橋本はしもと八重やえ三さん

橋本はしもと 八重やえ三さん（はしもと やえぞう、1895年ねん - ?）は、大正たいしょう期きに活躍かつやくした日本にっぽんの園芸えんげい家か、造園ぞうえん家かで、日本にっぽん最初さいしょの民間みんかんの洋風ようふう庭園ていえんデザイナー。大阪おおさか府ふ出身しゅっしん。近代きんだい的てきな造園ぞうえん業ぎょうをめざし、従来じゅうらいの造園ぞうえん業ぎょうと差別さべつ化かを図はかった。

京阪神けいはんしん地域ちいきを中心ちゅうしんに活動かつどう。営業えいぎょうにあたり広告こうこく戦略せんりゃくを展開てんかい、その初期しょきには趣味しゅみの乗馬じょうばの腕うでを生いかして高級こうきゅう住宅じゅうたく街がいに出没しゅつぼつしチラシを配布はいふ、「馬乗うまのり植木うえき屋や」と呼よばれる。また友人ゆうじんと植物しょくぶつ病院びょういん事業じぎょうという今日きょうの樹木じゅもく医い的てきな事業じぎょう、さらにコニファーなどの今日きょうでいうガーデニング用品ようひん、橋本はしもと式しき自然しぜん木き（いわゆる擬なずらえ木き）を開発かいはつし販売はんばいするなどを実施じっしした。

生涯しょうがい

植木うえきの生産せいさん地ち摂津せっつ細ほそ河村かわむら（現げん・池田いけだ市し）の生うまれ。大阪おおさか府立ふりつ農のう学校がっこう（現げん大阪府立大学おおさかふりつだいがく農学部のうがくぶ）園芸えんげい科かに進学しんがくし、大正たいしょう3年ねん（1914年ねん）卒業そつぎょうと同時どうじに、当時とうじ3大だい公園こうえんを建設けんせつ中ちゅうの大阪おおさか府ふに奉職ほうしょく。公園こうえん内ないの施設しせつ整備せいびを担当たんとうする。22歳さいの時とき母校ぼこうの校長こうちょう山本やまもと正英まさひでと共著きょうちょで「花壇かだんと花弁はなびら」を出版しゅっぱん。その後ごいけばなを習得しゅうとくし、盛花もりばな関係かんけいの本ほんも刊行かんこうしベストセラーとなる。

大阪おおさか府ふ辞職じしょく後ご、しばらく住吉すみよし菖蒲しょうぶ園えんの一いち画かくをかりて花弁はなびら栽培さいばい場じょうを経営けいえい。その後ご造園ぞうえん事業じぎょうに転身てんしんし橋本はしもと庭園ていえん工務こうむ所しょを設立せつりつ。前代ぜんだい的てきな傾向けいこうの強つよい造園ぞうえん界かいにあって、庭園ていえん設計せっけい施工しこうにあたり事前じぜんに見積みつもりと設計せっけい図書としょを作成さくせいし施主せしゅに提示ていじする近代きんだい的てきな経営けいえいを実行じっこうする。同時どうじに大屋おおや霊れい城じょうを会長かいちょうに関西かんさい園芸えんげい協会きょうかいを結成けっせいし、短期たんきながら雑誌ざっし『ガーデン』を創刊そうかんする。

関西かんさい実業じつぎょう家かの邸宅ていたく庭園ていえんや郊外こうがい住宅じゅうたく地ちの造園ぞうえんを手掛てがけるなどで造園ぞうえん業ぎょうが成功せいこうした後のち、一時期いちじき大阪おおさか心斎橋しんさいばし大丸だいまる呉服ごふく店てんの園芸えんげい部門ぶもんで園芸えんげい用品ようひん市場いちばに、次つぎに食料しょくりょう品ひんを扱あつかう廉売れんばい部ぶ、廉売れんばい市場いちばで販売はんばいを手てがけ、大正たいしょう12年ねん（1923年ねん）には橋本はしもと屋やマーケットを出店しゅってんし参画さんかくするが、関東大震災かんとうだいしんさい後ごの市場いちば混乱こんらんで失敗しっぱいし、以降いこうは庭園ていえん事業じぎょうに専念せんねんする。

代表だいひょう作さくは、島しま別邸べってい庭園ていえんや芦屋あしや元木もとき邸てい庭園ていえんなどの洋風ようふう邸宅ていたくの庭園ていえん、滋賀しが・森もり氏し運動うんどう園えん、大阪おおさか住宅じゅうたく経営けいえい株式会社かぶしきがいしゃ千里山せんりやま住宅じゅうたく地ち・周辺しゅうへん経営けいえい地ちのマスタープラン及および街路がいろ並木なみき設計せっけいと各かく棟むね庭園ていえん、桜丘さくらがおか住宅じゅうたく博覧はくらん会かいモデルハウス庭園ていえん、大丸おおまる呉服ごふく店てん屋上おくじょう庭園ていえん、山陽さんよう電気でんき軌道きどう長ちょう府ふ楽園らくえん地ち、京阪けいはん電車でんしゃ経営けいえいひらかた楽園らくえん地ち、電気でんき博覧はくらん会かい電化でんか農園のうえんなどがあるが、今日きょう残のこっていないものが多数たすうを占しめる。

橋本はしもとは宣伝せんでんに力ちからをいれ、会社かいしゃに営業えいぎょう部ぶを置おき、ラジオの講座こうざに出演しゅつえんし、新聞しんぶん広告こうこく（比較ひかく広告こうこく）やダイレクトメールなどを広告こうこく戦略せんりゃくを展開てんかい。その他たカタログや仕様しよう書しょなどに欧文おうぶんを用もちい、また日本語にほんごで記載きさいする際さいも横書よこがきは欧文おうぶんにならって早はやくも左ひだり書がきを採用さいようしている。

花はなや庭にわに関かんする著書ちょしょも多おおく、著作ちょさくの際さいは「墨ぼく花はな」というペンネームを使用しようしている。

著書ちょしょ

• 圖解ずかい盛花もりばなと水みず揚あげ （前田まえだ文ぶん進しん堂どう 1919年ねん）
• 花はなと花言葉はなことば （紅玉こうぎょく堂どう書店しょてん 1920年ねん）
• 一いち坪つぼで出来できる家庭かてい園芸えんげい （六ろく合ごう館かん書店しょてん 1926年ねん）
• 萬年青おもとと蘭らんの作つくり方かた （六ろく合ごう館かん 1927年ねん）
• 萬年青おもと百ひゃく種しゅ大観たいかん （六ろく合ごう館かん 1927年ねん）
• 植木うえき屋やの裏うらおもて （六ろく合ごう館かん 1930年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• にぎわいを創つくる 近代きんだい日本にっぽんの空間くうかんプランナーたち （橋爪はしづめ紳しん也 長谷ながたに工こう総合そうごう研究所けんきゅうじょ、1995年ねん）