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間欠性爆発性障害 - Wikipedia コンテンツにスキップ

間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい

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間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい(かんけつせいばくはつせいしょうがい、英語えいご: Intermittent explosive disorder[1])は、のう交感神経こうかんしんけい感情かんじょう上手じょうず調節ちょうせつされないために理性りせい喪失そうしつし、頻繁ひんぱん状況じょうきょう誘因ゆういん見合みあわない罵声ばせいなど言語げんご暴力ぼうりょく破壊はかい傷害しょうがいなど物理ぶつりてき暴力ぼうりょくおこな反復はんぷくせい衝動しょうどう制御せいぎょ障害しょうがい一種いっしゅDSM-5の「破壊はかいてき衝動しょうどう調節ちょうせつ、および行動こうどう障害しょうがい」カテゴリに分類ぶんるいされている[2][3]別名べつめい憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがいである[4][5][6][7][8][9][10][11]

概要がいよう

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シカゴ大学だいがくのエミール・コッカロ博士はかせらの論文ろんぶんによると、この障害しょうがいのう疾患しっかんであり、感情かんじょう制御せいぎょする前頭葉ぜんとうようあたりえん領域りょういきはいしろしつすくないことが原因げんいんである。ぎゃくにここにはいしろしつりょうおおいほど間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい傾向けいこうすくなくなって、キレやすさや攻撃こうげきせい低下ていかする[5]。このやまい特徴とくちょうとしては、きっかけと表出ひょうしゅつされた衝動しょうどうわないこと、症状しょうじょう頻発ひんぱつすること、遺伝いでん影響えいきょうがあるために患者かんじゃだいいち親族しんぞくはこの障害しょうがいになる危険きけんたかいこと、などがある[10]

岡山大学おかやまだいがく大学院だいがくいん精神せいしん神経しんけい病態びょうたいがく教室きょうしつ教授きょうじゅ山田やまだりょうは、しゅ症状しょうじょうとして、ストレスや誘因ゆういんいなはげしい言動げんどうと、臨床りんしょうてきにその頻度ひんどたかさが際立きわだっていることを指摘してきしている[12][1]

精神せいしん片田かただ珠美たまみは、あお運転うんてん常習じょうしゅうしゃ当該とうがい患者かんじゃ衝動しょうどうコントロールができないひとであってなにってもムダとし、心理しんりてきなメカニズムを理解りかいしておくことが重要じゅうようだとしている。遭遇そうぐうしてしまった場合ばあいには相手あいて土俵どひょうらずに警察けいさつ通報つうほうするなど冷静れいせいでいることがもとめられるとべている[13]

KBSだい2テレビジョンによると、憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがいかどうかを9項目こうもく自己じこ診断しんだん方法ほうほうできる方法ほうほうがあり、3項目こうもく以下いか憤怒ふんぬ調節ちょうせつ可能かのうしゃ、4から6項目こうもく該当がいとう調整ちょうせい能力のうりょく欠如けつじょ疑惑ぎわく段階だんかい、7項目こうもくから9項目こうもく該当がいとう憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがい段階だんかいであるとしている[9]精神せいしん健康けんこう医学いがくのシン・ヨンチョル専門医せんもんいは「おこると乱暴らんぼう言葉ことばき、暴力ぼうりょくるう」をかえしている場合ばあい憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがいだとして、注意ちゅういびかけている[9]

病理びょうり生理学せいりがく

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衝動しょうどうてき行動こうどうとく衝動しょうどうてき暴力ぼうりょく素因そいんは、のう脊髄せきずいえき(CSF)ちゅうの5-ヒドロキシインドール酢酸さくさん(5-HIAA)の濃度のうどひくいことによる、のうセロトニン代謝たいしゃ回転かいてんりつひくさと相関そうかんしている。この基質きしつ視床ししょう下部かぶ交叉こうさじょうかく作用さようするようであり、これはがいリズムの維持いじおよび血糖けっとう調節ちょうせつ役割やくわりたすがわおよび正中せいちゅうぬいせんかくからのセロトニン作動さどうせい出力しゅつりょく標的ひょうてきである。5-HIAAがひくくなる傾向けいこう遺伝いでんせいである可能かのうせいがある。ていCSF5-HIAAおよびそれにおうじて衝動しょうどうてき暴力ぼうりょくたいする推定すいていじょう遺伝いでんてき要素ようそ提案ていあんされている。

