渡辺わたなべ徹とおる (心理しんり学者がくしゃ)

渡辺わたなべ 徹とおる（わたなべ とおる、1883年ねん9月7日にち - 1957年ねん1月がつ12日にち）は日本にっぽんの心理しんり学者がくしゃで、日本にっぽんにおけるパーソナリティ心理しんり学がく（人格じんかく心理しんり学がく）の開拓かいたく者しゃ。1912年ねんにドイツの心理しんり学者がくしゃヴィルヘルム・シュテルンの人格じんかく学がくを日本にっぽんに紹介しょうかいした。また、没年ぼつねんに至いたるまで、「個性こせい心理しんり学がく」という名なで独創どくそう的てきな講義こうぎをした。心理しんり検査けんさにも早はやくから関心かんしんを示しめし、この方面ほうめんでの先駆せんく的てきな業績ぎょうせきといわれる「国民こくみん知能ちのう検査けんさ」を開発かいはつした。

心理しんり学がく史しの研究けんきゅうでは、江戸えど時代じだいの心学しんがく者もの・鎌田かまた鵬ほう（鎌田かまた柳やなぎ泓）を「本邦ほんぽう最初さいしょの経験けいけん的てき心理しんり学者がくしゃ」として発見はっけんした。

心理しんり学がくの応用おうように熱心ねっしんで、日本にっぽん応用おうよう心理しんり学会がっかいの設立せつりつに際さいして中心ちゅうしん的てき役割やくわりを果はたした。

1924年ねんに私学しがくでは最初さいしょ（東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく・京都きょうと帝国ていこく大学だいがく・東北とうほく帝国ていこく大学だいがくに次ついで日本にっぽんでは4番目ばんめ）の心理しんり学がく専攻せんこう課程かていを日本にっぽん大学だいがくに創設そうせつした（現在げんざいの日本にっぽん大学だいがく文理学部ぶんりがくぶ心理しんり学がく科か）。蔵書ぞうしょは「渡辺わたなべ文庫ぶんこ」として日本にっぽん大学だいがく文理学部ぶんりがくぶ心理しんり学がく研究けんきゅう室しつに保存ほぞんされている。

1937年ねん 松本まつもと亦また太郎たろう、楢崎ならさき浅あさ太郎たろうらと「重度じゅうど戦傷せんしょう者しゃ職業しょくぎょう指導しどう研究けんきゅう会かい」を結成けっせい。

個人こじん的てきには、国学こくがく者しゃとしても一家言いっかげんを持もち、歌人かじんでもあった。

略歴りゃくれき

• 1883年ねん 福島ふくしま県けんに生うまれる。
• 1910年ねん 東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく文学部ぶんがくぶ哲学てつがく科かを卒業そつぎょう。
• 1914年ねん 日本にっぽん大学だいがくで心理しんり学がくの講義こうぎを始はじめる。
• 1920年ねん 日本にっぽん大学だいがく教授きょうじゅ。
• 1924年ねん 日本にっぽん大学だいがくに法文学部ほうぶんがくぶ・文学ぶんがく科か・心理しんり学がく専攻せんこうを設立せつりつ。
• 1936年ねん 日本にっぽん応用おうよう心理しんり学会がっかい創立そうりつ。初代しょだい会長かいちょう。
• 1957年ねん 逝去せいきょに際さいし日本にっぽん大学だいがくから名誉めいよ学位がくいが贈おくられ、記念きねん事業じぎょうとして「渡辺わたなべ学術がくじゅつ賞しょう」が制定せいていされた。

主要しゅよう著書ちょしょ

• 『人格じんかく論ろん』 精美せいび堂どう 1912
• 『シュテルン・人格じんかく学がく概論がいろん』（訳わけ）中興ちゅうこう館かん 1931
• 『不具ふぐの部類ぶるいによる適職てきしょく分類ぶんるい表ひょう』 重度じゅうど戦傷せんしょう者しゃ職業しょくぎょう指導しどう研究けんきゅう会かい 1938
• 『本邦ほんぽう最初さいしょの経験けいけん心理しんり学者がくしゃとしての鎌田かまた鵬ほうの研究けんきゅう』中興ちゅうこう館かん 1940
• 『旧きゅう新しん 人国記じんこくき』 世界せかい社しゃ 1948
• 「本邦ほんぽう心理しんり学がくのあゆみ」（『心理しんり学がく講座こうざ』第だい1巻かん）中山なかやま書店しょてん 1957

