せんもん会社かいしゃの研究所けんきゅうじょに調査ちょうさを依頼いらいし、C14法ほう（ベべータ線たせん計数けいすう法ほう）で測定そくていしたところ、紀元前きげんぜん1000年ねんから紀元前きげんぜん4000年ねんという結果けっかが出でたとされる。

翌年よくねん、ハプグットの友人ゆうじんである航空こうくう設計せっけい技師ぎしのアーサー・ヤング(ベル・ヘリコプター設計せっけい者しゃ)がペンシルベニア大学だいがく研究所けんきゅうじょに熱ねつルミネッセンス法ほうでの測定そくていを依頼いらいした所ところ、こちらでは紀元前きげんぜん2500年ねん±250年ねんという結果けっかが出でたとされる^[1]。

計測けいそく

これらの年代ねんだい測定そくていは土偶どぐうが制作せいさくされた年代ねんだいを測定そくていするものではなく、あくまで材料ざいりょうの年代ねんだいを測定そくていするものであるため、古ふるい地層ちそうや土器どきなどの土どを利用りようして制作せいさくした場合ばあいは制作せいさく年代ねんだいよりも古ふるい測定そくてい結果けっかが出でる^[2]。熱ねつルミネッセンス法ほうも、比較的ひかくてき低温ていおんで長時間ちょうじかん熱ねつを加くわえれば、古ふるい時代じだいをはじき出だす。

ただ、ペンシルベニア博物館はくぶつかん館長かんちょうフロリック・レーニー博士はかせは調査ちょうさを依頼いらいしたアーサー・ヤングに対たいして「メキシコ考古こうこ学会がっかいの意見いけんや真偽しんぎ論争ろんそうの結果けっかがどうであろうと、土偶どぐうの年代ねんだいの古ふるさについては我々われわれの研究所けんきゅうじょが責任せきにんを持もって断言だんげんします。」と書簡しょかんを送おくっているが、根本こんぽん的てきなところとして、長ながく埋うめられていた遺物いぶつには絶対ぜったいに付着ふちゃくしている土中どちゅう塩類えんるいが、恐竜きょうりゅう土偶どぐうには付着ふちゃくしていなかったため、長ながく埋うまっていたものではありえない^{[注ちゅう 2]}。

オーパーツ説せつの否定ひてい

アカンバロから発掘はっくつされた恐竜きょうりゅう土偶どぐうは、多数たすう存在そんざいする土偶どぐうの中なかからたまたま恐竜きょうりゅうに似にていたものを選えらび出だして問題もんだいにしているだけではないかとの指摘してきもある。恐竜きょうりゅうは6600万まん年ねん前まえに絶滅ぜつめつしており、人類じんるいと共存きょうぞんした時期じきはない。

そのため恐竜きょうりゅうを模もした土偶どぐうがどのようにして作つくられたのかが議論ぎろんの対象たいしょうとなっており、紀元前きげんぜんに恐竜きょうりゅうの化石かせきや爬虫類はちゅうるいを観察かんさつして創造そうぞうされたという説せつ、更さらには人類じんるいと恐竜きょうりゅうが共存きょうぞんした時代じだいがあったという説せつなどを唱となえる人ひともいる。

しかし、土偶どぐうの造形ぞうけいの中なかには、例たとえばティラノサウルスがゴジラのように直立ちょくりつしているなど後ごの研究けんきゅうで間違まちがいとされるようになった恐竜きょうりゅう観かんに基もとづいたものや、半はん人にん半はん獣じゅうの象ぞう人間にんげん、ワニ人間にんげんや翼つばさを持もつ竜りゅうなど、空想くうそうの産物さんぶつとしか考かんがえられないものも多数たすう存在そんざいしている^[3]。

またアカンバロの遺跡いせきを調査ちょうさをした、考古こうこ学者がくしゃのチャールズ・ディ・ペソ(Charles C. Di Peso)によって、未み発掘はっくつだと言いわれている場所ばしょにあった明白めいはくな埋うめ戻もどしの跡あとが発見はっけんされた^[4]。デイ・ペソは、ワルデマール・ユルスルートとその使用人しようにん、ティナヘロが捏造ねつぞうしたものと考かんがえた。一方いっぽう、この埋うめ戻もどし跡あとは発掘はっくつ作業さぎょう中断ちゅうだん時じの現場げんば保存ほぞん用ようとの主張しゅちょうもあるが、ティナヘロは「未み調査ちょうさの場所ばしょ」だとディ・ペソに言いったらしい。

類似るいじオーパーツ

これと似にたような恐竜きょうりゅうと人間にんげんの共存きょうぞんを示しめすとされるオーパーツにペルーのカブレラ・ストーンがあるが、これはBBCの取材しゅざいで作つくり方かたや制作せいさくした人物じんぶつが発覚はっかくしたため、捏造ねつぞうであることが明あきらかになっている^[5]。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

^ ただし、その全すべてが恐竜きょうりゅう土偶どぐうというわけではない。
^ 水みずはけのよい土地とちに埋うまっていたからという説明せつめいもなされるが、水みずはけの良よし悪あしは関係かんけいない。

出典しゅってん

^ 『宇宙うちゅうから来きた遺跡いせき』南山みなみやま宏ひろし（ASIN: B000J7YAHS）
^ 『考古学こうこがくと物理ぶつり化学かがく』東村あずまむら武たけし(ISBN 978-4311300295)
^ 『The ACAMBARO Figurines』
^ Charles C. Die Peso『American Antiquity』
^ Kenneth L. Feder, Encyclopedia of Dubious Archaeology: From Atlantis To The Walam Olum, pages 143 (Greenwood, 2010). ISBN|978-0-313-37919-2

参考さんこう文献ぶんけん

『トンデモ超ちょう常つね現象げんしょう99の真相しんそう』と学会がっかい(ISBN 4-86248-003-9)
『謎なぞの巨大きょだい獣じゅうを追おえ未知みち動物どうぶつ〈ヒドン・アニマル〉の正体しょうたいを徹底てってい検証けんしょう』南山みなみやま宏ひろし(ISBN 4-331-00616-6)