曹彬

曹彬

曹 彬あきら（そう ひん、長ちょう興きょう2年ねん（931年ねん） - 咸平2年ねん6月7日にち（999年ねん7月がつ22日にち））は、後こう周しゅうから北きた宋そうにかけての軍人ぐんじん。字じは国華こっか。諡おくりなは武たけ恵めぐみ。鎮州霊れい寿ことぶき県けんの人ひと。南みなみ唐とう攻略こうりゃくなど数々かずかずの功績こうせきを挙あげた宋そう初はつの名将めいしょうで、宋朝そうちょう建国けんこくの元勲げんくんの一人ひとり。

生涯しょうがい

後こう周しゅうでは太ふとし祖その妻つまの張ちょう貴たか妃ひの甥おいとして重用じゅうようされ、趙ちょう匡ただし胤たねが恭きょう帝みかどから禅譲ぜんじょうを受うけて北きた宋そうが建たつと、そのまま北きた宋そうへ仕つかえる。その後ごは将軍しょうぐんとして契ちぎり丹に・北きた漢かん・後こう蜀しょく・南みなみ唐とうの諸国しょこくと歴戦れきせんし、数々かずかずの武勲ぶくんを挙あげた。

965年ねんの後のち蜀しょく攻略こうりゃく戦せんにおいては征伐せいばつ軍ぐんによる攻略こうりゃく後ごの暴行ぼうこうを制止せいししきれず、諸しょ将しょうとともに太ふとし祖そから譴責けんせきを受うけたが、975年ねんの南みなみ唐から攻略こうりゃく戦せんでは被害ひがいを最小限さいしょうげんに留とめ、南みなみ唐とうの優すぐれた文化ぶんかを北きた宋そうへ受うけ継つがせることができた。

その後ごは枢くるる密使みっし・同どう平たいら章あきら事ごとを歴任れきにんして軍事ぐんじ面めんの責任せきにん者しゃとして貢献こうけんし、一時いちじは北きた漢かん討伐とうばつ戦せんの敗戦はいせん責任せきにんを負おって左遷させんされたものの、後のちに枢くるる密使みっしに復帰ふっきしている。

子こは曹璨・曹珝・曹玹・曹瑋・曹玘・曹珣・曹琮。娘むすめは真宗しんしゅうの側室そくしつの曹賢妃ひ。孫娘まごむすめで曹玘の娘むすめが仁じん宗むねの慈聖皇后こうごうになった。また、道教どうきょうの八はち仙せんの一人ひとりである曹国舅しゅうとは、慈聖皇后こうごうの弟おとうと、すなわち曹彬の孫まごとされる。

人物じんぶつ

清廉せいれん篤実とくじつな人物じんぶつとして知しられ、幾いくつかのエピソードが伝つたわっている。

• 曹彬が後こう周しゅうの茶ちゃ酒しゅを司つかさどる役人やくにんだった頃ころ、まだ後こう周しゅうの将軍しょうぐんだった太ふとし祖そ趙ちょう匡ただし胤たねに管理かんり下かの酒さけを要求ようきゅうされたことがあった。曹彬は公おおやけの酒さけを与あたえることを断ことわり、自みずから酒さけを購あがなって趙ちょう匡ただし胤たねに与あたえた。後のちに太ふとし祖そは、曹彬の篤実とくじつな勤務きんむぶりを称揚しょうようしたという。

• 曹彬の人柄ひとがらを知しる太ふとし祖そは、後こう蜀しょく攻略こうりゃく戦せんの略奪りゃくだつには曹彬は関係かんけいしてないとして許ゆるそうとした。しかし、曹彬は、自分じぶんも将しょうとして名なを連つらねていたから責任せきにんがあるとして自みずから諸しょ将しょうとともに叱責しっせきを受うけた。

• 江南こうなんの金きむ陵りょう包囲ほうい戦中せんちゅう、曹彬は攻おさむ城前しろまえに仮病けびょうを使つかって寝込ねこんだ。そして見舞みまいに訪おとずれた諸しょ将しょうから、病やまいを治なおす代償だいしょうとして略奪りゃくだつ・暴行ぼうこうを行おこなわない旨むねの誓約せいやくを受うけた後のちに金かね陵りょうを攻略こうりゃくしたため、被害ひがいを最小限さいしょうげんに留とめることができたという。

資料しりょう

• 宋そう史ふみ/卷まき258（ウィキソース中国語ちゅうごくご版ばん）