論文ろんぶん

• 「人格じんかくの発生はっせい学がく的てき観察かんさつ」 『哲学てつがく雑誌ざっし』 第だい27巻かん 305号ごう (1912)
• 「価値かちの本質ほんしつし関かんする一いち考察こうさつ」 『松本まつもと亦また太郎たろう博士はかせ在職ざいしょく25年ねん記念きねん 心理しんり学がく及芸術げいじゅつの研究けんきゅう 下巻げかん』 改造かいぞう社しゃ (1931)
• 「先決せんけつ問題もんだいとしての個性こせいの概念がいねん」 『心理しんり学がく研究けんきゅう』 第だい6巻かん　5輯 (1931)
• 長谷川はせがわ貢みつぐと共著きょうちょ 「人格じんかく価値かち決定けっていの主しゅ要素ようそに関かんする研究けんきゅう」 『心理しんり学がく研究けんきゅう』 第だい9巻かん 5.6 合ごう輯 (1934)
• ｛本邦ほんぽうにおける風土ふうど心理しんり学がくの発展はってん過程かていに関かんする研究けんきゅう」 『日本にっぽん大学だいがく文学ぶんがく科か研究けんきゅう年報ねんぽう』 第だい5輯 第だい一いち分冊ぶんさつ (1937)
• 「個性こせい類型るいけい鑑別かんべつの一方いっぽう法ほうとその信頼しんらい度ど」 『教育きょういく心理しんり研究けんきゅう』 第だい12巻かん (1937)
• 「足あし部ぶ運動うんどう中枢ちゅうすう戦傷せんしょう者しゃの職業しょくぎょう選択せんたくについて」 『教育きょういく心理しんり研究けんきゅう』 第だい13巻かん 7号ごう (1938)
• 「肢体したい不自由ふじゆう者しゃに対たいする作業さぎょう設備せつび改善かいぜんの一いち例れい」 『教育きょういく心理しんり研究けんきゅう』 第だい14巻かん 8号ごう (1939)
• 「日ひ支ささえ両りょう民族みんぞく性格せいかくの比較ひかくにおける二に三さんの資料しりょうについて 上下じょうげ」 『教育きょういく心理しんり研究けんきゅう』 第だい15巻かん 2号ごう・4号ごう (1940)
• 「日本にっぽん心理しんり学がくの建設けんせつと性格せいかく学がくの方向ほうこう」 『吉田よしだ静しず致博士はかせ古希こき祝賀しゅくが記念きねん論ろん文集ぶんしゅう』 日本にっぽん大学だいがく (1941)
• 「職業しょくぎょう用よう人工じんこう舗装ほそうと作業さぎょう設備せつび改善かいぜん」 『心理しんり学がく研究けんきゅう』 第だい16巻かん 5.6 合ごう輯 (1941)
• 「中世ちゅうせい軍政ぐんせい家かの間あいだにおける性格せいかく類型るいけい学がく的てき思想しそうの展開てんかいについて」 『松本まつもと亦また太郎たろう博士はかせ喜寿きじゅ記念きねん 心理しんり学がく新しん研究けんきゅう』 岩波書店いわなみしょてん (1943)
• 「人格じんかく主義しゅぎと日本にっぽん精神せいしん」 『心理しんり学がく研究けんきゅう』 第だい18巻かん 1.2 合ごう輯 (1943)
• 「日本にっぽん精神せいしんの心理しんり学がく的てき考察こうさつ」 『現代げんだい心理しんり学がく 5. 民族みんぞく心理しんり学がく』 河出かわで書房しょぼう (1943)
• 長谷川はせがわ貢みつぐほかと共著きょうちょ 「人格じんかくの適応てきおう性せいに関かんする心理しんり学がく的てき考察こうさつ (1)」 牛島うしじま義友よしともほか編へん 『教育きょういく心理しんり学がく研究けんきゅう 1. 児童じどうの心性しんせいと能力のうりょく検査けんさ』 巌いわお松まつ堂どう (1949)
• 長谷川はせがわ貢みつぐほかと共著きょうちょ 「人格じんかくの適応てきおう性せいに関かんする心理しんり学がく的てき考察こうさつ (2)」 牛島うしじま義友よしともほか編へん 『教育きょういく心理しんり学がく研究けんきゅう 3. 児童じどうの興味きょうみと適性てきせい検査けんさ』 巌いわお松まつ堂どう (1950)
• 「適性てきせい検査けんさと職業しょくぎょう興味きょうみ調査ちょうさ」 『標準ひょうじゅん心理しんり検査けんさ法ほう-生徒せいと指導しどうのための』 日本にっぽん職業しょくぎょう指導しどう協会きょうかい (1950)
• 「本邦ほんぽう心理しんり学がくのあゆみ」「法令ほうれいに規定きていされている心理しんり学者がくしゃの職場しょくば」 『心理しんり学がく講座こうざ 1. 現代げんだい心理しんり学がく』 中山なかやま書店しょてん (1953)
• 「身体しんたい障害しょうがい者しゃ福祉ふくし法ほうと職業しょくぎょう指導しどうの問題もんだい」 『職業しょくぎょう指導しどう講座こうざ 6. 技術ぎじゅつ編へんIV』　中山なかやま書店しょてん (1955)

関連かんれん項目こうもく

• 実験じっけん心理しんり学がく
• 元良もとら勇次郎ゆうじろう
• 松本まつもと亦また太郎たろう