接続せつぞく法ほう

接続せつぞく法ほう（せつぞくほう、ラテン語らてんご: coniunctivus、英えい: subjunctive、仏ふつ: subjonctif、独どく: Konjunktiv、伊い: congiuntivo、西にし: subjuntivo）は、インド・ヨーロッパ語族ごぞくに属ぞくする言語げんごでの法ほうの1つ。勧告かんこく・命令めいれい・禁止きんし・願望がんぼう・後悔こうかいなど、願ねがわれたことや考かんがえられたことを述のべる法ほう (mood) である。対語たいごは直ちょく説法せっぽう (indicative mood)。

英語えいごではあまり意識いしきされることはないが、フランス語ふらんすごやドイツ語ごなど英語えいご以外いがいの言語げんごでは頻繁ひんぱんに使つかわれる。なお、日本語にほんごでは英語えいごにある subjunctive と呼よばれる同様どうようの法ほうに仮定かてい法ほうという訳語やくごを当あてているが、ここでまとめて取とり扱あつかう。

主おもな使つかい方かたとしては、

• 命令めいれい法ほうの代用だいよう（特とくに一人称いちにんしょう複数ふくすうや三人称さんにんしょうの活用かつようを使つかう敬称けいしょう二人称ににんしょうへの命令めいれい）
• 意見いけんや不ふ確実かくじつな概念がいねんなどの表現ひょうげん
• 現在げんざいや過去かこの事実じじつに反はんする仮定かてい（例れい:「もし私わたしが鳥とりだったら…」）
• 現在げんざいはまだ起おきていないが、将来しょうらい起おきる可能かのう性せいのある事象じしょう（例れい: 「この法案ほうあんが可決かけつされた場合ばあい…」）

が挙あげられる。

総そうじて、直ちょく説法せっぽうと対比たいひすると、その内容ないようが実際じっさいに成立せいりつしている、事実じじつであるという話者わしゃによる主張しゅちょうを少すくなくとも直接的ちょくせつてきには伴ともなわず、内容ないようそのものとして、想定そうていされうる事態じたいとして提示ていじするときに使つかわれる傾向けいこうがある。日本語にほんごで言いえば、「……ということ」に当あたるような用法ようほうである。そのため、間接かんせつ話法わほうや間接かんせつ疑問ぎもん文ぶん、目的もくてき文ぶんや結果けっか文ぶんなどの従属じゅうぞく文ぶんで使つかわれる。主文しゅぶんに接続せつぞくし、それだけでは多おおくの場合ばあい完結かんけつしないというこの点てんが、接続せつぞく法ほうという名なの由来ゆらいである。多おおくの場合ばあい、従属じゅうぞく文ぶんでは、そこで述のべられる事態じたいは、（結果けっか文ぶんは例外れいがいであるが）それが事実じじつであると述のべることには主眼しゅがんがなく、その内容ないよう自体じたいがどのようなものであるかに主眼しゅがんがある。ただし、印欧語いんおうごでも言語げんごによっては上記じょうきのものについても接続せつぞく法ほう以外いがいの活用かつようで対応たいおうするものもあるため、この辺あたりには一定いっていの基準きじゅんはない。

英語えいごの仮定かてい法ほう

英語えいごの場合ばあい、接続せつぞく法ほうを学校がっこう文法ぶんぽうでは、仮定かてい法ほうと特とくに呼よぶことがある。日本語にほんごの「仮定かてい」の意味いみと紛まぎらわしいため、かつては「叙じょ想そう法ほう」という言葉ことばで呼よぶ者ものもいた。

仮定かてい法ほう過去かこ

仮定かてい法ほう過去かこ (subjunctive past, past subjunctive) とは、動詞どうしおよび助動詞じょどうしの過去かこ形かたちを用もちいて現在げんざいの事実じじつとは反対はんたいの仮定かてい、想像そうぞう、実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼうを表現ひょうげんする。be動詞どうしは、wereを用もちいる。ただし、実際じっさいに過去かこの時制じせいを表あらわしているわけではなく、あくまで過去かこ形かたちを使つかうことから来くる命名めいめいである。現在げんざいでは、とくに米国べいこくにおいて口語こうご的てきに単数たんすう一人称いちにんしょう主語しゅご"I”に対たいしてwasを使つかうケースも増ふえている。

かつては独自どくじの語形ごけい変化へんかであったが、そのほとんどが過去かこ形がたの語形ごけい変化へんかと一致いっちしていたため、区別くべつが失うしなわれ、be動詞どうし以外いがい全まったく過去かこ形かたちと同おなじ変化へんか形がたになったと考かんがえられている。

1. ifに導みちびかれる条件じょうけん節ぶしなどで用もちいる場合ばあい（省略形しょうりゃくけいや分詞ぶんし構文こうぶんを用もちいる場合ばあいもある。仮定かてい法ほう過去かこ完了かんりょうも同様どうよう）

• If it were not for him, the project would fail.

