清水しみず徹とおる

清水しみず 徹とおる（しみず とおる、1931年ねん3月31日にち - ）は、日本にっぽんのフランス文学ぶんがく者しゃ・翻訳ほんやく家か。 明治学院大学めいじがくいんだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。

経歴けいれき

東京とうきょう府ふ生うまれ。1954年ねん東京大学とうきょうだいがくフランス文学ぶんがく科か卒業そつぎょう、1956年ねん同どう大学院だいがくいん修士しゅうし課程かてい修了しゅうりょう、東京大学とうきょうだいがく助手じょしゅ、國學院大學こくがくいんだいがく助教授じょきょうじゅ、1965年ねん明治学院大学めいじがくいんだいがく文学部ぶんがくぶ助教授じょきょうじゅ、1970年ねん教授きょうじゅ。1986年ねん同どう図書館としょかん長ちょう、1997年ねん退職たいしょく。

ヌーヴォー・ロマン作家さっかのミシェル・ビュトールの研究けんきゅう、翻訳ほんやくを行おこない、1967年ねんに「時間割じかんわり」の訳わけでクローデル賞しょう。1985年ねんに出版しゅっぱんしたマルグリット・デュラス『愛人あいじん』は、1992年ねんに映画えいが公開こうかいされ文庫ぶんこ判ばんはベストセラーになった。1991年ねん、ビオイ＝カサーレス『モレルの発明はつめい』の翻訳ほんやくでBABEL国際こくさい翻訳ほんやく大賞たいしょう日本にっぽん翻訳ほんやく大賞たいしょう・文学ぶんがく部門ぶもん。

著作ちょさくは主おもに書物しょもつ論ろん、都市とし論ろんを展開てんかいし、2001年ねん出版しゅっぱんの『書物しょもつについて - その形而下けいじか学がくと形而上学けいじじょうがく』は、藤村ふじむら記念きねん歴程れきてい賞しょう、翌年よくねんに読売よみうり文学ぶんがく賞しょうと芸術げいじゅつ選奨せんしょう文部もんぶ科学かがく大臣だいじん賞しょうを受賞じゅしょうしている。

人物じんぶつ

吉田よしだ健一けんいちに深ふかく親炙しんしゃし、その著作ちょさくの文庫ぶんこ解説かいせつ・全集ぜんしゅう校訂こうていなどを担になっている。

60年ねん安保あんぽ闘争とうそうでは、国会こっかい議事堂ぎじどう構外こうがいの大学だいがく教授きょうじゅ団だんの中なかで機動きどう隊たいから棍棒こんぼうによる襲撃しゅうげきを受うけ、頭蓋骨ずがいこつ陥没かんぼつの重傷じゅうしょうを負おってニュースとなった。

著書ちょしょ

• 『廃墟はいきょについて』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1971
• 『読書どくしょのユートピア』（中公叢書ちゅうこうそうしょ） 1977
• 『都市としの解剖かいぼう学がく - 都市としを歩あるき、都市としを読よむ』（ポーラ文化ぶんか研究所けんきゅうじょ） 1981
• 『書物しょもつとしての都市とし 都市としとしての書物しょもつ』（集英社しゅうえいしゃ） 1982
• 『鏡かがみとエロスと - 同どう時代じだい文学ぶんがく論ろん』（筑摩書房ちくましょぼう） 1984
• 『書物しょもつの夢ゆめ 夢ゆめの書物しょもつ』（筑摩書房ちくましょぼう） 1984
• 『書物しょもつについて - その形而下けいじか学がくと形而上学けいじじょうがく』（岩波書店いわなみしょてん） 2001
• 『吉田よしだ健一けんいちの時間じかん 黄昏たそがれの優雅ゆうが』（水声すいせい社しゃ） 2003
• 『ヴァレリーの肖像しょうぞう』（筑摩書房ちくましょぼう） 2004
• 『ヴァレリー - 知性ちせいと感性かんせいの相克そうこく』（岩波いわなみ新書しんしょ） 2010
• 『マラルメの〈書物しょもつ〉』（水声すいせい社しゃ） 2011

