法ほう顕あらわ

法ほう顕あらわ
咸康3年ねん - 永えい初はじめ3年ねん （337年ねん - 422年ねん）
アショーカ王おう宮殿きゅうでん跡あとの法ほう顕あらわ
生地きじ	平たいら陽よう郡ぐん襄じょう陵りょう県けん武たけ陽よう
没ぼつ地ち	荊州江こう陵りょう辛からし寺てら
著作ちょさく	『仏ふつ国こく記き』

法ほう顕あらわ（ほっけん）は、中国ちゅうごく東あずま晋すすむ時代じだいの僧そう。姓せいは龔。平たいら陽よう郡ぐん襄じょう陵りょう県けん武たけ陽よう（現在げんざいの山西さんせい省しょう臨汾市し襄じょう汾県）の人ひと。

シルクロードを経由けいゆしてインドに渡わたり、中国ちゅうごくに仏典ぶってんを持もち帰かえった。彼かれの記しるした旅行りょこう記き『仏ふつ国こく記き』（別名べつめい『法ほう顕あらわ伝でん』『歴遊れきゆう天竺てんじく記き伝でん』; 英訳えいやくと仏ふつ訳やくがある）は、当時とうじの中央ちゅうおうアジアやインドに関かんして書かかれた貴重きちょうな史料しりょうとなっている。

生涯しょうがい

幼おさなくして出家しゅっけ、20歳さいで具足ぐそく戒を受うけた。その人ひととなりは「志しむら行ゆき明敏めいびん、儀ぎ軌整粛なり」といわれた。

仏教ぶっきょうの学究がっきゅうを進すすめるにしたがい、経典きょうてんの漢語かんご訳出やくしゅつに比くらべて戒律かいりつが中国ちゅうごく仏教ぶっきょう界かいにおいて完備かんびしておらず、経けい律りつ共どもに錯誤さくごや欠落けつらくがあるのを嘆なげき、隆りゅう安やすし3年ねん（399年ねん）、慧とし景けい、慧とし応おう、慧とし嵬、道みち整せい等とうの僧そうと共ともに長安ながやすからインドへ求法ぐほうの旅たびにたった。

シルクロードの西域せいいき南道みなみどうを進すすみ、途中とちゅうホータン王国おうこくを経由けいゆしつつ、敦煌とんこうから流ながれ沙すなを渡わたった際さいには「沙すな河かわには悪霊あくりょう、熱風ねっぷう多おおく、皆みな死しに絶たえ一いち人にんも生命せいめいを全まっとうするものはない。上うえには飛とぶ鳥とりなく、下したには走はし獣ししなし。見渡みわたす限かぎり渡わたろうとせん所しょを探さがすも何なにもなし。死者ししゃの枯骨ここつを道標どうひょうにするだけ」と述のべている。そこは現在げんざいのタクラマカン砂漠さばくである。

6年ねんかかって中ちゅうインド（中ちゅう天竺てんじく）に達たっした際さいには、王おう舎しゃ城じょうなどの仏ふつ跡あとをめぐり、『摩ま訶僧祇律』、『雑ざつ阿おもね毘曇心しん論ろん』などをえた。さらにスリランカにわたり、『五ご分ふん律りつ』、『長なが阿おもね含経』などを求もとめた。義ぎ熙9年ねん（413年ねん）、海路かいろ（南海なんかい航路こうろ）で青あお州しゅうへ帰国きこくしたが、帰国きこくできたのは法ほう顕あらわのみであった。永えい初はじめ3年ねん（422年ねん）、荊州江こう陵りょうの辛からし寺てらで没ぼっした。享年きょうねん86。

影響えいきょう

• 建たて康やすしで仏陀ぶっだ跋ばつ陀羅に出会であい、法ほう顕あらわが持もち帰かえった『大だい般涅槃経』などが訳出やくしゅつされ、涅槃ねはん宗むね成立せいりつの基もととなった。
• 持もち帰かえった経典きょうてんのうち、訳やくされたものには『摩ま訶僧祇律』40巻かん、『五ご分ふん律りつ』(法ほう顕あらわの死後しご、仏ふつ馱什が訳わけ)がある。

伝記でんき資料しりょう

• 『高僧こうそう法ほう顕あらわ伝でん』
• 『高僧こうそう伝でん』巻まき3

関連かんれん項目こうもく

• 中国ちゅうごくの仏教ぶっきょう
• 東南とうなんアジアの仏教ぶっきょう
• 大だい般涅槃経
• スリランカの仏教ぶっきょう
• 仏教ぶっきょうのシルクロード伝播でんぱ

外部がいぶリンク

• 京都大学きょうとだいがく＞人文じんぶん科学かがく研究所けんきゅうじょ＞漢字かんじ情報じょうほう研究けんきゅうセンタ＞西域せいいき行ぎょう記きデータベース＞法ほう顕あらわ伝でん