= Were it not for him,

= But for him,

= Without him,

（彼かれがいなければこの計画けいかくは失敗しっぱいしていただろう。）

=Achieving the project is owed to him. （直ちょく説法せっぽう；そのプロジェクトが達成たっせいできたのは彼かれのおかげである）

2.「wish that-節ふし＋過去かこ形かたち」で実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼうを表あらわす。「～ならいいのに」

• I wish I could marry the newscaster [actress]. （あのアナウンサー[女優じょゆう]と結婚けっこんできたらなあ）

3. 様態ようたいを表あらわす「as if / as though＋過去かこ形かたち」「あたかも～であるように」

• She looks as if she were ill. （彼女かのじょはあたかも病気びょうきであるかのような顔かおをしている。）

4. It is time+過去かこ形がた「もう～する時とき間あいだだ」

• It is time that you went to school. 「もう学校がっこうへ行いく時間じかんだ」

仮定かてい法ほう過去かこ完了かんりょう

仮定かてい法ほう過去かこ完了かんりょう (subjunctive past perfect) とは、動詞どうしおよび助動詞じょどうしの過去かこ形がた＋完了かんりょう形がたを用もちいて過去かこの事実じじつとは反対はんたいの仮定かてい、想像そうぞう、実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼうを表現ひょうげんする。

• If I had caught the train, I would have been in time for school.

= Catching the train, ※分詞ぶんし構文こうぶんが必かならずしも時制じせいを一致いっちさせるとは限かぎらない。

（その電車でんしゃに乗のれれば、学校がっこうに間まに合あったのに。）

= As I didn’t catch the train, I’m late for school.（直ちょく説法せっぽう；電車でんしゃに乗のり遅おくれたので、学校がっこうに遅刻ちこくした。）

• Without the sun, all living things couldn't have existed.

= Had it not been for the sun,

= If it had not been for the sun,

（太陽たいようがなければ、全すべての生いき物ものは発生はっせいしえなかっただろう。）

= Thanks to the sun, all living things were able to exist.（直ちょく説法せっぽう；太陽たいようがあるおかげで全すべての生いき物ものは発生はっせいすることができた。）

仮定かてい法ほう現在げんざい

仮定かてい法ほう現在げんざい (subjunctive present, present subjunctive) とは、英語えいごの仮定かてい法ほうのうち、期待きたい、願望がんぼう、主張しゅちょう、命令めいれい、評価ひょうか、提案ていあん、勧誘かんゆう、要求ようきゅう、危惧きぐなどを表あらわす語かたりに伴ともなって現在げんざいないし未来みらいにおける仮定かていや想像そうぞうについて、動詞どうしの原形げんけい、もしくはmayやshouldなどを伴ともなって表現ひょうげんする。ただしそれ自体じたいで特別とくべつな時制じせいを表あらわすものではない。

1. 期待きたい、願望がんぼう、主張しゅちょう、命令めいれい、要求ようきゅう、提案ていあんなどを表あらわす動詞どうしに伴ともなうThat節ぶし

• I desired that the exam [should] be postponed until the next week.

（試験しけんが来週らいしゅうまで延期えんきされることを望のぞんだ）

• He asked me that the book [should] be returned.

（その本ほんを返かえしてくれと言いった。）
※そのほか、suggest, order, request, propose, demand, insist, expect, bid, advise, beg, declare, decideなどが導みちびくthat節ぶしで用もちいられる。

2. 評価ひょうか（必要ひつよう、重要じゅうよう、当然とうぜん）などを表あらわす形容詞けいようしと共ともに

• It was important (necessary, impossible) that he [should] send the letter immediately.

（彼かれにはその手紙てがみを直ただちに送おくるのが重要じゅうよう（必要ひつよう、不可能ふかのう）だった。）

• It's natural you should get confused.

（君きみが混乱こんらんするのも無理むりもないよ）

3.のろい、願望がんぼう、祈願きがんなどを表あらわす

• [May] God save the Queen!

（女王じょおう様さま、万歳ばんざい！）

4.条件じょうけん節ぶしで（現在げんざいは廃はい用よう。慣用かんよう句くにのこるのみ）

• If it be achieved, I have cause to return thanks.

