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はんとべ作用さよう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
横線おうせん:もと症状しょうじょう。それよりうえ:症状しょうじょう悪化あっかした:症状しょうじょう軽減けいげん
くすり使用しよう症状しょうじょう減少げんしょうしたが、くすり中止ちゅうしすると、もと症状しょうじょうより増悪ぞうあくしてから、次第しだいもと水準すいじゅんもどる。そのさい症状しょうじょう種類しゅるいわらないのがはんとべ現象げんしょう症状しょうじょうすう増加ぞうかしていれば離脱りだつ症状しょうじょうび、薬剤やくざい特有とくゆう症状しょうじょうがあったりもとにはない症状しょうじょうふくまれる[1]

はんとべ作用さよう(はんちょうさよう、rebound effect)とは、おなやく服薬ふくやく中止ちゅうしするか、服用ふくようりょう低下ていかしたとき一過いっかてき出現しゅつげんする、症状しょうじょう発症はっしょう再発さいはつである[1]再発さいはつ場合ばあい、その重症じゅうしょうはしばしば治療ちりょうまえより悪化あっかしている。また、はんとべ現象げんしょう(はんちょうげんしょう、rebound phenomenon)や、リバウンド現象げんしょうともいう。

睡眠薬すいみんやくこう不安ふあんやく中止ちゅうししたことによる不安ふあん不眠ふみん亢進こうしんてん鼻薬はなぐすりをやめたことによるはなづまりなど。

はんとべ現象げんしょう離脱りだつ症状しょうじょう

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もと症状しょうじょう根治こんじされておらずくすりをやめた場合ばあいたん再発さいはつしたのであれば、こののようにもと水準すいじゅんもどるだけである[1]はんとべ症状しょうじょうでは、そうではなく、べつのようにもと症状しょうじょうよりも増悪ぞうあくする。

はんとべ現象げんしょうは、おな症状しょうじょうくすり使つか以前いぜんよりつよあらわれ、収束しゅうそくしていく[1]離脱りだつ症状しょうじょうは、くすり使用しようまえにはなかった症状しょうじょうふくめてつよあらわれ、収束しゅうそくしていく[1]。しかし遷延せんえんせい離脱りだつ症候群しょうこうぐんのように長期ちょうきにわたる場合ばあいもある[1]。そして、症状しょうじょう再燃さいねんとは、これらはんとべ現象げんしょう離脱りだつ症状しょうじょうったのちに、もとおなじような症状しょうじょう出現しゅつげんすることである[1]

鎮静ちんせい催眠さいみんざい

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はんとべせい不安ふあん

いくつかのこう不安ふあんやく睡眠薬すいみんやくはんとべ作用さようつ。たとえば、ベンゾジアゼピン離脱りだつ症候群しょうこうぐんおもあつ不安ふあん不眠症ふみんしょう原因げんいんとなり、もと不眠症ふみんしょう不安ふあん障害しょうがいよりも悪化あっかしている。[2]ベンゾジアゼピンを中止ちゅうしした患者かんじゃやく70%にはんとべ作用さようきる[3]はんとべ症状しょうじょうは、医薬品いやくひん慢性まんせいてき使用しよう長期ちょうきてき薬物やくぶつ依存いぞんしょう原因げんいんとなり、一部いちぶ患者かんじゃは、不快ふかいで、とき深刻しんこく症状しょうじょうけるために、特定とくてい医薬品いやくひんだけの服薬ふくやく継続けいぞくしている。その症状しょうじょうは2つのはっきりことなる現象げんしょうである:身体しんたい依存いぞんはんとべ作用さよう[4]

はんとべせい不眠ふみん

はんとべせい不眠ふみんは、原発げんぱつせい不眠症ふみんしょう緩和かんわする睡眠薬すいみんやく中止ちゅうしつづいてしょうじる不眠症ふみんしょうである。いれねむするためのこれらの薬物やくぶつ日常にちじょうてき使用しようは、その作用さようへの身体しんたい依存いぞん形成けいせいする原因げんいんとなる。そして、服薬ふくやくをやめたさいにその作用さようが「はんとべする」ことで、離脱りだつ症状しょうじょうとしての不眠症ふみんしょうこりうる。ときに、この不眠症ふみんしょう治療ちりょう当初とうしょ不眠症ふみんしょうよりも悪化あっかしていることがありうる。[5]

この問題もんだいこす一般いっぱんてきくすりは、ゾルピデム(マイスリー)やエスゾピクロン(ルネスタ)、ベンゾジアゼピンけいこう不安ふあんやくにゅうねむり睡眠すいみん持続じぞく問題もんだいがあったひと処方しょほうされるくすりである。

はんとべせいうつ

よくうつしょうじょうは、これまでそのような病気びょうきがなかったひとにも、あらたにあらわれるとおもわれる[6]