間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい相関そうかんするほか特徴とくちょうは、迷走めいそう神経しんけい緊張きんちょう低下ていかとインスリン分泌ぶんぴつ増加ぞうかである。間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがいのための提案ていあんされている説明せつめいとしてはがた遺伝子いでんしのためのトリプトファンヒドロキシラーゼ、セロトニン生成せいせい前駆ぜんくたいがある。この遺伝子いでんしがた衝動しょうどうてき行動こうどうをしている個人こじんによくられる[14]

間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがいはまた、ひらたももたいとその周辺しゅうへん領域りょういき損傷そんしょうや、前頭まえがしら前野まえの病変びょうへん関連かんれんしている可能かのうせいがある。これらの領域りょういき病変びょうへんは、不適切ふてきせつ血糖けっとうコントロールにも関連かんれんしており、計画けいかく意思いし決定けってい関連かんれんするこれらの領域りょういきのう機能きのう低下ていかにつながる[15]米国べいこくにおける全国ぜんこく調査ちょうさでは、1600まんにんのアメリカじん間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい基準きじゅんたしている可能かのうせいがあると推定すいていされている。

DSM-5診断しんだん

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間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい現在げんざいのDSM-5基準きじゅんつぎとおりである[16]

  • 口頭こうとうでの攻撃こうげきせい(かんしゃく、口頭こうとうでの議論ぎろんまたはあらそい)または身体しんたいてき攻撃こうげきせいが1週間しゅうかんに2かいすくなくとも3かげつあいだ発生はっせいし、財産ざいさん破壊はかいまたは身体しんたいてき傷害しょうがいこさない(基準きじゅんA1)
  • 1ねん以内いない負傷ふしょうまたは破壊はかいともなう3かい爆発ばくはつ基準きじゅんA2)
  • 攻撃こうげきてき行動こうどうは、心理しんり社会しゃかいてきストレッサーのおおきさにいちじるしく均衡きんこう。(基準きじゅんB)
  • 爆発ばくはつ計画けいかくてきではなく、計画けいかくてき目的もくてきたさない。(基準きじゅんC)
  • 爆発ばくはつは、機能きのう苦痛くつうまたは障害しょうがいこしたり、経済けいざいてきまたは法的ほうてき結果けっかにつながる。(基準きじゅんD)
  • 個人こじんは6さい以上いじょうである必要ひつようがある。(基準きじゅんE)
  • 再発さいはつせい爆発ばくはつは、べつ精神せいしん障害しょうがいでは説明せつめいできず、べつ医学いがくてき障害しょうがいまたは物質ぶっしつ使用しよう結果けっかではない。(基準きじゅんF)

DSM-5には、経験けいけんてきなサポートがある攻撃こうげきてき爆発ばくはつのタイプ(A1とA2)の2つの別個べっこ基準きじゅんふくまれていることに注意ちゅういすることが重要じゅうようである[17]

  • 基準きじゅんA1:平均へいきんしてしゅうに2かい、3かげつあいだ発生はっせいする、口頭こうとうおよび/または損傷そんしょう非破壊ひはかい、または有害ゆうがい身体しんたいてき暴行ぼうこうのエピソード。これらには、かんしゃく、暴動ぼうどう口頭こうとうでの議論ぎろん/たたかい、または被害ひがいのない暴行ぼうこうふくまれる可能かのうせいがある。この基準きじゅんには、高周波こうしゅうは/てい強度きょうど爆発ばくはつふくまれる。
  • 基準きじゅんA2:よりまれで、平均へいきんして12かげつあいだに3かい発生はっせいする、より深刻しんこく破壊はかいてき/攻撃こうげきてきエピソード。これらは、価値かち関係かんけいなくオブジェクトを破壊はかいしたり、動物どうぶつ個人こじん攻撃こうげきしたりする可能かのうせいがある。この基準きじゅんには、こう強度きょうど/てい頻度ひんど爆発ばくはつふくまれる。