（もしそれがうまくいったら、私わたしも感謝かんしゃせねばならない）

• If need be, I'll lend him the money.

（もし必要ひつようなら彼かれにその金かねを貸かしてやる）

5.危惧きぐ、目的もくてきを表あらわす語かたりに伴ともなって（shouldが省略しょうりゃくされない場合ばあいも多おおい）

• I'm afraid that (lest) I [should] be late for school.

（学校がっこうに遅おくれないかどうか心配しんぱいした。）

フランス語ふらんすごの接続せつぞく法ほう

フランス語ふらんすごの接続せつぞく法ほうは、感情かんじょう、願望がんぼう、疑念ぎねん、義務ぎむ、命令めいれい、目的もくてき、譲歩じょうほ、最上級さいじょうきゅう等とうの表現ひょうげんに現あらわれる文法ぶんぽう的てき拘束こうそく事項じこうとして理解りかいできる。直ちょく説法せっぽうが客観きゃっかん的てき事実じじつを述のべる法ほうであるのに対たいして、接続せつぞく法ほうは「話はなし手ての主観しゅかん（イメージ）を表現ひょうげんする」と説明せつめいされることが多おおい。話はなし手てが事実じじつであると主張しゅちょうする場合ばあいは直ちょく説法せっぽうが好このまれ、事実じじつに疑念ぎねん・否定ひていを抱いだく場合ばあいは接続せつぞく法ほうとなる場合ばあいが多おおいが、下記かき (1) 願望がんぼう・命令めいれいや (9) 祈念きねんなど、現実げんじつ化かを強つよく願ねがう場合ばあいにも接続せつぞく法ほうが登場とうじょうする。

語形ごけいは、直ちょく説法せっぽう現在げんざい三人称さんにんしょう複数ふくすうの語幹ごかんに、-e, -es, -e, -ions, -iez, -ent の語尾ごびを続つづける。一人称いちにんしょう複数ふくすう・二人称ににんしょう複数ふくすうでは語幹ごかんが異ことなる動詞どうしもある。また、人称にんしょう変化へんか全体ぜんたいにわたって特殊とくしゅな語幹ごかんを取とる動詞どうしも一部いちぶに存在そんざいする。

時制じせいは上記じょうきの語形ごけい変化へんかをする接続せつぞく法ほう現在げんざいの他ほかに、avoirまたはêtreの接続せつぞく法ほう現在げんざいに過去かこ分詞ぶんしを続つづける接続せつぞく法ほう過去かこがある。そのほか、単純たんじゅん過去かこと共通きょうつうする語幹ごかんを取とる接続せつぞく法ほう半はん過去かことその複ふく合あい時制じせいである接続せつぞく法大ほうだい過去かこがあるが、現代げんだい口語こうごフランス語ふらんすごで用もちいることは少すくない。

接続せつぞく法ほうの用法ようほうについてもう少すこし詳細しょうさいに列挙れっきょする。

(1) 意志いし、願望がんぼう、恐おそれ、疑惑ぎわく、命令めいれいなどを表あらわす動詞どうしの後のち

Nous craignons qu'il y ait beaucoup de victimes.（犠牲ぎせい者しゃが大勢おおぜい出でるのではないかと危惧きぐしている。）

(2) 感情かんじょう（主観しゅかん）を表あらわす être [形容詞けいようし] que の後のち

Je suis étonnée qu'un crocodile fasse des pompes.（鰐わにが腕立うでたて伏ふせをしているなんて驚おどろいた。）

(3) 義務ぎむ、判断はんだん、可能かのう性せい、重要じゅうよう性せい、感情かんじょうなどを表あらわす非ひ人称にんしょう構文こうぶんの後のち

Il vaut mieux que vous partiez tout de suite.（直すぐに発たつべきです。）

(4) 意見いけんの否定ひてい・疑問ぎもん等とう（話はなし手てに疑惑ぎわくを持もたせる場合ばあい）

Elle ne croit pas qu'il vienne.（彼女かのじょは彼奴あいつが来くるなんて信しんじていないよ。）

(5) 話はなし手てが不ふ確実かくじつ性せいを示しめす場合ばあい

Je cherche une maison qui ait un grand jardin.（私わたしは庭にわの広ひろい家いえを探さがしている。）

(6) 目的もくてき、条件じょうけん、譲歩じょうほ等とうを表あらわす接続詞せつぞくし句くの後のち

Bien qu'il pleuve, ma fille veut sortir.（雨あめが降ふっているのに、娘むすめは外出がいしゅつしたがっている。）

(7) 最上級さいじょうきゅうまたはそれに類るいする表現ひょうげんの後のち

Vous êtes la seule personne qui puisse m'aider.（貴方あなたは私わたしを助たすけられる唯一ゆいいつの御方おかたです。）

