熊野くまの三さん党とう

熊野くまの三さん党とう（くまのさんとう）は、紀伊きい国こく熊野くまの地方ちほうに強つよい勢力せいりょくをもった豪族ごうぞくである榎本えのもと氏し・宇井うい氏し・穂積ほづみ氏し（藤白ふじしろ鈴木すずき氏し）の三さん氏し。熊野くまの速玉はやたま大社たいしゃの神職しんしょくを世襲せしゅうし、八はち咫烏の神かみ紋もんを用もちいた。

出自しゅつじ

熊野くまの本宮ほんぐう大社たいしゃの鳥居とりいの横よこに掲かかげられた八はち咫烏の旗はた

藤白ふじしろ鈴木すずき氏しは穂積ほづみ臣しん、榎本えのもと氏しは榎本えのもと連れん、宇井うい氏しは丸子まるこ連れんを本姓ほんせいとする。しかし、三さん氏しすべてが穂積ほづみ氏しの出だしとする説せつもある。一方いっぽう、『熊野くまの権現ごんげん縁起えんぎ』によると、熊野くまの三さん党とうの祖そは高倉たかくら下命かめいとし、孝昭たかあき天皇てんのうのとき熊野くまの神しんに対たいして、長男ちょうなんは十じゅう二に本ほんの榎えのきを奉まつり榎本えのもとの姓せいを、次男じなんは丸まるい小しょう餅もちを捧ささげ丸子まるこ（宇井うい）の姓せいを、三男さんなんは稲穂いなほを奉納ほうのうして穂積ほづみ（鈴木すずき）の姓せいを賜たまわったと伝つたわる。また、『寛政かんせい重じゅう修おさむ諸家しょか譜ふ』によれば、漢かん司し符ふ将軍しょうぐん・雅行まさゆき（『寛政かんせい重じゅう修おさむ諸家しょか譜ふ』では、渡来とらい人じんや欝うつ色しょく雄ゆう命いのちと混同こんどうされている）の子こに榎本えのもと真しん俊しゅん・宇井うい基はじめ成しげる・鈴木すずき基行もとゆきがおり、基行もとゆきの20代だい子孫しそんの鈴木すずき真しん勝かちらが、桓武かんむ天皇てんのうの御世みよに孔子こうし・高丸たかまる・体からだ意いという夷狄いてきを討伐とうばつしたという。

神かみ紋もんに用もちいられる八はち咫烏の三さん本ほん足あしは熊野くまの三さん党とうの威いを表あらわしたものであるとも云いわれる。

歴史れきし

熊野くまの三さん党とうは、熊野くまの速玉はやたま大社たいしゃの神職しんしょくを代々だいだい務つとめた。『熊野くまの年代ねんだい記き』には「弘ひろし仁ひとし元もと庚かのえ寅とら三さん月がつ、宇井うい榎本えのもと鈴木すずき熊野くまの悪鬼あっき多た討」の記事きじがあり、弘ひろし仁ひとし年間ねんかんに熊野くまのの山やま党とうが現在げんざいの新宮しんぐう市しに高丸たかまる城じょうを築きずいたが、榎木えのき・宇井うい・鈴木すずきの熊野くまの三さん党とう連合れんごう軍ぐんに滅ほろぼされたとされる（南蛮なんばんの乱らん）。

参考さんこう文献ぶんけん

• 下村しもむら巳み六ろく『熊野くまのの伝承でんしょうと謎なぞ』

関連かんれん項目こうもく

• 宇井うい氏し
• 穂積ほづみ氏し
• 藤白ふじしろ鈴木すずき氏し
• 熊野くまの
• 熊野くまの速玉はやたま大社たいしゃ