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日本にっぽんなみ曼派

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日本にっぽんなみ曼派(にほんろうまんは)は1930年代ねんだい後半こうはんに、保田やすだ與重郎よじゅうろうらを中心ちゅうしんとする近代きんだい批判ひはん古代こだい賛歌さんか支柱しちゅうとして「日本にっぽん伝統でんとうへの回帰かいき」を提唱ていしょうした文学ぶんがく思想しそう。およびその機関きかん(1935ねん3がつ創刊そうかん、1938ねん3がつおわりかんめい。また、その理念りねん作風さくふう共有きょうゆうしていたとかんがえられる作家さっかたちをさす。

※なお本稿ほんこうでは、機関きかん表記ひょうき日本にっぽんなみ曼派」で統一とういつする。

作家さっか影響えいきょう

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どう時代じだい背景はいけいにより、文学ぶんがく思想しそうえて、右傾うけいてき側面そくめん青年せいねんそう絶大ぜつだい影響えいきょうあたえた。機関きかんは、保田やすだ與重郎よじゅうろう主宰しゅさい。このほか、神保じんぼ光太郎こうたろう亀井かめい勝一郎かついちろう中島なかじま栄次郎えいじろう中谷なかたに孝雄たかお緒方おがた隆士たかし、が創刊そうかんメンバー。伊東いとう静雄しずお太宰だざいおさむだん一雄かずお駒田こまだ信二しんじ浅野あさのあきら中河なかがわ與一よいちらも同人どうじんとしてくわわる。周辺しゅうへん人脈じんみゃくには斎藤さいとう清衛きよえ蓮田はすだ善明よしあき清水しみず文雄ふみお田中たなか克己かつみ中原なかはら中也ちゅうや三島みしま由紀夫ゆきおなどがいた。かれ掲載けいさい同人どうじんおよび周辺しゅうへん人脈じんみゃくは、かならずしも保田やすだらと意見いけん態度たいど一致いっちしていたわけではない。プロレタリア文学ぶんがく運動うんどう壊滅かいめつによる文学ぶんがくかいくら空気くうき一掃いっそう。またはその代替だいたい思潮しちょうざらとなった事実じじつがある。オンデマンド復刻ふっこく刊行かんこうされている。

  • 復刻ふっこくばん 日本にっぽんなみ曼派』(ぜん4さつ別冊べっさつ付録ふろく)、雄松おまつどう出版しゅっぱん、2007ねんげん丸善まるぜん雄松おまつどう
  • 復刻ふっこくばん 文藝ぶんげい文化ぶんか創刊そうかんごう昭和しょうわ13ねん7がつ)~おわりかんごう昭和しょうわ19ねん8がつ)、ぜん7さつ別冊べっさつ付録ふろく同上どうじょう、2007ねん

批判ひはん論評ろんぴょう

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批判ひはんとしては、どう時代じだい雑誌ざっし人民じんみん文庫ぶんこ』にった武田たけだ麟太郎りんたろうによるものがあり、『人民じんみん文庫ぶんこ代表だいひょうと『日本にっぽんなみ曼派』代表だいひょうとのあいだ座談ざだんかい企画きかくされた(未來社みらいしゃ刊行かんこうの『現代げんだい日本にっぽん文学ぶんがく論争ろんそう』のなかまき、「日本にっぽんなみ曼派論争ろんそう」に収録しゅうろくされている)。

立原たちはら道造みちぞう友人ゆうじんであった杉浦すぎうらあきらたいら戦後せんご一時期いちじき日本にっぽん共産党きょうさんとういんだった)は、立原たちはら才能さいのうしむ立場たちばから、戦後せんごまもなく刊行かんこうした『くらよる記念きねんに』(ふうなかだちしゃ新版しんぱん再刊さいかん)などで保田やすだたちの戦時せんじちゅう行動こうどうはげしく批判ひはんした。

橋川はしかわ文三ぶんぞうは、初期しょき代表だいひょうさく日本にっぽんなみ曼派批判ひはん序説じょせつ』(未來社みらいしゃ初刊しょかん1960ねん)で、日本にっぽんなみ曼派の基盤きばんふくふか分析ぶんせきしている。

三島みしま由紀夫ゆきおは、30だい後半こうはんあらわした「わたし遍歴へんれき時代じだい」で、国文学こくぶんがく清水しみず文雄ふみお蓮田はすだ善明よしあき主宰しゅさいした『文藝ぶんげい文化ぶんか』(日本にっぽんなみ曼派けい文芸ぶんげい)にかんし「戦争せんそうなかのこちたき指導しどうしゃ理論りろん国家こっかそう力戦りきせん功利こうりてき目的もくてき意識いしきから、あえかな日本にっぽん古典こてんまも城砦じょうさいであつた」と回想かいそうしている[1]

資料しりょう文献ぶんけん

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  • 日本にっぽん文学ぶんがく研究けんきゅう資料しりょう叢書そうしょ 日本にっぽんなみ曼派』(有精ゆうせいどう、1977ねん
  • ユリイカ 批評ひひょう 特集とくしゅう 日本にっぽん浪漫ろうまんとはなにか』[2](1975ねん10がつごう青土おうづちしゃ
  • 国文学こくぶんがく 解釈かいしゃく鑑賞かんしょう 日本にっぽん浪漫ろうまんとはなにか』(1979ねん1がつごう至文しぶんどう) 
  • 保田やすだ與重郎よじゅうろう文庫ぶんこ19 日本にっぽんなみ曼派の時代じだい』(新学社しんがくしゃ文庫ぶんこ、1999ねん)- 初版しょはん至文しぶんどう、1969ねん
  • 近代きんだいなみ曼派文庫ぶんこ33 「日本にっぽんなみ曼派」しゅう』(新学社しんがくしゃ文庫ぶんこ、2007ねん
  • 日本にっぽんなみ曼派とはなにか 復刻ふっこくばん日本にっぽんなみ曼派」別冊べっさつ雄松おまつどう書店しょてん、1971ねん。オンデマンドばん、2007ねん

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 三島みしま由紀夫ゆきおわたし遍歴へんれき時代じだい」(東京とうきょう新聞しんぶん夕刊ゆうかん 1963ねん1がつ10日とおか - 5月23にちごう)。32かん 2003, pp. 271–323。『太陽たいようてつ』(講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ、1971ねん)100ぺーじ新版しんぱんに『太陽たいようてつわたし遍歴へんれき時代じだい』(中公ちゅうこう文庫ぶんこ、2020ねん
  2. ^ 特集とくしゅう末尾まつびに「日本にっぽんなみ曼派」そう目次もくじ掲載けいさい

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 橋川はしかわ文三ぶんぞう著作ちょさくしゅう1 日本にっぽんなみ曼派批判ひはん序説じょせつ論理ろんり政治せいじ論理ろんり』(筑摩書房ちくましょぼう新版しんぱん2000ねん
  • ケヴィン・マイケル・ドーク日本にっぽんなみ曼派とナショナリズム』小林こばやし宜子のぶこやく柏書房かしわしょぼう〈パルマケイア叢書そうしょ12〉。ISBN 4760117318 
  • 三島みしま由紀夫ゆきお決定けっていばん 三島みしま由紀夫ゆきお全集ぜんしゅう32かん 評論ひょうろん7』新潮社しんちょうしゃ、2003ねん7がつISBN 978-4106425721 
近年きんねん研究けんきゅう文献ぶんけん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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