(8) 想定そうてい

Soit un triangle ABC.（三角形さんかっけいABCを考かんがえる。）

(9) 祈念きねん

Que la force soit avec toi.（フォースの共ともにあらんことを。）

(10) 頻度ひんど

Il est rare que mon maître reçoive des visites féminines.（主人しゅじんに女性じょせいのお客様きゃくさまがいらっしゃることは稀まれです。）

ドイツ語ごの接続せつぞく法ほう

ドイツ語ごの接続せつぞく法ほうは、仮定かていや願望がんぼうなどの非ひ現実げんじつ、間接かんせつ話法わほうでの引用いんようなどを表現ひょうげんするときに使つかわれる。動詞どうしの形式けいしきには接続せつぞく法ほうI式しきとII式しきがある。

接続せつぞく法ほうI式しきは、不定ふてい形がたの語幹ごかんに接続せつぞく法ほうの語尾ごびを付つける。語尾ごびは次つぎのようになる。

(kommen 来くる）

ich komme/ du kommest / er, sie, es komme / wir kommen / ihr kommet / sie kommen

この変化へんかの例外れいがいは sein だけである。

ich sei / du sei[e]st / er, sie, es sei / wir seien / ihr seiet / sie seien

接続せつぞく法ほうII式しきは、過去かこ基本形きほんけいをもとに作つくる。規則きそく動詞どうしの場合ばあいには、過去かこ形がたの人称にんしょう変化へんかと同様どうようである。

ich lernte / du lerntest / er, sie, es lernte / wir lernten / ihr lerntet /sie lernten

不規則ふきそく動詞どうしの場合ばあいには、接続せつぞく法ほうの語尾ごび（接続せつぞく法ほうI式しきと同おなじ）を付つけるが、その際さいに幹みき母音ぼいんの a, o, u がウムラウト（変へん音おん）する。

ich käme / du kämest / er, sie, es käme / wir kämen / ihr kämet / sie kämen

接続せつぞく法ほうI式しきの用法ようほう

1.　要求ようきゅうや命令めいれいを表あらわす。（英語えいごの仮定かてい法ほう現在げんざいに対応たいおうする。）

Gott behüte dich! 神かみが汝なんじを守まもらんことを。（別わかれの挨拶あいさつ）

Man nehme täglich eine Tablette. 毎日まいにち1錠じょう飲のみなさい。

2.　認容にんようを表あらわす

Was auch geschehe, ich führe es durch. 何なにが起おころうと、私わたしはそれをやり抜ぬく。（führeの位置いちが3番目ばんめであることに注意ちゅうい）

3.　間接かんせつ話法わほう

Er sagte, er sei krank. 僕ぼくは病気びょうきだと彼かれは言いった。（Er sagte: „Ich bin krank.“ の間接かんせつ話法わほう）

ただし、接続せつぞく法ほうII式しきが使つかわれる場合ばあいもある。直ちょく説法せっぽうと接続せつぞく法ほうI式しきが同形どうけいになる場合ばあいには接続せつぞく法ほうII式しきを使つかうのが正式せいしき。

接続せつぞく法ほうII式しきの用法ようほう

1. 仮定かてい・願望がんぼうを表あらわす

Wenn ich Zeit hätte, würde ich nach Italien fahren. （いま）時間じかんがあったらイタリアへ行いくのに。

Wenn ich Zeit gehabt hätte, wäre ich nach Italien gefahren. （あのとき）時間じかんがあったらイタリアへ行いったのに。　

過去かこの非ひ現実げんじつを表あらわす場合ばあいには完了かんりょう形がたが使つかわれる。英語えいごの仮定かてい法ほう過去かこ完了かんりょうに対応たいおうする。

2. 間接かんせつ話法わほう

Sie sagten, sie hätten eine Kranke besucht. 一人ひとりの病人びょうにん（女性じょせい）を見舞みまったのよ、と彼かれらは言いった。（Sie sagten:„Wir haben eine Kranke besucht.“ の間接かんせつ話法わほう。　接続せつぞく法ほうI式しきでは haben となり、直ちょく説法せっぽうと区別くべつがつかないので、接続せつぞく法ほうII式しきのhätten が使つかわれている。）