DSM-IV診断しんだん

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間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい過去かこのDSM-IV基準きじゅん現在げんざい基準きじゅん同様どうようだが言葉ことばによる攻撃こうげきせい診断しんだん基準きじゅん一部いちぶとはなされていない。 DSM-IV診断しんだんは、暴力ぼうりょくてき暴行ぼうこうまたは財産ざいさん破壊はかいをもたらす攻撃こうげきてき衝動しょうどう抵抗ていこうできないという個別こべつのエピソードの発生はっせいによって特徴とくちょうづけられる。さらに、エピソードちゅう表現ひょうげんされる攻撃こうげきせい程度ていどは、心理しんり社会しゃかいてきストレス要因よういん誘発ゆうはつまたは促進そくしんいちじるしく不均衡ふきんこうである必要ひつようがあり、前述ぜんじゅつのように、特定とくていほか精神せいしん障害しょうがい、たとえば頭部とうぶ外傷がいしょう、アルツハイマーびょうまたは薬物やくぶつ乱用らんようまたは薬物やくぶつ療法りょうほうなどが除外じょがいされたときに診断しんだんおこなわれる。診断しんだんは、DSM-IVにリストされている基準きじゅん、すなわち感情かんじょうてきおよび行動こうどうてき症状しょうじょうたいする精神せいしん医学いがくてき現象げんしょうもちいられる。

DSM-IV-TRは、条件じょうけん排除はいじょにより、基本きほんてきに、定義ていぎされた断続だんぞくてき爆発ばくはつせい障害しょうがいのその定義ていぎ非常ひじょう特異とくいてきである。

   1.ひとまたは財産ざいさんのいずれかに深刻しんこく損害そんがいをもたらす衝動しょうどうてき行動こうどうのいくつかのエピソード。
   2.攻撃こうげきせい程度ていどは、状況じょうきょう挑発ちょうはついちじるしく均衡きんこう。、
   3.一時いちじてき暴力ぼうりょくは、べつ精神せいしんてきまたは肉体にくたいてき病状びょうじょうによって説明せつめいすることはできない。

鑑別かんべつ診断しんだん

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おおくの精神せいしん障害しょうがいおよび一部いちぶ物質ぶっしつ使用しよう障害しょうがい攻撃こうげきせい増加ぞうか関連かんれんしており、間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい併存へいそんすることがおおく、鑑別かんべつ診断しんだん困難こんなんにすることがおおい。 間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがいのあるひとは、平均へいきんして、うつびょうまたは不安ふあん障害しょうがい発症はっしょうする可能かのうせいが4ばいたかく、物質ぶっしつ使用しよう障害しょうがい発症はっしょうする可能かのうせいが3ばいたかい。[18]双極そうきょくせい障害しょうがいは、一部いちぶ個人こじん興奮こうふん攻撃こうげきてき行動こうどう増加ぞうか関連かんれんしているが、これらの個人こじん攻撃こうげきせい躁病そうびょうエピソードおよび/またはうつびょうエピソードに限定げんていされており、間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい患者かんじゃ中立ちゅうりつまたはポジティブな気分きぶん期間きかんでも攻撃こうげきてき行動こうどう経験けいけんする。[19] ある臨床りんしょう研究けんきゅうでは、2つの障害しょうがいが60%のかくりつ同時どうじ発生はっせいした。患者かんじゃ爆発ばくはつ直前ちょくぜん持続じぞくてき躁病そうびょうのような症状しょうじょううったえる。ある研究けんきゅうによると、間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい平均へいきん発症はっしょう年齢ねんれい双極そうきょくせい障害しょうがい発症はっしょう年齢ねんれいよりもやく5ねんはやく、2つのあいだ相関そうかん関係かんけいがある可能かのうせいしめしている。[18]同様どうように、アルコールおよび物質ぶっしつ使用しよう障害しょうがい攻撃こうげきせい増加ぞうかしめ可能かのうせいがあるが、この攻撃こうげきせい急性きゅうせい中毒ちゅうどくおよび禁断症状きんだんしょうじょう期間きかんがい経験けいけんされないかぎ間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい診断しんだんあたえられない。PTSDなどの慢性まんせい障害しょうがい場合ばあいべつ障害しょうがい発生はっせいするまえ攻撃こうげきせいのレベルが間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい基準きじゅんたしているかどうかを評価ひょうかすることが重要じゅうようである。はん社会しゃかいせいパーソナリティ障害しょうがい対人たいじん攻撃こうげき通常つうじょう本質ほんしつてき計画けいかくてき(つまり、具体ぐたいてき報酬ほうしゅうによって動機付どうきずけられる)だが、間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがいは、状況じょうきょうストレスにたいする衝動しょうどうてき計画けいかくがいはんおうである。[20]