にちちゅうはんとべ

はんとべ現象げんしょうは、規定きていどおりの服用ふくようにおける中止ちゅうしにおいてしょうじるだけではない。 たとえば、不安ふあん金属きんぞくあじ知覚ちかく障害しょうがいといったにちちゅうはんとべ作用さようは、典型てんけいてきベンゾジアゼピン離脱りだつ症候群しょうこうぐんであり、短時間たんじかん作用さようがたベンゾジアゼピン睡眠薬すいみんやくがきれたのち翌日よくじつしょうじる。れいでは、早朝そうちょうはんとべ不眠症ふみんしょうしょうじることがあり、急速きゅうそく半減はんげんされる睡眠薬すいみんやくがきれるとはんとべして強制きょうせいてき覚醒かくせいにつながり、以前いぜんにはいちばんちゅうぐっすりていたひとますようになる。この問題もんだいによく関連かんれんしているとおもわれるくすりトリアゾラム(ハルシオン)であり、そのたかちからちょう短時間たんじかん半減はんげん原因げんいんである。短時間たんじかん作用さようがた睡眠薬すいみんやくでも発生はっせいする可能かのうせいがある。[7][8][9]クアゼパム(ドラール)では、1がたベンゾジアゼピン受容じゅようたいへの選択せんたくせいなが半減はんげんのために、投薬とうやくちゅうにちちゅう不安ふあんはんとべ作用さよう原因げんいんにはならない。睡眠薬すいみんやく翌日よくじつはんとべせい離脱りだつ作用さよう原因げんいんになるかならないかの決定けっていのために、半減はんげん非常ひじょう重要じゅうようである。[10]にちちゅうはんとべ作用さよう軽度けいどであるとはかぎらず、ときいちじるしい精神せいしんてき心理しんりてき障害しょうがいしょうじさせる[11]

神経しんけい刺激しげきやく

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デキストロアンフェタミン(アデロール)やメチルフェニデート(リタリン)のような精神せいしん刺激しげきやくはんとべ作用さようには、一時いちじてき増大ぞうだいしたかたち精神病せいしんびょううつびょうやADHD症状しょうじょう再来さいらいふくまれる[12][13][14]。メチルフェニデートをだんやくしたADHDの子供こどもの3ぶんの1に、はんとべ作用さようきる[15]

こううつやく

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SSRIふくおおくのこううつやく中止ちゅうししたさいに、はんとべせいうつパニック発作ほっさ不安ふあん不眠症ふみんしょうきることがある[16]

こう精神病せいしんびょうやく

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こう精神病せいしんびょうやくがあまりにも急速きゅうそく中止ちゅうしされたさいに、精神病せいしんびょう突然とつぜんかつ重度じゅうど発症はっしょう[17]、あるいは再発さいはつ[18]きる可能かのうせいがある。

αあるふぁ-2アドレナリン作動さどうやく

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クロニジン(カタプレス)[19]およびグアンファシン(エスタリック)[20]中止ちゅうしに、 治療ちりょうまええるはんとべせいだか血圧けつあつ観察かんさつされた。

薬物やくぶつせい鼻炎びえん

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継続けいぞくてき局所きょくしょ充血じゅうけつ除去じょきょやく英語えいごばんスプレーしきてん鼻薬はなぐすり英語えいごばん)の使用しようは、薬物やくぶつせい鼻炎びえんとしてられる持続じぞくてきはなまりにつながる。

日本にっぽんの『はなアレルギー診療しんりょうガイドライン2013年版ねんばん』においても、長期間ちょうきかん使用しようによりはな粘膜ねんまくはんとべ現象げんしょうこすため、1にちすうかい使用しようするなら短期間たんきかんにとどめるとされている[21]

その

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副腎ふくじん皮質ひしつホルモン

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れいとして、乾癬かんせんへの高力こうりきコルチコステロイド使用しようがある。きゅう離脱りだつでは、はるかにじゅうあつし乾癬かんせんきる場合ばあいがある。そのため離脱りだつは、非常ひじょうすくないりょうになるまで、化粧水けしょうすいくすり希釈きしゃく徐々じょじょおこなうこと。

2015ねんに、全米ぜんべい皮膚ひふえん学会がっかい(National Eczema Associationのかりやく)はステロイド外用がいようやく離脱りだつについてのシステマティックレビューをおこない、その特徴とくちょう調査ちょうさした[22]

ステロイド外用がいようやく長期間ちょうきかん使用しようしてさけよう皮膚ひふえんていした場合ばあい完治かんじのために中止ちゅうしすると、ほぼ例外れいがいなくはんとべしてべにまだら増悪ぞうあくし、つよ場合ばあいもあるためそのような現象げんしょうけられないことを、医師いし説明せつめいする必要ひつようがある[23]。ステロイド依存いぞん(Steroid addictionのかりやく)では、ニキビ、さけさ、くち周囲しゅうい皮膚ひふえん毛細血管もうさいけっかん拡張かくちょう症状しょうじょうがあるが、ステロイドをやめると炎症えんしょう発火はっかかゆみがはんとべするため、使用しよう中止ちゅうしできない[24]

はんとべせい頭痛ずつう

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れいとしては、鎮痛ちんつうやくによるはんとべせい頭痛ずつう薬物やくぶつ乱用らんよう頭痛ずつう)は、用量ようりょうるかくすりれるとしょうじる[25]

出典しゅってん

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