スペイン語ごの接続せつぞく法ほう

接続せつぞく法ほう現在げんざい

現在げんざい・未来みらいに関かんする願望がんぼう、仮定かてい、条件じょうけんをい表いあらわす。 活用かつよう語尾ごびの形かたちは基本きほん的てきに、一人称いちにんしょう単数たんすう (yo) に対たいする活用かつよう形がたを除のぞいて、-ar 動詞どうしは-er, -ir動詞どうしの直接ちょくせつ法ほう現在げんざいにおける活用かつよう語尾ごび、-er, -ir 動詞どうしは -ar 動詞どうしの直接ちょくせつ法ほう現在げんざいにおける活用かつよう語尾ごびとほぼ同おなじ（接続せつぞく法ほうでは一人称いちにんしょう単数たんすうと三人称さんにんしょう単数たんすうは同形どうけい）。ここで、poner, decir, tener, conocer など、直接ちょくせつ法ほう現在げんざいにおいて一人称いちにんしょう単数たんすうに対たいする活用かつよう形がたが不規則ふきそくになる場合ばあいは、ser, estar, dar, ir, haber, saber などの例外れいがいを除のぞいて、その一人称いちにんしょう単数たんすうに対たいする活用かつよう形がたにおける語幹ごかんがそのまま用もちいられる。ser, estar, dar, ir, haber, saber は不規則ふきそくな活用かつようになる。

1. 期待きたい、願望がんぼう、主張しゅちょう、命令めいれい、要求ようきゅう、提案ていあんなどを表あらわす動詞どうしに伴ともなうque-節ふし

文章ぶんしょうの主語しゅごと、節ふし内ないの動詞どうしの動作どうさ主ぬしが一致いっちしない場合ばあいに使つかわれる。

• Quiero que cumplais vuestra palabra.（君きみたちには、言いったことはきちんと守まもって欲ほしい。）

• querer（～して欲ほしい）, preferir（～して欲ほしい）, esperar（～するのを期待きたいする、待まち望のぞむ）, aconsejar（～するよう忠告ちゅうこくする）, desear（～するよう願ねがう）, requerir（～するよう頼たのむ、お願ねがいする）, recomendar（～するよう要求ようきゅうする）, decir（～するように言いう、命めいじる）, pedir（～するようにお願ねがいする、頼たのむ）, proponer（～するよう提案ていあんする）, mandar（～するよう命令めいれいする、命めいじる） permitir・perdonar（～するのを許可きょかする、許ゆるす）など

cf. 似にたようなケースとして、不定ふてい詞し（副詞ふくし的てき用法ようほう・目的もくてき）の主語しゅごが一致いっちしない場合ばあい、que節ぶしに置おき換かえられ、動詞どうしは接続せつぞく法ほう現在げんざいが適用てきようされ、動作どうさ主ぬしが動詞どうしの前まえに置おかれることがある。

• Maria abrió la puerta para que mi perro entre a su casa.（マリアは、私わたしの犬いぬが入はいってこられるようにドアを開あけてくれた。）

2. 評価ひょうか（必要ひつよう、重要じゅうよう、当然とうぜん）などを表あらわす形容詞けいようしと共ともに

• Es lógico que ella se enfade con tu actitud. （彼女かのじょが君きみの態度たいどに怒おこるのは当あたり前まえだ。）

• importante（重要じゅうようだ）, lógico（当然とうぜんだ）, nesesario（重要じゅうようだ、必要ひつようだ）, raro（奇妙きみょうだ、変へんだ、異常いじょうだ）, sorprendente（驚愕きょうがく的てきだ）など

3. 感情かんじょうをい表いあらわす語句ごく、形容詞けいようしと共ともに

• ¡Me alegro de que todos podáis valerse por sí mismos! （君きみたちが一人ひとりで全部ぜんぶできるだなんて、私わたしは嬉うれしい。）

• aregrarse de（～を嬉うれしく思おもう）, sorprenderse de（～に驚おどろく）, desilusionarse de（～に失望しつぼうする）, asutarse de（～に驚おどろく）, emocionarse con（～にワクワクする）, tener miedo de（～を恐おそれる）など

4．思考しこう、発言はつげん、意見いけん、推測すいそく、推量すいりょうに関かんする動詞どうしが否定ひてい語句ごくを伴ともなうときのque節ぶし

• No creo que tus padres se pongan tristes por esto. （このことで君きみの両親りょうしんが悲かなしい思おもいをするとは思おもわない。）