治療ちりょう

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治療ちりょう認知にんち行動こうどう療法りょうほうこう精神せいしんやくレジメンをつうじてこころみられるが、医薬品いやくひん使用しようかぎられた成功せいこうしかしめされていない。[21]治療ちりょうはこれらのエピソードにともな感情かんじょうてきなストレスを治療ちりょうするとともに、爆発ばくはつ認識にんしき制御せいぎょのレベルを達成たっせいすることを期待きたいして、患者かんじゃ衝動しょうどう認識にんしきするのをたすけるのに役立やくだつ。 間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい患者かんじゃには複数ふくすう薬物やくぶつ療法りょうほう頻繁ひんぱん適応てきおうされる。認知にんちリラクゼーションと対処たいしょスキル療法りょうほう(CRCST)は順番じゅんばんちリストの対照たいしょうぐん比較ひかくして、グループと個人こじん両方りょうほう設定せってい予備よびてき成功せいこうしめしている。この療法りょうほうは、12かいのセッションで構成こうせいされ最初さいしょの3かいはリラクゼーショントレーニングに焦点しょうてんて、つぎ認知にんちさい構築こうちく、そして暴露ばくろ療法りょうほうおこなわれる。最後さいごのセッションでは攻撃こうげきてき衝動しょうどうやその予防よぼうさく抵抗ていこうすることが重要じゅうようとなる。[17] フランスでは、シアメマジン、レボメプロマジン、ロキサピンなどのこう精神病せいしんびょうやく使用しようされることがある。 さんたまきけいこううつやく選択せんたくてきセロトニンさい阻害そがいやく(フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリンなどのSSRI)は、いくつかの病態びょうたい心理しんりがくてき症状しょうじょう緩和かんわする。[4][22]GABA作動さどうせい気分きぶん安定あんていやくおよびガバペンチン、リチウム、カルバマゼピン、およびジバルプロエックスなどのこう痙攣けいれんやくは、爆発ばくはつ発生はっせいりつ制御せいぎょするのに役立やくだつ。.[4][23][24][25][23]こう不安ふあんやく緊張きんちょうやわらげるのに役立やくだち、挑発ちょうはつてき刺激しげきたいせいの閾値をげることによって爆発ばくはつせい爆発ばくはつらすのに役立やくだ可能かのうせいがあり、とく強迫きょうはくせい障害しょうがいまたは不安ふあん障害しょうがい併発へいはつしている患者かんじゃ適応てきおうされる。[23]しかしながら、特定とくていこう不安ふあんやく一部いちぶ個人こじんとくベンゾジアゼピンいかりと過敏かびんせいたかめることがられている。[26]

疫学えきがく

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コミュニティサンプルの2つの疫学えきがく研究けんきゅうでは、使用しようされた基準きじゅんセットにおうじてIEDの生涯しょうがいゆうびょうりつは4〜6%と概算がいさんされた。[27][28]ウクライナの研究けんきゅうでは、どう程度ていど生涯しょうがいIEDりつ(4.2%)がられ、4〜6%のIEDの生涯しょうがいゆうびょうりつはアメリカのサンプルに限定げんていされないことが示唆しさされた。[29]これらの研究けんきゅうにおけるIEDの1かげつおよび1ねんのポイントゆうびょうりつは、それぞれ2.0%[28]および2.7%[27]報告ほうこくされた。全国ぜんこくレベルにそとすると、1620まんにんのアメリカじん生涯しょうがいにわたってIEDを発症はっしょうし、年間ねんかんで1,050まんにんつきで600まんにんのぼる。

なかで、臨床りんしょう人口じんこう、2005ねん調査ちょうさでは6.3%であることをIEDの生涯しょうがいゆうびょうりつ発見はっけんしました。[30]

ゆうびょうりつ女性じょせいよりも男性だんせいほうたかいとおもわれる。[23]

