特殊とくしゅ学校がっこう

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アメリカ・ニューヨーク州しゅうの支援しえん学校がっこうP.S. 721

特殊とくしゅ学校がっこう（とくしゅがっこう）英語えいご(special school)は、重おも篤あつな学習がくしゅう障害しょうがいや、身体しんたい障害しょうがい、行動こうどう障害しょうがいなどの問題もんだいを抱かかえ、特殊とくしゅ養育よういくの必要ひつようをもった生徒せいとたちを対象たいしょうとする学校がっこう。特殊とくしゅ学校がっこうは、何なんらかの追加ついか的てきな対処たいしょが必要ひつようとなる児童じどうに適切てきせつな特殊とくしゅ教育きょういくを提供ていきょうするという特定とくていの目的もくてきに沿そって設計せっけいされ、スタッフを揃そろえている。特殊とくしゅ学校がっこうで学まなんでいる生徒せいとたちは、通常つうじょうは一般いっぱんの学校がっこうでの授業じゅぎょうには出席しゅっせきしない。

日本にっぽんでは2000年代ねんだいはじめに「特殊とくしゅ教育きょういく」を「特別とくべつ支援しえん教育きょういく」と位置いちづけ直なおし、表現ひょうげんも改あらためるようになったため、特殊とくしゅ学校がっこうと総称そうしょうされていた盲学校もうがっこう、聾ろう学校がっこう、養護ようご学校がっこうも、一般いっぱん的てきに特別とくべつ支援しえん学校がっこうと呼よばれるようになっている。このため、この時期じき以降いこうの日本語にほんごの文献ぶんけんで、他国たこくの特殊とくしゅ学校がっこうに言及げんきゅうする場合ばあいにも「特別とくべつ支援しえん学校がっこう」と表現ひょうげんする例れいもあるが、日本にっぽん以外いがいについては「特殊とくしゅ学校がっこう」という呼称こしょうも引ひき続つづき使つかわれている。

なお、イタリアでは盲学校もうがっこうや聾ろう学校がっこうが設置せっちされていたが1992年ねん2月がつ5日にち基本きほん法ほう第だい104号ごうによって、障害しょうがいの有無うむに関かかわらず、全すべての子こどもが地域ちいきの学校がっこうに就学しゅうがくすることが保障ほしょうされることとなり、機能きのう診断しんだんを提出ていしゅつして学校がっこうで支援しえんを受うけるシステムに移行いこうしている。また、フランスでは2005年ねん2月がつ11日にち「障害しょうがい者しゃの権利けんりと機会きかいの平等びょうどう、参加さんかと市民しみん権けんのための法ほう」が成立せいりつし、まず居住きょじゅう地ちに最もっとも近ちかい通常つうじょう学校がっこうを学籍がくせき校こうとして登録とうろくする制度せいどとなり、保健ほけん省しょう管轄かんかつの教育きょういく施設しせつや国立こくりつ遠隔えんかく教育きょういくセンターでの通信つうしん・訪問ほうもん教育きょういくを受うける場合ばあいでも学籍がくせき校こうの学籍がくせきが保持ほじされる。

概要がいよう

特殊とくしゅ学校がっこうは、個々ここの生徒せいとごとに特とく化かした必要ひつように応おうじて、個別こべつ化かされた教育きょういくを提供ていきょうする。教員きょういん数すうに対たいする生徒せいと数すうの比率ひりつは低ひくい水準すいじゅんに保たもたれており、必要ひつようとされる内容ないようによっては、しばしば1:6（教員きょういんひとりあたり生徒せいと数すう6人にん）以下いかとなっている。特殊とくしゅ学校がっこうには、その他たにもソフト・プレイ・エリア、感覚かんかく室しつ、プールなど、生徒せいとたちに一定いっていの状態じょうたいについて教おしえていくために必要ひつような様々さまざまな施設しせつが設もうけられていることがある。

近年きんねんでは、インクルージョン教育きょういくの普及ふきゅうにより特殊とくしゅな必要ひつようを抱かかえた生徒せいとたちであっても普通ふつう学校がっこうで教育きょういくを受うける例れいが増ふえており、特殊とくしゅ学校がっこうの収容しゅうよう人員じんいんは減少げんしょうしつつある。しかし、今後こんごも、通常つうじょうの教室きょうしつ環境かんきょうには適てきさない学修がくしゅう上じょうの必要ひつようを抱かかえ、必要ひつようとする支援しえんの水準すいじゅんを提供ていきょうするためには特殊とくしゅな教育きょういくとリソースが要いる児童じどうは常つねに一いち定数ていすう存在そんざいすることであろう。生徒せいとが特殊とくしゅ学校がっこうで学まなぶことが必要ひつような障害しょうがいの例れいとしては知的ちてき障害しょうがいが挙あげられる。しかし、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの学校がっこう区くでは、個別こべつ障害しょうがい者しゃ教育きょういく法ほうに義務ぎむづけられている「より制限せいげんのない環境かんきょう」という観点かんてんから、知的ちてき障害しょうがいをもつ生徒せいとを特殊とくしゅ学校がっこうに学まなばせることを嫌きらう向むきもある。