• creer（～と思おもう、～と信しんじている）, pensar（～と考かんがえる）, opinar（～と思おもう、～と意見いけんする）, juzgar（～と判断はんだんする、～と思おもう）, estimar（～と見積みつもる）, decir（～と言いう）, suponer（～と仮定かていする）などの動詞どうしが否定ひてい語句ごくを伴ともなうとき、que節ぶし内ないの動詞どうしは接続せつぞく法ほうが使つかわれる。また、否定ひてい語句ごくを伴ともなわなくとも、dadar（～を疑うたがう、～とは思おもえない）, negar（～を否定ひていする）などは、動詞どうしそのものに否定ひていのニュアンスが入はいるため、que節ぶし内ないの動詞どうしは接続せつぞく法ほうとなる（ただしこの2つが否定ひてい形がたになる際さいは節ふし内ないの動詞どうしは直ちょく説法せっぽうが用もちいられる）。

cf. 似にたようなケースとして、関係かんけい節ぶしを伴ともなう名詞めいしに否定ひてい語句ごくや不ふ定冠詞ていかんし・形容けいよう語句ごく（un/una/unos/unas, algun/alguna/algunos/algunasなど）がつく場合ばあい、関係かんけい節ぶし内ないの動詞どうしは接続せつぞく法ほう現在げんざいが適用てきようされる。

• No hay nadie que conozca Panamá en mi familia. （自分じぶんの家族かぞくでパナマを知しっているのは一人ひとりもいない。）
• Es muy difícil hacer una ley que no tenga problemas.　（問題もんだいのない法律ほうりつを作つくるのはとても難むずかしい。）

なお、関係かんけい節ぶしを伴ともなっていても、主しゅ節ふしが肯定こうてい文ぶんの場合ばあい（否定ひてい語句ごくを伴ともなわないため）、あるいは、定冠詞ていかんしがついている場合ばあいは、直ちょく説法せっぽうでよい。

5. のろい、願望がんぼう、祈願きがんなどを表あらわす

• No me gustaría que llueva mañana. （明日あしたは雨あめが降ふって欲ほしくないものだ。）

Ojalá que（～ならいいのに）, gustaría（～して欲ほしい）, ¡Que～!（～であれ、～してくれ）, etc.

6．条件じょうけん節ぶしで

未来みらいの事柄ことがらに関かんする条件じょうけんをい表いあらわす場合ばあい、従属じゅうぞく節ぶし内ないの動詞どうしは接続せつぞく法ほう現在げんざいが適用てきようされる。

• Cuando llegue a Madrid pasado mañana, te llamaré inmediatamente. （明後日みょうごにちマドリードに着ついたら、すぐに電話でんわします。）
  • si（もし～したら）, cuando（～するとき）, hasta que（～するまで）, mientras que（～する間あいだに）, apenas（～したらすぐに）など

以下いかの接続詞せつぞくし、接続詞せつぞくし的てきに使つかわれる熟語じゅくご内ないの動詞どうしの活用かつようは常つねに接続せつぞく法ほうが適用てきようされる。

con tal que（～するならば）, antes de que（～する前まえに）, a condicion de que（～という条件じょうけんで） en caso de que（～する場合ばあいに）など。

譲歩じょうほをい表いあらわす文章ぶんしょうにも、接続せつぞく法ほうが使つかわれる場合ばあいがある。

• Aunque nieve mañana, tendremos exámenes en la universidad. （たとえ明日あした雪ゆきが降ふっても、私わたしたちは大学だいがくで試験しけんを受うけなければならない。）

• Por mucho que me lo pidan, no ayudaré a los chicos.　（どんなにお願ねがいされても、その子供こどもたちを助たすけるつもりはない。）
• Por muy guapo que sea, no quiero casarme con un hombre cruel. （どんなに格好かっこう良よくても、残酷ざんこくな男おとこの人ひととは結婚けっこんしたくない。）

• Digan lo que digan, no voy a cambiar mi opinión. （たとえ何なにを言いわれても、自分じぶんの意見いけんを変かえるつもりはない。）

7．命令めいれい法ほう

命令めいれい形がたの中なかでは、否定ひてい命令めいれいや、usted/ustedesに対たいする命令めいれい形がたや、nosotrosに対たいする命令めいれい（= Vamos a V（原形げんけい）、勧誘かんゆう表現ひょうげんの一種いっしゅともみなす考かんがえも多おおい。）に対たいして用もちいられる（túおよびvosotrosに対たいする肯定こうてい命令めいれい以外いがい）。

例れい①: 「彼かれにそのことを言いってくれ（言いうな）」（否定ひてい命令めいれい）

• túの場合ばあい: Díselo. / No se lo digas.
• ustedの場合ばあい: Digáselo. / No se lo diga.
• vosotrosの場合ばあい: Decídselo. / No se lo digáis.
• ustedesの場合ばあい: Díganselo. / No se lo digan.

