李り進すすむ (元もと)

李り進すすむ（りしん、? - 1295年ねん）は、モンゴル帝国ていこくに仕つかえた漢人かんどの一人ひとり。順じゅん天てん軍ぐん曲きょく陽ひ県けんの出身しゅっしん。

概要がいよう[編集へんしゅう]

李り進すすむは幼おさなくして軍籍ぐんせきに属ぞくし、万まん戸この張ちょう柔やわらの軍ぐんに加くわわって杞州の三叉みつまた口こうに駐屯ちゅうとんした。この頃ころ、荊山の西にし90里さとに龍岡たつおかという南みなみ宋そうとの境界きょうかいがあり、1238年ねん（戊つちのえ戌いぬ）春はるに張ちょう柔やわらは龍岡たつおかの上うえに堡塁ほうるいを築きずき始はじめた。淮河の水位すいいが満みちた頃ころに南みなみ宋そう水軍すいぐんが接近せっきんすると、李り進すすむは15名めいの兵へいを載のせた舟ふね一いち隻せきで一いち巨きょ艦かんを奪うばう功績こうせきを挙あげ、これにより百ひゃく戸こに昇格しょうかくとなった^[1]。

1258年ねん（戊つちのえ午うま）よりモンケの南みなみ宋そう親おや征せいが始はじまると、丞相じょうしょうの史ふみ天てん沢さわが諸国しょこくの勇敢ゆうかんな兵へいの選抜せんばつを行おこない、これに選えらばれた李り進すすむは総そう把わに任にんじられた。同年どうねん9月がつには陳ひね倉くらより興きょう元もとに入はいり、米倉よねくら関せきを過すぎたあたりからは荒あれた土地とちを切きり開ひらきながら700里さとを進すすんだ。11月に定てい遠とお七なな十じゅう関せきに至いたったが、これらの諸しょ関せきは互たがいに連携れんけいして守まもりを固かためている上うえ、江こう水みずの流ながれが進軍しんぐんを阻はばむ天険てんけんの要塞ようさいであった。史し天てん沢さわの命いのちを受うけて李り進すすむは投降とうこうするよう南みなみ宋そう兵へいに呼よびかけたが拒否きょひされたため、李り進すすむは密ひそかに間道かんどうを探さぐって力ちから攻ぜめするよう史し天てん沢さわに進言しんげんした。その夜よる、史ふみ天てん沢さわは李り進すすむを含ふくむ勇士ゆうし70人にんを派遣はけんして間道かんどうから攻せめ入はいらせたが、途中とちゅうで守備しゅび兵へいに気きづかれ李り進すすむも傷きずを負おってしまった。しかし、李り進すすむはここから30人にん余あまりを殺傷さっしょうして守備しゅび隊たいを退却たいきゃくさせ、遂ついに城門じょうもんを破壊はかいして本ほん軍ぐんを城内じょうないに入いれることに成功せいこうした^[2]。

1259年ねん（己おのれ未み）2月がつ、史ふみ天てん沢さわ軍ぐんはモンケ軍ぐんに合流ごうりゅうして釣魚ちょうぎょ山やまを包囲ほういし、同年どうねん5月がつには嘉よしみ陵りょう江こうより攻せめてきた南みなみ宋そう水軍すいぐんと三さん槽ふね山やまの西にしで一いち戦せん交まじえた。6月には三さん槽ふね山やまの東ひがしで南みなみ宋そう水軍すいぐんを破やぶり、7月がつには300隻せき余あまりで黒石くろいし峡かいに停泊ていはくする南みなみ宋そう水軍すいぐんに対たいして、李り進すすむは先鋒せんぽうとして小舟こぶね50艘そうを率ひきいて活躍かつやくし、戦後せんごクビライ直々じきじきに戦功せんこうを賞しょうされて錦にしき衣ころも・名馬めいばを授さづけられている。8月には再ふたたび浮図ふと関せきで南みなみ宋そう軍ぐんと戦たたかい、前後ぜんご5度どにわたる戦闘せんとうで挙あげた功績こうせきにより上うえ賞しょうを受うけた^[3]。

