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ひがしセム諸語しょご

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ひがしセム諸語しょご
はなされる地域ちいき中東ちゅうとう
言語げんご系統けいとうアフロ・アジア語族ごぞく
下位かい言語げんご
Glottologeast2678[1]

ひがしセム諸語しょご[2](ひがしセムしょご、East Semitic)は、セム下位かいぐんのひとつで、おも古代こだいメソポタミア使つかわれ、楔形文字くさびがたもじ表記ひょうきされた。そのおも言語げんごアッカドであり、ほかにエブラひがしセムふくめられることがおおい。セム西にしセム諸語しょごひがしセム諸語しょご大別たいべつされる。

ひがしセム諸語しょごはすべて消滅しょうめつしている。アッカドのもっともあたらしい形態けいたいである後期こうきバビロニア西暦せいれき100ねんごろまで使つかわれた。

概要がいよう

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ひがしセム諸語しょご西にしセム諸語しょごは、おも動詞どうし完了かんりょうがた活用かつよう体系たいけいによって区別くべつされる。ひがしセム諸語しょごでは「接頭せっとう-C1C2VC3」のかたちをとり[3]、たとえばアッカドの「る」(不定ふていがたparāsum、語根ごこんp-r-s)にたいして「わたしった」は a-prus になる。これにたいして西にしセムでは接尾せつびり、アラビアの「く」(語根ごこんk-t-b)にたいして「わたしいた」は katab-tu になる[4]西にしセムかたちは、どう形容詞けいようしせっかたち主格しゅかく代名詞だいめいしくわえることによっててきつくられたかたち解釈かいしゃくされる[5]

下位かい分類ぶんるい

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アッカド

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アッカドはセムでもっともふる言語げんご資料しりょう言語げんごである。すでに紀元前きげんぜん2600ねんごろのシュメール資料しりょうなかにアッカド人名じんめいえている。アッカドかれた資料しりょう紀元前きげんぜん2350ねんごろにはじまり、それからやく2500年間ねんかんにわたって継続けいぞくてきかれた。きた言葉ことばとしてはおそらく紀元前きげんぜん500ねんごろに衰退すいたいし、じょじょにアラムきかえられたが、その祭儀さいぎ知識ちしきじん言語げんごとして西暦せいれき1世紀せいきまできのこった[6]

紀元前きげんぜん3千年紀せんねんきのアッカドアッカドぶ。紀元前きげんぜん2千年紀せんねんきにはいるとアッカドはアッシリアとバビロニアの2つの方言ほうげんかれた。時代じだいによって紀元前きげんぜん2000-1500ねんのものをバビロニアふるアッシリア紀元前きげんぜん1500-1000ねんのものを中期ちゅうきバビロニア中期ちゅうきアッシリア紀元前きげんぜん1000-600ねんのものをしんバビロニアしんアッシリア、それ以降いこうのものを後期こうきバビロニアぶ。なかでもバビロニア古典こてんとしてバビロニアとアッシリアの両方りょうほうもちいられた。中期ちゅうき以降いこうのアッカド中東ちゅうとうリンガ・フランカとしてもちいられた[7]

アッカド保守ほしゅてき言語げんごであるが、シュメールつよ影響えいきょうけており、とくにバビロニアではその傾向けいこうつよ[8]

エブラ

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北西ほくせいシリアから出土しゅつどしたエブラ資料しりょうアッカドとほぼおな紀元前きげんぜん2400ねんごろにさかのぼる。出土しゅつどした資料しりょうりょうは15000けんにものぼるが[9]使つかわれた時期じき紀元前きげんぜん3千年紀せんねんき中頃なかごろのみである[6]。はじめは西にしセムぞくするとかんがえられていたが、研究けんきゅうすすむにつれてこの言語げんご西にしセム共通きょうつう改新かいしんがたたず、アッカド共通きょうつうのいくつかの改新かいしんおこなわれている(男性だんせい複数ふくすうがた語尾ごび人称にんしょう代名詞だいめいし与格よかくがたなど)ことがあきらかにされた[10]。このためひがしセムぞくするとかんがえられることがおおくなり、学者がくしゃによってはアッカド初期しょき方言ほうげんとみなすものすらある。しかし、エブラ表記ひょうきほうじょう制約せいやくおおきく、じゅうぶん研究けんきゅうすすんでいない[11]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “East Semitic”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/east2678 
  2. ^ 言語げんごがくだい辞典じてん』では「ひがしセム
  3. ^ Huehnergard (2004) p.151
  4. ^ Huehnergard (2004) p.141
  5. ^ Huehnergard (2004) p.152
  6. ^ a b Huehnergard & Woods (2004) p.218
  7. ^ Huehnergard & Woods (2004) p.219
  8. ^ Huehnergard & Woods (2004) p.220
  9. ^ Gordon (1997) pp.100-101
  10. ^ Faber (1997) p.7
  11. ^ Huehnergard & Woods (2004) p.223

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Alice Faber (1997). “Genetic Subgrouping of the Semitic Languages”. In Robert Hetzron. The Semitic Languages. Routledge. pp. 3-15. ISBN 9780415412667 
  • Cyrus H. Gordon (1997). “Amorite and Eblaite”. In Robert Hetzron. The Semitic Languages. Routledge. pp. 100-113. ISBN 9780415412667 
  • John Huehnergard (2004). “Afro-Asiatic”. In Roger D. Woodard. The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge University Press. pp. 138-159. ISBN 9780521562560 
  • John Huehnergard; Christopher Woods (2004). “Akkadian and Eblaite”. In Roger D. Woodard. The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge University Press. pp. 218-280. ISBN 9780521562560