学習がくしゅう障害しょうがい

学習がくしゅう障害しょうがい
カナダの学習がくしゅう障害しょうがい月間げっかん
概要がいよう
診療しんりょう科か	精神せいしん医学いがく, 臨床りんしょう心理しんり学がく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10	F81
ICD-9-CM	315.0-315.3
DiseasesDB	4509
eMedicine	article/1835801 article/1835883 article/915176
MeSH	D007859

学習がくしゅう障害しょうがい（がくしゅうしょうがい、英えい: learning disability、LD）は、単一たんいつの障害しょうがいではなくさまざまな状態じょうたいが含ふくまれる。医学いがく、心理しんり学がく、教育きょういく学がくの分野ぶんやにまたがって研究けんきゅうが進すすめられ、それぞれで若干じゃっかん概念がいねんが異ことなっている。バランス感覚かんかくを欠かき、身体しんたいの協調きょうちょう運動うんどうの困難こんなんを合あわせ持もつ子こも多おおいため、リハビリテーション医学いがくの分野ぶんやでも研究けんきゅうが行おこなわれている。

種類しゅるいには、読解どっかい（ディスレクシア）、数学すうがく（ディスカルキュリア）、書かき取とり（ディスグラフィア）などがある。

有ゆう病者びょうしゃは、イギリスでは150万まん人にん。イギリスでは、学習がくしゅう障害しょうがい看護かんご、という学習がくしゅう障害しょうがいの当事とうじ者しゃやその家族かぞくを支援しえんする専門せんもん分野ぶんやが、看護かんご学がくの中なかに立上たちのぼっている。

定義ていぎ

日本にっぽんでは旧きゅう文部省もんぶしょうが1999年ねん、学習がくしゅう障害しょうがいを定義ていぎしている。

「学習がくしゅう障害しょうがいとは、基本きほん的てきには全般ぜんぱん的てきな知的ちてき発達はったつに遅おくれはないが、聞きく、話はなす、読よむ、書かく、計算けいさんする又または推論すいろんする能力のうりょくのうち特定とくていのものの習得しゅうとくと使用しように著いちじるしい困難こんなんを示しめす様々さまざまな状態じょうたいを指さすものである。学習がくしゅう障害しょうがいは、その原因げんいんとして、中枢ちゅうすう神経しんけい系けいに何なんらかの機能きのう障害しょうがいがあると推定すいていされるが、視覚しかく障害しょうがい、聴覚ちょうかく障害しょうがい、知的ちてき障害しょうがい、情緒じょうちょ障害しょうがいなどの障害しょうがいや、環境かんきょう的てきな要因よういんが直接ちょくせつの原因げんいんとなるものではない。」

また、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの連邦れんぽう合同ごうどう委員いいん会かいが出だした定義ていぎもよく知しられている。

「学習がくしゅう障害しょうがいとは、聞きき、話はなし、書かき、推理すいりする能力のうりょく、算数さんすうの能力のうりょくを取得しゅとくしたりするのが著いちじるしく困難こんなんな、さまざまな問題もんだい群ぐんの呼よび名なである。そのような問題もんだいは、生うまれつきの中枢ちゅうすう神経しんけいの働はたらきの障害しょうがいによるものと考かんがえられる。 学習がくしゅう障害しょうがいは、他たのハンディキャップ（たとえば、感覚かんかくの障害しょうがい、精神せいしん遅滞ちたい、社会しゃかい性せいや情緒じょうちょの障害しょうがいなど）や不適切ふてきせつな環境かんきょう（文化ぶんか的てきな違ちがい、望のぞましくない教育きょういくなど）からも生しょうじるが、そのようなハンディキャップや環境かんきょうから直接ちょくせつ生しょうじるものではない。」 — （1981年ねん　学習がくしゅう障害しょうがいに関かんする連邦れんぽう合同ごうどう委員いいん会かい報告ほうこく）

文中ぶんちゅうの「精神せいしん遅滞ちたい」は今日きょう、日本にっぽんでは一般いっぱんに知的ちてき障害しょうがいと呼よばれるものであるが、原文げんぶん通どおりに訳やくした。

LDは、「言語げんご性せいLD」と「非ひ言語げんご性せいLD」に大別たいべつされていたが、高機能こうきのう自閉症じへいしょうやアスペルガー症候群しょうこうぐん等ひとしの高機能こうきのう広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい（あるいは、知的ちてき障害しょうがいを有ゆうする自閉症じへいしょうを含ふくめた自閉症じへいしょうスペクトラム）の位置いちづけの明確めいかく化かや、オプトメトリストらによって視み空間くうかん認知にんちの問題もんだいが整理せいりにされるに従したがい、2つの大別たいべつの仕方しかたは用もちいられなくなってきている。