クビライが即位そくいすると侍さむらい衛まもる親おや軍ぐんに入はいり、中なか統みつる2年ねん（1261年ねん）には総そう把わの地位ちいを授さづけられ、中ちゅう統すべ3年ねん（1262年ねん）には李り璮の乱らん討伐とうばつに従事じゅうじしている。至いたり元もと8年ねん（1271年ねん）からは襄じょう陽ひの包囲ほういに加くわわり、至いたり元もと12年ねん（1275年ねん）には湖南こなん・湖北こほく一帯いったいの平定へいていに従事じゅうじした。首都しゅとの臨安の陥落かんらくにより南みなみ宋そうが事実じじつ上じょう滅ほろぶと兵馬へいば使しの地位ちいを授さづけられて鄂州に駐屯ちゅうとんし、至いたり元もと13年ねん（1276年ねん）には更さらに2千せんの兵へいを率ひきいて河西かさい中興なかおき府ふで屯田とんでんした。至いたり元もと14年ねん（1277年ねん）、武略ぶりゃく将軍しょうぐん・千せん戸こに昇格しょうかくとなり、至いたり元もと15年ねん（1278年ねん）には六ろく盤ばん山やまに移うつった。至いたり元もと17年ねん（1280年ねん）、更さらに明あきら威い将軍しょうぐん・管かん軍ぐん総そう管かんに昇格しょうかくとなり、至いたり元もと19年ねん（1282年ねん）には懐ふところ遠大えんだい将軍しょうぐんとされてウイグリスタンのビシュバリクに屯田とんでんした^[4]。

至いたり元もと23年ねん（1286年ねん）、カイドゥとドゥアが軍ぐんを率ひきいて洪水こうずい山やまに至いたると、李り進すすむはこれを迎撃げいげきすべく出撃しゅつげきしたものの、衆寡しゅうか敵てきせず敗やぶれ捕虜ほりょとなった^[5]^[6]。しかしジャンバリクに至いたった所ところで李り進すすむは脱走だっそうし、カラコルムまで至いたると敗走はいそうした兵へい300を集あつめて抗戦こうせんを続つづけた。その後ご、クビライの下したに戻もどると戦功せんこうを称となえられて金かね織お紋もん衣ころも2襲かさね・鈔1500貫かんを下賜かしされた。至いたり元もと25年ねん（1288年ねん）、蒙こうむ古こ侍さむらい衛まもる親おや軍ぐん都と指揮しき使し司し僉事の地位ちいを授さずかり、また至いたり元もと26年ねん（1289年ねん）には左翼さよく屯田とんでん万まん戸ことされたが、元げん貞さだ元年がんねん（1295年ねん）春はるに亡なくなった^[7]。

