放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひん

放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひん（Radiopharmaceuticals, medicinal radiocompounds）は、放射ほうしゃ性せい同位どうい元素げんそを含ふくむ医薬品いやくひんの一群いちぐんである。診断しんだん薬やくや治療ちりょう薬やくとして応用おうようする事ことが出来できる。放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんはそれ自体じたいが放射線ほうしゃせんを放出ほうしゅつするもので、外部がいぶの電磁気でんじきや超ちょう音波おんぱを吸収きゅうしゅうしたり変化へんかさせたりする他ほかの造影ぞうえい剤ざいとは異ことなる。放射線ほうしゃせん薬理やくり学がくは、これらの薬剤やくざいを専門せんもんとする薬理やくり学がくの一いち分野ぶんやである。

日本にっぽんでは放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひん基準きじゅんが昭和しょうわ34年ねん8月がつに厚生省こうせいしょう（当時とうじ）から示しめされ、放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんの取とり扱あつかい手順てじゅんや品質ひんしつ確保かくほに関かんする各種かくしゅ測定そくてい法ほう、各かく品目ひんもくの品質ひんしつ基準きじゅんなどが規定きていされ、その後ご改定かいていを重かさねて今いまに至いたっている。

放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんの種類しゅるい[編集へんしゅう]

診断しんだん薬やく[編集へんしゅう]

主しゅとしてガンマ線がんませんや陽電子ようでんしを放出ほうしゅつする医薬品いやくひんは、投与とうよ後ごに体外たいがいからその局在きょくざいを検出けんしゅつ可能かのうである為ため、CT、PET、SPECT等ひとしの撮影さつえい時じに用もちいられる。半減はんげん期きは短みじかい程ほど患者かんじゃの負担ふたんが少すくない。

治療ちりょう薬やく[編集へんしゅう]

主しゅとしてアルファ線あるふぁせんやベべータ線たせんを放出ほうしゅつする医薬品いやくひんは、癌がん等ひとしの増殖ぞうしょく性せい疾患しっかんの治療ちりょうに応用おうようされる。疾患しっかん局所きょくしょに集積しゅうせきする性質せいしつを持もつ元素げんそが好このまれる他ほか、モノクローナル抗体こうたいにキレート担持部位ぶいを結合けつごうし、放射線ほうしゃせんを患部かんぶに集中しゅうちゅうさせるものもある。また、針はり状じょうの容器ようきに封入ふうにゅうした小しょう線せん源げんを患部かんぶに埋うめ込こむ方法ほうほうも採とられる。

放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんの送達そうたつ[編集へんしゅう]

製造せいぞう業者ぎょうしゃが注文ちゅうもんの都度つど製造せいぞうして配達はいたつする場合ばあいもあるが、半減はんげん期きの短みじかい核種かくしゅの場合ばあい、医療いりょう機関きかんで使用しようする時ときには既すでに低てい力ちから価かとなってしまっている場合ばあいがある。当該とうがい核種かくしゅの親しん核種かくしゅの半減はんげん期きがある程度ていど長ながい場合ばあい、親おや核種かくしゅを密封みっぷう容器ようき（ジェネレータ）に保存ほぞんして医療いりょう機関きかんに配達はいたつし、用よう時じに溶媒ようばい等とうを流ながして当該とうがい核種かくしゅをミルキングして必要ひつような溶液ようえき等とうを得える事ことが出来できる。⁹⁹Mo/^99mTcジェネレータや⁸¹Rb/^81mKrジェネレータが承認しょうにんされている他ほか、⁶⁸Ge/⁶⁸Gaジェネレータ等とうも開発かいはつされている。

放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんの命名めいめい法ほう[編集へんしゅう]

他たの医薬品いやくひんと同様どうように、放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんの薬くすり名めいも標準ひょうじゅん化かされているが、様々さまざまな規格きかくが併存へいそんしている。INN（International Nonproprietary Name）では、基本きほん的てきな薬剤やくざい名めいに続つづいて、放射ほうしゃ性せい同位どうい元素げんそ（質量しつりょう数すう、スペースなし、元素げんそ記号きごう）を上うえ付つき文字もじなしの括弧かっこで囲かこみ、続つづいてリガンド（ある場合ばあい）を記載きさいする。INN名めいに角かく括弧かっこや上うえ付つき文字もじが付ついているのは、化学かがく的てき命名めいめい法ほう（IUPAC命名めいめい法ほうなど）で使用しようされている為ためであるが、これは一般いっぱん的てきではない。

日本にっぽん医薬品いやくひん一般いっぱん的てき名称めいしょう（JAN）の場合ばあい、医薬品いやくひん一般いっぱん名めいの後のちに括弧かっこで放射ほうしゃ性せい元素げんその質量しつりょう（上うえ付つき文字もじ）と元素げんそ記号きごうを記しるす。

米国べいこく薬局方やっきょくほう（USP）では、基本きほん的てきな薬剤やくざい名めいの後のちに、放射ほうしゃ性せい同位どうい元素げんそ（元素げんそ記号きごう、スペース、質量しつりょう番号ばんごう）を括弧かっこ、ハイフン、上うえ付つき文字もじなしで記載きさいし、その後ごにリガンド（ある場合ばあい）を記載きさいする。USPスタイルはINNスタイルではないが、一部いちぶの出版しゅっぱん物ぶつでは両者りょうしゃが同一どういつのものとして記述きじゅつされている（例たとえば、AMA^[1]の放射ほうしゃ性せい医薬品いやくひんのスタイルはUSPスタイルと一致いっちしている）。米国べいこく薬局方やっきょくほう協議きょうぎ会かいは、USAN評議ひょうぎ会かいのスポンサー団体だんたいであり、ある医薬品いやくひんの米国べいこく一般いっぱん名めい（USAN）はUSP名めいと同おなじであることが多おおい。

国際こくさい一般いっぱん名めい (INN)	日本にっぽん医薬品いやくひん一般いっぱん的てき名称めいしょう (JAN)	米国べいこく薬局方やっきょくほう (USP)
technetium (99mTc) sestamibi	ヘキサキス（2-メトキシイソブチルイソニトリル）テクネチウム (^99mTc)	technetium Tc 99m sestamibi
fludeoxyglucose (18F)	フルデオキシグルコース (¹⁸F)	fludeoxyglucose F 18
sodium iodide (123I)	ヨウ化かナトリウム (¹²³I)	sodium iodide I 123
indium (111In) altumomab pentetate	（未み承認しょうにん）	indium In 111 altumomab pentetate

参考さんこう資料しりょう[編集へんしゅう]

^ Iverson, Cheryl, et al. (eds) (2007), “15.9.2 Radiopharmaceuticals”, AMA Manual of Style (10th ed.), Oxford, Oxfordshire: Oxford University Press, ISBN 978-0-19-517633-9, http://www.amamanualofstyle.com/.

[AMA_10e_15.9.2-1] Iverson, Cheryl, et al. (eds) (2007), “15.9.2 Radiopharmaceuticals”, AMA Manual of Style (10th ed.), Oxford, Oxfordshire: Oxford University Press, ISBN 978-0-19-517633-9, http://www.amamanualofstyle.com/.

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