柴橋しばはし事件じけん

柴橋しばはし事件じけん（しばはしじけん）は慶応けいおう4年ねん4月がつ2日にち（1868年ねん4月がつ24日にち）、戊辰戦争ぼしんせんそう時ときに新しん政府せいふ軍ぐんが出羽でわ国こく寒河江さがえ柴しば橋きょう（山形やまがた県けん寒河江さがえ市し柴橋しばはし）の陣屋じんやを襲撃しゅうげきした事件じけんである。

経緯けいい

慶応けいおう3年ねん（1867年ねん）12月8日にちに新しん政府せいふ（倒幕とうばく派は）は王政おうせい復古ふっこの大だい号令ごうれいを発はっした。翌日よくじつの12月9日にちに新しん政府せいふは徳川とくがわ慶喜よしのぶに対たいして全ぜん官職かんしょくと共ともに全ぜん所領しょりょう地ちを召めし上あげるという処分しょぶんを発表はっぴょうした（小しょう御所ごしょ会議かいぎ）。慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）1月がつ2日にちに幕府ばくふ軍ぐんは大坂おおさかから京都きょうとに攻せめ上のぼり、鳥羽とば・伏見ふしみで薩摩さつま藩はんと長州ちょうしゅう藩はんの軍隊ぐんたいと衝突しょうとつして戊辰戦争ぼしんせんそうが始はじまった。幕府ばくふ軍ぐんが大敗たいはいして大だい坂さかに退しりぞいた。

詳細しょうさいは「鳥羽とば・伏見ふしみの戦たたかい」を参照さんしょう

鳥羽とば・伏見ふしみの戦たたかいの後のちに、新しん政府せいふは徳川とくがわ慶喜よしのぶの追討ついとう令れいを出だした。そして1月がつ25日にちには、米沢よねざわ藩はん、久保田くぼた藩はん、南部なんぶ藩はんに対たいして会津あいづ藩はんを征伐せいばつするために仙台せんだい藩はんを支援しえんするように命めいじた。会津あいづ藩はんと庄内しょうない藩はんは幕府ばくふ支援しえんを明確めいかくにした。

2月がつ7日にち徳川とくがわ慶喜よしのぶは、江戸えど市し中ちゅう取締とりしまりなどの庄内しょうない藩はんの幕末ばくまつ時じの功労こうろうに報むくいるために、庄内しょうない藩主はんしゅ酒井さかい忠篤ただあつに、出羽でわ国こくの寒河江さがえ柴橋しばはし代官だいかん所しょ管轄かんかつの幕府ばくふ領りょう74,300石せきの管理かんりを命めいじて、柴橋しばはし陣屋じんやで保管ほかんしていた年貢ねんぐ米まい21,000俵ひょうを庄内しょうない藩はんに与あたえることにした。そのため庄内しょうない藩はんは、藩はん兵へいを寒河江さがえ・柴橋しばはしに送おくって領内りょうないの警護けいごを行おこない、陣屋じんやの年貢ねんぐ米まいを川船かわぶねに積つみ込こんで最上川もがみがわを下くだり、庄内しょうないへ運はこんだ。

2月がつ9日にち、新しん政府せいふは一方いっぽう的てきに会津あいづ藩はんと庄内しょうない藩はんの征討せいとうを決定けっていして、澤さわ為ため量りょうを奥羽おうう鎮撫ちんぶ総督そうとくに、醍醐だいご忠敬ちゅうけいを副ふく総督そうとくに任命にんめいして、さらに、九条くじょう道みち孝こうを総督そうとくに任命にんめいする（澤さわ為ため量りょうは副ふく総督そうとくとなる）。鎮撫ちんぶ軍ぐんは3月がつ2日にちに京都きょうとを出発しゅっぱつして、大坂おおさかから海路かいろで仙台せんだいの松島湾まつしまわんに着ついた。

仙台せんだいより出羽いずは国こくに入はいった新しん政府せいふ軍ぐんは天童てんどう藩はんを先導せんどう役やくに命めいじており、幼少ようしょうの藩主はんしゅに代かわり家老がろう吉田よしだ大八だいはちが代理だいりで責任せきにんを持もった。未いまだ新しん政府せいふ軍ぐんの財政ざいせい基盤きばんが確立かくりつしておらず、戦費せんぴをまかなうために太政官だじょうかん札さつの発行はっこうや、大坂おおさか商人しょうにんの資金しきん提供ていきょうを頼たよりとしていた。そこで柴橋しばはし陣屋じんやの年貢ねんぐ米まいの情報じょうほうを入手にゅうしゅした新しん政府せいふ軍ぐんは、年貢ねんぐ米まいの押収おうしゅうを企図きとし、4月がつ2日にち新しん政府せいふ軍ぐんの先遣せんけん隊たいが柴しば橋きょうを襲撃しゅうげきした。

しかし、既すでに庄内しょうない藩はんが年貢ねんぐ米まいを運はこび出だした後のちであり、守備しゅび兵へいもおらず倉庫そうこは空そらであることを確認かくにんし先遣せんけん隊たいは引ひき返かえした。本隊ほんたいも庄内しょうない兵へいが庄内しょうない領りょう左沢あてらざわに隠かくれている可能かのう性せいを勘案かんあんし捜索そうさくしたが断念だんねんして、大半たいはんの兵へいは4月がつ6日にち仙台せんだいに引ひき返かえした。仙台せんだい勢ぜいは残のこり、村むら々の入いり口くちに仙台せんだい領りょうと書かいた標柱ひょうちゅうを建たてたが、その後ご柴橋しばはし元もと〆河野こうの俊しゅん八はちが「羽はね州しゅう村山むらやま郡ぐん長岡ながおか郡ぐん司代しだい格かく」に任命にんめいされたため、4月がつ19日にちごろには仙台せんだい勢ぜいも引ひき上あげた。

その後ご

年貢ねんぐ米まいを押収おうしゅうできなかったことは新しん政府せいふ軍ぐんにとって大おおきな打撃だげきであり、これが朝廷ちょうていの公おおやけ領りょうを侵害しんがいしたとして庄内しょうない征討せいとうを決定けっていされた一因いちいんになった。 奥羽おうう鎮撫ちんぶ軍ぐんは4月がつ22日にちに天童てんどうに本陣ほんじんを置おき、23日にちに新庄しんじょうまで進出しんしゅつした。庄内しょうない藩はんとの緊張きんちょうは高たかまり清きよし川口かわぐちの戦たたかいが起おこることになる。

慶応けいおう4年ねん春はるの庄内しょうない藩はんによる一連いちれんの戦闘せんとうは庄内しょうない戊辰戦争ぼしんせんそう春はるの陣じんを参照さんしょう。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『三さん百ひゃく藩はん戊辰戦争ぼしんせんそう事典じてん』人物じんぶつ往来おうらい社しゃ、2001年ねん
• 『西川にしかわ町まち史し』
• 寒河江さがえ市し史し編へんさん委員いいん会かい『寒河江さがえ市し史し　下巻げかん』、1997