愛あいは面影おもかげの中なかに

「愛あいは面影おもかげの中なかに」
ロバータ・フラック の シングル
初出しょしゅつアルバム『First Take』
B面めん	トレイド・ウィンド
リリース	1972年ねん1月がつ24日にち
規格きかく	7インチ・シングル
録音ろくおん	ニューヨーク、アトランティック・スタジオ（1969年ねん2月がつ24日にち - 26日にち）
ジャンル	ソウル
時間じかん	5分ふん22秒びょう（アルバム） 4分ふん15秒びょう（シングル）
レーベル	アトランティック・レコード
作詞さくし・作曲さっきょく	イーワン・マッコール
プロデュース	ジョエル・ドーン
チャート最高さいこう順位じゅんい
1位い（ビルボード・Hot 100） 1位い（Billboard Easy Listening） 4位い（Best Selling Soul Singles） 1位い（カナダ RPM）
ロバータ・フラック シングル 年表ねんぴょう
ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ (1971年ねん12月がつ) 愛あいは面影おもかげの中なかに (1972年ねん1月がつ) 恋人こいびとは何処どこに (1972年ねん4月がつ)
ミュージックビデオ 「The First Time Ever I Saw Your Face」（Single Version） - YouTube

「愛あいは面影おもかげの中なかに」（あいはおもかげのなかに、The First Time Ever I Saw Your Face）は、英国えいこくのシンガーソングライター、イーワン・マッコールが作詞さくし作曲さっきょくした楽曲がっきょく。1960年代ねんだいに数々かずかずのフォーク・グループに歌うたわれたあと、ロバータ・フラックが1972年ねんにシングルカットしたバージョンが大だいヒットした（同年どうねんのビルボード年間ねんかんチャートの1位いを記録きろく）。

沿革えんかく

曲きょくが書かかれたのは1957年ねん。経緯けいいには二ふたつの説せつがある。英国えいこくのシンガーソングライター、イーワン・マッコールによれば、当時とうじ恋人こいびとだったアメリカのフォーク・シンガーのペギー・シーガー（ピート・シーガーの異母いぼ妹いもうと）に頼たのまれ本ほん作品さくひんを書かき、電話でんわで曲きょくをシーガーに伝つたえたという。シーガーの記憶きおくでは、マッコールは二人ふたりが離はなればなれにある間あいだ、書かいた曲きょくをテープに吹ふき込こんでせっせと彼女かのじょに送おくっており、本ほん作品さくひんもその中なかの一ひとつだという。

シーガーのバージョンは1962年ねんのアルバム『The New Briton Gazette Volume 2』に収録しゅうろくされている。前述ぜんじゅつのように60年代ねんだい、多おおくのフォーク・グループにカバーされた。タイトルは「The First Time」「The First Time Ever」など一定いっていでなかった。

ロバータ・フラックのバージョン

ロバータ・フラックはジョー&エディーのバージョン（1963年ねんのアルバム『Coast to Coast』に収録しゅうろく）で本ほん作品さくひんを知しった。フラックはワシントンD.C.にあるバネカー高校こうこうで音楽おんがく教師きょうしとしてグリークラブの指導しどうしているとき、女子じょし生徒せいとらに本ほん作品さくひんを教おしえ、自身じしんもペンシルベニア大通おおどおりのクラブ「ミスター・ヘンリーズ」に雇やとわれていたときに歌うたった。1968年ねんのことであった。

やがてフラックはアトランティック・レコードと契約けいやくし、デビュー・アルバムの制作せいさくのために1969年ねん2月がつ24日にちから26日にちにかけて、ニューヨークのアトランティック・スタジオでレコーディングに入はいった。この時とき録音ろくおんされたバージョンは5分ふん22秒びょうと長ながく、一度いちどプロデューサーのジョエル・ドーンから再さい録音ろくおんを提案ていあんされる。理りにかなった提案ていあんだったが、フラックは作つくり直なおすことを結局けっきょく断ことわった。同年どうねん6月がつ20日はつか発売はつばいのアルバム『First Take』に収録しゅうろくされる。

