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ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん

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ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん
概要がいよう
診療しんりょう 精神せいしん医学いがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 F68.1
ICD-9-CM 301.51
DiseasesDB 8459 33167
eMedicine med/3543 emerg/322 emerg/830
MeSH D009110

ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん(ミュンヒハウゼンしょうこうぐん、えい: Munchausen syndrome)、みずからにわせる作為さくいしょう(みずからにおわせるさくいしょう)とは虚偽きょぎせい障害しょうがい分類ぶんるいされる精神せいしん疾患しっかん一種いっしゅ[1]周囲しゅうい関心かんしん同情どうじょうくために病気びょうきよそおったり、みずからのからだ傷付きずつけたりするといった行動こうどうられる。1951ねんにイギリスの内科ないかリチャード・アッシャー英語えいごばんによって発見はっけんされ、「ほら男爵だんしゃく」の異名いみょうったドイツ貴族きぞくミュンヒハウゼン男爵だんしゃくにちなんで命名めいめいされた。

この病気びょうきには、虚偽きょぎ病気びょうき罹患りかんしている対象たいしょう患者かんじゃ自身じしんであるミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐんと、患者かんじゃ近親きんしんしゃである代理だいりミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐんの2種類しゅるい存在そんざいする。日本にっぽん厚生こうせい労働省ろうどうしょう平成へいせい20年度ねんど統計とうけいによれば、日本にっぽんでは2008ねん4がつから2009ねん3がつまでのあいだ心中しんちゅうの以外いがい虐待ぎゃくたいした児童じどう67にんちゅう3にん児童じどうが、代理だいりミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐんにより死亡しぼうしている[2]


症状しょうじょう

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一般いっぱんてき虚偽きょぎせい障害しょうがいなか身体しんたいてき症状しょうじょう優勢ゆうせいで、慢性まんせいてきおもあつ症状しょうじょうのものをミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん診断しんだんする。過去かこしんてき外傷がいしょうったというような精神せいしんてき症状しょうじょううったえるケースも存在そんざいする。

患者かんじゃ病気びょうき創作そうさくもしくはすで罹患りかんしている病気びょうきをことさらに重症じゅうしょうであるように誇張こちょうし、通院つういん入院にゅういんかえす。ひとつの病気びょうき問題もんだい解決かいけつしたり、虚偽きょぎ見破みやぶられたり、小康しょうこう状態じょうたいおちいるとあらたな病気びょうきつくす。じゅうあつし患者かんじゃせかけるためにきず行為こうい検査けんさ検体けんたいのすりえ、偽装ぎそう工作こうさくなどをかえおこなうことがある。

患者かんじゃ怪我けが病気びょうきという口実こうじつ利用りようして周囲しゅうい人間にんげん関係かんけい操作そうさすることを目的もくてきにして、同情どうじょうをかったり、懸命けんめい病気びょうきたたかっている姿すがたをことさらにアピールする。また、病気びょうきそのものにかかわるかかわらないに関係かんけいなく独特どくとく世界せかいつくげるエピソードを創作そうさくする虚言きょげんへきともなうことがおおい。患者かんじゃのエピソードによる病歴びょうれき多彩たさいであり、多種たしゅ多様たよう既往きおうれきはなすことがおおい。ただしそのエピソードや時期じきかんしては曖昧あいまいなことがおおく、時期じき内容ないようはな相手あいてによってことなることがおおい。

また、ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん患者かんじゃには手術しゅじゅつかえしによってつくられた独特どくとく手術しゅじゅつこんられたり、かえおな場所ばしょたいしてきず行為こういおこなったためにのこったしとねかさなどが確認かくにんされることがある。

患者かんじゃ行動こうどう原理げんり

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ミュンヒハウゼン男爵だんしゃく切手きって

患者かんじゃは、みずからの診断しんだん病院びょういん診断しんだんことなった場合ばあい病院びょういんをすぐにえるドクターショッピング日常にちじょうてきかえし、検査けんさ手術しゅじゅつなどをかえす。また、様々さまざま診療しんりょう受診じゅしんするなどの行動こうどうおこな場合ばあいがある。そのため、病院びょういん遍歴へんれき調しらべなければミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐんつけることはむずかしく、患者かんじゃ発見はっけんおも入院にゅういん検査けんさきず行為こうい検体けんたいのすりえの目撃もくげき発覚はっかくなどによって、はじめてミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐんうたがいがもたれるケースがおおい。大半たいはん症例しょうれい精神せいしんではなく内科ないか外科げかった診療しんりょう発見はっけんされる。

この病気びょうき境界きょうかいれいなどのパーソナリティ障害しょうがいとのかかわりが指摘してきされているが根本こんぽんてき治療ちりょうほう確立かくりつしていない[3]。ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん罹患りかんするきっかけは小児しょうに手術しゅじゅつ経験けいけんであることがおおく、そのときの記憶きおくから相手あいて同情どうじょうくために手術しゅじゅつ入院にゅういんようする病気びょうきつく行為こういかえすことが報告ほうこくされている。

ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん患者かんじゃは、虚偽きょぎ病気びょうきによる手術しゅじゅつ入院にゅういんかえすため治療ちりょうによるくすり手術しゅじゅつ副作用ふくさよう慢性まんせいてき病気びょうきつく行為こういかえし、それらの副作用ふくさよう蓄積ちくせきされていくためくない。

いつわりびょうとの関係かんけい

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たような事象じしょういつわりびょう存在そんざいするが、いつわりびょうとミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐんおおきなちがいはミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん病気びょうきになることや、病気びょうきによって同情どうじょうくといった精神せいしんてき利益りえき目的もくてきとしているため手術しゅじゅつ検査けんさといったリスクをいとわず、むしろ積極せっきょくてき協力きょうりょくするてんおおきなちがいとしてげられる。いつわりびょう場合ばあいは、病気びょうきになることによりしゅとして経済けいざいてき利益りえき享受きょうじゅなどを目的もくてきとするためおおきなリスクをける傾向けいこうにある。

関連かんれん文献ぶんけん

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  • マーク・D・フェルドマン チャールズ・V・フォード『病気びょうき志願しがんしゃ:「ぬほど」病気びょうきになりたがるひとたち』沢木さわきのぼるやくはら書房しょぼう、1998ねん

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ “Munchausen's syndrome”. Lancet 1 (6650): 339–41. (1951). PMID 14805062. 
  2. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょうども虐待ぎゃくたいによる死亡しぼう事例じれいとう検証けんしょう結果けっかとうについて(だい6報告ほうこく資料しりょう1 死亡しぼう事例じれい集計しゅうけい結果けっか
  3. ^ メルクマニュアル18はん 身体しんたい表現ひょうげんせい障害しょうがいおよび虚偽きょぎせい障害しょうがい ミュンヒハウゼン症候群しょうこうぐん”. 2014ねん9がつ2にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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