種別しゅべつ

• Reading disorder (ICD-10 and DSM-IV codes: F81.0/315.00)
  • 読字障害しょうがい（ディスレクシア）など
• Disorder of written expression (ICD-10 and DSM-IV-TR codes 315.2)
  • 書しょ字じ障害しょうがい（ディスグラフィア）など
• Math disability (ICD-10 and DSM-IV codes F81.2-3/315.1)
  • 算数さんすう障害しょうがい（ディスカルキュリア）など

ICD-10では、学力がくりょくの特異とくい的てき発達はったつ障害しょうがい（Specific developmental disorders of scholastic skills）と呼よび、特異とくい的てき読字障害しょうがい、特異とくい的てき書しょ字じ障害しょうがい、算数さんすう能力のうりょくの特異とくい的てき障害しょうがい、学習がくしゅう能力のうりょくの混合こんごう性せい障害しょうがい、その他たの学習がくしゅう能力のうりょく発達はったつ障害しょうがい、学習がくしゅう能力のうりょく発達はったつ障害しょうがい詳細しょうさい不明ふめい に細分さいぶんされている。

DSM-IV-TRでは学習がくしゅう障害しょうがいと呼よび、算数さんすう障害しょうがい、読字障害しょうがい、書しょ字じ表出ひょうしゅつ障害しょうがい、特定とくてい不能ふのうの学習がくしゅう障害しょうがいに細分さいぶんされていた。

DSM5では、限局げんきょく性せい学習がくしゅう症しょう/限局げんきょく性せい学習がくしゅう障害しょうがい（SLD、Specific learning disorder）と呼よぶ。DSM-IV-TRで細分さいぶんしていた障害しょうがいは、包括ほうかつされ重かさなる病態びょうたい（スペクトラム）として再さい定義ていぎされた限局げんきょく性せい学習がくしゅう障害しょうがいの1形態けいたいとなり、読よみ・書かき・計算けいさんという領域りょういきを示しめす識別しきべつ語ごを付加ふかして示しめされるものとなった。また重症じゅうしょう度どを軽度けいど・中ちゅう度ど・重度じゅうどの3段階だんかいに評価ひょうかするようになった。

社会しゃかい的てき状況じょうきょう

LDの子こは全体ぜんたい的てきな能力のうりょくで劣おとっているのではないので高校こうこう、大学だいがくへの進学しんがくもケースにより可能かのうであり、こうした子こどもたちの人権じんけんを擁護ようごする団体だんたいもある。障害しょうがいに合あわせた支援しえんがあれば十分じゅうぶんに習熟しゅうじゅく・卒業そつぎょうが可能かのうである。

2000年ねんから、日本にっぽんLD（学習がくしゅう障害しょうがい）学会がっかいが学会がっかい認定にんてい資格しかくとして、LD教育きょういく士しという資格しかくを設もうけたが、2005年度ねんどより資格しかく認定にんてい協会きょうかいを独立どくりつさせ、「特別とくべつ支援しえん教育きょういく士し（LD・ADHD 等とう）」と名称めいしょうを変更へんこうしている。資格しかく認定にんてい協会きょうかいは法人ほうじん化かの動うごきもある。

学校がっこう教育きょういくでは、2006年ねん4月がつ1日にちより通つう級きゅうの対象たいしょうとなり、2007年ねん4月がつからは特別とくべつ支援しえん教育きょういくの対象たいしょうにもなっている。しかし、視覚しかく障害しょうがい・聴覚ちょうかく障害しょうがい・知的ちてき障害しょうがい・肢体したい不自由ふじゆう等とう障害しょうがいなどと比くらべて対応たいおうが遅おくれている。LDの子供こどもたちが適切てきせつな支援しえん教育きょういくを受うけられる環境かんきょうはまだ十分じゅうぶんに整ととのっていない。

関連かんれん項目こうもく

• アスペルガー症候群しょうこうぐん
• 小児科しょうにか医い
• スクールカウンセラー
• 児童じどう精神せいしん医学いがく
• トゥレット障害しょうがい
• 発達はったつ障害しょうがい
• 発達はったつ障害しょうがい者しゃ支援しえん法ほう
• 日本にっぽん発達はったつ障害しょうがいネットワーク
• 養護ようご教諭きょうゆ
• 臨床りんしょう心理しんり士し
• 合理ごうり的てき配慮はいりょ
• シンプル英語えいご版ばんウィキペディア

外部がいぶリンク

• 日本にっぽんLD学会がっかい
• 学習がくしゅう障害しょうがい - 厚生こうせい労働省ろうどうしょう
• 学習がくしゅう障害しょうがい - 脳のう科学かがく辞典じてん
• 学習がくしゅう障害しょうがい - MSDマニュアル