死後しごは息子むすこの李り雯が地位ちいを継ついでいる^[8]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「李り進すすむ、保ほ定じょう曲きょく陽ひ人じん。幼よう隷軍籍せき、初はつ従したがえ万戸張柔屯杞之三叉口、時じ荊山之の西にし九きゅう十じゅう里さと曰龍岡たつおか者しゃ、宋そう境さかい也。歳とし庚かのえ戌いぬ春はる、張ちょう柔やわら引兵築ちく堡岡上じょう。会かい淮水汎ひろし漲みなぎ、宋そう以舟師し卒そつ至いたり、主しゅ帥そち察罕率りつ軍ぐん逆ぎゃく戦せん、進すすむ以兵十じゅう五ご人にん載の一いち舟ふね、転うたて闘たたかえ十じゅう餘あまり里さと、奪だつ一いち巨きょ艦かん、遂とげ以功陞百ひゃく戸こ」
^ 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「戊つちのえ午うま、憲けん宗そう西にし征せい、丞相じょうしょう史し天てん沢さわ時じ為ため河南かなん経略けいりゃく大使たいし、選せん諸道しょどう兵へい之の驍勇者しゃ従したがえ、遂とげ命いのち進しん為ため総そう把わ。是ぜ年ねん秋あき九きゅう月がつ、道みち由よし陳ひね倉くら入にゅう興きょう元もと、度ど米倉よねくら関せき、其地荒あら塞ふさが不通ふつう、進すすむ伐木ばつぼく開ひらけ道どう七なな百ひゃく餘あまり里さと。冬ふゆ十じゅう一いち月がつ、至いたり定じょう遠とお七なな十じゅう関せき、其関上下じょうげ皆みな築ちく連れん堡、宋そう以五百ひゃく人にん守之もりゆき、巴ともえ渠みぞ江こう水みず環たまき堡東流りゅう。天てん沢さわ命いのち進しん往関下か説せつ降くだ之これ、不ふ従したがえ。進すすむ潜せん視し間道かんどう、帰かえり白はく天たかし沢さわ曰『彼かれ可か取と也』。是ぜ夜よる二に鼓こ、天てん沢さわ遣や進すすむ率りつ勇士ゆうし七なな十じゅう人にん、掩其不備ふび、攻おさむ之の、脱だつ門もん枢くるる而入者しゃ二に十じゅう人にん。守門すもん者しゃ覚さとし、抜刀ばっとう拒こばめ之これ、進すすむ被ひ傷きず、不ふ以為病びょう。懸かか門もん俄にわか閉、諸しょ軍ぐん不ふ得とく入いれ、進すすむ与あずか二に十じゅう人にん力戦りきせん、殺傷さっしょう三さん十じゅう人にん。後こう兵へい走はし上うわ堡、進すすむ乃毀懸門もん、納おさめ諸しょ軍ぐん、追つい至上しじょう堡、殺傷さっしょう益えき衆しゅ、宋そう兵へい不能ふのう敵てき、棄走。夜よる将はた旦だん、進すすむ遂とげ得え其堡、守之もりゆき、関せき路ろ始はじめ通どおり、諸しょ軍ぐん尽つき度ど。進すすむ以功受上賞しょう」
^ 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「己おのれ未み春はる二に月がつ、天てん沢さわ兵へい至いたり行在所あんざいしょ、囲かこえ合ごう州しゅう釣魚ちょうぎょ山やま寨。夏なつ五ご月がつ、宋そう由ゆかり嘉よしみ陵りょう江こう以舟師し來援らいえん、始はじめ大戦たいせん三さん槽ふね山西さんせい。六月ろくがつ、戦山たたかいやま之の東ひがし、有功ゆうこう。秋あき七なな月がつ、宋そう兵へい戦艦せんかん三さん百ひゃく餘よ泊はく黒石くろいし峡かい東ひがし、以軽舟ぶね五ご十じゅう為ため前ぜん鋒ほこさき、北きた軍ぐん之の船ふね七なな十じゅう餘よ泊はく峡かい西にし、相あい距一里さと許もと。