IEDのある米国べいこく被験者ひけんしゃのうち67.8%が直接ちょくせつ対人たいじん攻撃こうげきこし、20.9%が脅迫きょうはくともな対人たいじん攻撃こうげきおこない11.4%が物体ぶったいたいする攻撃こうげきおこなった。被験者ひけんしゃは、最悪さいあくとしに27.8のじゅう大度たいどたか攻撃こうげきてき行為こういおこない、2〜3かい発作ほっさ医師いし診察しんさつ必要ひつようであると報告ほうこくした。人生じんせい全体ぜんたいで、攻撃こうげきてき発作ほっさによる物的ぶってき損害そんがい平均へいきんは1603ドルだった。[27]

2016ねん3がつのJournalof Clinical Psychiatryの研究けんきゅうは、寄生虫きせいちゅうToxoplasmagondiiによる感染かんせんとIEDなどの精神せいしん医学いがくてき攻撃こうげきせいとの関係かんけい示唆しさしている。[31]

区分くぶん歴史れきし

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アメリカ精神せいしん学会がっかい診断しんだんおよび統計とうけいマニュアル(DSM-I)の初版しょはんでは、衝動しょうどうてき攻撃こうげきせい障害しょうがい受動じゅどうてき攻撃こうげきせい人格じんかくタイプ(攻撃こうげきせいタイプ)とばれてた。この構成こうせいは、「欲求よっきゅう不満ふまんたいする持続じぞくてき反応はんのうは、「一般いっぱんてき興奮こうふんし、攻撃こうげきてきで、環境かんきょう圧力あつりょく過剰かじょう反応はんのうする」ことと、「通常つうじょう行動こうどうとはことなるいかりまたは言語げんごてきまたは身体しんたいてき攻撃こうげきせいはげしい爆発ばくはつ」によって特徴付とくちょうづけられた。

だい3はん(DSM-III)では、これが間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがいとしてはじめてコードされ、じくIのした臨床りんしょう障害しょうがいのステータスがてられ。ただし、一部いちぶ研究けんきゅうしゃは、基準きじゅん運用うんよう不十分ふじゅうぶんであるとなした。[32]現在げんざい障害しょうがい診断しんだんされるであろう個人こじんやく80%は除外じょがいされたとおもわれる。

DSM-IVでは基準きじゅん改善かいぜんされたが、IEDの基準きじゅんたすための攻撃こうげきてき行為こうい強度きょうど頻度ひんど、および性質せいしつかんする客観きゃっかんてき基準きじゅんはまだ存在そんざいしなかった。[20]これにより一部いちぶ研究けんきゅうしゃはIED-IR(統合とうごう研究けんきゅう)としてられる、研究けんきゅう実施じっしするための代替だいたい基準きじゅんセットを採用さいようするようになった。診断しんだん必要ひつよう攻撃こうげきてき行動こうどう重症じゅうしょう頻度ひんど明確めいかく操作そうさ可能かのうであり、攻撃こうげきてき行為こうい本質ほんしつてき衝動しょうどうてきである必要ひつようがあり爆発ばくはつてき爆発ばくはつ先立さきだって主観しゅかんてき苦痛くつう必要ひつようがある。境界きょうかいせいパーソナリティ障害しょうがいはん社会しゃかいせいパーソナリティ障害しょうがいとの併存へいそん診断しんだん可能かのうにする基準きじゅんとなった。[33]これらの研究けんきゅう基準きじゅんはDSM-5診断しんだん基礎きそとなった。

現在げんざいのバージョンのDSM(DSM-5)では、障害しょうがいは「破壊はかいてき衝動しょうどう制御せいぎょ、および行動こうどう障害しょうがい」カテゴリに分類ぶんるいされる。 DSM-4では、障害しょうがい基準きじゅんたすために身体しんたいてき攻撃こうげきせい必要ひつようだったが、DSM-5ではこれらの基準きじゅん修正しゅうせいされ、言葉ことばによる攻撃こうげきせい非破壊ひはかいてき/有害ゆうがい身体しんたいてき攻撃こうげきせいふくまれるようになった。リストも更新こうしんされ、頻度ひんど基準きじゅん指定していされた。さらに、攻撃こうげきてき発作ほっさは、本質ほんしつてき衝動しょうどうてきである必要ひつようがあり、個人こじんいちじるしい苦痛くつう障害しょうがい、または悪影響あくえいきょうこすことが必要ひつよう条件じょうけんとなった。診断しんだんけるには、6さい以上いじょうである必要ひつようがある。このテキストはまた、ADHDやじゅうあつし気分きぶん調節ちょうせつ障害しょうがいなどのほか障害しょうがいとの関係かんけいあきらかにした[34]

憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがい犯罪はんざい対処たいしょほう

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中央日報ちゅうおうにっぽう東亜日報とうあにっぽうによると、大韓民国だいかんみんこくでは深刻しんこく国民こくみんびょうとなっており、瞬間しゅんかんてき憤怒ふんぬ抑制よくせい出来できずに計画けいかく金銭きんせんてき目的もくてきもない殺人さつじん傷害しょうがい犯罪はんざいである「憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがい犯罪はんざい」が急増きゅうぞうしていて、傷害しょうがい暴行ぼうこうなどの暴力ぼうりょく犯罪はんざい殺人さつじん殺人さつじん未遂みすいなどの重罪じゅうざいやく41%をめている[6][8][35][36][37]交際こうさい相手あいてからのわかばなし自動車じどうしゃ轢殺れきさつ殺人さつじん、スープの味付あじつけが塩辛しおからいという口論こうろん食堂しょくどう主人しゅじんきゃく凶器きょうき暴行ぼうこう隣人りんじんあいだ駐車ちゅうしゃトラブルで姉妹しまい殺害さつがいなど2014ねん感情かんじょう制御せいぎょ出来できなかったことできた暴力ぼうりょく犯罪はんざいやく6まんけんであった[6]。イ・スジョン教授きょうじゅは、憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがいひとみずからを社会しゃかい被害ひがいしゃかんがえていて、他人たにん自分じぶん無視むしするというおもみが悪化あっかすると、みずからがそのひと(たち)をらしめてやるという発想はっそう犯罪はんざいこすと分析ぶんせきしている。中央日報ちゅうおうにっぽうは、50から60だい韓国かんこくじん女性じょせいは、自己じこ感情かんじょうさえもうとして発症はっしょうするびょう病院びょういんかよ場合ばあいおおいが、若者わかものそういかりを抑制よくせい出来できない憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがいのために来院らいいんする場合ばあいおおいと報道ほうどうしている[38]

大韓たいかん精神せいしん協会きょうかい調査ちょうさによると、韓国かんこく成人せいじん半分はんぶん以上いじょう憤怒ふんぬ調節ちょうせつ罹患りかんしており、さらには成人せいじんの10%は治療ちりょう必須ひっすこう危険きけんぐんにあることが判明はんめいしている[6]

アメリカでのゆうびょうりつやく2.7%で、35 - 40さい未満みまんのほうが、50さい以上いじょうよりもゆうびょうりつたか[10]

大韓民国だいかんみんこく健康けんこう保険ほけん審査しんさ評価ひょうかいんによる医療いりょうビッグデータ分析ぶんせき結果けっかによると、みずか来院らいいんして、間欠かんけつせい爆発ばくはつせい障害しょうがい診療しんりょうけたひと毎年まいとし増加ぞうか傾向けいこうにある。「ナッツひめいもうと」で大韓航空だいかんこうくうちょうあきらミンもと専務せんむもこの障害しょうがい可能かのうせいがあると韓国かんこく現地げんち専門せんもん指摘してきされている[7]

憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがい対処たいしょほう

中央日報ちゅうおうにっぽうは「韓国かんこく成人せいじん半分はんぶん憤怒ふんぬ調節ちょうせつ障害しょうがい、どのようにいかりをこたえるか」との記事きじ憤怒ふんぬ誘発ゆうはつ関係かんけいするホルモンは15びょう以内いないでピークにたっするので、感情かんじょうたかまった瞬間しゅんかんから1ふん深呼吸しんこきゅうをすること、 憤怒ふんぬがった瞬間しゅんかんがって 「なぜはらつのか?なにのためにおこるのか?効果こうかてき方法ほうほうはないか?」と集中しゅうちゅうする方法ほうほう対策たいさくとして提案ていあんしている[6]

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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