析出せきしゅつ

析出せきしゅつ（せきしゅつ、英えい: deposition）とは、固体こたい以外いがいの状態じょうたいにある物質ぶっしつが固体こたいとして現あらわれる現象げんしょう。主おもに、溶液ようえきから溶質ようしつである成分せいぶんが固体こたいとして現あらわれる現象げんしょうを指さすが、広義こうぎには蒸着じょうちゃく（じょうちゃく）または気き相しょう析出せきしゅつ（きそうせきしゅつ）（英えい: vapor[vapour] deposition）現象げんしょうも析出せきしゅつの一種いっしゅである。本ほん項こうでは、溶液ようえきにおける析出せきしゅつについて述のべる。

析出せきしゅつは主おもに温度おんど変化へんかや溶媒ようばいの量りょう・種類しゅるい、混合こんごう溶媒ようばいの組成そせいの変化へんかなどによって、その物質ぶっしつの溶解ようかい度どが下さがることによって起おこる。再さい結晶けっしょうや再さい沈殿ちんでんはこの現象げんしょうを利用りようした物質ぶっしつの精製せいせい法ほうである。

化学かがく反応はんのうを行おこなう際さいに適切てきせつな溶媒ようばいを用もちいないと反応はんのう中ちゅう間あいだ体たいや生成せいせい物ぶつが析出せきしゅつし、反応はんのうがうまく進行しんこうしないことがある。逆ぎゃくに、反応はんのうの進行しんこうとともに溶媒ようばいに不溶ふような物質ぶっしつが生成せいせいすることが予想よそうされる場合ばあいには、反応はんのうの進行しんこうを確たしかめる一ひとつの目安めやすになる。また、可逆かぎゃく反応はんのうの場合ばあい、固体こたいとなって析出せきしゅつした物質ぶっしつは基本きほん的てきに平衡へいこうには関与かんよしないので、生成せいせい物ぶつが溶媒ようばいに不溶ふようであれば、析出せきしゅつ現象げんしょうが反応はんのうを生成せいせい系けいに偏かたよらせる駆動くどう力りょく（driving force）と成なりうる。

例たとえば、水溶液すいようえきにアルコールを加くわえ、溶存ようぞん塩しおを分離ぶんりする操作そうさも析出せきしゅつという。これは塩しおがアルコールに溶とけにくい性質せいしつを利用りようしたものである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 三省堂さんせいどう編修へんしゅう所しょ（編集へんしゅう）『三省堂さんせいどう 化学かがく小しょう事典じてん』（第だい 4 版はん）三省堂さんせいどう。ISBN 978-4385240251。 

関連かんれん項目こうもく

• 結晶けっしょう
• 沈殿ちんでん