帝みかど立りつ馬ば東山ひがしやま、擁よう兵へい二に万まん、夾江而陣、天てん沢さわ乃号令れい於衆曰『聴吾鼓こ、視し吾われ旗き、無む少しょう怠だる也』。頃ころ之の、聞鼓声ごえ、視し其旗東ひがし指ゆび、諸しょ軍ぐん遂とげ鼓こ譟而入いれ、兵へい一いち交、宋そう前ぜん鋒ほこさき潰走かいそう、戦艦せんかん継つぎ乱みだれ、順流じゅんりゅう縦たて撃げき、死者ししゃ不可ふか勝かち計けい。帝みかど指ゆび顧謂諸しょ将しょう曰『白しろ旗下きか服ふく紅べに半臂はんぴ突而前者ぜんしゃ、誰だれ也』。天てん沢さわ以進対たい、賞しょう錦にしき衣ころも・名馬めいば。八はち月がつ、又また戦たたかえ浮図ふと関せき、前後ぜんご凡五ご戦せん、皆みな以功受上賞しょう」
^ 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「世よ祖そ即位そくい、入にゅう為ため侍さむらい衛まもる親おや軍ぐん。中ちゅう統すべ二に年ねん、宣せん授総把わ、賜たまもの銀ぎん符ふ。三さん年ねん、従したがえ征せい李り璮有功ゆうこう。至いたり元もと八はち年ねん、領りょう兵へい赴襄陽ひ。十じゅう二に年ねん、従したがえ略りゃく地ち湖北こほく・湖南こなん。宋そう平ひらめ、以兵馬ば使つかい分ぶん兵へい屯たむろ鄂州。十じゅう三さん年ねん、領りょう軍ぐん二に千せん、屯田とんでん河西かさい中興なかおき府ふ。十じゅう四よん年ねん、加か武略ぶりゃく将軍しょうぐん、陞千せん戸こ。十じゅう五ご年ねん、移うつり屯たむろ六ろく盤ばん山さん、加か武たけ毅あつし将軍しょうぐん、賜金しきん符ふ。十じゅう七なな年ねん、陞明威い将軍しょうぐん・管かん軍ぐん総そう管かん。十じゅう九きゅう年ねん、賜たまもの虎とら符ふ、復ふく進しん懐ふところ遠大えんだい将軍しょうぐん、命いのち屯田とんでん西域せいいき別べつ石せき八はち里さと」
^ 安部あべ1955,108頁ぺーじ
^ 劉りゅう2005,276-277頁ぺーじ
^ 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「二に十じゅう三さん年ねん秋あき、海うみ都と及篤娃等領りょう軍ぐん至いたり洪水こうずい山さん、進すすむ与力よりき戦せん、衆寡しゅうか不敵ふてき、軍ぐん潰つぶせ、進すすむ被ひ擒とりこ。従したがえ至いたり摻八里さと、遁還、至いたり和かず州しゅう、収おさむ潰つぶせ兵へい三さん百ひゃく餘人よにん、且戦且行かつゆき、還かえ至いたり京師けいし、賞金しょうきん織お紋もん衣ころも二に襲かさね・鈔一千せん五ご百ひゃく貫かん。二に十じゅう五ご年ねん、授蒙古こ侍さむらい衛まもる親おや軍ぐん都と指揮しき使し司し僉事。明年みょうねん、改あらため授左翼さよく屯田とんでん万まん戸こ。元もと貞元さだもと年春としはる、卒そつ」
^ 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「子こ雯、襲かさね授武徳ぶとく将軍しょうぐん・左翼さよく屯田とんでん万まん戸こ、佩虎符ふ。皇すめらぎ慶けい二に年ねん、加か宣せん武将ぶしょう軍ぐん。延のべ祐ゆう六ろく年ねん、仁ひとし宗そう念ねん其父進しん嘗北征せい被ひ掠かすめ、特とく賜たまもの雯中統すべ鈔五百ひゃく錠じょう以恤之の。泰たい定元さだもと年春としはる、以疾辞じ。子こ朶耳只ただ襲かさね」