特殊とくしゅ学校がっこうに代かわる方策ほうさくとしては、特別とくべつユニット (special unit)、特殊とくしゅ学級がっきゅう (special classroom)、あるいは、自給自足じきゅうじそく学級がっきゅう (self-contained classroom) と称しょうされる、普通ふつう教育きょういくを提供ていきょうする大おおきな学校がっこうの中なかに、特殊とくしゅな必要ひつようをもった生徒せいとたちだけを集あつめた教室きょうしつを設もうけるものがある。こうした学級がっきゅうは、特殊とくしゅな訓練くんれんを受うけた教師きょうしが担当たんとうし、特殊とくしゅな必要ひつようを抱かかえた個々ここの生徒せいとなり、少数しょうすうの生徒せいとたちの集団しゅうだんに対たいして、特定とくていの、個別こべつ化かされた指導しどうを提供ていきょうする。自給自足じきゅうじそく学級がっきゅうという表現ひょうげんは、普通ふつう教育きょういくを行おこなう学校がっこうの中なかにありながら、生徒せいとたちが、常つねに自分じぶんたちだけでの教室きょうしつにだけいるか、一部いちぶの授業じゅぎょうだけを普通ふつうの学級がっきゅうで受うけることを指さしたものである。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、一部いちぶの生徒せいとが、一部いちぶの授業じゅぎょうについてだけ普通ふつう教室きょうしつ以外いがいで授業じゅぎょうを受うける場所ばしょのことをリソース・ルーム (resource room) と呼よぶことがある。

特殊とくしゅ学校がっこうの歴史れきし

世界せかいで最初さいしょの特殊とくしゅ学校がっこうのひとつは、1784年ねんにパリに開設かいせつされた国立こくりつ青年せいねん盲めくら学院がくいんであった。この施設しせつは、全盲ぜんもうの生徒せいとを教育きょういくする世界せかい最初さいしょの学校がっこうであった。イギリスにおける聴覚ちょうかく障害しょうがい者しゃのための最初さいしょの学校がっこうは、1760年ねんにエディンバラでトマス・ブレイドウッドによって開設かいせつされ、視覚しかく障害しょうがい者しゃのための教育きょういくは、1765年ねんにエディンバラとブリストルで始はじまった。

19世紀せいきにおける障碍しょうがい者しゃたちの様子ようすや、彼かれらがおかれていた非ひ人間にんげん的てきな生活せいかつや教育きょういくの状況じょうきょうは、チャールズ・ディケンズの文学ぶんがく作品さくひんに描えがかれている。ディケンズは、『荒涼こうりょう館かん』や『リトル・ドリット』といった作品さくひんにおいて、障碍しょうがい者しゃである登場とうじょう人物じんぶつに、他たの人物じんぶつと同様どうようの、場合ばあいによってはそれ以上いじょうの、共感きょうかんと洞察どうさつをもって性せい格かくづけをした。

こうした形かたちで、障碍しょうがいをもつ人々ひとびとの虐しいたげられた状況じょうきょうに関心かんしんが寄よせられるようになった結果けっか、ヨーロッパでは特殊とくしゅ学校がっこうの再さい整備せいびなど様々さまざまな改革かいかくが進すすめられるようになった。一方いっぽう、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、改革かいかくはそれより遅おくれていた。20世紀せいき半なかばの時期じきには、特殊とくしゅ学校がっこうは受うけ入いれられ、さらには促進そくしんされた。障害しょうがいをもつ生徒せいとたちは、精神せいしん障害しょうがいをもつ人々ひとびとと一緒いっしょの施設しせつに収容しゅうようされ、ほとんど教育きょういくらしい教育きょういくを受うけなかった。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける脱だつ施設しせつ化かの動うごきは、1970年代ねんだいに施設しせつの内情ないじょうが公おおやけになったことから始はじまり、1974年ねんに全ぜん障害しょうがい児じ教育きょういく法ほうが議論ぎろんされ、その後ご、個別こべつ障害しょうがい者しゃ教育きょういく法ほう (IDEA)、障害しょうがい者しゃ教育きょういく改善かいぜん法ほう (Individuals with Disabilities Educational Improvement Act, IDEIA) と法ほう整備せいびが進すすんで実みを結むすんだ。普通ふつう学校がっこうへの特殊とくしゅ教育きょういくの統合とうごうは、1970年代ねんだいから支持しじがあり、高等こうとう教育きょういくにおける教員きょういん養成ようせい課程かていでは、教室きょうしつにおけるインクルージョン教育きょういくについて注意深ちゅういぶかく教おしえられ、卒業生そつぎょうせいに対たいしても、教室きょうしつ、個人こじん、学校がっこう、地域ちいきなど様々さまざまなレベルにおけるインクルージョン教育きょういくを何なん十じゅう年ねんにもわたって指導しどうし、デュアル・ライセンスをもった「正規せいき教師きょうし (regular teachers)」の育成いくせいが進すすめられた。

1997年ねんの個別こべつ障害しょうがい者しゃ教育きょういく法ほうの改正かいせいによって、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの学区がっくは、中ちゅう程度ていどから重度じゅうどの特殊とくしゅな必要ひつようを抱かかえた生徒せいとたちを、通常つうじょうの学校がっこうシステムへと、徐々じょじょに統合とうごうしていくことになった。これによって、多おおくの学区がっくにおける特殊とくしゅ教育きょういくサービスの形態けいたいや機能きのうが変化へんかすることになり、各かく学区がっくが生徒せいと一いち人にん当あたりのコストを見直みなおしたことで、特殊とくしゅ学校がっこうで学まなぶ生徒せいとの数かずは確実かくじつに減少げんしょうを続つづけた。一部いちぶの学校がっこうや学区がっくでは、一般いっぱん的てきな出身しゅっしんのジレンマを生しょうじ、また、学校がっこう側がわの評価ひょうかの捉とらえ方かたを変かえ、正式せいしきな「インクルージョン」の概念がいねんを、教師きょうし、生徒せいと、保護ほご者しゃに広ひろめることとなった。

関連かんれん項目こうもく

• 盲学校もうがっこう
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