楊士奇き

楊士奇き

楊 士し奇き（よう しき、至いたり正ただし25年ねん（1365年ねん）- 正統せいとう9年ねん3月14日にち（1444年ねん4月がつ2日にち））は、明あきら初はつの政治せいじ家か。名なは寓ぐうで士し奇きは字じ。『明あかり史し』巻まき148に伝つてがある（楊栄・楊溥との合ごう伝でん）。

略歴りゃくれき

吉よし州しゅう太ふとし和かず県けん出身しゅっしん。幼おさない時ときに父ちちを亡なくし、母ははの再婚さいこんによって一時いちじ羅ら姓せいを名乗なのっていたが後のちに復姓ふくせいした。建たて文あや年間ねんかんに太ふとし祖そ（洪ひろし武たけ帝みかど）実録じつろくの編纂へんさんに際さいして推挙すいきょされて翰林院かんりんいんに入はいった。永楽えいらく帝みかどの即位そくい後ご翰林院かんりんいん編修へんしゅうとなり、その後ごも累進るいしんして永楽えいらく22年ねん（1424年ねん）には内閣ないかく大だい学士がくし（首くび輔）となり正統せいとう9年ねん（1444年ねん）の死去しきょに至いたるまで在任ざいにんした。同どう時代じだいに相次あいついで内閣ないかく大だい学士がくしを務つとめた楊栄・楊溥と「三さん楊」と称しょうせられ、永楽えいらく・洪ひろし熙・宣せん徳とく・正統せいとうの四よん代だいにわたって朝廷ちょうていの重鎮じゅうちんであった。文学ぶんがくにおいても台閣たいかく体たいの創始そうし者しゃとして知しられている。死しに際さいして太ふとし師しを追贈ついぞうされ文ぶん貞さだと諡おくりなされた。

なお、同郷どうきょうの周しゅう是ただし修おさむは靖やすし難なんの変へんに際さいし「忠臣ちゅうしんは利害りがいを考かんがえてはならぬ」という平素へいその主張しゅちょうから建けん文ぶん帝みかどに殉じゅんじた。楊士奇きほか数すう名めいの者ものが周しゅう是ただし修おさむの主張しゅちょうに同意どういしてともに死しぬことを誓ちかっていたが、みな生いき延のびて永楽えいらく帝みかどに仕つかえた。後のちに楊士奇きは周しゅう是ただし修おさむの伝つてを作つくって周しゅう是ただし修おさむの子こに「あのとき私わたしがともに死しんでいたら誰だれが父上ちちうえの伝記でんきを書かいたろうか」と言いったのでそれを聞きいた者ものはみな笑わらったという。

参考さんこう文献ぶんけん

• 京都大学きょうとだいがく文学部ぶんがくぶ東洋とうよう史し研究けんきゅう室しつ「改訂かいてい増補ぞうほ　東洋とうよう史し辞典じてん」1967年ねん「楊士奇き」
• 三田村みたむら泰やすし助すけ「中国ちゅうごく文明ぶんめいの歴史れきし 8 明あかり帝国ていこくと倭やまと寇」中公ちゅうこう文庫ぶんこ、2000年ねん、P214～215