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木馬もくば

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベルリン博物館はくぶつかん展示てんじされているオーソドックスな木馬もくば

木馬もくば(もくば)は、つくられたうまとく子供こどものための玩具おもちゃとしてつくられたものをす。うました玩具おもちゃ紀元前きげんぜんから存在そんざいするもので、また世界中せかいじゅうひろれいられる。玩具おもちゃとしての「木馬もくば」は、子供こどもがそのにまたがってのちらしてあそぶもの(rocking horse木馬もくば)と、ながぼうさきうまあたまをつけ、ぼう部分ぶぶんにまたがってあそぶもの(hobby horseぼう)の種類しゅるい大別たいべつされるが[1]木馬もくばのように全体ぜんたいうまかたちをしたものでも前後ぜんごうごかないもの、車輪しゃりんがついていてってあそぶものなどもある[2]

木馬もくば

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カール・クリスチャン・フォーゲル・フォン・フォーゲルシュタインようアルベルト・フォン・ザクセンの肖像しょうぞう』(1833ねん

子供こどもってうごかすための木馬もくばは、木製もくせい玩具おもちゃとしては歴史れきしてきもっとふるいとかんがえられ[3]、その源流げんりゅう紀元前きげんぜん5世紀せいきまでさかのぼることができる[1]玩具おもちゃ史家しかアントニア・フレーザーによれば、このころギリシャ政治せいじ軍人ぐんじんアルキビアデス紀元前きげんぜん450ねん - どう404ねん)なる人物じんぶつが、自分じぶん子供こどもにまたがってあそぶための木馬もくばあたえているという。どう時期じき古代こだいエジプトオクシリンコス遺跡いせきからも木製もくせいうま発掘はっくつされており、もともとは車輪しゃりんいていたものと推測すいそくされている。紀元きげん500ねんにはイギリスフランスドイツ諸国しょこく木馬もくばがあったが、これには地中海ちちゅうかい世界せかいひろ征服せいふくしたマ帝国まていこく遊戯ゆうぎ文化ぶんか背景はいけいをなしているとかんがえられる[4]

戦士せんし兵隊へいたいへのあこがれもあり、木馬もくば中世ちゅうせいから近世きんせいにかけても子供こども人気にんきのある玩具おもちゃであった[5]現在げんざいよくられる、弓形きゅうけいだいったタイプの木馬もくばは、19世紀せいき初頭しょとうのヨーロッパにおいてひろもちいられていたものである[6]。こうした木馬もくば生産せいさんは、19世紀せいきなかばから工業こうぎょうされ大量たいりょう生産せいさんされるようになった[7]

日本にっぽんにおいては武士ぶし子弟してい乗馬じょうば訓練くんれんおこなうための木馬もくばふるくから存在そんざいしており、戦国せんごく時代じだい武将ぶしょう武田たけだ信玄しんげんが、その幼少ようしょう自分じぶん木馬もくばひょういたのけ退治たいじしたという伝説でんせつもある[8]。このたね木馬もくばあつばんつくられており、手綱たづなあぶみをつけ、これを使つかってむちかたりなどの練習れんしゅうをした[6][8]くらけておく道具どうぐとしてももちいられ「鞍掛くらかけ」とばれている[6]。このように乗馬じょうばならうために木馬もくばもちいるれい中国ちゅうごくにもあったという。上述じょうじゅつのような木馬もくばはいってくるのは明治めいじ時代じだいであり、当初とうしょはもっぱら上流じょうりゅう階級かいきゅう家庭かていもちいられていた[6]

2014ねん現在げんざいギネスブックには世界せかい最大さいだい木馬もくばとして、イスラエルカディマのOfer Morという人物じんぶつによって制作せいさくされた、ながさ7.6メートル、はば3.22メートル、たかさ6.10メートルのきょ大木たいぼく登録とうろくされている(2010ねん登録とうろく[9]

ぼう(ホビー・ホース)

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アロンソ・サンチェス・コエリョおさなきドン・ディエゴの肖像しょうぞう』(1577ねん)。左手ひだりてぼうっている。

ぼう({Hobby horse)とばれる、ぼうさきうまあたまをつけた木馬もくばふるくから存在そんざいしているもので、古代こだいギリシャ哲学てつがくしゃソクラテスいえにもあったという[10]中世ちゅうせいヨーロッパの木版もくはん彫刻ちょうこくにも頻繁ひんぱんあらわれており、中世ちゅうせい世界せかい全体ぜんたいひろ普及ふきゅうしていたことがわかる[10]。ヨーロッパではトランペットで口上こうじょうべてホビー・ホースを行商ぎょうしょうがいたほどの人気にんきぶりで、17世紀せいきにはさんじゅうねん戦争せんそう終結しゅうけつ記念きねんしてつくられたペニー銀貨ぎんか絵柄えがらにもぼう使つかわれた[10]故事こじによれば当時とうじハプスブルクつかえたイタリア出身しゅっしん軍人ぐんじんオッタヴィオ・ピッコロミニ英語えいごばんのもとに1000にんあまりの子供こどもぼうっておとずれ、この記念きねん銀貨ぎんかもらってかえっていったという[11]近年きんねんでは、ぼう使つかって馬術ばじゅつした競技きょうぎがヨーロッパを中心ちゅうしんさかんにおこなわれている。[よう出典しゅってん]