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

安部あべ健夫たけお『西にしウイグル国史こくしの研究けんきゅう』中村なかむら印刷いんさつ出版しゅっぱん部ぶ、1955年ねん
劉りゅう迎むかい勝まさる『察合台だい汗あせ国史こくし研究けんきゅう』上海しゃんはい古こ籍せき出版しゅっぱん社しゃ、2006年ねん
『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん
『新元しんもと史し』巻まき163列伝れつでん60李り進すすむ伝でん

[1] 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「李り進すすむ、保ほ定じょう曲きょく陽ひ人じん。幼よう隷軍籍せき、初はつ従したがえ万戸張柔屯杞之三叉口、時じ荊山之の西にし九きゅう十じゅう里さと曰龍岡たつおか者しゃ、宋そう境さかい也。歳とし庚かのえ戌いぬ春はる、張ちょう柔やわら引兵築ちく堡岡上じょう。会かい淮水汎ひろし漲みなぎ、宋そう以舟師し卒そつ至いたり、主しゅ帥そち察罕率りつ軍ぐん逆ぎゃく戦せん、進すすむ以兵十じゅう五ご人にん載の一いち舟ふね、転うたて闘たたかえ十じゅう餘あまり里さと、奪だつ一いち巨きょ艦かん、遂とげ以功陞百ひゃく戸こ」

[2] 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「戊つちのえ午うま、憲けん宗そう西にし征せい、丞相じょうしょう史し天てん沢さわ時じ為ため河南かなん経略けいりゃく大使たいし、選せん諸道しょどう兵へい之の驍勇者しゃ従したがえ、遂とげ命いのち進しん為ため総そう把わ。是ぜ年ねん秋あき九きゅう月がつ、道みち由よし陳ひね倉くら入にゅう興きょう元もと、度ど米倉よねくら関せき、其地荒あら塞ふさが不通ふつう、進すすむ伐木ばつぼく開ひらけ道どう七なな百ひゃく餘あまり里さと。冬ふゆ十じゅう一いち月がつ、至いたり定じょう遠とお七なな十じゅう関せき、其関上下じょうげ皆みな築ちく連れん堡、宋そう以五百ひゃく人にん守之もりゆき、巴ともえ渠みぞ江こう水みず環たまき堡東流りゅう。天てん沢さわ命いのち進しん往関下か説せつ降くだ之これ、不ふ従したがえ。進すすむ潜せん視し間道かんどう、帰かえり白はく天たかし沢さわ曰『彼かれ可か取と也』。是ぜ夜よる二に鼓こ、天てん沢さわ遣や進すすむ率りつ勇士ゆうし七なな十じゅう人にん、掩其不備ふび、攻おさむ之の、脱だつ門もん枢くるる而入者しゃ二に十じゅう人にん。守門すもん者しゃ覚さとし、抜刀ばっとう拒こばめ之これ、進すすむ被ひ傷きず、不ふ以為病びょう。懸かか門もん俄にわか閉、諸しょ軍ぐん不ふ得とく入いれ、進すすむ与あずか二に十じゅう人にん力戦りきせん、殺傷さっしょう三さん十じゅう人にん。後こう兵へい走はし上うわ堡、進すすむ乃毀懸門もん、納おさめ諸しょ軍ぐん、追つい至上しじょう堡、殺傷さっしょう益えき衆しゅ、宋そう兵へい不能ふのう敵てき、棄走。夜よる将はた旦だん、進すすむ遂とげ得え其堡、守之もりゆき、関せき路ろ始はじめ通どおり、諸しょ軍ぐん尽つき度ど。進すすむ以功受上賞しょう」

[3] 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「己おのれ未み春はる二に月がつ、天てん沢さわ兵へい至いたり行在所あんざいしょ、囲かこえ合ごう州しゅう釣魚ちょうぎょ山やま寨。夏なつ五ご月がつ、宋そう由ゆかり嘉よしみ陵りょう江こう以舟師し來援らいえん、始はじめ大戦たいせん三さん槽ふね山西さんせい。六月ろくがつ、戦山たたかいやま之の東ひがし、有功ゆうこう。秋あき七なな月がつ、宋そう兵へい戦艦せんかん三さん百ひゃく餘よ泊はく黒石くろいし峡かい東ひがし、以軽舟ぶね五ご十じゅう為ため前ぜん鋒ほこさき、北きた軍ぐん之の船ふね七なな十じゅう餘よ泊はく峡かい西にし、相あい距一里さと許もと。帝みかど立りつ馬ば東山ひがしやま、擁よう兵へい二に万まん、夾江而陣、天てん沢さわ乃号令れい於衆曰『聴吾鼓こ、視し吾われ旗き、無む少しょう怠だる也』。頃ころ之の、聞鼓声ごえ、視し其旗東ひがし指ゆび、諸しょ軍ぐん遂とげ鼓こ譟而入いれ、兵へい一いち交、宋そう前ぜん鋒ほこさき潰走かいそう、戦艦せんかん継つぎ乱みだれ、順流じゅんりゅう縦たて撃げき、死者ししゃ不可ふか勝かち計けい。帝みかど指ゆび顧謂諸しょ将しょう曰『白しろ旗下きか服ふく紅べに半臂はんぴ突而前者ぜんしゃ、誰だれ也』。天てん沢さわ以進対たい、賞しょう錦にしき衣ころも・名馬めいば。八はち月がつ、又また戦たたかえ浮図ふと関せき、前後ぜんご凡五ご戦せん、皆みな以功受上賞しょう」