1971年ねんのある日ひ、バージニア州しゅうアレクサンドリアの彼女かのじょの自宅じたくに突然とつぜん、クリント・イーストウッドから電話でんわがかかる。イーストウッドはロサンゼルスのフリーウェイで車くるまを運転うんてん中ちゅう、ラジオでフラックの歌うたう「愛あいは面影おもかげの中なかに」を聴きいたと言いい、「今度こんど自分じぶんが監督かんとくする映画えいがにあなたの曲きょくを使つかいたいんです。主人公しゅじんこうはディスクジョッキーで、音楽おんがくがたくさん流ながれて・・・映画えいがの中なかで唯一ゆいいつ、紛まぎれもない愛あいを描えがいた部分ぶぶんがあるのですが、その場面ばめんでこの曲きょくを使つかおうと思おもっています」と言いった。フラックが了承りょうしょうすると、話題わだいはお金かねの話はなしに移うつった（イーストウッドは2000ドルの使用しよう料りょうを払はらった）。「ほかに何なにかありますか？」とイーストウッドが尋たずねると、フラックは「使つかうのならもう一度いちどやり直なおしたいのだけれど。あれはテンポが遅おそすぎるので」と言いった。イーストウッドは簡単かんたんに答こたえた。「いや、そんなことはない」

イーストウッドの初はつ監督かんとく映画えいが『恐怖きょうふのメロディ』は同年どうねん11月がつ12日にちに公開こうかいされ、「愛あいは面影おもかげの中なかに」は主演しゅえんのイーストウッドと恋人こいびと役やくのドナ・ミルズが林はやしの中なかや滝たき壺つぼで愛あいし合あう、イメージビデオ風ふうのシーンで使つかわれた。

アトランティック・レコードは1972年ねん1月がつ24日にち、1分ふんほど縮ちぢめたバージョンをシングルA面めんとして発売はつばいした。B面めんにはアルバム未み収録しゅうろくの「トレイド・ウィンド（Trade Winds）」が選えらばれた。同年どうねん4月がつ15日にちから5月がつ20日はつかにかけて6週しゅう連続れんぞくでビルボード・Hot 100の1位いを記録きろくし、イージーリスニング・チャートでも1位いを記録きろく。そしてついに1972年ねんのビルボード年間ねんかんチャートの1位いを獲得かくとくし、第だい15回かいグラミー賞しょうの最優秀さいゆうしゅうレコード賞しょうと最優秀さいゆうしゅう楽曲がっきょく賞しょうをともに受賞じゅしょうした。

その他たのカバー・バージョン

	アーティスト名めい	レコード・CD
1962年ねん	キングストン・トリオ	『New Frontier』
1963年ねん	ジョー&エディー	『Coast to Coast』
1964年ねん	ザ・ハイウェイメン	『One More Time!』
1965年ねん	ピーター・ポール&マリー	『See What Tomorrow Brings』
1966年ねん	マリアンヌ・フェイスフル	『North Country Maid』
1966年ねん	バート・ヤンシュ	『自画像じがぞう』
1967年ねん	ウィ・ファイヴ	『Make Someone Happy』
1967年ねん	ブラザース・フォア	『A New World's Record』
1969年ねん	ナナ・ムスクーリ	『Dans le soleil et dans le vent』。フランス語ふらんすご詞し。
1972年ねん	アンディ・ウィリアムス	『アローン・アゲイン』
1972年ねん	エルヴィス・プレスリー	シングル「An American Trilogy」のB面めん
1972年ねん	ボビー・ヴィントン	『Sealed With a Kiss』
1972年ねん	アニタ・ブライアント	『Naturally』
1972年ねん	ティミー・トーマス	『Why Can't We Live Together』
1972年ねん	ヴィッキー・カー	『The First Time Ever (I Saw Your Face)』
1973年ねん	バート・ヤンシュ	『ムーンシャイン』。メリー・ホプキンとのデュエット。
1973年ねん	アイザック・ヘイズ	『Live at the Sahara Tahoe』
1973年ねん	クインシー・ジョーンズ	『You've Got It Bad Girl』
1974年ねん	マーシャ・グリフィス	『Play Me Sweet and Nice』
1999年ねん	セリーヌ・ディオン	『ザ・ベリー・ベスト』
1999年ねん	ジョージ・マイケル	『ソングス・フロム・ザ・ラスト・センチュリー』
2005年ねん	Fayray	『COVERS』
2011年ねん	アルフィー・ボー	『アルフィー』
2020年ねん	ジェイムス・ブレイク	カバーシングル

関連かんれん項目こうもく

• 1972年ねんのビルボード・ホット100による1位いのシングル一覧いちらん

先代せんだい アメリカ 「名前なまえのない馬うま」

Billboard Hot 100 ナンバーワン・シングル 1972年ねん4月がつ15日にち - 5月がつ20日はつか（6週しゅう）

次代じだい シャイ・ライツ 「オー・ガール」