例れい②：「彼かれにそのことを言いおう（言いわないでおこう）」（勧誘かんゆう）

• nosotrosの場合ばあい: Digámoselo.（＝Vamos a decírselo. / Se lo vamos a decir.） / No se lo digamos. （＝No vayamos a decírselo. / No se lo vayamos a decir.)

接続せつぞく法ほう現在げんざい完了かんりょう

接続せつぞく法ほうが用もちいられる文章ぶんしょうの中なかで、本来ほんらいは現在げんざい・未来みらい完了かんりょうでい表いあらわす事柄ことがらを表現ひょうげんする。用法ようほうは、基本きほん的てきに接続せつぞく法ほう現在げんざいとほぼ同おなじ。

• Espero que hayáis terminado el trabajo para esta noche. （君きみたちが今夜こんやまでに仕事しごとを終おわらせているよう期待きたいしている。）
• Es posible que ellos hayan repetido los mismos errores. （彼かれらは同おなじ過あやまちを繰くり返かえす可能かのう性せいがある。）
• No pienso que Miguel haya dormido bien porque últimamente tiene sueño todos los días. （最近さいきん毎日まいにち眠ねむたそうにしているため、私わたしはミゲルがよく眠ねむれているとは思おもえない。）
• No hay nadie que haya tenido éxito en los exámenes entre mis amigos. （自分じぶんの友人ゆうじんの中なかで試験しけんで上手うまくいったものは一人ひとりもいない。）
• ¡Que hayamos llegado allí sin peligro para mañana!（明日あしたまでにそこへ無事ぶじにたどり着つけたらいいな。）
• Cuando hayas llegado a Japón, llámame sin falta.（日本にっぽんに着ついたときは、必かならず私わたしに電話でんわしてくれ。）

接続せつぞく法ほう過去かこ

以下いかで述のべるように時制じせいの一致いっちにおける用法ようほうを除のぞいて、現在げんざいの事実じじつとは反対はんたいの仮定かてい、想像そうぞう、実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼうを表現ひょうげんする。ただし、実際じっさいに過去かこの時制じせいを表あらわしているわけではなく、あくまで直ちょく説法せっぽう点てん過去かこの3人称にんしょう複数ふくすうにおける活用かつようの語幹ごかんを使つかうことから来くる命名めいめいである。 なお、接続せつぞく法ほう過去かこの語尾ごびは-ra型がたと-se型がたの2種類しゅるいがあるが、現在げんざいでは-ra型がたが用もちいられることが多おおい。-se型がたの活用かつようはやや文語ぶんご的てきな表現ひょうげん。

1. 接続せつぞく法ほうが適用てきようされる動詞どうしや語句ごくを用もちいた文章ぶんしょうで、現在げんざい時制じせいよりも一ひとつ前まえの時制じせいにおける事柄ことがらについて述のべる場合ばあい、あるいは接続せつぞく法ほうが適用てきようされる動詞どうしや語句ごくが過去かこ時制じせい・可能かのう未来みらい時制じせいで用もちいられ、節ふし内ないの動詞どうしが同おなじ時じ系列けいれつにおける出来事できごとについて述のべる場合ばあい（時制じせいの一致いっち）

現在げんざい時制じせいとの組くみ合あわせ

• Es lógico que nos aburriésemos/aburriéramos durante la clase de filosofía.（哲学てつがくの授業じゅぎょうで退屈たいくつな気分きぶんになったのは当然とうぜんだ。）
• No pienso que ellas se alegraran/alegrasen con lo que les dijiste. （彼女かのじょたちが君きみの言いったことで嬉うれしい気持きもちになったとは信しんじられない。）

過去かこ時制じせいとの組くみ合あわせ　

• Mis padres esperaban que yo entrara/entrase en una universidad grande en Japón, pero quería estudiar en Argentina. （両親りょうしんは、私わたしが日本にっぽんの大おおきな大学だいがくに入はいるよう望のぞんでいたが、私わたしはアルゼンチンで勉強べんきょうしたかった。）
• Me emocionaba con que mi hermano me llevara/llevase al juego de béisbol. （私わたしは、兄あにが野球やきゅうの試合しあいに連つれて行いってくれるので興奮こうふんしていた。）

