有光ありみつ層そう

太陽光たいようこうの入射にゅうしゃと減衰げんすい

有光ありみつ層そう（ゆうこうそう、photic zone もしくは photic layer）とは、湖沼こしょうや海洋かいようなどにおいて太陽光たいようあきらの届とどく範囲はんいの水みず層そうのことである。

定義ていぎ

有光ありみつ層そうの定義ていぎには広義こうぎのものと狭義きょうぎのものとがある。広義こうぎの有光ありみつ層そうは、生物せいぶつが光ひかりを感かんじる限界げんかい（海面かいめんの 1/10⁹ くらいの光ひかり強度きょうど）までの層そうを指さす。一方いっぽう狭義きょうぎの有光ありみつ層そうは、光合成こうごうせい生物せいぶつの補償ほしょう深度しんど（海面かいめんの 1/10² くらいの光ひかり強度きょうど）以浅の層そうを指さす。この層そうは真光しんこう層そう（euphotic zone、ギリシャ語ごで『よく光ひかる』の意い）と呼よばれる事こともあり、真光しんこう層そうに含ふくまれない微弱びじゃくな光ひかり（光合成こうごうせいの収支しゅうしを維持いじできない量りょうの光ひかり）が到達とうたつする層そうを薄うすき光ひかり層そうや透とおる光ひかり層そう(disphotic zone)として呼よび分わける。定義ていぎの包含ほうがん関係かんけいをまとめると以下いかのようになる。

広義こうぎの有光ありみつ層そう ＝ 狭義きょうぎの有光ありみつ層そう（真光しんこう層そう）＋薄うすき光ひかり層そう（透とおる光ひかり層そう）

概要がいよう

有光ありみつ層そうの厚あつさ（深ふかさ）は濁にご度たびの季き節ぶし変動へんどうに大おおきく依存いぞんする。そのためその層そうの厚あつさは水中すいちゅうでの光ひかりの減衰げんすい次第しだいで大おおきく変かわる。この光ひかりの減衰げんすいは水中すいちゅうの微粒子びりゅうしや微生物びせいぶつなどにより光ひかりが吸収きゅうしゅう・散乱さんらんされて生しょうじ、光ひかりが直進ちょくしんするほど（水深すいしんが深ふかくなるほど）光ひかりの強度きょうどは低下ていかする。実際じっさいの有光ありみつ層そうの厚あつさは極きわめて濁にご度たびが高たかい（不透明ふとうめいな）富とみ栄養えいよう化かした湖沼こしょうでは数かずcmのこともあるが、外洋がいようでは200mほどにもなる。有光ありみつ層そうの基準きじゅんとなる水みずの透明とうめい度どは、セッキー円盤えんばんを使つかった簡素かんそな方法ほうほうで測定そくていされる。

生態せいたい的てき意義いぎ

深海しんかい熱ねつ水すい孔あなや冷水れいすい湧出ゆうしゅつ帯たい等とうで見みられる局所きょくしょ的てきな基礎きそ生産せいさんを除のぞき、（狭義きょうぎの）有光ありみつ層そうは基礎きそ生産せいさんが生しょうじる唯一ゆいいつの水みず層そうである。そのため、有光ありみつ層そうの厚あつさはその水域すいいきで生しょうじる基礎きそ生産せいさんの活発かっぱつさを反映はんえいしていると考かんがえるのが一般いっぱん的てきである。

関連かんれん項目こうもく

• 漂泳区分くぶん帯たい
• 無む光ひかり層そう