[4] 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「世よ祖そ即位そくい、入にゅう為ため侍さむらい衛まもる親おや軍ぐん。中ちゅう統すべ二に年ねん、宣せん授総把わ、賜たまもの銀ぎん符ふ。三さん年ねん、従したがえ征せい李り璮有功ゆうこう。至いたり元もと八はち年ねん、領りょう兵へい赴襄陽ひ。十じゅう二に年ねん、従したがえ略りゃく地ち湖北こほく・湖南こなん。宋そう平ひらめ、以兵馬ば使つかい分ぶん兵へい屯たむろ鄂州。十じゅう三さん年ねん、領りょう軍ぐん二に千せん、屯田とんでん河西かさい中興なかおき府ふ。十じゅう四よん年ねん、加か武略ぶりゃく将軍しょうぐん、陞千せん戸こ。十じゅう五ご年ねん、移うつり屯たむろ六ろく盤ばん山さん、加か武たけ毅あつし将軍しょうぐん、賜金しきん符ふ。十じゅう七なな年ねん、陞明威い将軍しょうぐん・管かん軍ぐん総そう管かん。十じゅう九きゅう年ねん、賜たまもの虎とら符ふ、復ふく進しん懐ふところ遠大えんだい将軍しょうぐん、命いのち屯田とんでん西域せいいき別べつ石せき八はち里さと」

[5] 安部あべ1955,108頁ぺーじ

[6] 劉りゅう2005,276-277頁ぺーじ

[7] 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「二に十じゅう三さん年ねん秋あき、海うみ都と及篤娃等領りょう軍ぐん至いたり洪水こうずい山さん、進すすむ与力よりき戦せん、衆寡しゅうか不敵ふてき、軍ぐん潰つぶせ、進すすむ被ひ擒とりこ。従したがえ至いたり摻八里さと、遁還、至いたり和かず州しゅう、収おさむ潰つぶせ兵へい三さん百ひゃく餘人よにん、且戦且行かつゆき、還かえ至いたり京師けいし、賞金しょうきん織お紋もん衣ころも二に襲かさね・鈔一千せん五ご百ひゃく貫かん。二に十じゅう五ご年ねん、授蒙古こ侍さむらい衛まもる親おや軍ぐん都と指揮しき使し司し僉事。明年みょうねん、改あらため授左翼さよく屯田とんでん万まん戸こ。元もと貞元さだもと年春としはる、卒そつ」

[8] 『元もと史し』巻まき154列伝れつでん41李り進すすむ伝でん,「子こ雯、襲かさね授武徳ぶとく将軍しょうぐん・左翼さよく屯田とんでん万まん戸こ、佩虎符ふ。皇すめらぎ慶けい二に年ねん、加か宣せん武将ぶしょう軍ぐん。延のべ祐ゆう六ろく年ねん、仁ひとし宗そう念ねん其父進しん嘗北征せい被ひ掠かすめ、特とく賜たまもの雯中統すべ鈔五百ひゃく錠じょう以恤之の。泰たい定元さだもと年春としはる、以疾辞じ。子こ朶耳只ただ襲かさね」

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