2. siに導みちびかれる条件じょうけん節ぶしなどで用もちいる場合ばあい

帰結きけつ節ぶしは、過去かこ未来みらい（可能かのう未来みらい）が用もちいられる。

• Si yo fuera/fuese tú, yo no le diría tal cosa.（もし君きみの立場たちばなら、彼かれにそんなことは言いわないだろう。）
• Si no fuera por mis amigos, no podría pasarla bien en este país.（もし友達ともだちがいなければ、この国くにでの生活せいかつを楽たのしむことができないだろう。）

3.「¡Olajá que-節ふし＋接続せつぞく法ほう過去かこ形がた!」などで現在げんざい・未来みらいに関かんする実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼうを表あらわす。「～ならいいのに」

• Ojalá que pudiera/pudiese volar por el cielo.（空そらを飛とべたらいいのに。）

4. 様態ようたいを表あらわす「Como si～」「まるで～であるかのように」

• El chico habló como si lo supiera/supiese todo.（少年しょうねんは、まるですべてを知しっているかのように話はなした。）

接続せつぞく法ほう過去かこ完了かんりょう

動詞どうしおよび助動詞じょどうし (haber) の接続せつぞく法ほう過去かこ形がた＋完了かんりょう形がたを用もちいて過去かこの事実じじつとは反対はんたいの仮定かてい、想像そうぞう、実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼうを表現ひょうげんする。

1. 接続せつぞく法ほうが適用てきようされる動詞どうしや語句ごくが過去かこ時制じせいで用もちいられ、節ふし内ないの動詞どうしが一ひとつ前まえの時とき系列けいれつにおける出来事できごと（大だい過去かこ）について述のべる場合ばあい（時制じせいの一致いっち）

• Todos mis amigos se sorprendieron de que mi hijo se hubiera/hubiese vuelto un cantante muy famoso. （私わたしの友人ゆうじんは皆みな、私わたしの息子むすこが有名ゆうめいな歌手かしゅになったことに驚おどろいていた。）
• Todavía no creía que mi madre hubiera/hubiese muerto realmente. （母親ははおやが本当ほんとうに死しんだことが、まだ信しんじられなかった。）

2. siに導みちびかれる条件じょうけん節ぶしなどで用もちいる場合ばあい

帰結きけつ節ぶしは、過去かこ未来みらい完了かんりょう（可能かのう未来みらい完了かんりょう）が用もちいられる。

• Si hubiéramos/hubiésemos estudiado más, habríamos podido tener mejores calificaciones.（もしもっと勉強べんきょうしていたら、より良よい成績せいせきが取とれたのに。）

3.「¡Olajá que-節ふし＋接続せつぞく法ほう過去かこ完了かんりょう形がた!」で過去かこに対たいする実現じつげん不可能ふかのうな願望がんぼう・後悔こうかいの念ねんを表あらわす。「～ならよかったのに」

• Ojalá hubiera/hubiese tenido más tiempo ayer.（昨日きのうはもっと時間じかんがあったらよかったのに。）

4. 様態ようたいを表あらわす「Como si～」「まるで～だったかのように」

• Ese hombre actuaba como si hubiera/hubiese vivido en España realmente. （その男おとこは、本当ほんとうにスペインに住すんでいたかのように振ふる舞まっていた。)

ポルトガル語ごの接続せつぞく法ほう

接続せつぞく法ほう未来みらいが存在そんざいし、頻繁ひんぱんに使つかわれる。以下いかはよく使つかわれる表現ひょうげん。

• Se quiser（もしあなたが望のぞむなら）
• Quando tiver tempo（もし時間じかんができた場合ばあいには）
• Caso puder（もし可能かのうな場合ばあいには）

参考さんこう文献ぶんけん

• 井上いのうえ義昌よしまさ編へん『詳解しょうかい英文えいぶん法ほう辞典じてん-縮刷しゅくさつ版ばん-』開拓かいたく社しゃ, 1971年ねん ISBN 4-7589-0013-2

関連かんれん項目こうもく

• 法ほう (文法ぶんぽう)
• 直ちょく説法せっぽう
• 条件じょうけん法ほう
• 命令めいれい法ほう
• 不定ふてい詞し - 文法ぶんぽう的てきな意味いみは接続せつぞく法ほうと似にているが、接続せつぞく法ほうと違ちがって主語しゅごをとらない（ポルトガル語ごやガリシア語ごの人称にんしょう不定ふてい詞しのように主語しゅごをとる例れいもある）。具体ぐたい的てきな用法ようほうは言語げんごによって異ことなる。「不定ふてい法ほう」という法ほうを考かんがえる場合ばあいもある。