ただしぼう木馬もくば用法ようほうもある。「ホビー」(hobby)はもともと「ゆっくりある中小ちゅうしょう規模きぼうま」を意味いみする言葉ことばで、14世紀せいきにおいてすでにちゅう英語えいご "hobyn"のかたち使つかわれていた。今日きょう "hobby" が「たのしみ・趣味しゅみ」を意味いみするのは、「気晴きばらしをする」という意味いみ慣用かんよう "to ride one's hobby-horse"(ぼうる)がてんじて"hobby"の本義ほんぎになった結果けっかである[12]

このほか「スティック・ホース」 (stick horse)、「コック・ホース」 (cock horse) のもあり、後者こうしゃかた著名ちょめいマザー・グース木馬もくばってバンベリー・クロスへ英語えいごばん」 ("Ride a cock horse to Banbury Cross") にもあらわれている。ぼうはまた、伝統でんとうてき祭礼さいれいおどしゅこしにつけたり、仮装かそうしゃあたまこうむったりするつくものうま意味いみする言葉ことばとしてももちいられている[13]2010ねんからフィンランドを中心ちゅうしんに、ホビーホースを活用かつようした馬術ばじゅつした競技きょうぎである「ホビーホーシング」もおこなわれている。[よう出典しゅってん]

日本にっぽんにもたけ使つかった同様どうよう伝統でんとう玩具おもちゃがあり「はるこま」とばれている[11]。もともとはうまあたまがなく、たんたけぼうひもをつけて手綱たづな見立みたてたものがはじまりで、このような玩具おもちゃ(「竹馬たけうま」)は平安へいあん時代じだいにはすでに存在そんざいし、文献ぶんけんでは『雑言ぞうごんたてまつ』(901ねん)に最古さいこ言及げんきゅうられる[10]江戸えど時代じだい中期ちゅうき草子ぞうしでは、ものうまあたまがついた非常ひじょうったつくりのはるこまえがかれている。現在げんざい一般いっぱんに「竹馬たけうま」とばれている、竹竿たけざお横木よこぎけてそのうえってあそ玩具おもちゃも、竹竿たけざお部分ぶぶんまたがってあそふるい「竹馬たけうま」の変形へんけいとして江戸えど時代じだいあらわれたものである[10]

中国ちゅうごくにもぼうにあたる同様どうよう玩具おもちゃで「うま几」(マール、「おうまさん」の)とばれるものが存在そんざいしており、紀元前きげんぜん1世紀せいきにすでにこのような玩具おもちゃあそばれていた[14][10]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b ぞく玩具おもちゃ系譜けいふ』 259ぺーじ
  2. ^ 木馬もくば」 『ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてんだい22かん、ティービーエスブリタニカ、1991ねんだい2はん改版かいはん)、452ぺーじ
  3. ^ 玩具おもちゃ系譜けいふ』 67ぺーじ
  4. ^ ぞく玩具おもちゃ系譜けいふ』 258ぺーじ
  5. ^ ぞく玩具おもちゃ系譜けいふ』 260ぺーじ
  6. ^ a b c d 芳井よしいたかしろう木馬もくば」 『日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょだい22かん小学館しょうがくかん、1988ねん、849ぺーじ
  7. ^ Galloping for Rocking Horses?”. Antiques Roadshow. PBS. 3 June 2010閲覧えつらん
  8. ^ a b 日本人にっぽんじんがた玩具おもちゃ事典じてん』 453-454ぺーじ
  9. ^ "Largest rocking horse" Guinness World Records, 2014ねん6がつ17にち閲覧えつらん
  10. ^ a b c d e f 世界せかい玩具おもちゃ事典じてん』 280ぺーじ
  11. ^ a b ぞく玩具おもちゃ系譜けいふ』 261ぺーじ
  12. ^ "hobby[リンク]", The Oxford English Dictionary. 2nd ed. 1989. OED Online. Oxford University Press. 2010ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  13. ^ en:Hobby horse参照さんしょう
  14. ^ ぞく玩具おもちゃ系譜けいふ』 262-263ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 遠藤えんどう欣一郎きんいちろう玩具おもちゃ系譜けいふ日本にっぽん玩具おもちゃ資料しりょうかん、1988ねん
  • 遠藤えんどう欣一郎きんいちろうぞく玩具おもちゃ系譜けいふ日本にっぽん玩具おもちゃ資料しりょうかん、1990ねん ISBN 978-4326931736
  • 齋藤さいとう良輔りょうすけ 『日本人にっぽんじんがた玩具おもちゃ事典じてん東京とうきょうどう出版しゅっぱん 1997ねん ISBN 4-490-10477-4
  • 多田ただしんさく多田ただ千尋ちひろ世界せかい玩具おもちゃ事典じてん岩崎いわさき美術びじゅつしゃ、1989ねん

関連かんれん項目こうもく

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