翻訳ほんやく

• 『民族みんぞく社会しゃかい主義しゅぎ革命かくめい ハンガリヤ十じゅう年ねんの悲劇ひげき』（フェレンツ・フェイト、村松むらまつ剛つよし・橋本はしもと一明いちめい共とも訳やく、近代きんだい生活せいかつ社しゃ） 1957
• 『シーシュポスの神話しんわ』（アルベール・カミュ、新潮しんちょう文庫ぶんこ） 1969、改版かいはん2006
• 『ナジャー』（アンドレ・ブルトン、中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、新しん集しゅう世界せかいの文学ぶんがく34） 1971
• 『神経しんけいの秤ばかり・冥府めいふの臍ほぞ』（アントナン・アルトー、粟津あわづ則雄のりお共編きょうへん訳やく、現代げんだい思潮しちょう社しゃ、アルトー全集ぜんしゅう） 1971、新装しんそう版ばん2007
• 『感情かんじょう教育きょういく』（フローベル、新潮社しんちょうしゃ、新潮しんちょう世界せかい文学ぶんがく9） 1972
• 『居酒屋いざかや』（エミール・ゾラ、集英社しゅうえいしゃ、世界せかい文学ぶんがく全集ぜんしゅう24） 1974、新装しんそう版ばん 1978・1990
• 『マラルメ論ろん』（モーリス・ブランショ、粟津あわづ則雄のりお共ども訳やく、筑摩書房ちくましょぼう、筑摩ちくま叢書そうしょ） 1977
• 『カミュ論ろん』（モーリス・ブランショ、粟津あわづ則雄のりお共ども訳やく、筑摩書房ちくましょぼう、筑摩ちくま叢書そうしょ） 1978
• 『愛人あいじん』（マルグリット・デュラス、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1985、河出かわで文庫ぶんこ 1992
• 『マラルメ全集ぜんしゅう』第だい2・3・5巻かん（ステファヌ・マラルメ、筑摩書房ちくましょぼう 全ぜん5巻かん） 1989、1998、2001 - 編集へんしゅう委員いいん、2010に完結かんけつ
• 『モレルの発明はつめい』（アドルフォ・ビオイ＝カサーレス、牛島うしじま信明のぶあき共とも訳やく、書肆しょし風ふうの薔薇ばら、叢書そうしょアンデスの風ふう） 1990、水声すいせい社しゃ、フィクションの楽たのしみ 2008
• 『作者さくしゃとは何なにか?』（ミシェル・フーコー、豊崎とよさき光一こういち共とも訳やく、哲学てつがく書房しょぼう、ミシェル・フーコー文学ぶんがく論集ろんしゅう） 1990
• 『北きたの愛人あいじん』（デュラス、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1992、河出かわで文庫ぶんこ 1996
• 『友愛ゆうあいのために』（モーリス・ブランショ、<リキエスタ>の会かい） 2001
• 『友情ゆうじょう』（フレッド・ウルマン、清水しみず美智子みちこ（夫人ふじん）共とも訳やく、集英社しゅうえいしゃ） 2002
• 『ムッシュー・テスト』（ポール・ヴァレリー、岩波いわなみ文庫ぶんこ） 2004
• 『ドガ ダンス デッサン』（ポール・ヴァレリー、筑摩書房ちくましょぼう） 2006
• 『エウパリノス、魂たましいと舞踏ぶとう 樹じゅについての対話たいわ』（ポール・ヴァレリー、岩波いわなみ文庫ぶんこ） 2008
• 『アミナダブ』（モーリス・ブランショ、書肆しょし心しん水すい） 2008
• 『おしゃべり 子供部屋こどもべや』（ルイ＝ルネ・デ・フォレ、水声すいせい社しゃ） 2009
• 『セガレン著作ちょさく集しゅう』全ぜん8巻かん（ヴィクトル・セガレン、木下きのした誠まこと・渡辺わたなべ諒りょう共編きょうへん、水声すいせい社しゃ） 2001 - 2021、編者へんしゃ代表だいひょう

ミシェル・ビュトール

• 『心変こころがわり』（ミシェル・ビュトール、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1959、新装しんそう版ばん 1969、1977、岩波いわなみ文庫ぶんこ（改訳かいやく版ばん）2005
• 『時間割じかんわり』（ミシェル・ビュトール、中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、世界せかいの文学ぶんがく49） 1964、中公ちゅうこう文庫ぶんこ 1975、河出かわで文庫ぶんこ（改訳かいやく版ばん）2006
• 『文学ぶんがくの可能かのう性せい』（ミシェル・ビュトール、中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ） 1967
• 『仔こ猿ざるのような芸術げいじゅつ家かの肖像しょうぞう』（ビュトール、松崎まつざき芳隆よしたか共とも訳やく、筑摩書房ちくましょぼう） 1968
• 『絵画かいがのなかの言葉ことば』（ビュトール、新潮社しんちょうしゃ、叢書そうしょ創造そうぞうの小しょう経けい） 1975
• 『文学ぶんがくと夜よる』（ビュトール、工藤くどう庸子ようこ共とも訳やく、朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ） 1982
• 『中心ちゅうしんと不在ふざいのあいだ 都市としと世界せかいと』（ビュトール、田部井たべい玲子れいこ共ども訳やく、朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ） 1983
• 『合ごうい間あいだ』（ビュトール、岩波書店いわなみしょてん、岩波いわなみ現代げんだい選書せんしょ） 1984
• 『即興そっきょう演奏えんそう ビュトール自みずからを語かたる』（福田ふくだ育弘いくひろ共ども訳やく、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 2003

共著きょうちょ・編著へんちょ

• 『どこにもない都市とし・どこにもない書物しょもつ』（宮川みやがわ淳あつし、小沢おざわ書店しょてん、叢書そうしょエパーヴ） 1977、水声すいせい社しゃ 2002
• 『バタイユの世界せかい』（出口いでぐち裕ひろし弘ひろし共編きょうへん、青土おうづち社しゃ） 1978
• 『冷つめたいパフォーマンス ポスト・モダン講義こうぎ』（山口やまぐち勝弘かつひろ、朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ） 1983
• 『私わたしたちの25年ねん 1965 - 1990』（天てん沢さわ退二郎たいじろう共編きょうへん、明治学院大学めいじがくいんだいがく文学部ぶんがくぶフランス文学ぶんがく科か） 1991